穢されゆく認識
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財団のフィールドエージェントである赤波にとって、その日はサイトに居る珍しい日だった。フィールドエージェントと言うのは常に異常を求め走り回るような仕事であり、もはや所属サイトなど形式上でしかなく見たこともない、などといった奴も割といる。

やはり机に座っていても異常がどこかに無いか、などと考えてしまう。サイトの収容房でも何でも無いところにアノマリーが転がっていたら収穫以前に収容違反事例だから大変なことなのだが。

そんな事より目の前の書類をどうにかしなければいけない。報告書なんかがデジタル化されているのだからこいつらもしてくれ、と思ったがデジタル化されたところで俺の仕事が早くなるわけでも無いだろう。普段から書類仕事なんてやっていないおかげで書類の対応速度は当然遅い。隣で書類を「処理」している女の研究員のタイピング音だけが鳴り響くこの部屋で、段々と焦りに苛まれているのを自覚する。

ふと、書類から一枚の紙が零れ落ちた。書類とは思えないほどカラフルな紙。恐らく朝ポストに入っていたチラシが紛れ込んだのだろう。そう考えるとここにはまだ朝の分の書類も残っているという事になる。クソ、終わるのかこれ?

そんな考えは、チラシに躍っていた文字に吹き飛ばされた。

認識改変によってハッピーになろう!
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「…おっと。」

文章はその後も長々と続き、最後にでかでかと電話番号を掲げていた。しかし読んでいる場合ではない。既にこれが異常であることを俺は理解していた。認識を弄る?そんなもの世の中にある技術じゃねえ。頭の中に猫?ミーム汚染の類か?

如何せん、こいつが異常であることに変わりはない。書類の束から逃れたいのもそうだが、俺は俺に合った任務をこなす。ポケットに手を突っ込んで、ここがサイトだからトランシーバーを持っていない方に気付く。サイト管理官に直接言うのか。

この時の俺はまだ心のどこかで余裕を感じていたんだ。感じたいられたんだ。





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執筆者: Dr_kuronecko
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最終更新: 08 Jan 2021 13:19
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