取り返しのつかない失敗

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは現在未収容です。SCP-XXX-JPによる過去改変が持つ影響は依然不明瞭であり、研究が進められています。

説明: SCP-XXX-JPは一定条件を満たした人物の付近に極めて低い確率で発生する、穴状の空間異常です。SCP-XXX-JPの形状は直径およそ1m程の円形であり、厚さは一切無いと報告されています。確認された発生事例が1件のみであるため対象者の選定基準は未だ確定していませんが、「過去に大きな決断を行い、その結果に後悔している」という条件であると推定されています。SCP-XXX-JPは過去の世界らしき時空間に接続されており、接続先はかつて対象者が決断を下した地点に限定されています。SCP-XXX-JPには不可視の壁のようなものが発生し、物体の移動を防いでいますが、不明な原理により音声は壁を透過することができます。これにより対象者は過去の自分との会話が可能です。この時の会話によって過去の対象者が新たな決断を下した場合過去改変が発生しますが、対象者の記憶は影響を受けず、「過去に、未来の自分と会話したことがある」という記憶が新たに挿入されます。そのため対象者は決断に失敗した記憶と成功した記憶の二つを並立して保持します。対象者が過去の自分に対して自殺教唆を行い、結果として過去の自分が死亡した場合パラドックスが発生する可能性がありますが、その影響は対象者のみに収束するという仮説が財団超時間研究部門により提言されています。

確認されているSCP-XXX-JP発生事例はサイト-91所属の研究員であるアルフレッド・レミー博士の事例のみであり、彼自身によってその詳細が報告されました。なお、レミー博士は当該事例発生後長年に渡って報告を怠っていたという趣旨の発言をしており、職務規定違反として簡易的な調査が開始されました。
以下はレミー博士に対する聴取ログです。

対象: アルフレッド・レミー博士

インタビュアー: エージェント・アリス

<録音開始>

エージェント・アリス: 初めまして、レミー博士。調子はどうですか?

レミー博士: 問題ありませんよ、デイジー。……すみません間違えました。 私の娘に雰囲気が似ていて、つい。

エージェント・アリス: いえお気になさらず。早速ですが本題に入りましょう。まず初めに、貴方のもとに発生したSCP-XXX-JPの内容についてお話ください。

レミー博士: あれは確か、私がまだ30代の頃です。私は学生時代から付き合っていた同僚の女性と結婚し、娘と息子が生まれたばかりでした。財団でも次々に仕事が成功して、思い返すとあの時が幸せの絶頂でした。ただ余りにも忙しかったので、仕事がある程度落ち着いた私は休暇を申請して家族と西海岸へドライブしに行ったんです。それで……その帰りにあの事故を起こしました。やはり疲れていたのでしょう、普段はしない不注意が原因で道を外れて、気づいたときには病室にいました。すぐに同僚や看護師たちが駆けつけてきましたが、いつまで待っても妻や子どもたちが来ることはありませんでした。……単純な比喩ですが、毎日が悪夢そのものだったと記憶しています。寝ても覚めても全ての感覚が事故の瞬間を再現してくるんですよ。急ブレーキ、フラッシュ、悲鳴……。「どうしてあなただけ生きているの?」という声は大体2時間間隔だったでしょうか。1年、2年と経つごとに幻覚は治まっていきましたが、決して消えることはありませんでした。

エージェント・アリス: そしてSCP-XXX-JPが発生した。

レミー博士: ええ。事故から5年が経った日のことでした。空間の穴の向こうには旅行に出発する前の私がいて、意識よりも速く叫びました。「行ったら死ぬぞ!」と。すぐに空間は消え、鈍い頭痛がした後、私は記憶が変わっていることに気づきました。

エージェント・アリス: 財団にこのことを隠したのはなぜでしょうか?通常、このような場合職務への責任感があって然るべきであると上層部は考えています。

レミー博士: 無いわけではありませんが、何よりも家族を取り戻せた喜びが大きかったです。同時に、このことが明らかになったら家族が収容対象になるのではないかという恐れが湧いてしまって。

エージェント・アリス: ではなぜ今になって本当のことを?

レミー博士: それは……あなたにも分かるでしょう?過去改変の後のことを。私は自分のために家族に恐ろしい運命を背負わせてしまった。そして私も重い十字架を背負った。ずっと耐えてきましたが、もう限界でした。

エージェント・アリス: ……質問は以上となります。処分に関しては追って通知いたします。ご協力ありがとうございました。

レミー博士: あの、最後に一ついいですか。

エージェント・アリス: 何でしょう?

レミー博士: いえ、大したことじゃないんです。ただ、本当にデイジーにそっくりだと思って。……失礼ですが、お幾つでしょうか。

[エージェント・アリスが少しの間考え込む。]

エージェント・アリス:ええと……確か158歳になります。

<録音終了>



テーマ: Qualm(良心の呵責)


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  1. portal:6764686 ( 03 May 2021 09:21 )
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