勝森博士のサードインパクト
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平行世界を観測する超宇宙業務部門の職員である彼にとって、平行世界はごく普通の存在という認識だった。一般から見れば異常だから財団が隠しているだけであって、そこに平行世界が存在することは何一つ以上では無いというのが彼の持論だった。

そんな平行世界から今日は訪問者がやってくる。普段は通信でのやり取り(主に定期報告)だけなのだが実地を踏んだ方が分かりやすいとのことで人員を一人こっちに送る、という連絡が来たのだ。一応セキュリティクリアランス3の人間だから出来るだけ丁重に扱え、という二つの指示はこちらの世界とあちらの世界、どちらの上も考えることは同じという事を示していた。

という事情があり今日の彼は落ち着かなかった。彼も研究員とはいえ財団職員だ、貧乏ゆすりなどで露骨に態度に出さないようにする訓練は受けている。理由は大きく分けて二つ。一つは上からの指示を守れなかったらという不安である。珍しい平行世界からの訪問者、しかも別世界基準とはいえ自分よりクリアランスの高い人間の応対である。彼が緊張しないはずがない。

二つ目は、そもそも平行世界からの訪問者などは漂着者を除けばほぼ皆無であり、その漂着者も対策部門の人間以外はめったにお目にかかれないレアな存在だったからだ。その応対をするのだから彼が緊張しないはずが  あった。

実際のところ、彼が緊張していたのは主に前者が原因である。後者に関して、彼は期待の感情しか抱いていなかった。普遍的に存在するものの直接触れることは叶わない、そんな存在との邂逅に期待しない方がおかしいのだった。

彼は腕を軽く動かして腕時計を見る。時計は予定の時間より一時間前を指していた。




今日のはいつにも増して苛立っていた。それがもはや恒例行事であることを知っている職員たちが彼のそばを何かを囁きながら通り過ぎていく。

理由は勿論競馬で負けたからだった。しかも煽ってきた研究員を殴り飛ばしたせいで一か月の間競馬禁止をサイト管理官に通達され、そして禁止明け初めての結果がこれだったため非常に気分が悪い。ストレスのやり場が無いから余計に苛立つ。同僚に八つ当たりするのが間違いだという正論は求めていない。

今日はサイト-8127に平行次元から客人がやってくる。おそらく後ろからついてきている職員は苛ついている俺が客人に非礼をしないように見張っているのだろうか。さすがに初対面の奴に当たり散らすほど俺も酷い人間ではないのだが。


tale jp



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執筆者: Dr_kuronecko
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最終更新: 03 Mar 2021 13:01
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