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SCP-2705-JP

アイテム番号: SCP-2705-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2705-JP周辺は柵で囲まれ、センサーによって自動的に監視が行われます。また、一般向けにはカバーストーリー「台風被害」が流布されています。

説明: SCP-2705-JPは深さ1mの井戸とみられる構造物です。深度が非常に低いことから、SCP-2705-JPは掘削途中に放置されたと推測されています。外部からの水の流入量にかかわらずSCP-2705-JPはほぼ満杯の水量を維持しており、泥や藻類が大量に含まれています。 現在この異常性には変化が確認されています。

発見時、SCP-2705-JPの底には一片の人骨破片が沈殿していました。破片を回収し分析した結果、骨は生後間もない日本人男性のものであり、死後70年以上が経過していると断定されました。また、DNA情報は黒井幸寿郎1という男性と概ね一致しています。黒井氏はSCP-2705-JPから300m程の場所にかつて存在した「穂鳥村」にて生まれており、当該井戸との関わりが示唆されています。しかし骨のDNAデータは非常に不鮮明な上、一部黒井氏と明確に異なる部分が存在しており、分析結果の信頼性はやや低いと評価されています。 現在この分析結果には大きな疑義が生じています。詳しくは聴取記録2705-JPを参照してください。

以下は、上記の理由から収容初期にSCP-2705-JPとの関連が強く疑われた黒井幸寿郎氏へのインタビュー記録です。なお、便宜上エージェント・水井は自らの職を近代史研究者だと偽っています。
インタビュー記録2705-JP

対象: 黒井幸寿郎

インタビュアー: エージェント・水井

<録音開始, 2015/07/19>

[無関係な話題を省略]

エージェント・水井: それでは次に、黒井さんの生まれた頃や幼少期について教えていただけますか?

黒井氏: 私の家は元々東京にあったんですけどね、戦争が酷くなってきたんで母は疎開することにしたんですよ。その時は私はまだお腹の中だったので、母は苦労したでしょうなあ。それで、疎開してしばらくは何とも無かったんですがね、すぐに産気づいて動けなくなったそうです。酷い難産でした。村の女たちが総出で助けてくれたおかげで何とか私は元気に産まれたんですけど、母は結局ダメで。まあよそ者相手にここまで優しくしてくれた村にゃ感謝しか無いです。

エージェント・水井: そんな事が……。

黒井氏: 哀れに思ってくれたのか、村の皆は私を家族のように扱ってくれましてね。血のつながった兄弟はいなくとも、村の子供が兄弟代わりになってくれたおかげで寂しくはなかったです。村を離れても「兄弟」たちとは連絡を取り続けましたね。まあもう皆先にあの世へ逝っちまいましたけど。

エージェント・水井: 兄弟のようなご友人がいたことが心の支えになっていたのですね。では次の質問なのですが、こちらの写真を見ていただけますか?

[エージェント・水井がSCP-2705-JPの写真を取り出す]

黒井氏: ええと、ちょっと待ってくださいよ。……ああ! 知ってる、知ってる。確か村はずれにある変な井戸だ。「兄弟」たちとここへ一度冒険しに行って、怒られて……懐かしいなあ。

エージェント・水井: 怒られた理由などは覚えていらっしゃいますか。

黒井氏: うーんそれがよく分かんないんです。村のおっかない爺さんから「危ないから近寄るな」ってどやされた記憶はあるんですけど、なんか理由がぼやっとしてるっちゅうか。少なくとも、村の連中は皆話題にするのを避けていたような。そんなわけで、私はそれ以降井戸に近づくことはありませんでした。ま、田舎にはそういう不思議な場所ってのが一つくらいあるもんですよ。……あ、もしかしてこういうオカルト話はいらなかったですかね。

エージェント・水井: いえ大丈夫です。となると、井戸との関わりはほとんど無いということでしょうか?

黒井氏: そうですな。ほら、写真でも分かるくらい不気味でしょ。当時は私もガキなもんで、怖くてあんまり近寄れなかったんですよ。

エージェント・水井: 分かりました。これでインタビューを終了します。

<録音終了, 2015/07/19>

補遺(2015/8/3): SCP-2705-JP周辺に一般人の女性が侵入を試みる事案が発生しました。付近で調査活動を行っていたエージェント・子神によって女性は取り押さえられ、一時的な聴取の後に女性は解放されました。女性はSCP-2705-JP内の骨に関する重大な情報を供述していますが、科学的な立証結果ではないことに留意してください。

聴取記録2705-JP

対象: 三河 信子

インタビュアー: エージェント・子神

<録音開始, 2015/07/19>

エージェント・子神: こんにちは。まずあなたのお名前とご年齢などを用紙にお書きいただき、ここへ来た目的についてお話願えますか。

三河 信子: みかわのぶこ。歳はええと、確か83。大した目的はないけど、ちょっとそこの井戸が気になって。あるでしょ? 柵の向こうに。私はこの近くで生まれ育ったから知ってるのよ。

エージェント・子神: 現在台風の影響で立ち入りはできません。申し訳ありませんがお引き取りください。

三河 信子: もちろんそれも知ってます。一つ聞かせてほしいんだけど、井戸になにか不思議なものがあったでしょ。

エージェント・子神: と言いますと?

三河 信子: その、子供の骨とか。

エージェント・子神: ……少々お待ち下さい。

[三河氏が未開示の情報を認知していたため、SCP-2705-JPとの関わりを調査する旨の命令がエージェント・子神に下される。なお、この時機密情報の開示が限定的に許可された。]

エージェント・子神: お待たせいたしました。確かに人骨は発見されましたが、なぜあなたはご存知なのですか。

三河 信子: それは言えません。

エージェント・子神: 秘密は守ります。詳しくはお伝えできませんが、私は警察の人間ではありません。また、どのようなお話でも通報は致しません。

三河 信子: とりあえず、そこに隠してるレコーダーを止めてちょうだい。

[エージェント・子神がダミーの録音装置を操作する。]

三河 信子: 本当に止めてるんでしょうね。[装置を手に取る。] うん、問題ないわ。

エージェント・子神: では改めて、人骨について知っていることをお話しいただけますか。

三河 信子: ええ。あれは確か70年以上前、東京がまだ焼けてない頃だった。当時は戦争でどこもかしこも空襲警報が鳴り響いてて、こんな田舎でも平和だからって疎開しに来る人間が一人いたんです。その人は黒井という名前の若いお嬢さんで、村長の縁者だったから受け入れることになったんだけどね、村にきてすぐに倒れたもんだからもう村中大騒ぎになっちゃったの。どうも村に来る前に妊娠していたみたいで、すぐに出産させることになったんだけど……結局母親の方は死んだわ。ただ、赤子の方は息をしてたから村の皆で育てることが決まったのよ。

エージェント・子神: その赤子というのは、「黒井幸寿郎」という名前ではないですか?

三河 信子: なんだ知ってたの。縁起の良い名前でしょ。私がつけたのよ。

エージェント・子神: 実は井戸内の骨のDNAを調査した結果、黒井幸寿郎氏とほぼ一致していたんです。

[10秒間の沈黙。三河氏は井戸の方角を見つめている。]

三河 信子: ううんそっちじゃない。骨になったのはもう一人の方なの。

エージェント・子神: それはどういう意味でしょうか。

三河 信子: 黒井はもう一人産んでたんです。幸寿郎そっくりの、双子の男児をもう一人。死んだのはそのうちの幸寿郎じゃない方なの。骨も古いでしょうし、最近よく聞くDNAとかいうものを調べても幸寿郎との判別はつきにくいと思うけれど……。でも確かにあの時、黒井は双子を産んでいたのよ。全部で二人も産んで黒井は今にも死にそうだった。村の女はもちろん、若い衆から年寄りまで集まって黒井と子供の世話に大忙しになったんだけど。よりにもよってそんな緊迫した時に、空襲警報が鳴り響いた。あの時聞いた、あちこちから上がる叫び声は今でも鮮明に思い出せるわ。さっきも言ったとおりこの村は平和で、滅多に警報なんて鳴らなかったから大混乱が起きたんでしょうねえ。村の人間は黒井のことなんか忘れて逃げ出して、私もメリケンの戦闘機が怖くてつい逃げ出した。だけどどうしても黒井のことが頭から離れなくて、私は途中で黒井の家に引き返したの。それで、寝ている黒井を必死で担ぎ起こした時。村の子供たちが何かを持って走り去っていった。一瞬何をしていたのか気になったけど、黒井を運ぶのに精一杯でとてもそんな余裕はなかった。今思えば、あの時追いかけていればあんなことにはならなかったのに。

エージェント・子神: 一体何が起きたと言うのですか。

三河 信子: あの時、子供たちが持っていたのは黒井の赤ちゃんたちだった。

エージェント・子神: まさか。

三河 信子: 警報がやんだ後、子供を一人捕まえて問いただしたら白状したわ。悪意があったわけじゃないの。ただ、爆弾から赤ん坊たちを守ってやろうとしただけなのよ。あそこに。

[三河氏が再び井戸を凝視する。]

三河 信子: 手は尽くしたけど、双子のうち一人は死んでしまった。そして埋葬することもできず、あの井戸に放置し続けてしまった。

エージェント・子神: 埋葬できない理由があったのですか。

三河 信子: だって兄弟の存在は完全に無かったことにされたんですから。まさに禁忌ね。村の子供たちには「最初から黒井は一人っ子だった」と言い聞かせたから、今生きてる元村民で本当のことを知ってるのは私くらいしかいないわ。そんな訳だから、もし埋葬場所が幸寿郎や村の子供にバレたらと思うと怖くて埋葬できなかった。……ううん、本当のことをいうと、誰も赤子の死体に触れたがらなかったんだと思います。関わりを持つことをためらったんです。

エージェント・子神: 最初に「気になっていたことがある」と言っていたのは、かつて隠した骨がどうなっているかを知りたかったということだったのでしょうか。

三河 信子: いえ……死ぬ前にちょっと、私は許されているか知りたくて。

エージェント・子神: 許される、ですか。

三河 信子: ええ。もうふれるの。きっとあなただって気づいているはず。

<録音終了,2015/07/19>

終了報告書: 三河氏は記憶処理を施した上で解放されました。聴取の内容を受けて元穂鳥村民に対する追跡調査が行われましたが、黒井氏が双子であったと認知している元村民は既に病気・事故等の理由で死亡済みであり、詳細な調査は失敗に終わっています。また、現地の収容担当者に心理的問題は確認されていません。

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三河氏の遺体発見場所。

追記(2015/11/14): 上記の聴取から3ヶ月後、三河氏が自宅の浴槽にて溺死した状態で発見されました。死体にはいくつかの不可解な特徴2が存在しましたが、財団による調査の結果死因は非異常性の事故であると結論付けられました。また、死亡推定時刻とほぼ同時刻よりSCP-2705-JP内の水量が増加しており、現在も微量の水が溢れ続けています。なお、水量の変化と死亡事故との関連性は不明です。

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