耐え抜いた妄想

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クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP 耐え抜いた妄想
著者: ©︎Dr_kuronecko
作成年: 2020

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPへの侵入口の周囲2kmはエリア-8173に指定されます。財団関係者以外のエリア-8173への立ち入りは禁じられ、侵入者が現れた場合は即座に終了してください。SCP-XXX-JPへの探査派遣計画は現在凍結されています。

説明: SCP-XXX-JPは██県██村に発生したポータル（以下「侵入口」と記載）より侵入が可能な異世界です。SCP-XXX-JP内は「赤みがかった」と表現される地面、空とSCP-XXX-JP-Aで構成されています。

SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP内に存在する実体です。SCP-XXX-JP-Aは現在財団が収容を行っているオブジェクトを模したもののみ出現されています¹。

追記: SCP-XXX-JP内に人間が侵入している場合、ランダムな頻度でヒューム値の変動が確認されました。この現象とSCP-XXX-JPとの関係は現在調査中ですが、SCP-XXX-JPが何らかの形で現実改変を引き起こしている可能性が存在します。

以下は過去に行われたSCP-XXX-JP内部の探査記録です。

+ 探査記録XXX-JP-1

探査: D-51732

記録: 加藤博士

所持物品: 記録用スピーカーのみ

<記録開始>

D-51732: 入ったぞ。

加藤博士: 中の状況を報告してください。

D-51732: なんか、赤い。そんな鮮明な赤さじゃなくて、掠れたような、そんな感じだ。

加藤博士: ほかに周囲に何か見えるものは？

D-51732: 道がある。今俺がちょうどいるところだ。あと、片目のロボットみたいなやつ²がいる。

加藤博士: 接触を行ってください。

D-51732: はいはい。って、お？

加藤博士: どうかしましたか。

D-51732: いや、さっき道の上にいるって言っただろ？その道の上から動けないんだよ。道の中は自由に動けるみたいなんだけど。

加藤博士: そうですか。道を進むことは出来るのですね？

D-51732: ああ。後ろに道はないから、前にしか進めないけどな。

加藤博士: 分かりました。道を進んでください。

D-51732: 言われなくてもそうするよ。

(以降5分間会話なし)

D-51732: 博士、海だ。

加藤博士: 何か物品はありますか。

D-51732: ああ。生き物みたいのがいる。ドロドロに溶けてやがる。やけに口が長くて、変なものがぶっかかってる³。道の外に行けてもあんなのが居たら入りたくねえな。

加藤博士: 不要な発言は慎んでください。

D-51732: あいよ。

(以降14分間会話なし)

D-51732: なあ。そろそろ帰ってもいいか？

加藤博士: 他に有益な情報がもう得られないのなら。

D-51732: 分かった。

(5秒後、D-51732が侵入口から2m離れた地点に出現。即座に回収された。)

終了報告書: D-51732は帰還を心の中で望み3秒間目を瞑ることでSCP-XXX-JP内からは離脱でき、またその方法はSCP-XXX-JP内に侵入した直後から認識していたと証言。発言が虚偽である兆候は見られなかった。

+ 探査記録XXX-JP-2

探査: エージェント・箆鹿

記録: 加藤博士

所持物品: 記録用スピーカーのみ

付記: 前回の探査においてSCP-XXX-JP内からの帰還は容易であること、SCP-XXX-JP内にはオブジェクトを模した物体⁴が存在することからオブジェクトに関する知識を多く持つエージェント・箆鹿が探査員に選定されました。

<記録開始>

エージェント・箆鹿: 成程ね。現状、オブジェクトのような物品は見られない。足元には道があり、今俺はその上に立っているという状況だ。

加藤博士: 了解です。SCP-XXX-JP内ではあなたが今立っている道の外に移動は出来ません。道に沿って進み、何か発見した場合は報告してください。

エージェント・箆鹿: 分かった。

(以降4分間の沈黙)

エージェント・箆鹿: 人がいる。

(異世界転移に用いられる呪文の一節が観測される。一節を繰り返しているのみで呪文の効力を行使する様子は無い。)

エージェント・箆鹿: ローブの背中にエルマ外教の紋章がある。道の外に居る、どこかに外に出れるところがあるのかも知れない。

(呪文のリズムが変化する。SCP-1139-JP-Aのものと思われる歌声が呪文に重なり同じリズムになる。)

エージェント・箆鹿: SCP-1139-JP-Aを確認。抵抗作用のある薬品を服用していないにも関わらず異常性を受けない理由は不明。また、この付近に道から出られる場所は無い。

加藤博士: 了解しました。呪文に効果がないことが確認されたため、先に進んでください。

(以降2分間会話なし)

エージェント・箆鹿: これはシチューか？

加藤博士: シチュー、ですか？

エージェント・箆鹿: ああ。俺の知る限りだとシチューの形をしたオブジェクトは無い⁵。クリアランスが足りないなら教えてもらわなくてもいい。

加藤博士: こちらでも現在詳細なオブジェクトのオブジェクトの特定には至っていません。

(以降26分間会話なし)

エージェント・箆鹿: 加藤博士。そろそろ帰還したい。今日はこれ以上進んでも収穫が無さそうだ。

加藤博士: 了解しました。事前に説明した手順に則り、離脱してください。

(4秒後、エージェント・箆鹿が侵入口より2m離れた地点に出現。即座に回収された。)

終了報告書: エージェント・箆鹿はSCP-XXX-JPへの侵入後事前に説明された帰還方法が「よりはっきり頭に浮かんだ」と証言しており、D-51732の証言と合わせてSCP-XXX-JPにはSCP-XXX-JPからの帰還方法を侵入者に理解させる異常性があると考えられます。

+ 探査記録XXX-JP-3

探査: エージェント・箆鹿

記録: 加藤博士

所持物品: 記録用スピーカーのみ

<記録開始>

エージェント・箆鹿: 侵入完了。って、ここは前回の続きか？

加藤博士: 前回道を進んだところに出たということですか。

エージェント・箆鹿: ああ。

(以降7分間会話なし)

エージェント・箆鹿: ん？これは。

加藤博士: どうしましたか。

エージェント・箆鹿: やったぞ。道の外に出られた。道の外に平行な道が急に見えたから出れるかと思って出てみたら行けた。どっちの道を辿る？

加藤博士: 新しく出現した道を辿って下さい。

エージェント・箆鹿: 了解。

(以降48分間会話なし)

エージェント・箆鹿: 終着点のようなところに着いた。

加藤博士: 何か物品はありますか。

エージェント・箆鹿: ああ、ある。ここからは見えない。近寄る。

エージェント・箆鹿: お、おい。

加藤博士: どうかしましたか。

エージェント・箆鹿: ダメだ。こいつは報告できない。

加藤博士: どういうことですか。詳細の報告が不可能な物品であれば、概要のみでも報告してください。

エージェント・箆鹿: 無理だ。全て理解しちまったから。こっちに来るなって。この空間自体が。

加藤博士: あなたは精神影響を受けている可能性があります。早急に帰還してください。

エージェント・箆鹿: 無理だな。こいつの前じゃ帰還なんて仕様がない。

加藤博士: それをあなたは知っているのですか？

エージェント・箆鹿: ああ。あんたも知っているはずだ。

加藤博士: お願いです、エージェント・箆鹿。早急に帰還してください。これは上司としてではなく、一人の知人としての頼みです。

エージェント・箆鹿: まあ帰還を試すさ。3秒あれば死ぬのには十分だ。

(以降6時間応答なし、通信切断)

終了報告書: SCP-XXX-JPの最深部に到着したエージェント・箆鹿は未知の精神影響を受けた可能性があります。この探査後、SCP-XXX-JPへの探査派遣計画は凍結されました。

Footnotes

1. オブジェクトの性質上同時に複数存在できないものや異常性発現条件を満たしても発現しないことなどから模したものであると確定した。

2. SCP-131と考えられている。

3. 収容当初のSCP-682と思われる。収容当初の状態で出現した理由は不明。

4. 当時SCP-XXX-JP-Aはナンバリングされていなかった。

5. シチューを模したオブジェクトは複数存在するため詳細な特定には至らなかったが、エージェント・箆鹿がクリアランス上閲覧できないという条件を加味するとSCP-████-JPが有力である。

批評いただきたい点
・インタビューに不自然な点は無いか
・純粋に面白いか

よろしくお願いします。

scp-jp euclid エルマ外教 ポータル 時空間 異次元 メタ 精神影響

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ページ情報

執筆者: Dr_kuronecko

文字数: 4931

リビジョン数: 12

批評コメント: 3

最終更新: 10 Dec 2020 10:13

最終コメント: 10 Dec 2020 10:13 by yanapppppu

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  SSSnext 19 Oct 2020 17:06

  異常な事が起こるダンジョンというのは、類似がいくつかあってもなお面白いと感じるシチュエーションではありますが、
  肝心のオチがあまり面白く感じられません。
  他SCPの幻影が出るダンジョンでエージェントがたかだか一人戦死しただけで終わりですか？

  Dr_kuronecko 21 Oct 2020 09:21

  SSSnextさん、批評ありがとうございます。
  オチはぼかしてあるのですが、自分でも難解だと思うので雰囲気だけでも楽しめる記事を目指しましたが楽しめなかったようですね。
  楽しめるための改善を努力いたします。

  yanapppppu 10 Dec 2020 10:13

  サンドボックス3オペレーターです。
  しばらく更新が見られないため、この下書きのステータスを「批評中断」にしました。下書き批評を受ける準備が整ったならば、お手数ですが、改めて下書きのステータスを「批評中」に変えていただくようお願いします。

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