記事カテゴリが未定義です。
ページコンソールよりカテゴリを選択してください。

「夢崎ってどうして財団に入団したんだっけ?」

東城さんが急に僕に訪ねてきた。

「僕が参加した経緯…強いて言うならあの人を見返すためですかね。」

そう言い放ち僕はあの人を指差した。食堂で泥酔して熟睡しているあのダメダメ分隊長を。

「メロンを見返す…?何かあったのか?」

「そういえば東城さんは知らないんでしたね、僕たちの過去…ストレンジチルドレンを知ってますよね?」

「ああ…聞いたことはあるな…。」

東城研究員は気まずそうに目を逸らした。ストレンジチルドレン、僕たちを閉じ込めて最後には殺そうとしてきた悪魔の巣穴。

「確か財団はストレンジチルドレンに宣戦布告して、そこで財団が保護したんだよな。」

「はい、昔はホントに財団が嫌いでしたよ…。」


「夢崎!こっちに隠れよう!」

妖花が僕に叫んできた、外で銃声が鳴り響いている中僕たちは逃げ遅れてしまい施設内に隠れるしか無くなってしまった。

「僕たちここで死んじゃうんだ…やだよお…。」

僕が泣きながらそう言うと妖花が優しく抱きしめてきてくれた。

「大丈夫ですよ!きっと誰かが助けてくれます…!」

そうは言っていたが妖花も手が震えていた、恐怖を必死に堪えてるのだろう。

「しっ!足音が聞こえる。」

妖花が僕に小声でそう言ってきた、確かに足音が聞こえる、「助けが来たのかな?」なんて考えながら隠れていると僕たちが隠れていた所が見つかってしまって…
と思ったらそこには孤児院のおじさんがいた。

「おじさん!助けに来てくれたんですか!?」

僕はどっと安心しておじさんに抱きついた、だがそんな期待は一瞬で裏切られてしまった。
おじさんは僕を突き飛ばして自動小銃を僕たちに向けてきた。

「何するんですか!?」

妖花が突き飛ばされた僕を庇うように立った。

「悪いな、財団の輩にお前たちを渡すくらいなら全員殺してやろうって考えになったんだ、悪く思うなよ。」

何言ってるの?僕たちを殺す?いつも掃除してくれたりお金をくれたりしたあの優しいおじさんが?僕はとても混乱していた、すると-

「奴を殺せ!」

そんな叫び声が聞こえて別の方角から銃を乱射する音が聞こえ孤児院のおじさんは血を流しながら倒れた。

「う、うわあああ!死んだ!死んじゃったよ!!」

「落ち着いてください!大丈夫です!」

僕がパニックに陥ると妖花は僕に抱きついてそう言ってくれた、それだけで僕は少しだけ落ち着くことができた。

「おい!ここに誰かいる!子供だ!」

部屋のドアが蹴り破られ軍隊みたいな人たちがたくさん入ってきた。

「もう大丈夫だぞ!俺たちが君たちを保護する!」

そうして軍隊みたいな人たちは僕たちをおんぶして外にある護送車に座らせた。

「ねえ妖花、ここどこ?僕たち助かったの?」

僕は完全に混乱してしまった、トラックは動き始めて周りには他の子供達がいる、みんな不思議そうな顔をしている。

「きっと大丈夫です、それに何があっても私が守りますから。」

妖花は優しくそう言ってくれた。するとトラックが大きく揺れ僕は女の子にぶつかってしまった。

「ご、ごめん!」

僕はそこで後の親友、彩花に出会った、彼女を最初に見たときの印象は「死人」だった、彩花は僕の言葉を無視してずっと上を見ていた。正直に言うと恐怖さえも感じた。
そんなことを考えていると輸送車の扉が開いて数人の軍人みたいな人たちがライトがついた銃を向けてきた。

「オラ!クソガキども!早く出てこい!ここが今日から貴様らの家だ!」

緑色の髪をした新人機動部隊員…後のメロン隊長が僕たちにそう叫んできた。その声の圧に押されて僕は思わず腰を抜かしてしまった。

「おいメロン、叫ぶのはやめとけ。恐怖でこいつらの異常性が発言したら洒落にならないぞ。」

「イエッサー!」

メロンさんが隊長になる以前の分隊長…もう名前は覚えてない、その人がメロンさんにそう命令した。

「おっし、クソガキども。今すぐそこから出てきてこの人についていけ、言っとくが俺たちはお前らを全員殺す許可をもらってるからな、つまり…バカなことはするなよ。」

メロンさんはそう言い放つと別のトラックへと向かった。

僕たちはトラックの外へと歩いて出て行った、そこには大きな建物が立っていた。後にそこが僕たちが収容される建物だと知ることになる。

僕は彩花と妖花と一緒に前分隊長について行った、そしてメロンさんが僕たちの隣に来て急に話してきた。

「よおくそガキども、お前ら何やらかしたんや?」

メロンさんが意地の悪い笑みを浮かべてそう聞いてきた、当然妖花はメロンさんを睨みつけた。

「…別に何もしてませんよ、あなた方に一方的に誘拐されただけです。」

妖花は冷たく言い放った。

「いいかクソガキ、あんま調子乗んなよ。俺はお前らを信用してねえ、あの施設にいたってことはお前らも何かしらやらかして捨てられたとかそんなんだろ。さっきも言ったが俺はお前らを殺すことはできる、余計な真似すんなよ。」

「「…!」」

メロンさんが話し終わると僕より先に妖花は怒りでメロンさんに飛びかかった。当たり前だ、僕たちだって引き取られたくて引き取られたわけじゃない。なのにそんな言い方をされたら誰だって怒る。

僕は自分の身体能力を生かしてメロンさんの顔を殴りつけ、妖花はメロンさんのお腹を蹴った。僕の身体能力なら気絶くらいするだろうと思っていたが-

「っ!このクソガキどもが!話聞いてなかったのか!?」

メロンさんは少し怯んだだけですぐに体制を立て直し僕たちを物凄い力で地面に押さえつけた。

「殺されてえのか青二才!!てめえらとは戦ってきた戦場の数がちげえんだよ!!今回は許してやる、二度と俺になめた真似すんじゃねえぞ!!!」

そう言うとメロンさんは僕たちを離してくれた、恐らくあのまま掴まれていたら僕たちは窒息死していただろう。
それくらいすごい力だったのを今でも覚えている。

「おいメロン!何があった!?」

メロン隊長の叫び声は隣の部屋まで響くには十分すぎる音量だったらしい、実際に周りの子供たちも何だ何だとこっちをじろじろ見ていた。

「こいつらが殴りかかってきたんですよ!だから鎮静化させようとしただけです!」

「あなたが私たちを侮辱するからですよ!?」

メロンさんに負けじと妖花が叫んだ。

「ハア…いいかメロン、こいつらだって収容されたくてされたわけじゃないんだ。ただ普通に生きたかっただけなんだよ、それなのに現実改変、ミーム汚染なんて異常性があるせいで普通の人間より生き方を制限されている。そんな状況で喧嘩を売ったらそりゃ殴られるさ…、俺たちができることはこいつらに少しでも優しくしてやることだと俺は思うんだけどな…。」

メロンさんはぐっと唸って床にペッと血を吐き出した。

「隊長は優しすぎます。こいつらは収容対象、人類の敵になるかもしれないんですよ?」

「お前がこの子供たちに敵意を持たせたらそれこそ人類を恨むぞ?いいからやめとけ。」

前分隊長はメロン隊長に優しく、しかし圧の聞いた声でそう言った。メロンさんは舌打ちをすると黙ってオフィスの方へと歩いて行った。

「よし、みんな。俺についてきてくれ!」

そう言って前分隊長はみんなを…監獄のような場所に連れてきた。独房の中には簡易的なベッドと小さなトイレが置いてあるだけだった。

「ここの管理はさっきの緑髪のメロンって奴が担当してるから…頑張ってくれ。」

そう言って前分隊長は去り代わりに完全武装のメロンさんが入ってきた。

「また会ったなガキども!今からお前らにシャツを配布する!そのシャツに書かれた番号が貴様らのこれらの呼び名だ!わかったか!?」

そう言って警備員が全員に白色のシャツを配布した、そこには「82」と書かれていた。

「なんてそれっぽいこと言ったけどしばらくここにいればいいだけだ、しばらくすれば寮に入れられるから安心しとけ。」

メロンさんが話終わると警備員たちは僕たちをそれぞれ独房に入れた。
そして僕が簡易ベットの上で座ろうとすると

「夢崎!聞こえますか?私です!妖花です!」

「妖花!?隣の独房だったの!?」

「よかったです…話し相手がいるだけでこれで暇しないですみそうですね…でも最悪ですね、あの人がここの担当なんて…。」

恐らくメロンさんの話をしているんだろう。

「確かにね…彼は怒らせたらいけないよ…。」

そうやって話ながら暇をつぶしながら二時間経つとほとんどの子供たちは連れて行かれたが僕と妖花、そして相変わらず静かな彩花だけは別の独房に移された。そこは鋼鉄のドアが付けられたタコ部屋でトイレは囲いすらもなかった。明らかに前よりひどい。

「え?なんで僕たちだけここに入れられるんですか?」

「なんでも上がお前らの能力が危険だからお前らはここで収容されるらしい。悪く思うなよ。」

そう冷たく言い放ちメロンさんは収容室の扉を閉めた。

そして数分間僕は収容室をうろうろしていると-

「…私たちどうなっちゃうの?」

部屋の隅に座っていた彩花がそう僕たちに問いかけてきた、よく見ると泣いている。

「私たち殺されたりしないよね?私死にたくないよ…。」

あの死んだように全く感情を出さなかった彩花がこんなにも感情を出しているのを見て僕は驚いた、もしかすると見えないところでひっそり泣いていたのかもしれない。僕はかける言葉が見つからずおろおろしていると妖花がいつも僕にするように優しく彩花を抱きしめた。

「大丈夫ですよ、きっとどうにかなります。私があなたも守ってあげますから泣き止んで下さい…。」

そうやってしばらく妖花が彩花に抱きついていると彩花は落ち着いた。

「ごめんなさい、急に泣き出しちゃって…、私あの孤児院でも友達と呼べる人が誰もいなくてこのまま一人で死んじゃうのかなって思ったら怖くて…。」

僕は心が痛んだ、妖花と出会うまでずっと一人だった僕は彩花の気持ちが痛いほどわかった。僕はかける言葉が見つからず咄嗟に-

「じゃあここのみんなで家族になればいいじゃん!」

そう叫んでいた、妖花と彩花は不思議そうな顔で僕を見てくる。

「ここのみんなで家族になればもうみんな一人じゃないんだよ!完璧じゃないかな?」

そう言うと妖花と彩花は笑い出した、咄嗟に僕の言ったことはなんて馬鹿だったんだと思い顔を赤くして顔を背けた。

「いい考えじゃないですか、ではここにいるみんなで家族になりましょうか。」

妖花の言葉に彩花も肯いて同意したので僕もすかさず同意した。


「…で、これが僕たちの出会いですね。」

「くー!感動的じゃねえか…。」

東城さんは僕の話をじっくりと聞いていた。そこまで魅力はないと思うけどな…。

「でもそうなるとなんでお前財団職員になれたんだ?その話のままだとずっと収容されてるってことじゃん。」

「ここからがどちらかといえば本番かもしれませんよ…メロン隊長は昔も今もクズのままでしたよ…。」


収容室に入れられてから1ヶ月ほどたった。最低限の味の薄い食事、硬い簡易ベッド、丸出しのトイレと環境は最悪だったがみんなで話している時だけが唯一楽しい時間だった。そんなある日メロンさんが数人の部隊員を連れて収容室へ入ってきた、胸には機動部隊分隊長の印が付けられている。

「よおガキども、理由は言わないが今日から俺が機動部隊の分隊長になったんだ。そんで楽しみにしてた初任務がお前らの警備だってよ、死ぬほどむかつくんだわ。だからよ…せめて俺を楽しませてくれよ!?」

そう言ってメロン隊長は妖花のお腹を蹴って部屋の壁へ吹っ飛ばした、そして部屋の隅まで引きずって妖花を何度も何度も蹴った。それを見ていた機動部隊員も恐怖で固まっていた。それもそうだ、あんな一方的で理不尽な理由であんな事をするなんて誰だって恐怖を覚える。

メロン隊長は妖花を半殺しにするまで蹴り続けた、そして妖花の身体が打撲傷だらけになると次は彩花を睨みつけた。

「お、いい女いるじゃねえかよ…お前が泣き叫ぶ声を聞かせてもらうぞお!」

そう言ってメロン隊長は彩花の髪を鷲掴みにして持ち上げサンドバックみたいにお腹を殴り始めた。彩花は泣きながらやめてと言ったがメロン隊長はまるでボーナスをもらったときのような笑みで彩花を殴り続けた。妖花は部屋の隅でメロン隊長を睨みつけていた、恐らく打撲傷で立てないのだろう。

「っ!スッキリしたぜ…お前、運がいいな。今日は見逃してやる。じゃあ明日も来てやるから傷直して待っとけよ。」

そう言ってメロン隊長は機動部隊員を連れて収容室を出て行った。

「妖花!大丈夫!?」

僕は部屋の隅でか細く息をしながらうずくまっている妖花のところへ駆け寄った。体は痣でいっぱいになっていた。

「私は大丈夫です…彩花のところへ行ってあげてください…。」

妖花はそう言ったので僕は彩花のところへと駆け寄った。痣は少なかったがお腹を殴られ続けたせいかお腹を抱えて泣きながらうずくまっている。

「彩花!大丈夫!?」

「痛いよ…苦しいよ…なんでこんな酷いこと…」

彩花はそう泣きながら呟いた。

それからは地獄だった、メロン隊長は毎日1回必ず収容室内に侵入して僕たちに暴行を加え続けた、特に彩花には積極的に暴行を加えた。そんな地獄のような日々を1週間ほど経験し-

「よおガキども、来てやったぞー。」

メロン隊長が収容室に入ってくると彩花は「ひっ」と悲鳴を上げ妖花はメロン隊長を鋭く睨みつけた。

「今日はスペシャルアイテムを持ってきたぜ、これでお前らの爪剥いでやるよ。」

そういってメロン隊長はペンチを取り出した。それには僕たち以外に機動部隊員の人たちも顔を青くさせていた。

「よし…最初の獲物は…お前にするかあ!!」

そういってメロン隊長は彩花の手首を押さえつけペンチで爪を剥ごうとして-

「やめてください!!」

その叫び声が聞こえたのと妖花がメロン隊長の顔を殴りつけるのは同時だった。

「痛え!てめえこのやろう!おいお前ら!こいつを拘束しろ!」

メロン隊長は機動部隊員にそう叫んだが-

「隊長いくらなんでもやりすぎです!こんなの倫理を無視しただけの拷問じゃないですか!?」

「なんだとお前ら!?俺の命令を拒否するのか!?命令違反だぞ!?」

「こんな理不尽な理由で彼らを拘束するなんて僕たちにはできません!」

「クソが!使えねえなあ!もういいよ!俺がこいつらボッコボコにして二度と立ち上がれねえ体にしてやるよ!」

そういってメロン隊長が僕たちに飛びかかってきたが機動部隊員はメロン隊長を拘束した。

「んな!?お前ら何すんだ!?」

「君たち!!早くここから逃げるんだ!君たちが脱走すればここの担当は変わるはず!俺たちが隊長を拘束できている間に早く!!」

「てめえらやりやがったな!?殺す!殺してやるからなあ!!!」

僕が状況が理解できずぽかんとしていると妖花が彩花と僕の手を握って「逃げますよ!」といって収容室から出た、そこは一直線の通路で僕たちのもの以外に大量の収容室が並んでいた。妖花は僕たちの手を引っ張りながら走り続けた、後ろで何発か銃声が聞こえたが僕たちは無視して走り続けた。

そして僕たちはオフィスのような場所に出てきた、だが次の瞬間全てのドアが突然閉まった、あと少しでも遅ければ僕たちは脱走に失敗していただろう。数秒後メロン隊長の声でアナウンスが鳴り響いた。

『クソ!離せ!離せってんだよ![何かを殴る音]くそったれが、全職員に継ぐ!このサイトでEuclidレベルの収容違反が発生した!サイトの封鎖を開始する!』

「何かここから出れる物を探しましょう!恐らくあの人がすぐにここまで追ってきます!」

妖花の声で僕たちは我に返りオフィスの探索を始めた。パソコン、コーヒーカップ、よくわからない書類、カードキー…

「あった!カードキーがあるよ!これで開くかもしれない!」

「流石です夢崎!これで…。」

妖花がキーカードをドアのセンサーにかざすとドアが開いた。だがすぐ後ろからメロン隊長がドアを蹴り破って入ってきた、肩と足からは血が流れている。

「見つけたぞクソガキども!お前らのせいでうちの隊員が情を持って俺を撃ちやがったんだぞ!ぶっ殺してやる!」

そう言うとメロン隊長はサブマシンガンを僕たちに乱射してきた、妖花は素早くドアを閉めて近くにあった「強化ドア」と書かれたレバーを引いた、するとドアをカバーするように鋼鉄の板が降りてきた。メロン隊長がドアを蹴り破ろうとしたらしく鋼鉄の板が少し揺れた。

「くっそ!誰だよここに強化ドア付けたやつ!遠回りしねえと…。」

メロン隊長は悪態をつけながらどこかに走っていく音が聞こえた。

「急いで逃げましょう、ここにいてもどの道彼に捕まります。」

妖花がそういって僕たちはまた走り始めた。しばらく走り続けたが出口と呼べるような場所は見つからず「ヘビーコンテインメントゾーン」と書かれた場所に入ることにした。

「ヘビーコンテインメントって…危険な場所だと思うんですけどやっぱりやめたほうがいいんじゃ…。」

「今ここであの人につかまったら死んだほうがマシな目に合わせられるよ?逃げ続けないといけないと思う…。」

躊躇う彩花に僕はそういった。メロン隊長に一番暴行を受けたのは彩花だ、それを聞いてびくりと震えると僕たちについてきた。

すると真後ろの扉が蹴り破られる音が聞こえた、メロン隊長だ。やはり僕たちの足の速さではメロン隊長には敵わなかったらしい。

「見つけたぜクソガキども!今止まれば命だけは助けてやる、さあ手を上げろ!」

妖花は僕たちを庇うように立った。

「私をどうしても構いません!なので彩花と夢崎だけは見逃してあげてください!」

妖花はそう言ったがメロン隊長は高笑いした。

「いやだよ、お前拷問しても可愛い声で命乞いしねえじゃん。その女…彩花だっけ?そいつを渡せば多分見逃してやるよ。」

嘘だ、メロン隊長はそんな簡単に見逃してくれるような人間じゃない。彩花を渡したとしても彼は僕たちを捕まえるだろう。彩花を引き渡しても結局僕たち全員捕まって拷問されるだろう。だが妖花がメロン隊長に捕まれば僕たちの力では一瞬で鎮静化されるだろう、となると…
僕は自分の現実改変能力を絞り出して妖花と彩花を壁の向こうへと移動させた。

「なっ!?」

メロン隊長は突然の出来事にそんな間抜けな声を出したがすぐに状況を理解して僕を拘束した。

「お前…やりやがったな…現実改変を使用して奴らを移動させるとは…待てよ、お前の現実改変じゃ弱すぎてそんなことできないはず…家族愛ってやつかよ、え?」

「くっ…僕を殺したって構わないから…彼らを…妖花と彩花だけは見逃してください…。」

「そんな俺にメリットのかけらもない条件で交渉が設立すると思うんじゃねえぞ…だが待てよ、1つだけ条件がある。お前らが全員生きれるかもしれねえ条件だ。」

「な、何をすればいいんですか…?」

「お前、俺らがあいつらを捕まえるのに協力しろ。」

メロン隊長の言葉に僕は息を呑んだ、メロン隊長は僕に妖花と彩花を裏切れというのだ。

「そんなこと…。」

「協力しないならいいさ、それならお前を警備員に拘束してる間に俺があいつらを全員殺して首だけでもお前のところに運んできてやるよ。」

僕はその言葉を聞いてこの人は残酷で無情で人の心がないクズなんだと僕は確信した。だが彼のいうことを聞かないと妖花達は…

「…わかりました…協力します…。」

「よし、交渉は成立だ。」

そういうとメロン隊長は僕から手を離した。

「あいつらは恐らくこのルートから行くとゲートCに出てくるはずだ、そこで待ち伏せるぞ…あともうひとつ条件がある、お前は俺に協力してる間は奴らに話しかけるな。」

僕はその条件をメロン隊長が提案した理由が分からなかったがそれを承諾した。

「よし、いい子だ。じゃあ俺についてこい。」

そういうとメロン隊長は近くの机をどかし非常用の地下脱出通路へと降りて行った、どうやらこれが僕たちをすぐに見つけた理由らしい。
そして僕たちは地下通路を抜けてサイトの外へ出た、そこには大量の機動部隊員と戦闘ヘリがいた、そしてしばらくすると彩花と妖花がゲートから出てきたが機動部隊を見てその足を止めた。

「まずはここまでよく来たなと褒めてやろう。」

メロン隊長がそう言った。

「だがこれでお前らは終わりだ、ここで死ぬか降伏するか最後に選ばせてやるよ。」

「ここで諦めれるわけありません!自分を捨てて私たちを逃してくれた夢崎になんて言えばいいんですか!?」

妖花がそう叫んだ。

「そうかそうか…夢崎くんか…奴は役に立ってくれたよ…。」

「どういうことですか!?」

するとメロン隊長は僕をつかんで妖花達の前に引っ張り出した。

「夢崎!?無事だったんですね!」

彩花が安心したような顔を見せた、よほど僕のことを心配してくれたんだろう。

「彼はな…自分の現実改変を利用して俺がお前らを捕まえやすい場所に移動させてくれたんだぜ、お前らを売ったんだよ、こいつは。」

え?メロン隊長は何を言ってるの?僕は混乱してしまった、僕はそんなつもりはなかったしただ妖花たちを逃したい一心で現実改変を起こしたんだから。僕はすぐに妖花たちに叫ぼうとしたがメロン隊長の条件のせいで僕は何も弁解できなかった。

「そ、そんなわけ…。」

「今お前らが追い詰められてるのがその証拠じゃねえかよ、ええ!?」

メロン隊長がそう叫ぶと妖花は俯いて両手を空にあげた、降伏したんだ。

「妖花!?何やって…」

「もう無駄です、諦めましょう。こんな状況から逃げ出す手段は思いつきません…。」

そう妖花がいうと彩花も続いて両手をあげた。

「対象が降伏した!全員再収容の用意しろ!」

メロン隊長の叫びを聞いたと同時に機動部隊たちが妖花と彩花を拘束した。

「よくやったぞ夢崎、これでみんな生き残れてハッピーじゃないか。」

メロン隊長は笑顔でそんなことを言ってくる、この人は悪魔だ、鬼なんだ。

すると機動部隊の人たちが僕も拘束したが僕は抵抗しなかった。

「じゃあ独房生活楽しめよ〜、明日お前らの独房にまた行ってやるからな〜。」

メロン隊長の叫びは僕の耳には届かなかった、これで妖花達はもう僕のことを裏切り者と嫌うだろう。そしたら僕は…また独りだ…。そして僕たちは別々の独房に入れられた。


独房内で一睡もできずに一日がたった、しばらく天井を眺めているとメロン隊長が入ってきた。

「やあ、よく眠れたかい?収容室に戻るぞ。」

そう言ってメロン隊長は僕を引きずって収容室へ放り込んだ…そこには妖花と彩花も既に座っていた。そしてメロン隊長が思い切り収容室のドアを閉めたのでその音で妖花たちが振り返った。

「夢崎!!」

そう叫ぶと妖花は僕のほうに走ってきた、僕は殴られるかと思い目を瞑ったが-
気がつくと妖花は僕に抱きついていた、目からは大粒の涙を流している。

「え…?妖花?何で…。」

「無事で良かったです…あの人に殺されたんじゃないかとずっと心配だったんですよ…。」

「でも僕は…妖花たちを裏切って…。」

「あの人に脅されてやってた事なんて分かってますよ、夢崎がすごく苦しそうな顔をしているところを見ましたから…。」

「でも…でも僕が裏切らなければ妖花達は逃げ切れて…。」

「夢崎を置いて逃げられるわけないでしょ!私たちだってそんな酷い人じゃないんだから!」

彩花も近づいてきて僕を抱きしめてくれた、気がつけば僕は目から大粒の涙を流していた。

「妖花…彩花…ごめん…ごめんよぉ…僕のせいで…。」

「いいんですよ…私たちは家族なんですから。」

僕は妖花の胸に顔を埋めて大声で泣いた。


「ガキどもぉ、いいニュースがあるぞ。」

1時間後メロン隊長が収容室に入ってきて早々そう言い放った。

「何ですか…?また私たちを拷問するんですか…?」

妖花はいつも通りメロン隊長を睨みつけた。

「いや、お前らもう収容されねえし。」

「「「…え?」」」

僕たちは同時にそんな声を出した。隊長は何を言ってるんだ?僕たちがもう収容されない?そんなことを考えているとメロン隊長は僕たちに1枚の紙を放り投げてきた。その紙にはこう書いてあった。

夢崎、妖花、彩花の収容を中断する。彼らの異常性は人類に危機を及ぼす可能性は少なく彼らを財団に雇用すれば活躍を期待できると判断したからです。彼らが財団に敵対的な行動をとった場合私がことを終わらせます。
コードネーム:メロン 機動部隊く-11(果物狩り)指揮官

「つまり…僕たちは…もう収容されない…?」

「ああ、お前らはもう収容されない。だが条件があるぞ。」

「この書類に書いてある…財団に就職しろってことですか?」

僕より先に妖花がメロン隊長に聞いた。

「その通り、だが俺はお前らの大脱走のせいでお前らの担当を外されたからな…職員は別になるがお前らが通う予定の学校は俺が手続きしといてやる、もうすぐ奴が来るから待っときな。」

そう言ってメロン隊長は収容室から出て行った。

そして数分後に女の人…氷麗咲花が入ってきた。

「みんな〜、今まであんな蛆虫と一緒で辛かったよね…大丈夫だよ!これからは私が君たちの面倒を見るから…私は氷麗咲花、よろしくね。」

そこからは早かった。収容室から出されて寮に入れられ、財団傘下の学校に入学…


「そんなことがあって僕たちはここにいるんですよ。」

「そんなことが…すごい経験してたんだなあ…。」

そんなことを話しているとメロン隊長が起き上がった。まだベロンベロンに酔っ払っている。

「フィ〜…飲んだ飲んだ…ってやべえ!昼に機動部隊員と訓練があるんだった!」

そう叫ぶとメロン隊長はグラウンドへと走って行った。

「何やってるんでしょうかあの人は…。」

後ろから妖花の声がした。

「よお、妖花じゃん。なんか用?」

「少し夢崎と話がしたくてですね…ちょっと夢崎を借りていいですか?」

「いや、俺はいいけど…。」

「どうしたの?何か用事?」

「いいから少しついてきてください。」

妖花は真面目な口調でそう言ってくる、もしかして何か書類を忘れちゃったかな…?

「今夜彩花と一緒に居酒屋に行くんですよ、夢崎も一緒に来ませんか?」

「え?急にどうしたの…?」

「最近仕事で忙しくて家族で飲みに行けなかったじゃないですか、夢崎の今夜の予定は無理やり開けておいたので一緒にいきましょうよ。」

妖花もたまにすごいことをする。

「…うん、行きたい。」

「なら今夜7時に集合ですよ、忘れたら怒りますからね?」

そう言うと妖花はニヤッと笑って立ち去っていった。

…僕はなんだかんだ言って家族のみんなと一緒ならどんな状況でも乗り越えられるような気さえする、これから財団でなにが起きてもぼくたちならきっとどうにかできるだろう。


ページコンソール

カテゴリ

SCP-JP

本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

GoIF-JP

本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

Tale-JP

本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

翻訳

翻訳作品の下書きが該当します。

その他

他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。

コンテンツマーカー

ジョーク

本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。

アダルト

本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。

既存記事改稿

本投稿済みの下書きが該当します。

イベント

イベント参加予定の下書きが該当します。

フィーチャー

短編

構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。

中編

短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。

長編

構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。

事前知識不要

特定の事前知識を求めない下書きが該当します。

フォーマットスクリュー

SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。


シリーズ-JP所属

JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。

シリーズ-Other所属

JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。

世界観用語-JP登場

JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

世界観用語-Other登場

JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

ジャンル

アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史

任意

任意A任意B任意C

ERROR

The Fe MELON's portal does not exist.


エラー: Fe MELONのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:7026344 (27 Nov 2020 23:35)
特に明記しない限り、このページのコンテンツは次のライセンスの下にあります: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License