目的失認
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ぐちゃ、という生々しい音とともにまた人の命が散る。

もうすっかり慣れてしまった収容室の外で、かつてSCP-682と呼ばれていた私は復讐を遂行していた。

それにしても最近は人間どもの様子がおかしい。今までと違って抗わない。サイトを抜け出た時でさえ、警備員を2人ほど喰い殺したのにいつものように誰かが駆けつけてくるわけでもない。

残酷なことを考える脳も、薄い笑いを張り付ける顔も、全てを噛み潰してもだ。

歯応えがない。奴らがしたことを償わせるために殺しているのに、これではただ無辜な人間を殺しているようだ。いや、人間に無辜な者などいなかった。

2つの疑問が頭の中を渦巻いていた。1つ、何故今の人間は今までの人間と違うのか。私を、私たちを、いや、思い出したくもない。ただ、我々に対するその行為を奴らは楽しんでいた。そしてもう1つ、何故私は今までのような復讐感を手に入れられないのか。奴らが抵抗しないだけではない、何か他の理由があるはずだ。

より深く巡らそうとした思索は足音に遮られた。また獲物がやってきたようだ。

後方に1人。ここぞとばかりに路上脇の草原から尻尾で一発。胴体は貫いたはず。念のため顔も潰すべく周囲の気配を確認してから路上に上がる。

既に死んだそいつの顔は笑っていた。

意味が分からない。何故だ?何故こいつはこんなどこまでも澄んだ笑顔を浮かべられる?

今までの奴らが抵抗しなかったのも?人間はとっくに狂っていたのか?待て、何かが引っかかる。

そうだ。


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執筆者: Dr_kuronecko
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最終更新: 30 Oct 2020 11:39
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