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特別収容プロトコル: 現在、SCP-XXX-JPは基底世界に存在しません。当該オブジェクトに対する直接の収容手順は不要ですが、カバーストーリー「北松江線の停電に伴う運休」は継続して流布されます。
デハニ52号車。外見はSCP-XXX-JPに酷似している。
説明: SCP-XXX-JP-1は一畑電気鉄道の車両番号デハニ52に外見が酷似した1両編成の電車です。通常の手段では破壊不可能であり、また未知の手段によってSCP-XXX-JP内部のマスターコントローラーが約10分毎に数度回転します。SCP-XXX-JPは制御器以外の手段では移動させることが出来ず、クレーンなどを用いた運搬などの試みも失敗しています。
2020年12月26日に松江しんじ湖温泉駅の職員によってレール上にSCP-XXX-JPが発生しているのが発見されました。職員は数分後に僅かにSCP-XXX-JPが前進していることに気づき、財団職員の到達まで自力でマスターコントローラーを制御していました。
当日、松江しんじ湖温泉駅は封鎖され、発見した職員の記憶処理を行うとともに収容手順を計画、実行し、翌日午前6時にSCP-XXX-JPの収容が完了したため封鎖が解除されました。収容手順については補遺1を参照してください。また、SCP-XXX-JPの発生と同時刻、出雲大社駅で展示されていたデハニ52号車が突如消滅していたことが判明しました。デハニ52号車がSCP-XXX-JPではないかとされていますが、消滅したデハニ52号車については依然不明です。
以下はSCP-XXX-JP発生当時、対応に当たったエージェントとの音声ログです。
日付: 2020/12/26
<通話開始>
エージェント・ヘイズ: 着いたぞ、博士。で、私は何を弄ればいい?
華博士: 左の大きいレバーを反時計回りに回転させてください。
エージェント・ヘイズ: 了解だ。固い……回した。これでいいんだな?
華博士: はい。後は異変が起きないよう監視し続けてください。
[警笛音]
エージェント・ヘイズ: な、何だ?下のペダルみたいなのが、独りでに動いたぞ?
華博士: 状況を詳細に説明してください。適切な対応方法を教えます。
[空気の抜けるような音]
エージェント・ヘイズ: まずいぞ、博士。右のレバーが時計回りに50度くらい回転した。左のレバーも時計回りに90度くらい回転した。……おい、これ動いてるぞ?博士!どうすりゃいい!
華博士: マスターコントロ……左のレバーを元に戻してください、右のレバーも同じく!早く!
エージェント・ヘイズ: 無理だ、固くて動かねぇ!どうしろってんだ、クソ!
[車輪の軋む音]
エージェント・ヘイズ: 博士!このままだと車止標識に突っ込む、どうにかしてくれ!
華博士: 逃げてください!早く!
エージェント・ヘイズ: ドアが開かない、外に出れねぇ!
[エージェント・ヘイズの悲鳴]
[何かにぶつかるような轟音]
<通信途絶>
対応班が現場に到着した際、大きく破損した車止標識と無傷のSCP-XXX-JPが確認されました。SCP-XXX-JP内部には脳を負傷したエージェント・ヘイズが倒れていました。SCP-XXX-JPは車止標識の数m手前で静止しており、未知の手段によって転移したと考えられます。
補遺1: 収容手順について
対応にあたった一名のエージェントの負傷、及びSCP-XXX-JPの異常性を踏まえ、緊急でSCP-XXX-JP対応サイトが設立されました。以下は対応サイトでの会議の音声ログです。
日付: 2020/12/26
対応サイト参加者: ██博士、███博士、█サイト管理官、華博士、一了博士、████博士、他9名
<ログ開始>
██博士: お集まりいただきありがとうございます、皆様。今回議論していただきたいのは今日発見されたSCP-XXX-JPの収容手順についてです。SCP-XXX-JPは破壊不能、移動不可能、おまけに予測不能な制御器の設定が可能です。詰まるところ、適切な収容手段が存在しません。
███博士: 面倒くさい奴のお出ましですね。一般に露見する前に収容したいところですが、現実改変機器はどこまでなら使用してもいいのですか?
█サイト管理官: 最低でも現実改変は最終手段だ。宇宙全体への大規模な負荷に繋がる。
華博士: 一了博士は電車に詳しいとか言ってましたよね。
一了博士: あくまでも普通の電車に詳しいだけです。
████博士: 御託は結構。収容サイトは設立可能ですか?
█サイト管理官: 周辺は一般の民家だらけだ。これ以上収容施設は建設できない。まして無敵の電車に施設を破壊されても困る。
███博士: となればポータルなどで移動させるか異空間へ飛ばすしかないのでは?
█サイト管理官: 分かった、出来る限りの機器を用意しよう。それで、具体的に何を用意すれば?
███博士: 同座標の異空間への移動が最もコスト的には安く収まる。ポータル作成がまず第一事項だ。空間湾曲で時空間異常を発生させれば疑似的なポータルを作れる。
████博士: であればXACTSの数値を改変すれば可能です。しかし、接続先の空間はどうするつもりで?
華博士: SCP-XXX-JP内部にXACTSを入れてポータル内部に突入させましょう。理論上はSCP-XXX-JPの周辺のみ現実空間が出来るようになります。
██博士: 亜空間流動に機器が耐えられない。XSCDを使って現実性希薄領域を作り、現実改変を行って線路を延長させれば良いのでは。
█サイト管理官: 誰が現実改変を行うのだ?
[5秒間の沈黙]
一了博士: まさか、忠誠度の低いDクラス職員を採用しようだなんて考えていませんよね。
██博士: では、君がやるとでも?
一了博士: 電車の運転をするのは子供の頃からの夢なんでね。
█サイト管理官: 正気か?何が起きるのか、誰にもわからないんだぞ?
一了博士: 現実改変は「意識すること」が大事だと知っています。
█サイト管理官: そういうことではない、重要な役職の者を犠牲にするわけにいかないと言っているんだ。
一了博士: では、他に誰が適任なんです?
[█サイト管理官が沈黙する]
一了博士: 皆様、異論ありませんね?
████博士: 異論ありません。
█サイト管理官: ……承知した。
██博士: 異存ありません。
華博士: ……何故。……わかりました。
███博士: 異論無し。
█サイト管理官: 手順実行者に一了博士を任命する。総監督は私が行う。
一了博士: では、計画案を練ることに集中しましょう。
<ログ終了>
凡そ3時間後、計画案が監督評議会によって承認されました。以下が計画案の簡易版です。
SCP-XXX-JP 収容計画
日付: 2020/12/26
代表: █サイト管理官
現状: SCP-XXX-JPは松江しんじ湖温泉駅に存在している。
概要: 現在収容下にないSCP-XXX-JPを収容するために、以下の収容手順が計画されました。当該収容手順には以下の機材が導入されます。
また、計画の実行には以下の人物が抜擢されました。
- 一了博士(セキュリティクリアランス-レベル3)
当該人物は忠誠度テストやその他多くの試験で好成績を獲得しており、今回の計画に最適だと判断されました。また電車の運転についての知識・経験があることも選考された理由の一つです。
補遺2: 収容手順の音声ログについて
27日、計画が実行されました。以下は会話ログです。
日付 2020/12/27
通信参加者: 一了博士、華博士
SCP-XXX-JP内部。一了博士によって撮影された。
<ログ開始,05:38:27>
一了博士: 準備出来た。ポータルを発生させてくれ。
華博士: 了解です。出力上昇。
SCP-XXX-JP前方に設置されたXACTSが轟音をたて、空間内に時空間異常を生成する。
一了博士: では、これで最後だ。さようなら、華博士。
華博士: 生命維持装置の起動を確認しました。SCP-XXX-JP内部のシャンク-アナスタサコス恒常時間溝を起動します。
一了博士: 薄情ですね、せめてさよならとでも言ってくれればいいのに。
一了博士がSCP-XXX-JP内部で指差喚呼をする。
一了博士: 前方よし。
一了博士がSCP-XXX-JPのマスターコントローラーとブレーキ弁ハンドルを握り、回転させる。
一了博士: 出発進行。
[警笛音]
一了博士: 発車!
SCP-XXX-JPが前進する。
華博士: シャンク=スクラントン因果擾乱器、及びアスクレウス現実杭を起動。ポータル内部は現在一時的な現実性希薄領域にあります。
一了博士: 内部ヒューム値の安定化を確認。現実改変能力を行使する。
ポータル内部に線路のようなものが形成される。SCP-XXX-JPがポータル内部に侵入する。
一了博士: バタデン3!さぁ、行こう!
呼応するようにSCP-XXX-JPが警笛音を2回鳴らす。SCP-XXX-JPが完全にポータルに入る。
華博士: ……さようなら。
ポータルが消滅する。
<ログ終了,05:42:12>
この計画の実行により、SCP-XXX-JPは生成されたクラス-B"スタブル・ポケット"ワームホール内部に転移しました。現在もワームホール内部に存在すると考えられます。
- portal:6759963 ( 24 Aug 2020 05:02 )

全体的に盛り上がりに欠け、インパクトが薄く平坦な印象を受けました。会議の音声ログなどでもう少し緊迫感を出せれば改善すると思います。
以下、表現など細かい点です。