Santa's Christmas Presents

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1の出現場所の真下の住宅は現在財団により買収されています。SCP-XXX-JP-1の目撃者には記憶処理を施してください。

説明: SCP-XXX-JPは、毎年12月25日8:00に日本国内の5歳以上10歳以下の児童一人(SCP-XXX-JP-1)に発生する異常現象です。SCP-XXX-JP発生時、SCP-XXX-JP-1が居住している施設の半径m以内に9体の人型実体(それぞれSCP-XXX-JP-2に指定)が出現します。全てのSCP-XXX-JP-2は毛皮の衣服と仮面を着用しており、頭部に枝角を有しています。また、SCP-XXX-JP-2は非常に高い腕力と負傷に対する耐性を持っていることが確認されています。

出現後、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1が居住している施設へ侵入し、SCP-XXX-JP-1を施設外に連れ出した後にSCP-XXX-JP-1とともに消失します。前述の腕力・耐久性により、SCP-XXX-JP-2のこの一連の行動を阻止する試みは全て失敗しています。

SCP-XXX-JP-2が出現した翌年の12月24日22:00に、SCP-XXX-JP-1が居住していた施設の上空1███mにSCP-XXX-JP-1が異常な破壊耐性を持つと思われる橇に乗った状態で出現します。SCP-XXX-JP-1の服装は、消失した際のものと同一です。出現後、SCP-XXX-JPと橇は日本国内に存在する10歳以下の児童が居住している全ての施設の上空を翌日5:00までに通過するルート・速さで飛行を開始します。この際、橇の周囲10mに不可視の障壁が出現するため、SCP-XXX-JP-1の救出は不可能だと考えられています。。飛行中にSCP-XXX-JP-1が死亡するとこの飛行は中断され、SCP-XXX-JP-1が乗っていた橇と周囲の障壁が消失しSCP-XXX-JP-1は落下します。SCP-XXX-JP-1が上述の条件を満たす全ての施設の上空を通過すると、SCP-XXX-JP-1は橇とともに消失します。この場合、翌日の12月25日にはSCP-XXX-JP-2は出現せず、翌年の12月24日には前年に消失したSCP-XXX-JP-1が再出現し、同様の飛行を行います。なお、飛行中のSCP-XXX-JP-1は異常な耐性は持っていないため、SCP-XXX-JP-1が飛行を完遂したとみられている事例は極めて稀です。また、SCP-XXX-JP-1が上空を通過した施設内の全ての睡眠中の10歳以下の児童の半径1m以内に、非異常性の物品(以下、SCP-XXX-JP-3)が出現します。SCP-XXX-JP-3は玩具や図書など現在に至るまで██種類が確認されています。SCP-XXX-JP-1の死亡後、出現したSCP-XXX-JP-3全ての市場価格の合計額がSCP-XXX-JP-1の保護者の口座から引き落とされます。口座残額が合計額に満たない場合、不足分の価値を有するSCP-XXX-JP-1が所持する実物資産や、SCP-XXX-JP-1及びその保護者の臓器が消失します。回収されたSCP-XXX-JP-1の遺体のうち██体は一つ以上の臓器が消失した状態で回収されており、このうち2体は全ての臓器が消失しています。

補遺1: 以下は、SCP-XXX-JP-2によるSCP-XXX-JP-1の拉致の阻止を財団が試みた際の映像記録です。当該SCP-XXX-JPは19██年に発生したものであり、この年にSCP-XXX-JP-1となったのは██県██市███区在住の██ あかり氏(7)です。

映像記録-XXX-JP

付記: SCP-XXX-JP-2の出現が確認された直後に、出現地点付近で勤務していたエージェント・柊とエージェント・聖が派遣されました。


<記録開始>

[一般的な二階建ての住宅が映し出される。]

エージェント・柊: 1-2-18、ここであってますね。

エージェント・聖: そうだな。出現地点付近の子供のいる家はこの家だけだ。早く子供を保護しよう。

[エージェント・聖が住宅のインターホンを鳴らす。数秒後に男性の声(SCP-XXX-JP-1の父親のものだと思われる)が応答する。]

男性の声: どちら様ですか?

エージェント・聖: ███警察署の者です。██さん、落ち着いて聞いてください。あなたの娘が誘拐の標的となっている可能性が高いと我々は考えています。

男性の声: え、ゆ、誘拐!?

エージェント・柊: 私たちは、あなたの娘を保護するために派遣されました。必ず娘さんをお守りしますので、少しの間だけ私たちで預からせてもらえますか?

男性の声: わ、わかりました。少し待ってください。

[インターホンの接続が切れる。]

エージェント・柊: すんなり応じてくれてよかった。聖さん、僕本部に連絡を──

エージェント・聖: おい柊、後ろ!

[カメラが振り返る。9体のSCP-XXX-JP-2が歩いて住宅に接近している。]

エージェント・聖: クソ、思ったより早かったか。

エージェント・柊: (ドアに向かって)██さん!我々がいいと言うまで絶対に扉を開けずに家の中で隠れててください!聞こえますか!?娘さんと奥さんもどこかに隠れていてください!

エージェント・聖: 柊、とりあえず説得してみるぞ。

エージェント・柊: わかりました。

エージェント・聖: (1体のSCP-XXX-JP-2に向かって)待ってください、どうしてあなたたちはここに来たんですか?

[SCP-XXX-JP-2がエージェントらの前で足を止める。]

SCP-XXX-JP-2: 中の子供に用がある。邪魔だ、どけ。

エージェント・聖: 子供をどうするつもりですか?

[SCP-XXX-JP-2が舌打ちする]

SCP-XXX-JP-2: いいか、俺たちは日本の子供達に幸せを振りまく活動をしてる。いつからだったか、あの方を崇拝していたら力を手に入れることができて、それから俺たちは後を継ごうと活動を始めた。ただ俺たちの活動には一人の子供の協力が必要なんだ、わかったらとっとと帰れ。

エージェント・聖: 待ってください!あの方って──

[SCP-XXX-JP-2が背後から鉄パイプを取り出し、それをエージェント・聖めがけて振り下ろす。エージェント・聖は身をかわし、SCP-XXX-JP-2の拳を回避する。背後でドアが外れた音と思われる音、続いて女性の悲鳴]

SCP-XXX-JP-2: 行くぞ。

[全てのSCP-XXX-JP-2が住宅に侵入する。]

エージェント・柊: 大丈夫ですか、聖さん!

エージェント・聖: あぁ、それより子供を早く保護しないと。俺たちも行こう。

[エージェント達が住宅に突入し、住宅のリビングの様子が映し出される。リビングの隅には高さ1m程のクリスマスツリーが設置されており、その根本付近には乱雑に破り捨てられた包装紙が散らばっている。]

[二階から複数の悲鳴]

[エージェント達は階段を登り、二階の寝室に入る。3体のSCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-1の腕を掴み引っ張っている。SCP-XXX-JP-1の母親は泣きながらSCP-XXX-JP-1の胴体にしがみついており、父親は1体のSCP-XXX-JP-2に組みついている。残りのSCP-XXX-JP-2は両親をSCP-XXX-JP-1から引き離そうとしている。SCP-XXX-JP-1は片手に████社のものと思われる人形を手に持っており、大声で泣いている。]

父親: 離せ!クソ!

母親: やめて、やめてください、お願いします…。連れて行くなら私を…。

SCP-XXX-JP-2: あ? ババァに用はねえんだよ、いい加減諦めろ!

エージェント・柊: そこまでだ!子供を解放しろ!

SCP-XXX-JP-2: まだいたのかお前ら。物分かりが悪いな、これは慈善事業なんだよ。

エージェント・聖: 小さな子供の命を脅かしといて何が慈善事業だ。早く子供を解放しろ、これ以上手荒な手段はとりたくない。

SCP-XXX-JP-2: こっちの台詞だ。もう諦めろ。

エージェント・聖: クソ、仕方ない!

[エージェント・柊が子供の腕を引っ張っているSCP-XXX-JP-2に向かって即効性の麻酔銃を発射する。SCP-XXX-JP-2に麻酔弾が命中するものの、SCP-XXX-JP-2は動作を停止しない。]

エージェント・柊: ダメか!

[SCP-XXX-JP-1の母親が顔を上げ、麻酔銃を構えるエージェント・聖を視認する。その姿に母親は怯えた様子で短く叫び声をあげ、一瞬SCP-XXX-JP-1にしがみつく手を緩める。その隙にSCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-1を母親の腕から引き抜き、そのまま一体のSCP-XXX-JP-2が肩にSCP-XXX-JP-1を担ぐ。父親に組み付かれていたSCP-XXX-JP-2が父親を払いのけ、全てのSCP-XXX-JP-2が寝室の出入口への移動を始める。]

母親: あっ、あぁ、あぁぁぁぁぁ。

父親: うわぁぁぁぁぁ!

[父親がナイトテーブルに置かれたランプを手に持ち、SCP-XXX-JP-2の後頭部をランプで殴りつける。ランプは破損したがSCP-XXX-JP-2は反応を示さない。全てのSCP-XXX-JP-2が寝室を退室する。SCP-XXX-JP-2はそのまま住宅の外まで移動し、SCP-XXX-JP-1ごと消失したと思われる。]

[エージェント達は階段を駆け下り、玄関扉を開けて外に出る。玄関には先ほどSCP-XXX-JP-1が所持していた人形が落ちている。SCP-XXX-JP-2の痕跡はない。]

<記録終了>


備考: 当該記録から、SCP-XXX-JP-2が麻酔耐性を持っていることが発覚しました。また、異常性に関係のない一般人に危害が加わる可能性のある行動をした事によりエージェント・聖には一週間の謹慎処分が下されました。

補遺2: 過去の記録より、SCP-XXX-JP-1出現中に新たに玩具を譲渡された児童の上空をSCP-XXX-JP-1が通過してもその児童の付近にはSCP-XXX-JP-3が出現しないことが確認されました。以下は、その性質を確認するために実施された実験の記録です。

実験記録XXX - 日付19██/12/24

実施方法: SCP-XXX-JP-1の再出現が確認された際、付近の施設に居住している睡眠中の10歳以下の児童の側に事前に購入・包装された携帯用ゲーム機を置く。対象となる施設は三軒である。SCP-XXX-JP-1がそれらの児童の上空を通過したら、SCP-XXX-JP-1を殺害する。

結果: SCP-XXX-JP-1の再出現位置から最も近い条件を満たす三つの施設を対象に実験が行われたにも関わらず、SCP-XXX-JP-1は対象施設らとは別の方向へ飛行を始めた。また、対象施設のうち一軒はトラブルにより実験を実施できなかったにも関わらず上記の結果となったことは留意すべきである。SCP-XXX-JP-1は殺害された。

分析: SCP-XXX-JP-1のルートは、条件を満たす施設のうち「居住している児童にSCP-XXX-JP-1の出現期間中に物品を譲渡する」意思を持った人物が存在しない施設のみの上空を通過するものだと分析されました。

上記の分析から、プロトコル・ループレヒトが策定・実行されました。

プロトコル・ループレヒト概要:


本プロトコルは、メディアの操作によるSCP-XXX-JPの効果的な収容を目的としています。内容はクリスマスの伝統に倣い、日本国内の親に自身の子供にプレゼントとして玩具を買い与える風習を定着させることです。このプロトコルにより、毎年のSCP-XXX-JP-1出現時に国内全ての児童それぞれに対し物品を譲渡する意思を持った人物が存在する状態を発生させることでSCP-XXX-JP-1の飛行を出現と同時に終了させ、SCP-XXX-JP-2の出現も阻止しSCP-XXX-JPによる影響を最小限に抑えられることが期待されています。

プロトコル・ループレヒトの実行から█年後以降、SCP-XXX-JP-1が通過する条件を満たす施設は存在していません。これにより、SCP-XXX-JPの現在の異常性は毎年12月24日に██県██市の住宅の上空1███mに████氏1が出現し、即座に消滅するのみとなっています。これを受け、SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルは更新され、オブジェクトクラスはEuclidに改定されました。

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