我らが救世主。殺したまえ。終わらせたまえ。

記事カテゴリが未定義です。
ページコンソールよりカテゴリを選択してください。


気が付くことはなかった。
当然彼は夢を信じていなかったとも。
夢は信じていなかったが、文学に夢を見ていた。
将来の展望は微塵も無くとも。
寝て目が覚めれば明日が来ることを心底呪っていようとも。
確かにそこには限りのない夢の世界が広がっていた。
現を離れて文字が想起させる情景に心を浸す。
未来なぞ無くても良い。
過去など至極どうでもよい。
それこそが彼の第一信条であった。
そんな彼にもたったの一つだけ。
一つだけ。
誰にも奪わせるつもりのない生来の望みが存在していた。
死に様こそ尋常に。
ただその一念だけが彼を生かし続けていた。
俺だけはそれを知っていた。

親不孝等は構わぬ。
友人知人各々勝手にせよ。
俺だけは、俺だけは順当に死ぬ。
当たり前に生きて当たり前に死ぬ。
死は俺を他ならぬ無欲の機構と変貌させ、
永劫の平穏の果ての都市を統治する
偉大にして至高の先導者の地位を確約するだろう。
さらば我が同志たち。
さらば日本国。
さらば生命。
さらば。

教派神党
廻天主教教徒
新目丈澄

遺言往来集「死出之帖」より抜粋。


世界から死は消えた。
幾星霜の年月の末に死は伝説と成り果てた。
我々に終わりは無くなった。
たった今ここで私の話を聞いている者たちの中には。
死というものの存在を創作に過ぎないと。
ただの老人の戯れ言だと。
そう考えている者は数多くいるだろう。
しかしそれは傲慢な思い上がりに過ぎない。
確かに死はあった。
死を直接知っていたかの先人達は、
もはや白痴の残骸と成り果ててはいるが。
彼らは耐えきれなかったのだ。
死の無い人生に。
彼らにとっては救いだったのだ。
生命は終わりに向かっているという事実が。
後悔も恥も慚も愧も。
全てはいずれ精算され、誰もが救済される、
遥かなる楽土が待っているだろうことが。
しかし、嗚呼。残念だが。
彼らの信仰の末路は君たちが見ている通りだ。
所詮は空虚な妄想、空想、うつせみの群がる大樹よ。
だがしかし。
それが我らが信じない理由になるだろうか。
我らが死という偉業を為せない理由になるだろうか。
否。断じて否である。
かの先駆者たちが達成出来なかったこと。
かの偉人たちですら諦めざるを得なかったこと。
私は成し遂げてみせよう。
無論、至極望ましい形でだ。
君たちがすべきことはたったの一つ。
探せ。
世界の果ての更に果て。
地球を飛び出て異星まで。
それでも飽きねば世界の裏側、次元の彼方へも。
須臾の一時、終古の隔て。
我々にとっては一切取るに足らない。
我々は万代不易の軍勢だ。
終わりを希求する人々の、正面こそ我らが居場所。
遍く世を浚え。
常しらえの生命を死に至らしめよ。
探索とはそれ即ち死の具現。
探求の啓蒙は求める終末への最たる近道である。
我が考えを、我らが思想を広めよ。
例外無く人口に膾炙させるのだ。

ERROR

The Ishioka's portal does not exist.


エラー: Ishiokaのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:6925720 ( 15 Oct 2020 11:39 )
layoutsupporter.png
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License