SCP-1163-JP - 去り際に花は咲く。

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アイテム番号: SCP-1163-JP

オブジェクトクラス: Euclid Nagi1

特別収容プロトコル: SCP-1163-JPは標準人型収容セル内に収容されます。SCP-1163-JPの収容セル内の湿度は常に湿度が80%以上が維持されます。SCP-1163-JP収容セル内は常に監視カメラによって監視されます。

説明: SCP-1163-JPは自身を梶宮 真琴と名乗る10代前後の外見をしているアジア系の女性です。2SCP-1163-JPの外見及び身体的特徴に特筆すべき点はありません。SCP-1163-JPの知能は財団内で実施された知能テストによりIQ115である事が判明しています。また、SCP-1163-JPの異常性は大きく分けて二つ存在します。

一つ目の異常性は、生存するにあたり、水分以外の食事を必要とせず、代謝及び消費を行わないことです。また、SCP-1163-JPは空気中の水蒸気からも水分を吸収する事が可能である事が判明しています。この事から、SCP-1163-JPは未知の器官により水分の吸収や生命の維持を行っていると推測されます。

二つ目の異常性は、SCP-1163-JPに対する攻撃を試みた人物は脚部から分類不明の未知の蔦状の植物(以下、SCP-1163-JP-A)により対象人物の全身が覆われていくことです。この行動はSCP-1163-JPの有する攻撃に対する自己防衛本能によるものであると推測されており、SCP-1163-JPが無意識下に行っているものと推測されます。また、対象人物はSCP-1163-JP-Aにより全身が覆い尽くされた場合、対象人物は消失し、対象人物の存在していた地点に未知の花(以下、SCP-1163-JP-B)が開花した状態で発生します。SCP-1163-JP-Bは分類上、ユリ科に属しており、花弁の形は雫状であり、SCP-1163-JP-Bの花弁の色は黒色です。また、SCP-1163-JP-Bの遺伝情報を鑑定した結果、SCP-1163-JP-Aに覆われた人物と完全に一致している事が判明しています。

SCP-1163-JPは2018/8/15に、███県███市の█████に位置する█████アパートの10█号室3で10代女性が意識不明の状態で倒れているという通報を受け、到着した救急隊員が心肺が停止しているか確認するため、肩を揺すったところ、SCP-1163-JP-A及びSCP-1163-JP-Bが出現した事を財団が把握したことによって発見され、収容されました。財団のエージェントが向かった時には既に救急隊員は消失していました。

補遺1: SCP-1163-JPに対する実験記録の抜粋

実験記録-1163-01

対象: SCP-1163-JP

実施方法: D-1163-1にSCP-1163-JPに対して非致死性のゴム弾を一発射出させる。

実施目的: SCP-1163-JPの攻撃が銃弾等の重火器だった場合の対象の確認。

付記: D-1163-1は銃刀法違反及び重火器を用いた██人殺害により死刑判決を受けており、重火器の扱いに長けていると判断されたため、選出されました。

結果: SCP-1163-JPに対してD-1163-1がゴム弾を射出した直後、D-1163-1及び射出したゴム弾に対してSCP-1163-JP-Aが発生。SCP-1163-JP-A発生から██分後、SCP-1163-JP-AがSCP-1163-JP-Bに変化した。

考察: 鈍器を用いて攻撃した場合はどうなるのか検証する必要がある。
——常葉博士

実験記録-1163-03

対象: SCP-1163-JP

実施方法: D-1163-3にSCP-1163-JPを事前に配布した角材を用いて殴打するように指示。

実施目的: SCP-1163-JPを重火器ではなく鈍器を用いて攻撃した際の様子及び異常性の対象の検証。

結果: SCP-1163-JPをD-1163-03が角材で殴打しようと角材を振り上げたと同時にD-1163-03の足元にSCP-1163-JP-Aが出現した。SCP-1163-JP-A出現から█分後、SCP-1163-JP-AがSCP-1163-JP-Bに変化した。

考察: 鈍器の場合は攻撃の意思を持った人物のみなのか。なるほど。
——常葉博士

実験記録-1163-06

対象: SCP-1163-JP

実施方法: SCP-1163-JPに睡眠薬██gを含ませたコーヒーを摂取させる。

実施目的: 直接的な攻撃を行わない場合のSCP-1163-JPの異常性の反応の調査。

結果: SCP-1163-JPが睡眠薬を含むコーヒーを摂取すると同時に本実験の担当者である███博士の全身が即座にSCP-1163-JP-Aに覆われた。███博士の全身がSCP-1163-JP-Aで覆われてから██秒後、SCP-1163-JP-AがSCP-1163-JP-Bに変化した。

考察: これ以上のSCP-1163-JPの実験の凍結を要請します。
——常葉博士

実験記録-1163-06の結果を受け、これ以上のDクラス及び研究員等人員の喪失を防ぐ為、SCP-1163-JPに関する実験は全て無期限に凍結されました。

補遺2: SCP-1163-JPインタビュー記録

インタビュー記録-1163-JP

記録日時: 201█/██/██
対象: SCP-1163-JP
インタビュアー: 常葉博士


<記録開始>


常葉博士: ではSCP-1163-JP。インタビューを開始します。

SCP-1163-JP: あの、インタビューの前に一つだけいいですか?

常葉博士: SCP-1163-JP?何でしょうか?

SCP-1163-JP: その、SC…P?ですか?まだ慣れていないので、真琴と呼んでくれませんか?

常葉博士: 分かりました。検討してみます。では真琴さん、インタビューを開始します。

SCP-1163-JP: 分かりました。よろしくお願いします。

常葉博士: 真琴さんの有する異常性について教えていただけませんか?

SCP-1163-JP: ああ、はい。分かりました。私のこの、草花の異常性は気が付いてたら付いてました。自分では制御出来ずに周りの人を巻き込んだりして…水だけ飲んでいれば大丈夫なものとか、代謝しないのは生まれつきのもので…良く変な奴だっていじめられたり、親からも…まるで人じゃ無い…言うなれば"もの"を見るような目で見られてきたので…

常葉博士: 真琴さん、心中お察しします。

SCP-1163-JP: だから、誰にも迷惑かけないようにって事でずっと自宅に籠ってたんです。でもあの日、私働いていなかったから水道止められて、水が飲めなくて熱中症になったんです。そして気が付いたら…

常葉博士: 部屋一面に草花があったと。

SCP-1163-JP: はい。その通りです。

常葉博士: では真琴さん、その異常性について何かしらの心当たりとかはありませんか?

SCP-1163-JP: いいえ、特には…

常葉博士: ありがとうございました。真琴さん。では、これでインタビューを終了(遮る)

SCP-1163-JP: あの、最後にもう一つ…良いでしょうか?

常葉博士: 良いですよ。

SCP-1163-JP: あの…実験あるじゃないですか。

常葉博士: ええ。

SCP-1163-JP: あの実験って結構辛いので…痛いんです…。攻撃は草花が守ってくれるけど、やっぱり無理やり眠らされたり、角材で殴られたりとか…。

常葉博士: (5秒間の沈黙)分かりました。検討してみます。

SCP-1163-JP: よろしくお願いしますね。

<記録終了>

補遺3: 202█/██/██に、SCP-1163-JP収容室内にて大量のSCP-1163-JP-Bと大理石製の墓石が出現しました。墓石には以下の文字が彫られていました。

去り際に花は咲く。

墓石を掘り返したところ、墓石の下にはSCP-1163-JPの死体が存在していました。検死の結果、SCP-1163-JPの死因はストレス性心停止によるものであり、調査の結果、常葉博士が無断でSCP-1163-JPの実験を繰り返している事が判明しました。現在確認されているだけでおよそ██件以上の実験が行われた事が判明しており、常葉博士にはDクラスへの降格が行われました。

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scp jp esoteric-class 植物



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執筆者: teruteru_5
文字数: 4490
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批評コメント: 5

最終更新: 02 May 2021 02:55
最終コメント: 02 May 2021 02:55 by ShinoguN

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