SCP-XXXX-JP - ノセボ 【チムコン】

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Pending

特別収容プロトコル: 現在SCP-XXXX-JPに関する巷説の再発見を行なっています。有効な収容手段は発見されていません。

説明: SCP-XXXX-JPは、██県██市に存在する████病院で発生する不明な人型実体です。情報の初出は不明ですが、匿名掲示板に "██県に、患者がよく「何かを見た」といった後病状が悪化して死ぬ病院がある" という書き込みが複数存在したことから場所を特定した結果、実在する病院であることが判明したため、巷説部門職員による調査が開始されました。

████病院に入院する患者は、SCP-XXXX-JPに接触したと発言して以降、病状は例外なく悪化の傾向を示し、最終的に死亡します。この時、患者は医師の処方に反発する姿勢を取り始め、最終的に衰弱死します。これは非致死性の症状による入院を行なっていた患者も同様である事が確認されています。

以下は████病院内部の調査記録です。






調査記録SCP-XXXX-JP.1

Record 199█/██/██


備考: █研究員は研修医に扮して████病院に潜入している。潜入時の記録は、医療機器に支障がないタイプの小型録音デバイスを用いる。


«ログ抜粋開始»

██臨床医: とりあえずA棟303の高橋さんのところに一緒に来てくれる? まぁやること自体はただの診察だけど、あの人この前から僕のいうこと聞いてくれなくなっちゃったからさ、フォロー頼むよ。

█研究員: 了解しました。でも高橋さん、つい数日前までは私たちのこと信頼しているように見えましたけどね。一体どうしたんでしょう。

██臨床医: ん〜、まぁ、心当たりはないわけでもないけど。でもこればっかりはどうしようもないんだよね。僕たちのせいじゃないし。

█研究員: 心当たりがあるなら、そこを改善できたりは?

██臨床医: 無理無理。だから僕たちはこうやって患者さんと対面して話して、治療の改善に向けて足並み揃える努力をするしかないんだよね。

[移動中の雑談を割愛]

██臨床医: 高橋さん、お部屋失礼しますね〜。体のお調子はいかがですか?

高橋氏: またあんたか? ヤブは引っ込んでてくれんか。あの薬の効果は嘘だったんだろ。

██臨床医: そんなこと言わないでくださいよ〜。高橋さんの担当医は僕なんですから。あ、こっちは新しく研修に来た█さんね。

█研究員: よろしくお願いします。勉強させていただきます。

高橋氏: はぁ? あんたこんなヤブに習うことなんかねえよ。こいつ俺に何の効果もねえビタミン剤飲ませやがったんだ。偽の薬飲ませ続けてたんだぜ? そのせいで今も病気治る気配すりゃねえんだからな。

██臨床医: そういう治療法なんですよ〜。プラシーボ効果っていうんですけどね? 思い込みで体が悪いものを退治するための力が強くなるんですよ。高橋さんにこの前まで服用してもらってたのは、偽薬っていうものです。ちゃんとした治療方法なんですよ〜。実際高橋さんも途中まではいい感じに元気になってきてたでしょ?

高橋氏: ばかやろ、治ってねえんじゃ意味なかったってことじゃねえかよ。何がプラシーボだ。効く薬をよこせってんだよ。そこそこの入院費払ってんだぞ。まさか、長引かせてむしり取る気じゃあねえだろうな、お前ら。

██臨床医: もうプラシーボは効果ないから、できるだけ副作用のないお薬の服用に切り替えようって話してるんですよ〜。高橋さんのいう効くお薬ですよ。

高橋氏: おめえの出せるもんなんか信用できるかってんだ。

█研究員: ちょっといいですか?

高橋氏: なんだ新入り。お前もこのヤブの肩持つってぇのか? お前もヤブ  

█研究員: いえ、そういうわけではなくて。高橋さん、プラシーボ療法というのはですね、患者さんがそれを本物の薬だと思えるように、決してそれが偽物のお薬であるとかは伝えられないんです。さらに言えば、おそらく██臨床医から、とても詳しくこの薬の効果について何回も説明されたんじゃないでしょうか。

高橋氏: んなこたとっくに知ってるよ。その説明が全部嘘だって俺に丁寧に教えてくれた奴がいるからな。奴にゃ感謝してる。いつまでも治らねえ看病されてたんじゃたまったもんじゃねえよ。

█研究員: そう、それです。高橋さんにお薬とプラシーボ療法のことを教えてきた人って誰なんでしょうか。患者さんの治療方法を把握している人なんて、あなたのご親族とかこの病院の担当のお医者さんとか、ごく少ないはずなんですよ。

高橋氏: 知らんね。あんときゃ起き抜けで眩しかったからな。ベットで目つぶって横になってたら脇に誰か座る気配がした。そんで俺にも分かるように懇切丁寧に、飲んでる薬が何の効果もないって教えられたんだよ。あの医者は嘘をついてるぞってな。

█研究員: 姿も声も、心当たりはないと?

高橋氏: あぁ、ないね。話は終わりか? なら別の信頼できる医者もってこい。まぁここの病院は信頼できんけどな。

[重要度の低い会話を割愛]

[診察に回る中で、数人、高橋氏と同様の反応で██臨床医を拒絶する姿勢を見せた]

█研究員: 高橋さんのところへ行く前に言っていた心当たりというのは、プラシーボ療法中の患者に対して諸々をバラす不審者という認識で正しいんですよね?

██臨床医: [ため息] うん、まぁね。参っちゃうよねぇ。

█研究員: その不審者、いつからここに? そもそも勝手に病院内うろついて問題を起こされて、通報しないんですか?

██臨床医: 無理なんだよね、通報。この病院、出るんだよ。見た人から聞いたのは、人型の影らしい。僕がここに来たのが……8年前だから、もうそれだけ前からずっといるの。慣れちゃったし、自分は見たことないんだけど、プラシーボ療法中の患者さんを狙い澄ましたように真実バラしに来ちゃうから、どうもできなくてさ。

█研究員: 幽霊ってことですか? そりゃまた。

██臨床医: 信じてなさそうだね。ちなみにね、あの患者さんたちに処方してた偽薬、あれ偽薬じゃなくて成分を薄めて副作用をほぼ出ないように調合したちゃんとしたお薬なんだ。

█研究員: え、ビタミン剤じゃないんですか? ちゃんと薬が処方されてるならプラシーボ療法じゃないじゃないですか。

██臨床医: 親族の方々には説明してるからそれはいいんだよ。これもその不審者のせいで本当のプラシーボが通用しなくなっちゃったから始めたものなんだけど。

だけどさ、そうなるとなんで今も病状が悪化する一方なのかわからないんだよね。だって、気の持ちようにかかわらず有効成分は聞いてるはずなんだ。これがただ単にノセボ効果のせいだって言えるならそれでいいんだけどさ、どうも成分自体は効いてるらしい。

█研究員: それはまた……奇妙ですね。

██臨床医: でしょ? ここだけの話、その不審者は医者の間じゃ死神さんって呼ばれてるよ。こっちがどうしようと死期が近い人の元に現れてあの世へ持っていっちゃうんじゃないかってね。あ、口外禁止で頼むよ? 医師の間でも職務中はタブーなんだ。

«ログ抜粋終了»

調査記録SCP-XXXX-JP.1の内容から、████病院で発生する不明存在は人型の影であり、プラシーボ療法中の患者に対して "異様にわかりやすい科学的説明を含めた解説を行い、服用中の薬は効果が無いことを伝えてプラシーボ療法を失敗させる" という異常存在であることが判明しました。この解説は、該当する患者のベッド脇あるいは夢の中にSCP-XXXX-JPが現れた際に行われ、以降患者は「騙されていた」や「薬が本当に効いているのか不安が拭えない」という理由から以降の治療を拒否し始めます。

SCP-XXXX-JPによる解説は、5歳から89歳までの全員が正確に理解しており、認知障害等の持病、保有する知識の影響を受けていないことが確認されています。この解説に対する患者の過度な信頼を医者やカウンセラーによって改善させる試みは現在まで成功していないことから、認識災害を有している可能性が高いと推測されています。また、今回の調査で、非致死性の症状による入院を行なっていた患者も衰弱し、死亡に至る事が確認されています。


追記XXXX-JP-1: SCP-XXXX-JPの異常性範囲拡大と収束

初回の記録から約2年半経過した199█/██/██████ごろから、病院における患者の死亡者数は増加傾向を示し始めました。これに伴ってSCP-XXXX-JPに関する巷説は徐々に拡大している事が確認されています。内容に変化は見られず、巷説部門は巷説の矯正を行わずに観測を継続する方針が決定されました。

以下は当時記録された音声ログです。






調査記録SCP-XXXX-JP.2

Record 199█/██/██


備考: █研究員は研修医に扮して████病院に潜入している。潜入時の記録は、医療機器に支障がないタイプの小型録音デバイスを用いる。


«ログ抜粋開始»

[電話のコール音]

██臨床医: はい。A棟203の野中さんと208の桐野さんですね。はい、すぐに向かいます。行くよ█くん。

█研究員: はい。確か呼吸器系の喘息症状と肺炎でしたか?

██臨床医: 野中さんは免疫の比較的高い13歳でまだ軽症、桐野さんは70歳でチアノーゼ。桐野さん優先で。

[院内を忙しなく行き来する足音がしばらく継続される]

[█研究員と██臨床医のPHSが同時に振動する]

██臨床医: はい桐野さん大丈夫? ICU? 人手は? はい、向かいます。█は野中さんの方へ向かわせます。はい。

█研究員: では向かいます。

[道中、病室から運び出されるタンカーの車輪音や看護師の声を拾う]

█研究員: 失礼します。█研修医です!

[複数名の医師の声、野中氏の怒声、咳、電子音]

[看護師のあてがう呼吸器から脱出しようとする野中氏の拘束を行う]

野中氏: やだ! いやだ! 吸わせ [咳] 吸わせようとするな! どうせ効かないじゃないか! 苦しい [咳] だけ [咳] だ、死にそうになる [咳] 死に、そうになるんだよそれ! 殺す気だろ! [咳]

█研究員: そんなことにはならないよ。これが君にとって今一番いい方法なんだ。咳を抑える成分が入ってる。さぁ、落ち着いてこれを着けてくれ。

野中氏: いやだ! お前ら、[咳] 飯にもっ [咳] 飯にもなんか入れてるだろ!

█研究員: なんの話だ? 誰がそんなことを。

野中氏: 知らねえよ! でも [咳] でもそう [咳] 言ってたんだ! このマスクだってなんの効果もないって分かりやすく教えてくれた!

█研究員: これにはちゃんと効くお薬が入ってるんだよ。今までもちゃんと治ってたでしょう。

野中氏: でも効果っ [咳] 効果無いって言ってた! [咳] あの説明は間違ってる [咳] なんて思えないじゃん!

[マスクを強制的に取り付け、酸素濃度を調節して気絶させる]

«ログ抜粋終了»

補遺XXXX-JP: ログ抜粋中に言及された野中氏および桐野氏はいずれも適切な医療措置を拒否し続け、患者の精神状態が悪化し食欲の低下などから免疫が低下。そのまま衰弱死に至りました。2名はプラシーボ療法を行なっておらず、基本的な医療措置に従って服薬を行なう経過観察中でした。ログ中にみられる医療関係者への不信感情はSCP-XXXX-JPによるものであると判明しているため、SCP-XXXX-JPの異常性の範囲が "異様にわかりやすい科学的説明を含めた解説を行い、服用中の薬は効果が無いことを伝えてプラシーボ療法を失敗させる" から一般的な医療法を利用している入院患者まで拡大した可能性が指摘されています。この効果は実際の薬の効力まで阻害する効果があるとみられ、これが患者の重度の思い込みであるか、成分に変更が加えられているからであるかは判明していません。

対象の拡大要因についての考察

コメント:█研究員


SCP-XXXX-JPが鑑賞を行う対象が拡大した要因には、SCP-XXXX-JPに関する巷説の拡大が影響していると推測しています。当初の書き込みである "██県に、患者がよく「何かを見た」といった後病状が悪化して死ぬ病院がある" という文には、患者がプラシーボ療法を行なっているという異常性発現範囲を指定する文言は含まれていませんでした。この巷説自体が████病院のSCP-XXXX-JPを元に発生したものであるため、SCP-XXXX-JPは当初プラシーボ療法を行う患者のみを対象としていた可能性が高いです。しかし、掲示板上に範囲を指定しない巷説として語られ、それが広域に拡散したことにより、SCP-XXXX-JPに対する思念集合により異常性が拡大したのではないかと判断しています。

█研究員による複数の患者に対する実地での対話の結果、SCP-XXXX-JPは患者に対して "異様に理解しやすい科学的説明によって、現在行っている治療行為は効果が皆無であることを解説" していることが確認されています。患者は医療関係者への不信感から、医療行為全般と周辺で提供される物品への警戒を強め、SCP-XXXX-JPの言説を全面的に信頼します。しかし、SCP-XXXX-JPの解説内容は大半が全く根拠のない内容で構成され、綿密に設定が練られてはいるものの存在しない造語や横文字、略称が多用されています。

以上の事実から、SCP-XXXX-JPは非常に説得力を高めた空想科学であり、認識災害を引き起こすことが確実視されました。


追記XXXX-JP-2: ████病院の廃業

死亡者の増加が増加を続けたことで経営の維持が困難になったことから、最初期の観測から3年経過した200█/██/██現在████病院は廃業し、土地は財団に買収されています。患者の消失を境にSCP-XXXX-JPは観測不能になったため、旧████病院に持病を有するDクラス職員を一名入院させる再現性実験を行った結果、SCP-XXXX-JPは確認されませんでした。これが "SCP-XXXX-JPが巷説の舞台を失ったことにより消失した" ことによるものか "別場所への移動によって財団の目を逃れた" ことによるものかは判明していないため、オブジェクトクラスはPendingに指定されました。


scp jp チームコン23



ページ情報

執筆者: kihaku
文字数: 7410
リビジョン数: 21
批評コメント: 1

最終更新: 24 Feb 2024 14:09
最終コメント: 07 Jan 2024 18:37 by santou

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