そして目を開けて
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子供の頃から、目を逸らすと別の世界が見えた。

俺はそれを他の世界の自分がどんな風に生きてるのか見るのに使ってた。それぞれ生き方も生まれた環境も違って、面白かった。

別世界の俺は俺が見てることに気づいてないみたいだった。1人だけ、俺と同じように目を逸らせる奴がいた。そいつも俺が見てることには気づいて無かったようだが、少しだけそいつのことは気に入っていた。

そいつは俺と違ってあまり恵まれていなかったから、能力をフル活用して生計を立ててた。そいつが偶に呟く独り言のような自戒で、自分より下の自分を見下して優越感に浸るとか俺もどんだけクソみてぇな生き方をして来たんだよと気付かされたりもした。

ある日いきなりあいつの姿が見れなくなった。俺はあいつを探すために必死で目を逸らした。それでやっと別世界の俺たちがどんどん死んでいってることに気付いた。

俺たちが死にまくってることを隠そうとする組織もいた。まあそいつらのおかげである程度の状況は知れた。奴らの組織を探ってくれたケイゴという名前の俺には感謝してる。

全てに驚いた。俺たちが死んでいるのは飛び回る銃弾が原因であること。俺たちの死は隠されなければいけないこと。何より驚いたのは銃弾をぶっ放したのが目を逸らせるあいつだったってことだ。俺に少しはマシな生き方をすることを教えてくれたあいつが。


プロローグのような過去を2秒ぐらいで考えた。さっきピンポンが鳴った。タイミング的に組織の奴らだと思う。何故だか分からんが、組織の管轄内では死にたくねえ。あいつが組織の敵みたいな死に方をしたから、俺もそれに準じてやるよ。

すぐにそこらへんにあった適当なものをドアの前に詰め込んで軽いバリケードを構築する。これで少しは時間が延びる。あとは脱出口だ。窓の外を見る。奴らは正面しか囲んでないみたいだ。窓を開け、外に出る。靴は…バリケードに使っちまったか。上着を着る余裕は無いが、寒さには強い方だから大丈夫なはず。

窓を開け体を滑り込ませるようにして外に出る。足裏にアスファルトが冷たさを伝えてくる。夏よりマシだ、と自分を奮い立たせる。そのまま入り組んだ路地裏に向かえる道へ小走りで向かう。奴らはまだ気付いていない。目を逸らす要領で横目で別世界を見る。俺が死ぬまであと大体1時間半。1時間半?逃げ切れるか?いや、やるしかねえ。24時間前に捕まえるようなしっかりした奴らじゃなくて助かったぜ。


「よお。」

バーに入るや否やいつもの奴が声をかけてきた。飲み仲間だが名前は知らない。

俺はああいう「国家権力」みたいなやつはこういうところを嫌うと知っていた。それにここは家から割と離れている、45分、いや1時間くらいは大丈夫だ。


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執筆者: Dr_kuronecko
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最終更新: 21 Oct 2020 12:35
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