SCP-XXX-JP - おもたまちゃん(旧SCP-405-JP - 消える子ちゃん改稿案)

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81EGに収容されます。SCP-XXX-JPの収容措置は標準的人型存在取り扱い手順及び標準的異常物品取り扱い手順に則った上で行われます。

SCP-XXX-JPの影響の除去が現在行われています。

説明: SCP-XXX-JPは、20代のモンゴロイド女性であり、卵である存在です。視認した人物によって外見が異なるため一貫した容姿を捉えることは失敗しています。SCP-XXX-JPの明確な名称は判明していませんが、SCP-XXX-JPを視認した人物は共通してSCP-XXX-JPのことを「おもたま」と呼称することが判明しています。これはSCP-XXX-JPの有する認識災害的効果による影響の一つであると考えられています。

SCP-XXX-JPの異常性は、SCP-XXX-JPを視認したヒトに発生します。SCP-XXX-JPを視認したヒト(以下、対象)はSCP-XXX-JPのことを周囲の人物に拡散しようと試みます。このとき拡散される情報には低度のミーム的効果が存在しており、情報を認知した対象はSCP-XXX-JPを視認した際と同様の効果を獲得します。

SCP-XXX-JPは、SNS上にて「おもたま」という名称で自撮り写真を投稿した際に、モンゴロイド女性であり、卵であることが判明したことをきっかけとして財団に収容されました。投稿は削除され、代替画像として、記憶処理効果を有する画像を使用することによって隠蔽されていました。削除時点で拡散数が███件を超えていたことは特筆すべき事項です。

補遺1: 実験記録

2017年09月16日にSCP-XXX-JPの正確な外見を特定することを目的とした実験が実施されました。以下は実験記録の抜粋です。実験記録の全容についてはこちらを参照ください。

記録1
対象: D-25252
結果: D-25252はSCP-XXX-JPの容姿を、モンゴロイド女性であり「ヒビ1つ入っていない卵」と回答した。

<14件省略>

記録15
対象: D-13131
結果: D-13131はSCP-XXX-JPの容姿を、モンゴロイド女性であり「若干ヒビの入った卵」と回答した。

<14件省略>

記録30
対象: D-34343
結果: D-34343はSCP-XXX-JPの容姿を、モンゴロイド女性であり「小部分にヒビの入った卵」と回答した。

<14件省略>

記録45
対象: D-41414
結果: D-41414はSCP-XXX-JPの容姿を、モンゴロイド女性であり「まあまあヒビの入った卵」と回答した。

<14件省略>

記録60
対象: D-53535
結果: D-53535はSCP-XXX-JPの容姿を、モンゴロイド女性であり「かなりヒビの入った卵」と回答した。

補遺2: インタビュー記録.1

2017年10月02日に実験参加者に対してインタビューが実施されました。しかしながら、有益な情報は最後のインタビューを除いて得られませんでした。以下は、最後のインタビュー対象者であるD-53535に対するインタビュー記録です。

インタビュー記録 XXX-JP.1


対象: D-53535

インタビュアー: 晴明博士


[記録開始]


晴明博士: では、D-53535。インタビューを開始します。

D-53535: よろしく頼みます。

晴明博士: D-53535。[SCP-XXX-JPの写真を見せる]こちらの女性について知っていることを教えて下さい。

D-53535: その人は……おもたま、さんですか。

晴明博士: はい。あなたはどこでその名前 - おもたまさんの名前を知ったのですか?

D-53535: 確かあれは - あれ。いつだ?確か、顔を見たときには既に知っていて。すみません。思い出せそうにないです。

晴明博士: 分かりました。では、彼女について教えて下さい。

D-53535: 彼女は、その、作家なんです。自分にも厳しくて、努力を惜しまない。いわゆる努力家ってやつです。だって、彼女は孵らないといけないから。

晴明博士: 孵る、とは?

D-53535: あぁ。彼女は俗に言う才能の卵ってやつなんです。彼女が書く作品はどれも言葉選びが上手くて、繊細で。それでいてパワフルで。アイデアにも申し分なし。こんな人材、才能の卵がいつまでもこうして殻に籠もってちゃだめなんです。だって、籠もってちゃ忘れられるから。

晴明博士: 分かりました。では、お聞きしますが、あなたはいつ彼女の作品を見たのですか?

D-53535: それは - ダメだ。これも思い出せそうにないです。すいません。いつの間にか彼女の作品が - 頭に入り込んでくるような感じで、気がついたら見ていて。

晴明博士: では、あなたが見たというその作品について教えてくれませんか?

D-53535: はい。俺が見た作品は、死ぬことが出来なくなった世界の人が、死ぬ方法を模索する、っていう話でした。すみません。確かに見たはずなのに、これしか覚えていないです。

晴明博士: 分かりました。インタビューを終了します。


[記録終了]


終了報告書: 本インタビューでは、SCP-XXX-JPの内面について僅かながら知ることができました。発言の内容についてはSCP-XXX-JPへインタビューを行うことで真偽を確かめる予定です。

—晴明博士

補遺3: インタビュー記録.2

2017年10月04日にSCP-XXX-JPに対するインタビューが行われました。以下はSCP-XXX-JPに対するインタビュー記録です。

インタビュー記録 XXX-JP.2


対象: SCP-XXX-JP(インタビュー内ではおもたまと呼称)

インタビュアー: 晴明博士


[記録開始]


晴明博士: では、おもたまさん。単刀直入に聞きますが、あなたは自身の特異性 - 見る人によって外見が異なることなどについて認識していますか?

SCP-XXX-JP: はい。

晴明博士: では、いつ頃から特異性を有していたか覚えていますか?

SCP-XXX-JP: はい。覚えています。あれは、わたしがSNSやネット上での物書きに触れ始めた時です。ふたりの友人に会いに行ったんですが、その時にわたしの外見が異なることを知りました。一方では「卵」、一方では「人」。正直、訳がわからなかったです。で、友人同士で言い争ってて、で、その時にわたしの名前を呼んだんです。「おもたま」、って。

晴明博士: その、おもたま、とは。

SCP-XXX-JP: おもたまってのは、わたしの物書きをする上でのハンドルネームみたいなものです。思い出の卵、でおもたまです。でも、不思議だったんです。わたし、その友人にはその名前を明かしてなかったんですよ。なんでおもたまって名前を知ってるのかな、って。

晴明博士: 続けてください。

SCP-XXX-JP: そして、その日はお邪魔しましたって言って帰ったんです。正直、あの出来事は不気味でしたが、物書きの性、ってやつですかね。どうしても物語として書かずにはいられなかったんです。出来上がってサイトに投稿したものは中々に良い評価で。そこからは物書きとしての才能が開花したというか。

晴明博士: なるほど。

SCP-XXX-JP: だけど、違うんです。まだ孵ってないんです。才能は開花しても孵化しない限り真価を発揮しないと思ってるんです。開花しても孵化しなければ埋もれたまま。今でも、わたしの頭の中でのおもたまが言うんです。まだ孵ってない。って。

晴明博士: 孵るためには、何か必要なものはあるのですか?

SCP-XXX-JP: 多くの人に知ってもらって、多くの人がわたしの才能を認めることかもしれませんが、分かりません。少なくとも、わたしの頭の中にいるおもたまはそう言っています。

[SCP-XXX-JPの指にヒビが入る]

SCP-XXX-JP: あ、やっとヒビが入ってきた。

晴明博士: [沈黙]本当にあなたは知ってもらいたいのですか?あなたの身元を調査するにあたって、あなたが寄稿しているサイトを確認しましたが、あなたの作品や活動はどこか、息苦しそうにも見えます。

SCP-XXX-JP: ……知ってたんですか。本当は辛いんです。あの作品を投稿してからは、周りの期待の眼差し、前の作品を超えるだろうっていう期待が苦しくて。

[SCP-XXX-JPの足にヒビが入る]

SCP-XXX-JP: でも、皆を喜ばせるためにも、面白いものを届けるためにも止められなくて。死ぬことができないための死への渇望、悔やんでも償いきれないほどの後悔、奪われることへの恐怖。こんなふうに前の作品を超えるためにアイデアを捻り出すのにも一苦労で。

[SCP-XXX-JPの胴体にヒビが入る]

SCP-XXX-JP: で、孵ってしまえば苦労することはないかな、って。思ってるんです。でも、今でもあの作品を書いたことは後悔してません。あの作品のお陰で今のわたしがあるんですから。それに、

[SCP-XXX-JPの頭にヒビが入る]

SCP-XXX-JP: わたしは、一人の物書きであり、何かを書くことが好きでしたから。

[SCP-XXX-JPが孵化する。同時に、インタビュールーム内に大量の羽毛が散乱する]

思い出の卵: ありがとうございます。最後にわたしの作品を見ていただけて。今、孵ります。


[記録終了]


終了報告書: 本インタビュー内にてSCP-XXX-JPは孵化しました。インタビュールーム内には非異常性の割れた卵と羽毛が残されていました。また、孵化に伴い、SCP-XXX-JPの存在は完全に消失したものと推測されます。SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはNeutralizedに再分類されました。


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