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当ファイルは監督評議会の意向により、5/001-JP機密指定されています。
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特別収容プロトコル: SCP-001-JPはサイト-19の高度機密存在収容区画内に収容されます。収容区画内には機動部隊ν-01("未来地図")が配置されます。収容区画内部にはスクラントン現実錨(SRA)及びシャンク=アナストサコス因果隔絶溝(XACTS)等の改変抑制機器や各種計測器が設置されます。これらの装置は定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスにて異常が確認された場合、機材の交換を行ってください。計測器が異常なデータを記録した場合、SCP-001-JPを最寄りの除外サイトへ移送し、担当班が異常を除去します。異常の完全な除去が確認され次第、SCP-001-JPを元の収容区画へと戻します。
追記: SCP-001-JPを運用したK-クラスシナリオ回避プロジェクトである"プロジェクト・アンシーン"は稼働中です。"プロジェクト・アンシーン"の運用管理については補遺001-JP/IIIを参照ください。
説明: SCP-001-JPは異常性を有する1人の男性であるチャールズ・ジョンソン氏(29)です。SCP-001-JPは後述する異常性を除き、通常の同年代のヒト男性との差異は確認されていません。
SCP-001-JPの異常性は、不確定である先の時間軸 — 未来とそこに至るまでの過程を確立させるものです。これは"未来改変"と呼ばれています。この異常性質から、SCP-001-JPによって確定された事象に反するアクションは如何なる存在によっても不可能であるとされています。SCP-001-JPは異常性を意図的に発生させることが可能です。しかしながら、異常性発生に伴い、SCP-001-JPには強度の精神的・肉体的な苦痛が発生していることがカウンセリングより判明しています。このため、SCP-001-JPが異常性を行使することは例外 — 命の危機に瀕する場合などを除き確認されていません。SCP-001-JPが異常性を行使することによって、SCP-001-JPの意図した未来へと改変を行うことが可能です。例として — 銃殺される未来を改変する場合、"銃弾が詰まることにより射出不可能になる"等の障害に当たる出来事を避ける傾向にあります。
起源: SCP-001-JPは2025年にアメリカ東部で発生した中程度の現実改変事象に巻き込まれた際に生存者として保護されました。当時の特筆すべき点として、SCP-001-JPには一切の現実性・肉体の損傷が確認されなかったことが挙げられます。これに違和感を覚えたアルバート・ジンデル研究顧問が行った実験により異常性が判明しています。実験後に行われたインタビューでは、「現実改変は自らのせいで発生した」、「異常性は昔から有していた」、「異常性によっていじめられていた」等の旨の証言が得られています。
当時の現実改変が発生する以前の状況として、高校時代にいじめを行ってきた加害者に当たる人物に金銭問題の件で呼び出されていることが明らかになっています。これについてSCP-001-JPに対してインタビューを行ったところ、「呼び出されても行かなくて済むように改変した」という旨の証言が得られています。
これにより、SCP-001-JPによって引き起こされる改変事象はある程度の指向性を有していることが確認されています。
補遺001-JP/I 未来改変について
未来改変についての論文より抜粋
[…]
財団はこれまで、未来改変なる異常性を有するアノマリーを一切発見していない。しかしながら、未来改変という特性は存在していることが判明している。では何故、そういった特性 — 未来改変が存在していることが明らかになったのだろうか。
未来改変という特性の発見には、未来予知オブジェクトの存在が大きく関与している。未来予知オブジェクトは、未来という流動的で不確定且つ不安定な、先の時間軸の結果 — 即ち特定の時間帯の全てのアクションを固定し、可視化するのである。可視化されたビジョンはあらゆる手段を用いても書き換えることは出来ない。これは財団によって行われた複数回の実験の結果より明らかになっている。
だが、未来予知によって固定化されたはずのアクションに反する出来事が発生したのである。この出来事は、研究員が転倒する、というものであったが、間違いなく確定した未来を改変したのだ。この改変事象がどのオブジェクトによって引き起こされたのかは定かでは無い。だが、この結果により、未来改変という異常性を有するオブジェクトの存在が示唆されることになった。
[…]
未来改変の存在が示唆されてから、財団内部ではそれについての調査が頻繁に行われることとなった。データベース上に存在している前例の記録のような、未来確定による不可避な終焉事象の回避手段となり得るからである。
この調査により、未来改変についての多くの情報が明らかとなった。
第一に、未来改変とは因果律の操作によって未来を確定させるものである。未来予知により改変前に未来が確定されていた場合、その確定された未来は無効化される。具体的には、改変する先の未来になるよう、該当する瞬間までの諸々を変化させる必要があるので、バタフライ効果的に大量の改変が同時になされることになる。この時発生する大量の改変により、確定していた未来が揺らぐのである。これの原理は後述する。
第二に、未来を確定させるということで必然的に素粒子レベルな量子的な非確定性が失われてしまい、場合によっては予想外の激甚的な事故が起こりかねない。しかしながら、意図した範囲のみを機械的に改変することは未だ困難であるため、未来改変オブジェクトを用いて改変を行うことが有意義且つ理論的であるとされている。そのため、未来改変オブジェクトの捜索は財団にとっての優先事項の一つとなっているのである。
第三に、異常科学的側面から見ると、四次元以上の空間 — それもマルチバース全てを包括した視点から観察すると、時間とはただの「エントロピーの変化」に過ぎないのである。未来と過去は不可逆なものではなく、区別はない。時間軸の増殖も、宇宙規模のエントロピーの増殖だと言える。この場合、未来改変は自分の存在を一つの未来の時間軸に固定するが、未来改変は結果のみを確定させる。しかし、未来も過去も可逆的であるゆえに、これは必ずしもそれを辿る道筋を確定するものではなく、更には改変も予知も過去を確定するものではない。改変の場合、現在が確定しているがゆえに可逆的な改変は発生しないが、依然として過去は不安定である。これにより、未来からして不安定である過去に当たる現在の行動が書き換えられるため、擬似的な過去改変事象により確定された未来の出来事が変化するのである。
要約すると、以下の通りになる。
- 未来改変はバタフライ効果的に大量の改変がなされる事により発生する。
- 未来改変は現実不全に起因する事故を起こしかねない。
- 未来と過去に境界はない。未来から見た現在は不安定である過去に当たるため、擬似的な過去改変事象により未来改変が発生する。
[…]
補遺終了
補遺001-JP/II 議事録記録.I
転写記録 001-JP.I
出席者:
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- ナルコフ・アビス - 倫理委員
前文: 本議論はオブジェクトの異常性の運用管理手段について行われた会議です。また、倫理的措置を踏まえた運用を行うために倫理委員であるナルコフ氏を交えています。また、可読性のため不必要な箇所を省略しています。
<アルバート研究顧問は資料を眺めている>
アルバート: なるほど。つまりこれは、どう足掻いても変えることの出来なかった、確立された未来を変える一筋の光になり得ると。そうだろ?エンダース管理官。
エンダース: はい。SCP-001-JPは — 私達が探し求めていたものです。ですが、それを差し引いても、この異常性はあまりにも特異なのです。異常性発生が肉体的・精神的苦痛を伴うものだとしても、一定以上の必要性があれば異常性を使用します。現に — 発見に至るまでがそうだったでしょう。
プレースホルダー: つまり、まずは異常性の抑制を行うことが必要になるということですね。ただ、どうやって異常性を制御させるのですか?苦痛を与える等の手段は倫理的に禁止されているし、因果隔絶や現実改変による抑制を行ったとしても、その環境下で未来改変を行ったときの影響は図りしれませんよ。
O5-8: 今回は、それを決めるために君たち — 担当チームの重鎮に集まってもらったんだ。特に、エンダース管理官 — 何か考えがあるのだろう?
エンダース: はい。皆様、こちらを見てください。
<エンダース管理官がモニタを指差す。モニタにはSCP-239の画像が映し出されている>
アルバート: これは — SCP-239か?これがどう関係するんだ?
エンダース: アルバート研究顧問。それを今から話させていただきます。
<アルバート研究顧問は頷く>
エンダース: まず、こちらのオブジェクト — SCP-239は皆さん知ってますよね。SCP-239の収容手順の中には、「現実改変は魔法であり、決められた魔法しか使えない」という暗示を掛けることによって現実改変を抑制させるという旨の記述がなされています。今回は、これを応用します。
プレースホルダー: エンダース管理官、詳しくお願いします。
エンダース: 分かりました。SCP-001-JPの改変は — 極めて危険です。鍛え抜かれた機動部隊でも敵わないでしょう。そんな異常性を抑制するために、「SCP-001-JPの異常性は、命の危機に瀕した時しか使えない」という暗示を掛けるのです。
アルバート: オーケイ。内容は分かった。だが — どうやって暗示を掛けるんだ?そこについても説明してくれ。
エンダース: 分かりました。まず、食事に秘密裏に多重ミーム催眠剤を混入させます。多重ミーム催眠剤を食事とともに摂取することによって、暗示の内容に強迫観念を付与することが出来るのです。
プレースホルダー: なるほど。
エンダース: そして、サブリミナル的に、SCP-001-JPに対して暗示内容を含むホワイトノイズを流します。ミーム催眠剤の効果で暗示に掛かりやすくなっているため、これによりSCP-001-JPは完全に暗示に掛かります。
O5-8: なるほど。教えてくれてありがとう。ナルコフ倫理委員 — これを倫理委員会では承認したのかについて聞かせてください。
ナルコフ倫理委員: はい。倫理委員会ではこれを30-15-12で承認しました。倫理的に問題無いと見做されています。
O5-8: ありがとう。アルバート研究顧問、プレースホルダー博士。二人とも異論ないかな?
アルバート: 異論無しだ。素晴らしい演説をありがとう、エンダース管理官。
プレースホルダー: 私も異論無しです。これが最も有効なSCP-001-JPの運用管理手段でしょう。
O5-8: では、SCP-001-JPについての運用管理手段について決定したものとする。
後文: 本議論の結果として、満場一致の可決を受けてプロジェクト・アンシーンが制定されました。プロジェクト・アンシーンについては補遺001/IIIを参照ください。
補遺終了
補遺001-JP/III プロジェクト・アンシーン
プロジェクト・アンシーン
未来はこの手の中に。
概要文: プロジェクト・アンシーンはSCP-001-JPの有する異常性 — 未来改変能力を制御し、有意に用いることを目的としたプロジェクトです。この目的は終焉事象の回避や確定された未来の改変を行うことに集束しています。SCP-001-JPの異常性は定期的な多重ミーム催眠剤の投与 — 経口摂取の他に、自動パッシブ記憶処理システムを応用したものを使用 — の後に"クレフ=コンドラキ式暗示手法"を用いた暗示を掛けることによって、"命の危機に瀕した時のみしか異常性を行使できない"と刷り込ませます。これにより、SCP-001-JPの異常性の制御・運用を行います。
SCP-001-JPを用いる未来改変の発生は、SCP-001-JPを終焉事象の根源となる存在へ暴露・接触させ、命の危機に直面させることで行います。この時のSCP-001-JPの思考は指向性ミームに一時的に暴露させることによって"対象存在の無力化"へと固定します。この結果として終焉事象の根源にあたる存在の無力化が行なわれ、事態は収束します。
SCP-001-JPの改変による現実不全を対処するため、"シャンク=アルバート因果律安定孔"が用いられます。"シャンク=アルバート因果律安定孔"は未来改変及び過去改変による因果律の乱れを抑制し、安定させることに特化した設備です。これを用いることで、因果律の乱れから発生する現実不全の影響を最小に抑えます。
プロジェクト・アンシーン主要メンバーは以下の通りです。
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
プロジェクト・アンシーンについてのお問い合わせは上記メンバーに行ってください。
プロジェクト担当者の覚書
私、ベッドロック・エンダースは当プロジェクトを非常に有意義なものであると判断している。何故なら、本来であったら避けようのない未来 — 鎖を喰いちぎる犬の暴走や避けようのない世界の終わりを回避することが出来る唯一の手段の掌握に至るからだ。どんなに倒れようと、いずれ世界は再起する。それも、人の手によって。
だが、慢心してはならないと心得よう。どんなに終焉を回避し、先送りしようと、世界はいつか避けようのない何かに直面するのだから。その時まで、私達は世界を守り続けようじゃないか。
ベッドロック・エンダース管理官
SCP-001-JP収容担当
補遺001-JP/IV 未来改変記録
抜粋開始 |
記録 001-JP.I
対象: SCP-173
ステータス: 2029/07/24にSCP-173は突如として個体数を指数関数的に増大させました。これにより、現在SCP-173を収容していたサイト-15の領域は、85%以上がSCP-173によって埋め尽くされているものと判断されています。また、サイト-15から収容違反したSCP-173の個体が数体確認されており、このままでは48時間後にNK-クラス"グレイ・グー"シナリオが発生するものとされています。
実施内容: SCP-001-JPに対して"SCP-173の個体数の減少及び無力化"という内容の思考誘導ミームを暴露させ、サイト-15に投入します。
結果: SCP-001-JPをサイト-15に投入してから凡そ5時間後にSCP-173の個体数の減少を確認しました。初の個体数減少から72時間後にSCP-173の個体数は1体となったことが確認されています。SCP-001-JPは収容スペシャリストチームによって再度保護されました。SCP-001-JPに対する各種検査の結果、SCP-001-JPに異常は確認されませんでした。また、その後行われたSCP-173の調査の結果、視線を逸らしても襲いかかることは確認されませんでした。これをうけ、SCP-173は無力化したと判断されました。
記録 001-JP.II
対象: SCP-1000
ステータス: 2029/12/31を境に、SCP-1000は喪失していた知性を再度獲得しました。これにより、SCP-1000文明の復興及び人類文明に対する宣戦布告が確認されています。SCP-1000は一貫して憎悪及び敵対性を有しており、一部地域では虐殺行為を行っていることが判断しています。仮に人類文明がSCP-1000との抗争に敗北した場合、SK-クラス"支配シフト"シナリオが発生すると推測されています。
実施内容: SCP-001-JPに対して"SCP-1000文明の壊滅及び人類・ヴェールプロトコルの復興"という内容の思考誘導ミームを暴露させ、SCP-1000コミュニティ内に投入します。
結果: SCP-001-JPのSCP-1000コミュニティ内への投入から24時間後、該当コミュニティ内での激甚な現実改変事象及び、SCP-1000にのみ感染する未知の病症が確認されました。駆けつけた機動部隊により、SCP-001-JPは保護されました。SCP-001-JPの投入された該当コミュニティではSCP-1000は低現実性に晒されていたためか、身体構造を留めていませんでした。また、病症の確認から148時間後にSCP-1000の根絶が確認されています。SCP-001-JPに対する各種検査の結果、SCP-001-JPの身体には複数箇所の損傷及び出血が確認されましたが、いずれも低レベル治療を施すことで問題無いと判断されました。
記録 001-JP/III
対象: SCP-280-JP
ステータス: 過去タイムラインにおけるSCP-280-JPの体積が膨張傾向にあります。SCP-280-JPの体積の膨張により、現在発見地点とその周囲の山間はSCP-280-JPに飲み込まれる形で消失しました。膨張速度は時間経過で早まっており、このままの速度を保ったとしても59時間後には日本国の消失を招くとされています。これに付随するCK-クラス"再構築"シナリオの影響は図りしれません。
実施内容: 廃棄物投下プロトコルに基づき、SCP-001-JPをSCP-280-JP内に投下する。投下時、SCP-001-JPには"SCP-280-JPの消失"という思考誘導ミームを暴露させます。
結果: 廃棄物投下プロトコルに基づき、SCP-280-JP内にSCP-001-JPを投下してから5時間後、SCP-280-JPは収縮を始めました。SCP-001-JPの回収が行われたその後もSCP-280-JPは収縮し続け、13時間後には完全な消失が確認されました。これにより、CK-クラス"再構築"シナリオは回避されたものと見做されます。SCP-001-JPへの各種検査の結果、乱れた因果律空間に留まり続けたことによる身体の損傷が確認されたため、必要最低限の治療のみ施されました。
記録 001-JP.IV
対象: SCP-2317
ステータス: SCP-2317は2035/09/13に活性化状態に移行しました。現在、SCP-2317の身柄はサイト-13に留め置かれているものの、予断を許さない状況です。これを受け、プロジェクト・アンシーン主要メンバー内での投票の結果、事態が発展する前に、SCP-001-JPを用いてSCP-2317を無力化することが決定しています。
実施内容: SCP-001-JPをサイト-13内部 — SCP-2317留置区画である空間異常を応用した収容区画へ投入します。
結果: SCP-001-JPのSCP-2317留置区画への投入から凡そ5時間に渡り、サイト-13付近での震度3程度の地震が発生しました。地震が終了した後に、駆けつけた機動部隊によってSCP-001-JPはサイト-13地下より保護されました。調査の結果、SCP-2317と思われる全長200kmの死体が内部に存在していたことが確認されています。これをうけ、SCP-001-JPによってSCP-2317は無力化したものと判断されました。損傷は確認されましたが、問題ないと判断されました。
抜粋終了 |
記録終了
補遺001-JP/V 対話記録
転写記録 001-JP.II
話者:
- アルバート研究顧問
- SCP-001-JP (本名: チャールズ・ジョンソン)
前文: 本記録は、SCP-001-JPの心理評価の結果、重度の抑うつ状態等を患っていること、本人の疲労や抵抗からプロジェクト・アンシーン実行が困難になっているとしてSCP-001-JPの脳、意識体、因果律を抽出することで財団による効率的な運用管理を行うことを目的として行われました。
<アルバート研究顧問が入室する。SCP-001-JPの表情は曇っている>
アルバート: SCP-001-JP — チャールズ・ジョンソンさん。気分はどうでしょうか。
SCP-001-JP: やあ — 先生。気分は — クソみたいな気分だ。また化け物の居るところに押し込まれるのか?それは — ゴメンだ。もうあんな思いはしたくなくてね。
アルバート: いえ、本日は貴方の言う化け物 — アノマリーの元へ投入するのではなく、貴方の心理状態を鑑みてある提案をするために来ました。
SCP-001-JP: その、提案とは?
アルバート: 率直に言いますと、貴方の意識、脳、そして — 因果律を抽出して、機械の中に押し込めます。これで貴方は長らく受けていた苦痛から解放されるのです。どうですか?悪い話ではないでしょう?
SCP-001-JP: あー……<沈黙>確かに悪い話ではないが、自我はどうなる?自我があるままじゃ俺はいつまで経っても死ぬことが出来ない苦痛を味わうことになるからな。それに — これは非人道的だ。組織はこれを良しとしたのか?尤も、俺はこの組織について何も知らない訳だが。
アルバート: 勿論、意識体抽出時に自我は自然と消失します。安心してください。悪いようにはしないと誓いますから。それに — これは上層部も認めています。何せ、辛い思いをしている方をこのまま私達の都合のいいように使い続けるつもりはないですからね。
SCP-001-JP: 随分と人の事を物みたいに言うんだな。
アルバート: そういう訳では — 貴方には人権もありますし。
SCP-001-JP: なるほど、そうかい。まあ、それは置いといて、俺は — 自分のエゴで故郷を、罪の無い人を殺した。家族も、少なかった友人も失ってしまったんだ。そこから、先生達に保護されて、死ぬ思いを何度もした。変な彫刻やデカい猿みたいな奴ら、巨大な鱗の付いた怪物に殺されかけたし、ブラックホールみたいなのにも入れられた。
アルバート: <沈黙>その件に至っては、申し訳ないです。世界を救うには、そうするしかありませんでした。断腸の思いで貴方を殺されかけるような所に閉じ込めていました。
SCP-001-JP: 謝らないでくれ。先生達はやるべき事をしたんだろ?意味無く人を殺すような組織には思えないしさ。 — 話に戻るが、そのたびに、俺は苦痛を味わった。四肢が切り落とされ、身体が千切れ、首が裂ける痛み、感覚。だが、俺はこれを — 無辜なる人々を巻き込んだ償いだと思っていた。
SCP-001-JP: でも、違った。いつまで経っても、この感覚が終わることは無いんだろう。そう思うとさ、何だか何もかもどうでも良くなってきて。今はただ、先生達が悪い奴らにしか見えないんだよ。<乾いた笑い>
SCP-001-JP: だからよ。先生。それで俺が楽になれるなら、俺はその — 脳味噌をぶっこ抜いたりすることだって厭わないさ。もう、何もかもに疲れちまった。償いとかどうでもいいから、早く楽になりたいんだ。
アルバート: 分かりました。<書類を取り出す>では、こちらにサインをお願いします。同意書です。
SCP-001-JP: ああ。分かった。<SCP-001-JPが書類にサインする>
アルバート: ありがとうございます。これで — 楽になれますよ。
後文: 本記録から、SCP-001-JPの機械化についての同意を得られたと判断されました。これを受け、SCP-001-JP機械化プロジェクトである"プロジェクト・シーン"が可決されました。プロジェクト・シーンについては補遺 001-JP/VIを参照ください。
補遺終了
補遺 001-JP/VI プロジェクト・シーン
プロジェクト・シーン
未来を掌握する。
概要文: プロジェクト・シーンはSCP-001-JPの機械化を行い、未来改変を人工的且つ意図的に発生させることを目的としたプロジェクトです。プロジェクトに際して、SCP-001-JPより同意は得ており、統治部門も承諾済です。
機械化の詳細として、SCP-001-JPの脳、意識体、因果律を抽出し、スクラントン・ボックスと同様の構造を有する機器の内部にインプットします。脳には電極が埋め込まれ、脳内に存在する意識体、因果律を活性化させることで指向性を持った未来改変を意図的に発生させます。また、因果律改変の影響を最小限に抑えるため、"シャンク=アルバート因果律改変孔"が配置されます。
SCP-001-JPの使用目的は"終焉事象の回避"、"固定された未来の改変"、"低忠誠度の人物に対する処刑行為"です。低忠誠度の人物に対する処刑行為では、該当人物に対して未来改変を行使し、意図的に擬似的な過去改変を発生させることで存在の抹消を行います。また、これには不要と判断されたアノマリーの抹消も含まれています。
プロジェクト・シーンの主要スタッフは以下の通りです。
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
プロジェクト・シーンについての問い合わせは上記スタッフにお願いします。
プロジェクト担当者の覚書
SCP-001-JPの機械化は、財団にとって多くの利益を齎しました。ヒトだった頃のSCP-001-JPの異常性の制御は困難でしたが、現在の — 機械となったSCP-001-JPには自我が存在していないため、制御は容易です。また、ある程度柔軟な扱いが出来るようになったため、汎用性も増したと言えるでしょう。
ですが、油断してはいけません。足元を下賤な反逆者によって掬われないよう、私達は気をつけないといけないのです。迫りくる終焉を未然に防がないといけないのです。
ですが、未来を掌握することは今となっては容易でしょう。
プレースホルダー・マクドクトラート博士
プロジェクト担当スタッフ
補遺終了
ファイルが更新されました。 |
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当ファイルは監督評議会の意向により、5/001-JP機密指定されています。
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File 1/2 |
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特別収容プロトコル: SCP-001-JPはサイト-19の高度機密存在収容区画内に収容されます。収容区画内には機動部隊ν-01("未来地図")が配置されます。収容区画内部にはスクラントン現実錨(SRA)及びシャンク=アナストサコス因果隔絶溝(XACTS)等の改変抑制機器や各種計測器が設置されます。これらの装置は定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスにて異常が確認された場合、機材の交換を行ってください。計測器が異常なデータを記録した場合、SCP-001-JPを最寄りの除外サイトへ移送し、担当班が異常を除去します。異常の完全な除去が確認され次第、SCP-001-JPを元の収容区画へと戻します。
追記: SCP-001-JPを運用したK-クラスシナリオ回避プロジェクトである"プロジェクト・アンシーン"は稼働中です。"プロジェクト・アンシーン"の運用管理については補遺001-JP/IIIを参照ください。
説明: SCP-001-JPは異常性を有する1人の男性であるチャールズ・ジョンソン氏(29)です。SCP-001-JPは後述する異常性を除き、通常の同年代のヒト男性との差異は確認されていません。
SCP-001-JPの異常性は、不確定である先の時間軸 — 未来とそこに至るまでの過程を確立させるものです。これは"未来改変"と呼ばれています。この異常性質から、SCP-001-JPによって確定された事象に反するアクションは如何なる存在によっても不可能であるとされています。SCP-001-JPは異常性を意図的に発生させることが可能です。しかしながら、異常性発生に伴い、SCP-001-JPには強度の精神的・肉体的な苦痛が発生していることがカウンセリングより判明しています。このため、SCP-001-JPが異常性を行使することは例外 — 命の危機に瀕する場合などを除き確認されていません。SCP-001-JPが異常性を行使することによって、SCP-001-JPの意図した未来へと改変を行うことが可能です。例として — 銃殺される未来を改変する場合、"銃弾が詰まることにより射出不可能になる"等の障害に当たる出来事を避ける傾向にあります。
起源: SCP-001-JPは2025年にアメリカ東部で発生した中程度の現実改変事象に巻き込まれた際に生存者として保護されました。当時の特筆すべき点として、SCP-001-JPには一切の現実性・肉体の損傷が確認されなかったことが挙げられます。これに違和感を覚えたアルバート・ジンデル研究顧問が行った実験により異常性が判明しています。実験後に行われたインタビューでは、「現実改変は自らのせいで発生した」、「異常性は昔から有していた」、「異常性によっていじめられていた」等の旨の証言が得られています。
当時の現実改変が発生する以前の状況として、高校時代にいじめを行ってきた加害者に当たる人物に金銭問題の件で呼び出されていることが明らかになっています。これについてSCP-001-JPに対してインタビューを行ったところ、「呼び出されても行かなくて済むように改変した」という旨の証言が得られています。
これにより、SCP-001-JPによって引き起こされる改変事象はある程度の指向性を有していることが確認されています。
補遺001-JP/I 未来改変について
未来改変についての論文より抜粋
[…]
財団はこれまで、未来改変なる異常性を有するアノマリーを一切発見していない。しかしながら、未来改変という特性は存在していることが判明している。では何故、そういった特性 — 未来改変が存在していることが明らかになったのだろうか。
未来改変という特性の発見には、未来予知オブジェクトの存在が大きく関与している。未来予知オブジェクトは、未来という流動的で不確定且つ不安定な、先の時間軸の結果 — 即ち特定の時間帯の全てのアクションを固定し、可視化するのである。可視化されたビジョンはあらゆる手段を用いても書き換えることは出来ない。これは財団によって行われた複数回の実験の結果より明らかになっている。
だが、未来予知によって固定化されたはずのアクションに反する出来事が発生したのである。この出来事は、研究員が転倒する、というものであったが、間違いなく確定した未来を改変したのだ。この改変事象がどのオブジェクトによって引き起こされたのかは定かでは無い。だが、この結果により、未来改変という異常性を有するオブジェクトの存在が示唆されることになった。
[…]
未来改変の存在が示唆されてから、財団内部ではそれについての調査が頻繁に行われることとなった。データベース上に存在している前例の記録のような、未来確定による不可避な終焉事象の回避手段となり得るからである。
この調査により、未来改変についての多くの情報が明らかとなった。
第一に、未来改変とは因果律の操作によって未来を確定させるものである。未来予知により改変前に未来が確定されていた場合、その確定された未来は無効化される。具体的には、改変する先の未来になるよう、該当する瞬間までの諸々を変化させる必要があるので、バタフライ効果的に大量の改変が同時になされることになる。この時発生する大量の改変により、確定していた未来が揺らぐのである。これの原理は後述する。
第二に、未来を確定させるということで必然的に素粒子レベルな量子的な非確定性が失われてしまい、場合によっては予想外の激甚的な事故が起こりかねない。しかしながら、意図した範囲のみを機械的に改変することは未だ困難であるため、未来改変オブジェクトを用いて改変を行うことが有意義且つ理論的であるとされている。そのため、未来改変オブジェクトの捜索は財団にとっての優先事項の一つとなっているのである。
第三に、異常科学的側面から見ると、四次元以上の空間 — それもマルチバース全てを包括した視点から観察すると、時間とはただの「エントロピーの変化」に過ぎないのである。未来と過去は不可逆なものではなく、区別はない。時間軸の増殖も、宇宙規模のエントロピーの増殖だと言える。この場合、未来改変は自分の存在を一つの未来の時間軸に固定するが、未来改変は結果のみを確定させる。しかし、未来も過去も可逆的であるゆえに、これは必ずしもそれを辿る道筋を確定するものではなく、更には改変も予知も過去を確定するものではない。改変の場合、現在が確定しているがゆえに可逆的な改変は発生しないが、依然として過去は不安定である。これにより、未来からして不安定である過去に当たる現在の行動が書き換えられるため、擬似的な過去改変事象により確定された未来の出来事が変化するのである。
要約すると、以下の通りになる。
- 未来改変はバタフライ効果的に大量の改変がなされる事により発生する。
- 未来改変は現実不全に起因する事故を起こしかねない。
- 未来と過去に境界はない。未来から見た現在は不安定である過去に当たるため、擬似的な過去改変事象により未来改変が発生する。
[…]
補遺終了
補遺001-JP/II 議事録記録.I
転写記録 001-JP.I
出席者:
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- ナルコフ・アビス - 倫理委員
前文: 本議論はオブジェクトの異常性の運用管理手段について行われた会議です。また、倫理的措置を踏まえた運用を行うために倫理委員であるナルコフ氏を交えています。また、可読性のため不必要な箇所を省略しています。
<アルバート研究顧問は資料を眺めている>
アルバート: なるほど。つまりこれは、どう足掻いても変えることの出来なかった、確立された未来を変える一筋の光になり得ると。そうだろ?エンダース管理官。
エンダース: はい。SCP-001-JPは — 私達が探し求めていたものです。ですが、それを差し引いても、この異常性はあまりにも特異なのです。異常性発生が肉体的・精神的苦痛を伴うものだとしても、一定以上の必要性があれば異常性を使用します。現に — 発見に至るまでがそうだったでしょう。
プレースホルダー: つまり、まずは異常性の抑制を行うことが必要になるということですね。ただ、どうやって異常性を制御させるのですか?苦痛を与える等の手段は倫理的に禁止されているし、因果隔絶や現実改変による抑制を行ったとしても、その環境下で未来改変を行ったときの影響は図りしれませんよ。
O5-8: 今回は、それを決めるために君たち — 担当チームの重鎮に集まってもらったんだ。特に、エンダース管理官 — 何か考えがあるのだろう?
エンダース: はい。皆様、こちらを見てください。
<エンダース管理官がモニタを指差す。モニタにはSCP-239の画像が映し出されている>
アルバート: これは — SCP-239か?これがどう関係するんだ?
エンダース: アルバート研究顧問。それを今から話させていただきます。
<アルバート研究顧問は頷く>
エンダース: まず、こちらのオブジェクト — SCP-239は皆さん知ってますよね。SCP-239の収容手順の中には、「現実改変は魔法であり、決められた魔法しか使えない」という暗示を掛けることによって現実改変を抑制させるという旨の記述がなされています。今回は、これを応用します。
プレースホルダー: エンダース管理官、詳しくお願いします。
エンダース: 分かりました。SCP-001-JPの改変は — 極めて危険です。鍛え抜かれた機動部隊でも敵わないでしょう。そんな異常性を抑制するために、「SCP-001-JPの異常性は、命の危機に瀕した時しか使えない」という暗示を掛けるのです。
アルバート: オーケイ。内容は分かった。だが — どうやって暗示を掛けるんだ?そこについても説明してくれ。
エンダース: 分かりました。まず、食事に秘密裏に多重ミーム催眠剤を混入させます。多重ミーム催眠剤を食事とともに摂取することによって、暗示の内容に強迫観念を付与することが出来るのです。
プレースホルダー: なるほど。
エンダース: そして、サブリミナル的に、SCP-001-JPに対して暗示内容を含むホワイトノイズを流します。ミーム催眠剤の効果で暗示に掛かりやすくなっているため、これによりSCP-001-JPは完全に暗示に掛かります。
O5-8: なるほど。教えてくれてありがとう。ナルコフ倫理委員 — これを倫理委員会では承認したのかについて聞かせてください。
ナルコフ倫理委員: はい。倫理委員会ではこれを30-15-12で承認しました。倫理的に問題無いと見做されています。
O5-8: ありがとう。アルバート研究顧問、プレースホルダー博士。二人とも異論ないかな?
アルバート: 異論無しだ。素晴らしい演説をありがとう、エンダース管理官。
プレースホルダー: 私も異論無しです。これが最も有効なSCP-001-JPの運用管理手段でしょう。
O5-8: では、SCP-001-JPについての運用管理手段について決定したものとする。
後文: 本議論の結果として、満場一致の可決を受けてプロジェクト・アンシーンが制定されました。プロジェクト・アンシーンについては補遺001/IIIを参照ください。
補遺終了
補遺001-JP/III プロジェクト・アンシーン
プロジェクト・アンシーン
未来はこの手の中に。
概要文: プロジェクト・アンシーンはSCP-001-JPの有する異常性 — 未来改変能力を制御し、有意に用いることを目的としたプロジェクトです。この目的は終焉事象の回避や確定された未来の改変を行うことに集束しています。SCP-001-JPの異常性は定期的な多重ミーム催眠剤の投与 — 経口摂取の他に、自動パッシブ記憶処理システムを応用したものを使用 — の後に"クレフ=コンドラキ式暗示手法"を用いた暗示を掛けることによって、"命の危機に瀕した時のみしか異常性を行使できない"と刷り込ませます。これにより、SCP-001-JPの異常性の制御・運用を行います。
SCP-001-JPを用いる未来改変の発生は、SCP-001-JPを終焉事象の根源となる存在へ暴露・接触させ、命の危機に直面させることで行います。この時のSCP-001-JPの思考は指向性ミームに一時的に暴露させることによって"対象存在の無力化"へと固定します。この結果として終焉事象の根源にあたる存在の無力化が行なわれ、事態は収束します。
SCP-001-JPの改変による現実不全を対処するため、"シャンク=アルバート因果律安定孔"が用いられます。"シャンク=アルバート因果律安定孔"は未来改変及び過去改変による因果律の乱れを抑制し、安定させることに特化した設備です。これを用いることで、因果律の乱れから発生する現実不全の影響を最小に抑えます。
プロジェクト・アンシーン主要メンバーは以下の通りです。
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
プロジェクト・アンシーンについてのお問い合わせは上記メンバーに行ってください。
プロジェクト担当者の覚書
私、ベッドロック・エンダースは当プロジェクトを非常に有意義なものであると判断している。何故なら、本来であったら避けようのない未来 — 鎖を喰いちぎる犬の暴走や避けようのない世界の終わりを回避することが出来る唯一の手段の掌握に至るからだ。どんなに倒れようと、いずれ世界は再起する。それも、人の手によって。
だが、慢心してはならないと心得よう。どんなに終焉を回避し、先送りしようと、世界はいつか避けようのない何かに直面するのだから。その時まで、私達は世界を守り続けようじゃないか。
ベッドロック・エンダース管理官
SCP-001-JP収容担当
補遺001-JP/IV 未来改変記録
抜粋開始 |
記録 001-JP.I
対象: SCP-173
ステータス: 2029/07/24にSCP-173は突如として個体数を指数関数的に増大させました。これにより、現在SCP-173を収容していたサイト-15の領域は、85%以上がSCP-173によって埋め尽くされているものと判断されています。また、サイト-15から収容違反したSCP-173の個体が数体確認されており、このままでは48時間後にNK-クラス"グレイ・グー"シナリオが発生するものとされています。
実施内容: SCP-001-JPに対して"SCP-173の個体数の減少及び無力化"という内容の思考誘導ミームを暴露させ、サイト-15に投入します。
結果: SCP-001-JPをサイト-15に投入してから凡そ5時間後にSCP-173の個体数の減少を確認しました。初の個体数減少から72時間後にSCP-173の個体数は1体となったことが確認されています。SCP-001-JPは収容スペシャリストチームによって再度保護されました。SCP-001-JPに対する各種検査の結果、SCP-001-JPに異常は確認されませんでした。また、その後行われたSCP-173の調査の結果、視線を逸らしても襲いかかることは確認されませんでした。これをうけ、SCP-173は無力化したと判断されました。
記録 001-JP.II
対象: SCP-1000
ステータス: 2029/12/31を境に、SCP-1000は喪失していた知性を再度獲得しました。これにより、SCP-1000文明の復興及び人類文明に対する宣戦布告が確認されています。SCP-1000は一貫して憎悪及び敵対性を有しており、一部地域では虐殺行為を行っていることが判断しています。仮に人類文明がSCP-1000との抗争に敗北した場合、SK-クラス"支配シフト"シナリオが発生すると推測されています。
実施内容: SCP-001-JPに対して"SCP-1000文明の壊滅及び人類・ヴェールプロトコルの復興"という内容の思考誘導ミームを暴露させ、SCP-1000コミュニティ内に投入します。
結果: SCP-001-JPのSCP-1000コミュニティ内への投入から24時間後、該当コミュニティ内での激甚な現実改変事象及び、SCP-1000にのみ感染する未知の病症が確認されました。駆けつけた機動部隊により、SCP-001-JPは保護されました。SCP-001-JPの投入された該当コミュニティではSCP-1000は低現実性に晒されていたためか、身体構造を留めていませんでした。また、病症の確認から148時間後にSCP-1000の根絶が確認されています。SCP-001-JPに対する各種検査の結果、SCP-001-JPの身体には複数箇所の損傷及び出血が確認されましたが、いずれも低レベル治療を施すことで問題無いと判断されました。
記録 001-JP/III
対象: SCP-280-JP
ステータス: 過去タイムラインにおけるSCP-280-JPの体積が膨張傾向にあります。SCP-280-JPの体積の膨張により、現在発見地点とその周囲の山間はSCP-280-JPに飲み込まれる形で消失しました。膨張速度は時間経過で早まっており、このままの速度を保ったとしても59時間後には日本国の消失を招くとされています。これに付随するCK-クラス"再構築"シナリオの影響は図りしれません。
実施内容: 廃棄物投下プロトコルに基づき、SCP-001-JPをSCP-280-JP内に投下する。投下時、SCP-001-JPには"SCP-280-JPの消失"という思考誘導ミームを暴露させます。
結果: 廃棄物投下プロトコルに基づき、SCP-280-JP内にSCP-001-JPを投下してから5時間後、SCP-280-JPは収縮を始めました。SCP-001-JPの回収が行われたその後もSCP-280-JPは収縮し続け、13時間後には完全な消失が確認されました。これにより、CK-クラス"再構築"シナリオは回避されたものと見做されます。SCP-001-JPへの各種検査の結果、乱れた因果律空間に留まり続けたことによる身体の損傷が確認されたため、必要最低限の治療のみ施されました。
記録 001-JP.IV
対象: SCP-2317
ステータス: SCP-2317は2035/09/13に活性化状態に移行しました。現在、SCP-2317の身柄はサイト-13に留め置かれているものの、予断を許さない状況です。これを受け、プロジェクト・アンシーン主要メンバー内での投票の結果、事態が発展する前に、SCP-001-JPを用いてSCP-2317を無力化することが決定しています。
実施内容: SCP-001-JPをサイト-13内部 — SCP-2317留置区画である空間異常を応用した収容区画へ投入します。
結果: SCP-001-JPのSCP-2317留置区画への投入から凡そ5時間に渡り、サイト-13付近での震度3程度の地震が発生しました。地震が終了した後に、駆けつけた機動部隊によってSCP-001-JPはサイト-13地下より保護されました。調査の結果、SCP-2317と思われる全長200kmの死体が内部に存在していたことが確認されています。これをうけ、SCP-001-JPによってSCP-2317は無力化したものと判断されました。損傷は確認されましたが、問題ないと判断されました。
抜粋終了 |
記録終了
補遺001-JP/V 対話記録
転写記録 001-JP.II
話者:
- アルバート研究顧問
- SCP-001-JP (本名: チャールズ・ジョンソン)
前文: 本記録は、SCP-001-JPの心理評価の結果、重度の抑うつ状態等を患っていること、本人の疲労や抵抗からプロジェクト・アンシーン実行が困難になっているとしてSCP-001-JPの脳、意識体、因果律を抽出することで財団による効率的な運用管理を行うことを目的として行われました。
<アルバート研究顧問が入室する。SCP-001-JPの表情は曇っている>
アルバート: SCP-001-JP — チャールズ・ジョンソンさん。気分はどうでしょうか。
SCP-001-JP: やあ — 先生。気分は — クソみたいな気分だ。また化け物の居るところに押し込まれるのか?それは — ゴメンだ。もうあんな思いはしたくなくてね。
アルバート: いえ、本日は貴方の言う化け物 — アノマリーの元へ投入するのではなく、貴方の心理状態を鑑みてある提案をするために来ました。
SCP-001-JP: その、提案とは?
アルバート: 率直に言いますと、貴方の意識、脳、そして — 因果律を抽出して、機械の中に押し込めます。これで貴方は長らく受けていた苦痛から解放されるのです。どうですか?悪い話ではないでしょう?
SCP-001-JP: あー……<沈黙>確かに悪い話ではないが、自我はどうなる?自我があるままじゃ俺はいつまで経っても死ぬことが出来ない苦痛を味わうことになるからな。それに — これは非人道的だ。組織はこれを良しとしたのか?尤も、俺はこの組織について何も知らない訳だが。
アルバート: 勿論、意識体抽出時に自我は自然と消失します。安心してください。悪いようにはしないと誓いますから。それに — これは上層部も認めています。何せ、辛い思いをしている方をこのまま私達の都合のいいように使い続けるつもりはないですからね。
SCP-001-JP: 随分と人の事を物みたいに言うんだな。
アルバート: そういう訳では — 貴方には人権もありますし。
SCP-001-JP: なるほど、そうかい。まあ、それは置いといて、俺は — 自分のエゴで故郷を、罪の無い人を殺した。家族も、少なかった友人も失ってしまったんだ。そこから、先生達に保護されて、死ぬ思いを何度もした。変な彫刻やデカい猿みたいな奴ら、巨大な鱗の付いた怪物に殺されかけたし、ブラックホールみたいなのにも入れられた。
アルバート: <沈黙>その件に至っては、申し訳ないです。世界を救うには、そうするしかありませんでした。断腸の思いで貴方を殺されかけるような所に閉じ込めていました。
SCP-001-JP: 謝らないでくれ。先生達はやるべき事をしたんだろ?意味無く人を殺すような組織には思えないしさ。 — 話に戻るが、そのたびに、俺は苦痛を味わった。四肢が切り落とされ、身体が千切れ、首が裂ける痛み、感覚。だが、俺はこれを — 無辜なる人々を巻き込んだ償いだと思っていた。
SCP-001-JP: でも、違った。いつまで経っても、この感覚が終わることは無いんだろう。そう思うとさ、何だか何もかもどうでも良くなってきて。今はただ、先生達が悪い奴らにしか見えないんだよ。<乾いた笑い>
SCP-001-JP: だからよ。先生。それで俺が楽になれるなら、俺はその — 脳味噌をぶっこ抜いたりすることだって厭わないさ。もう、何もかもに疲れちまった。償いとかどうでもいいから、早く楽になりたいんだ。
アルバート: 分かりました。<書類を取り出す>では、こちらにサインをお願いします。同意書です。
SCP-001-JP: ああ。分かった。<SCP-001-JPが書類にサインする>
アルバート: ありがとうございます。これで — 楽になれますよ。
後文: 本記録から、SCP-001-JPの機械化についての同意を得られたと判断されました。これを受け、SCP-001-JP機械化プロジェクトである"プロジェクト・シーン"が可決されました。プロジェクト・シーンについては補遺 001-JP/VIを参照ください。
補遺終了
補遺 001-JP/VI プロジェクト・シーン
プロジェクト・シーン
未来を掌握する。
概要文: プロジェクト・シーンはSCP-001-JPの機械化を行い、未来改変を人工的且つ意図的に発生させることを目的としたプロジェクトです。プロジェクトに際して、SCP-001-JPより同意は得ており、統治部門も承諾済です。
機械化の詳細として、SCP-001-JPの脳、意識体、因果律を抽出し、スクラントン・ボックスと同様の構造を有する機器の内部にインプットします。脳には電極が埋め込まれ、脳内に存在する意識体、因果律を活性化させることで指向性を持った未来改変を意図的に発生させます。また、因果律改変の影響を最小限に抑えるため、"シャンク=アルバート因果律改変孔"が配置されます。
SCP-001-JPの使用目的は"終焉事象の回避"、"固定された未来の改変"、"低忠誠度の人物に対する処刑行為"です。低忠誠度の人物に対する処刑行為では、該当人物に対して未来改変を行使し、意図的に擬似的な過去改変を発生させることで存在の抹消を行います。また、これには不要と判断されたアノマリーの抹消も含まれています。
プロジェクト・シーンの主要スタッフは以下の通りです。
- ベッドロック・エンダース - サイト-17管理官
- アルバート・ジンデル - 未来改変部門長、研究顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート - 概念物理学部門、博士
- O5-8 - 監督評議会、プロジェクト助言者
プロジェクト・シーンについての問い合わせは上記スタッフにお願いします。
プロジェクト担当者の覚書
SCP-001-JPの機械化は、財団にとって多くの利益を齎しました。ヒトだった頃のSCP-001-JPの異常性の制御は困難でしたが、現在の — 機械となったSCP-001-JPには自我が存在していないため、制御は容易です。また、ある程度柔軟な扱いが出来るようになったため、汎用性も増したと言えるでしょう。
ですが、油断してはいけません。足元を下賤な反逆者によって掬われないよう、私達は気をつけないといけないのです。迫りくる終焉を未然に防がないといけないのです。
ですが、未来を掌握することは今となっては容易でしょう。
プレースホルダー・マクドクトラート博士
プロジェクト担当スタッフ
補遺終了
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ファイルが展開されました。 |
File 2/2 |
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特殊定義/Retek: オブジェクトは財団による有効的な運用の他に、人類の統治の為に用いられます。
特別収容プロトコル: SCP-001-JPはサイト-19の秘匿収容区画内に収容されます。秘匿収容区画内には各種計測機器及びスクラントン現実錨(SRA)及び、シャンク=アナストサコス恒常時間溝(XACTS)が配置されます。SCP-001-JPの存在する区画内には警備部隊として機動部隊ν-15("観測者")が配置されます。
SCP-001-JPは常に監視されている必要があります。SCP-001-JP収容区画には計4台のカメラ付きドローンによる巡回等の機械警備が行われます。これらの機械は定期的に検査され、異常が確認された場合は新規機械を導入することが定められています。監視下にあるSCP-001-JPが予期せぬ挙動を起こした場合、特別退避プロトコルに従い秘匿収容区画からの撤退及び封鎖隔離が行われます。隔離中の秘匿収容区画は因果隔絶橋による隔絶状態に置かれ、被害が外部に漏れないようにします。
説明: SCP-001-JPはプロジェクト・シーンの成果物である財団製の有数の固有兵器です。SCP-001-JPの異常性は未来とそこに至るまでの道筋をバタフライ効果的に改変すること — 未来改変論に基づく未来改変です。また、未来改変による影響として、擬似的な過去改変を生じさせることが構造上可能です。
SCP-001-JPを構成するメイン要素として以下のものが挙げられます。
- チャールズ・ジョンソンの脳。
- チャールズ・ジョンソンの意識体。
- チャールズ・ジョンソンが有していた因果律。
これらの要素は"エンダース=プレースホルダー式抽出機構"により抽出されています。また、意識体理論 — 簡潔な詳細として、意識体は決まった実体に宿ることで自我を獲得するが、該当実体の外部に抽出した時、自我は恒久的に喪失する — に基づき、SCP-001-JPには自我が存在していません。
プロジェクト・シーン以前の報告書内容は現行の財団のものとは異なる理念を掲げているものであると推測されています。これを受け、SCP-001-JPは機械化前に何らかの改変 — もしくは副次的な現実不全を発生させたと推測されています。
現在有力な説としては、SCP-001-JPが財団を"非人道的な"組織と思い込み、改変を行ったことにより現行の財団となった、との説が挙がっています。この説は有力でありながら、現行財団に対する批判内容を含むと判断されたため、立説者はSCP-001-JPによって概念ごと恒久的に抹消されています。
補遺 001-JP/VII 処刑数の増加
2037年現在、SCP-001-JP等の処刑用機器によって処刑される人物が増加傾向にあります。処刑される人物は一貫して"かつての財団とは違う"と述べていることが挙げられます。2037/09/19現在の処刑者数は世界中の合計数で1000人を超えています。これは史上最多数であり、上層部は何らかの異常存在の関与 — 時系列や複数の状況的証拠からSCP-001-JPの関与を示唆するものとであると判断しています。
また、プロジェクト・シーン主要メンバーであるアルバート研究顧問の著しい財団に対する忠誠度の低下が確認されています。プロジェクト・シーンからの除名を行うべきという意見も出ていますが、"シャンク=アルバート因果律改変孔"についての仕組み及びメンテナンス手段を知っている唯一の人物であり、プロジェクトからの除名は忠誠度の低下以上のデメリットをもたらすとして除名処分は行われていません。
SCP-001-JPの運用が柔軟性を帯びた — ある程度の指向性の強化が確認されたことから、終焉事象の回避が容易になったことは特筆すべき点です。SCP-001-JPは現在、財団の中核を担うアイテムとして機能しています。
補遺終了
補遺 001-JP/VIII 議事録記録.II
転写記録 001-JP.III
話者:
- エンダース管理官
- アルバート研究顧問
- プレースホルダー博士
- O5-8
前文: 本議論はアルバート研究顧問によって緊急招集されました。そのため、エンダース管理官とO5-8はリモートでの参加となっています。
<アルバート研究顧問は苛立った表情をしている>
アルバート: だから、私は最近 — 特にSCP-001-JPを作り始めてからの財団の在り方がおかしいと言っているんだ!
プレースホルダー: 待ってください、アルバート研究顧問。では — どの辺りが主におかしいと思っているのですか?
アルバート: <あざけて>そんなことも分からないのか。やはり — 君達は毒されている。頭の治療でもしたらどうだ?
エンダース: <あきれて>毒されているのは貴方でしょう — アルバート研究顧問。明らかな忠誠度の低下に、業務態度の悪化。SCP-001-JPの収容前も、収容後も、開発後も私達は変わっていない。ごく少数の — それも哀れな者達が毒されているのです。
アルバート: じゃあ、私もその哀れな者、ってわけだな。<自嘲的な笑い>私にはお似合いだろうな。そうだろ?プレースホルダー博士。
<プレースホルダー博士は沈黙している>
O5-8: アルバート研究顧問、どのように変わったのか手短に教えて下さい。私は下位の職員と違って忙しいんです。
アルバート研究顧問: 言ってやるよ。今の財団は、冷徹で — 残酷だ。
プレースホルダー: それがどうにかしましたか?冷徹で残酷なのは昔からでしょう?
エンダース: プレースホルダー博士の言う通りです。やはり君は毒されている。もう一度忠誠心植え付けを行ったらどうですか?
アルバート: やっぱりお前等はどうにかしている — 私が知りうる限りの財団は、オブジェクトの終了やヒト — 職員だけに留まらず、一般人の監視や処刑は行っていなかった。オブジェクトを確保し、収容するのが財団ではないのか?人類を保護するのが財団の役目ではないのか?
エンダース: 不要なものは処分する — それは当たり前のことでしょう。財団と言えど、リソースは無限じゃないんです。限りあるリソースを如何に上手く使うか、そこが大事なんです。そんな中、不要なオブジェクトや者達に構っていられますか?
プレースホルダー: エンダース管理官の言う通りだ。不要な者は淘汰され、消えゆく。それを貴方も幾度となく見てきたでしょう。SCP-001-JPによって存在ごと消されてきた者達を。オブジェクトは私達財団が優位に立つために存在しているのですから。
アルバート: ああ、そうかい。じゃあ、私も不要な — 使えない駒として処刑するのか?アノマリーに毒された哀れな存在として抹消するのか?!
O5-8: 誰もそうとは言っていないだろう。アルバート研究顧問、君は私達の大事な仲間だ。
アルバート: だが —
エンダース: <遮る>取り敢えず、アルバート研究顧問は落ち着いてください。ヒートアップしすぎています。一旦クールダウンして、考えを改めることをおすすめします。
アルバート: <沈黙>分かったよ。
<以降、発言は確認されていない。>
後文: 本議論の後に行われた秘匿投票によって、アルバート研究顧問の監視を強めることが可決されました。
補遺終了
補遺 001-JP/IX 連絡記録
2037/11/17から2037/12/11までの間にアルバート研究顧問が秘匿回線を通じて財団内部の忠誠度が低い人物に対してコンタクトを取っていたことが後々の調査により判明しました。秘匿回線を通していたため、解析に多大な時間を要しましたが、2038/01/15時点で全ての記録の解析に成功しています。
連絡を取る以前、アルバート研究顧問は複数回に渡り"オブジェクト運用に関わる倫理的提案"等の提案を行っていました。提案は、"財団の意向に反する"として、全てプロジェクトチームメンバーの全会一致で否決されています。
以下は、特に重要度が高いと判断された記録の抜粋です。
To: 財団スタッフ — 低忠誠度スタッフ
From: アルバート・ジンデル未来改変部門長/研究顧問
Subject: N/A
今の財団は邪悪によって支配されている。非人道的な実験、不要と見做されたオブジェクトの終了に、一般人を含む人々の処刑。これらは、かつての財団では行われていなかったことだ。おそらく、これはSCP-001-JP — 生前のチャールズ・ジョンソンが改変を実行する度に積み重なった現実不全により、少しずつ理念や思想かズレたことの影響ではないかと考えている。一度確約された未来は — 未来改変でないと上書きできない。そこで私は、サイト-19に存在するSCP-001-JPを起動し、元の財団への戻すこととした。そして — 何故私は邪悪に支配されていないのか、と疑問に思う者もいるだろう。
私は、SCP-001-JPの改変時 — 開発時もそうだったが、プロジェクト内での開発・改変立ち会い人である私は、身体の安全保持の為、スクラントン・ボックスの中に留まっていた。スクラントン・ボックスの中身は改変の影響を受け付けない。だからこそ、私は邪悪に支配されていないのだろう。
無論、そのためにはセキュリティを突破しないといけないため、襲撃を行うこととなる。今のプロジェクトチームには、私を除きまともな人間はいない。また、私の一存でSCP-001-JPを使用することは出来ない。襲撃を行い、セキュリティをかいくぐり、SCP-001-JPを起動することでかつての財団を取り戻すしかないのだ。
頼む。謀反に協力してくれる者は、秘匿回線を通じて私に返信してくれ。
尚、これをプロジェクトチームや他の職員にバラすともれなく6/001-JPクリアランス違反で君も道連れだ。それ程の覚悟を私はもっているのだ。
いい返事を待つ。
これに対して、計500件を超える賛同の返信が確認されています。賛同者は全て終了済です。
To: 賛同者
From: アルバート・ジンデル研究顧問
Subject: N/A
決行日を決定した。2037/12/25 — 我らが聖なるキリストの誕生日に、財団を取り戻す。賛同者は、可能であれば自身の所属するサイトを抜け出し、サイト-19に集まるように。
幸運を祈る。
このコンタクトの数日後 — 2037/12/25にサイト-19を中心とした襲撃が行われました。これについては補遺001-JP/VIIIを参照ください。
補遺終了
補遺 001-JP/X 襲撃・対話記録
2037/12/25に、サイト-19を中心とする世界各地のサイトにて襲撃が発生しました。襲撃者は低忠誠度職員であり、襲撃者の全員が一同に"かつての財団を取り戻す"と発言していることが確認されています。また、調査の結果、首謀者はアルバート研究顧問であることが確認されています。この時点でアルバート研究顧問は解雇され、PoI-001-JPとして殺害対象に指定されました。
また、この襲撃事案により、被襲撃者側の職員が1000名以上も死亡しています。
以下は、監視カメラ映像に映っていたPoI-001-JPとエンダース管理官の対話記録です。
転写記録 001-JP.IV
話者:
- PoI-001-JP
- エンダース管理官
<PoI-001-JPはサイト-19の渡り廊下を走っている>
PoI-001-JP: <荒い息>クソ — 思ったより対処に動くのが早いな。もう私が知っている財団じゃないってことか。このままじゃ1時間持つかどうか — 。
<エンダース管理官が渡り廊下の向こうに立っている。手には拳銃を握っている>
エンダース: おや — これは。どうも、アルバート元研究顧問。SCP-001-JPが目的ですか?
<エンダース管理官はPoI-001-JPに向けて拳銃を構える>
PoI-001-JP: おいおい、エンダース管理官。これは — 一体何のマネだ?確かに、私はSCP-001-JPに用がある。だから、銃を下ろしてそこを退いてくれ。
エンダース: 銃を下ろすことはできないし、これは真似などではないです。けじめとして、かつてのプロジェクトチームメイトとして、私が君を始末します。
PoI-001-JP: どういうことだ。<沈黙>そうか — つまり、今の私には謀反者として殺害命令が出ているんだな?これは今の財団がやりそうなことだ。
エンダース: その通りだ。そして、1つ殺す前に聞かせてほしいことがあります。何故、このような、離反するなどといったマネをしたのですか?こんなことしなければ、殺されることもなかったというのに。
PoI-001-JP: 今の財団は毒されてる。そんな財団を元の財団に戻すために私達は謀反をしたのだ。それに — これは真似じゃない。
エンダース: そうですか。
<エンダース管理官がPoI-001-JPの太腿目掛けて銃を撃つ。放たれた銃弾はPoI-001-JPの太腿を貫通する。赤赤とした血が太腿から飛び散り、滴る>
PoI-001-JP: <呻き声>
エンダース: 今からでもまだ間に合います。大人しく投降して収容されてください。
PoI-001-JP: クソッタレが。投降なんてゴメンだね。どうせ殺されるなら今殺された方がマシだ。いつまでもこんなクソみたいなところには居たくないからな。
エンダース: そうですか。分かりました。では、遠慮なく殺させて貰います。
<エンダース管理官がPoI-001-JPに向かって歩み始める。数秒後、エンダース管理官は跪いているPoI-001-JPの目の前に立ち、眉間に銃口を突きつける。>
エンダース: 最後に言い残したことはないですか。
PoI-001-JP: <あざけて>これで — おそらく私を含む謀反分子は完全に消えるだろう。ハナから襲撃して勝てるなんて思ってないからな。そして、新たな財団の時代がやってくるんだ。
エンダース: <沈黙>
PoI-001-JP: だが、これだけは忘れないでほしい。財団は、私達は確保・収容・保護の理念の上に立っているんだ。
エンダース: それだけですか。
PoI-001-JP: <乾いた笑い>ああ。他にはもうないさ。さあ、殺せ。
<エンダース管理官がトリガーを引く。銃口から放たれた銃弾がPoI-001-JPの眉間を貫いていく。PoI-001-JPの後頭部からは鮮烈とも言えるほどの血飛沫と脳漿が飛び散り、床に血の海を作り出した。PoI-001-JPは地面に倒れ込み、動かなくなった。>
<エンダース管理官が不明瞭な呟きを発する。エンダース管理官は項垂れており、表情は確認できない>
後文: 本記録後、エンダース管理官は駆けつけた機動部隊員によって保護されました。PoI-001-JPの死体は回収され、防腐処理を施した上で冷凍保管庫に現在も人体サンプルとして保存されています。また、PoI-001-JPの死亡から1時間に渡り襲撃は継続されましたが、最終的には機動部隊によって全襲撃者が殺害されました。
また、エンダース管理官には緊急時に優れた対処をしたとして、勲章が授与されました。
現在、各サイトの復興は行われています。
補遺終了
補遺 001-JP/XI 後日談
PoI-001-JPによって引き起こされた襲撃事案から5ヶ月が経過した2038/05/25現在、各サイトの復興は順調に行われています。PoI-001-JPはその研究材料としての価値の低さから存在が遡及的に抹消されました。また、監視部門の報告の結果、財団に対する謀反者は現在まで確認されていないことが判明しています。これは、財団による地球規模での統治が行われていることを意味します。
プロジェクト・シーンは継続されており、現在は複数の終焉事象に対抗すること、不必要なアノマリーを抹消することを目的としています。
また、エンダース管理官及びプレースホルダー博士はプロジェクト・シーンの成果や、数々の研究への貢献により、監督評議会メンバーへと昇格しています。これを受け、本報告書はエンダース管理官(現O5-9)及びプレースホルダー博士(現O5-6)についての情報を多く含むものとして001-JP機密に指定されました。
また、アルバート・ジンデル元研究顧問(PoI-001-JP)の喪失により、プロジェクト・シーンは現在停滞しています。これは、技術者の喪失によるプロジェクトの運用が不可能になったためです。このため、財団内部ではSCP-001-JPの運用継続を巡り、中規模の混乱が生じました。プロジェクト・シーン内におけるアルバート・ジンデル元研究顧問(PoI-001-JP)の代替職員が選出されるまではプロジェクトは停止する見込みです。
補遺終了
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閲覧お疲れ様です。担当職員様。
本日の残りのタスクを表示します。
本日の残りのタスクは以下の通りです。
- 世界の統治に必要な資料の整理
- オブジェクトの実験への立ち会い
<他、24のエントリ>
行ってらっしゃいませ。担当職員様。
確保・収容・支配の理念をお忘れなきよう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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- portal:7178014 (30 Dec 2020 05:31)
拝読しました。あまり面白くありませんでした。
一点目として、オブジェクトが要するところただ強力な現実改変者であるので、その点に面白みがありませんでした。
二点目として、「財団の理念が歪む」という要素に現実改変(もっと正確には因果律からの独立)が上手くかみ合っていません。別の異常性(例えば精神異常など)で再現可能なものであり、異常性とストーリーの間に必然的なまとまりがないと感じました。
三点目として、「財団は残酷ではない」というテーマがすでに何度も扱われているものであり、オリジナリティを感じませんでした。財団が狂うという展開も最近ではSCP-5000でかなり上手に扱われてしまっているので、既視感がぬぐえません。
総合して、オリジナリティ不足という印象です。001提言ならば、もっと攻めた設定を使ってオリジナリティのあるストーリー展開を目指しても良いと感じました。
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批評ありがとうございます。
確かにその通りですね。何かしらの制約や特徴を付け、メアリー・スーじみた異常性じゃ無くします。
ここもその通りですね。確かに見返してみると別の異常性でも成り立ってしまうので、そこを修正し、この異常性ならではのストーリー構成を目指します。
ここは、「財団は残酷ではない」をテーマにしてません。どちらかと言えば、財団の残酷さ(意識と脳の抽出・処刑行為)を通して、普通の財団がわるいざいだんに堕ちていく様子をテーマにしてストーリーを描いていたのですが…。伝わらなかったならそれはわたしの技術不足ですね……、もっと洗練しようと思います。
オリジナリティが足りない、とのことなので、他の方から意見を貰うなどして客観的にもストーリーを見直そうと思います。
攻めた設定は読者を置いていってしまいそうなので、ここは考えさせてください。
批評ありがとうございました。
拝読しました。若輩者ながら軽く感想を述べさせていただきます。
全体的な雰囲気としては、読んでいてとても楽しかったです。本人には制御出来ない能力を取り巻く財団の変化がたくみに描かれており、また展開が劇的であることから、常に期待感を持って次の段落に進めました。
個人的に書くと面白くなりそうだな、と思った点を以下にあげます。
・終末を回避した具体的な方法。現状「(世界の終焉の回避)に成功」とあるのみなので、もう少し描写が多いとより良いと思います。2317に関して述べてある「鎖に繋ぎ止められている。」などの描写を全ての事例に追加するとオブジェクトの異常性がより分かりやすくなると思います。
・アルバート研究顧問が謀反を企てる前の、複数回の提案を却下される描写。現状オブジェクトの調査と会議の後即座に謀反計画を始めており、少し現実的では無いなと感じました。例えば「オブジェクトの取り扱いに関する倫理的側面からの提案」等と題したものを複数回提起し、それを全て全会一致で否決された描写があれば、読者もアルバートの謀反を起こす選択を合理的に感じるのではないでしょうか。
・財団が変化したことをより分かりやすくする。現状財団が残酷になった描写として、アルバート研究顧問以外の人物による語りがありません。例えば「財団による人型オブジェクトの処刑数」などのグラフを作成すれば、財団が変化したことが視覚的にもわかりやすいと思います。
細かな部分ですが、冒頭の写真の選択が秀逸だと感じました。オブジェクトが柔和で優しげな顔をしているため、その後の財団の残酷さがより一層引き立てられました。
長文失礼致しました。
批評ありがとうございます。
読んでいて楽しめたとの言葉、ありがとうございます。こちらとしても、楽しめるような展開を目指したので嬉しいです。
また、提案していただいた内容を採用させていただきました。終焉事象回避手段と対象などを具体的にしたり、グラフを追加したりなどの調整を行いました。
拝読致しました。
挙げられます。ではなく用いられます。と言った方が文的に合っているように思われます。
にします。では今は行われていないように見えてしまいますし、を維持しています。とするのはどうでしょう?
試行対象:の色を変える構文が崩れているようです。
前例とは言い難い気がします…そもそも異常性を閉じ込めるのが目的じゃないですし
なんで影響下より外れたのか、本当に冷酷で残酷ならさっさと処理する気がします。また、そうでなくとも何故重要なプロジェクトのメンバーから忠誠度の低くなってしまった人物を外さないのかが少し違和感の様に感じました。
現状DVです。全体的なコンセプトは面白いと思ったのですがやはりところどころでの違和感が気になったりが多いように感じました。そして、何と言うか全体的にエンダース管理官が少し出しゃばっているかのような印象を受けました。SCP-001-JPに対するインタビュアーもプロジェクトを立案した管理官より博士などとした方がまだ変えが効きそうですし…
しかし、そう言った違和感などを消せれば良い作品になりそうに思います。
記事作成頑張ってください。
批評ありがとうございます。
指摘していただいた点は修正させていただきました。
違和感を覚えた部分やエンダース管理官についても修正・加筆することで違和感を除去するよう試みました。
再度拝読致しました。
構文がうまく働いていない様です。
いまいちこの表現がピンと来ません。どの様な施設なのでしょう
誰がアクションを取るのが不可能なのでしょう、いまいち読み取りにくいので「SCP-001-JPによって確定された事象に反するアクションは如何なる存在によっても不可能であるとされています。」みたいにするのはどうでしょう?流石に確定的過ぎるでしょうか
ここはもう少し断言して良いのでは無いでしょうか、異常性を意図して発生させる事が可能です。みたいに
何か口に出すには露骨過ぎる感じが…
個人的にはUVです。違和感があるところは非常に少なくなりましたし中々見応えがあるのでは無いかなと思います。
記事作成頑張ってください
批評ありがとうございます。
修正しました。
除外サイトに変えました。
提示していただいた文に変えました。
断言させました。
確かにクサミがあったので消しました。
UVとの事で嬉しいです。違和感のある所も少ないとのことなので、より批評を受けて洗練していこうと思います。
批評ありがとうございました。
執筆改稿お疲れ様です。
私は深淵目録についてはちょっとわかりますが、「わるいざいだん」カノンについてはハブとDクラス職員簡易検索システムを読んだくらいです。
倫理委員会が存在していることから考えるに2020年代はまだ深淵目録よりだったのでしょうか。
「未来からの干渉で財団がクソ支配者になる」というストーリーラインについてはSCP-4775がわりと対抗馬になりますが、描き方が異なるため面白く読めました。
完全に個人的な好みの問題ですが、財団のオウンゴール作品に私はあまりUVしないためNVです。
銃で撃ったら隕石回避は流石にちょっと都合が良すぎるように思われたためUVには至りませんでした。
ハブに所属している感が現記事には全然ないため、わるいざいだんの話であると知らずに読むと途中で離脱されかねないと思います(スクロールバーを見て逃げる可能性もあるでしょう)。
ページ遷移してCSSを変えることで深淵目録からわるいざいだんへの変化を強調しても良いのではないかと思います。
以下雑感
深淵目録世界には既にいい感じに実用化された自動パッシブ記憶処理システムがあり、参考になると思います。
過去改変を念頭において火消ししている存在を読むとSCP-280-JPをまず真っ先に想起しますね。
批評ありがとうございます。
ご指摘いただいた箇所は修正させていただきました。
また、銃で撃って終焉事象を回避するところは、280-JPに001を投下して無力化する描写にしました。
ページ遷移後のCSSは現状Basaltのダークテーマを使用してますが、いい感じのテーマがあれば教えていただきたいです。
改めて、批評ありがとうございました、