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GO BEYOND Series: Episode II
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GO BEYOND Series: Episode II
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GO BEYOND Series: Episode II
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! Notice from the Survey Supervisory Office !

2023年11月3日更新。ワシントン新政府直轄地 調査監督署の命令により、以下のファイルが解禁されました。SCP-3100-JPドキュメントに記述される内容には、旧SCP財団に関係する戦争犯罪の記録や、その詳細な背景情報が含まれています。一部の情報は正確でないか、虚偽のおそれがあります。

FILE 1/2

Washington.jpg

旧ワシントン州、SCP-3100-JP現象を主体とする”レゾナンス・カスケード”イベント発生後。

補遺3100-JP/I: 歴史的文脈

オブリオスタシスに関する研究

hands-2590245.jpg

文化的遺伝子MEMEと芸術に関して


芸術的なもの全てには大いなる力がある。我々が作品を鑑賞し、そして何らかの感を抱くように…この現象の背景には、文化や情報複製の最小単位である文化的遺伝子MEMEが密接に関係している。ミームは脳を介して広まる。その拡大によって文化が形成され、流行を形成し、その文化の主体的な特徴を構築する。

芸術の広まりと、支配的な思想の構築に寄与するのはミームである。1人の人間から始まった特定の芸術運動は、人々の受容によって文化を形作る要素の1つとなり、やがて文化となる。この現象の背景に存在するのは、新たな文化形成の波に対応できず凋落する「古い文化」の衰退と、それによって新たに台頭する文化の破壊的イノベーションである。これによって従来の文化が衰退していくとともに、失われていく。SCP-3100-JPという現象学的概念は、この文化の衰退と革新という一般的なプロセスを形成すると定義されている。このプロセスを意味し、SCP-3100-JP現象はオブリオスタシス (Obliostasis、忘却性) と命名された。

芸術は、文化の衰退と革新の歴史の中で残留する存在であり、そのためあらゆる文化的情報の保存媒体としても機能する。ラスコー洞窟の手形がそうであるように、芸術は過去の状態を事細かく刻み込んでいる。凍傷で欠損した指は、かつてその国が極寒の地に存在したことを示すだろう。洞窟に描写された無数の手形は、かつて民族の維持に十分な余裕が無かったにも関わらず、その娯楽的な時間を設けたという事実を示すだろう。このように、芸術は我々の脳を通してミームを伝達させ、文化を保持しようとする独自の能力を持つのである。

一方で、芸術は失われる。それは自然の侵食によって分解され、または人為的に破壊される。このような摂理は一見して超自然的なものだが、統計的確率の観点からみれば、ミームの損失がどれほど大規模で、かつ不明な理由で喪失されているかに気付くだろう。オブリオスタシスがどのように自然界と干渉しているかは解明されていない。しかし、ミーム的現象が最近になって明らかになったように、オブリオスタシスは超自然的現象からやや逸脱しており、自然に形成されたものであるかは疑問視されている。その過去の実例が時代の進行とともに薄れ、消え行く事を鑑みるに、SCP-3100-JP現象は何らかの形で軽減されなければならないだろう。

[…]

カミラ・ハイドルフ、
考古学/芸術/ミーム学総合研究、
2023年。

補遺終了

補遺3100-JP/II: 最初期遭遇

未解明事象報告

Opera_di_Pistoletto.jpg

レゾナンス・カスケード発生地点の1つ。

地点: アメリカ合衆国ワシントン州、レイクウッド近郊 (他25件、同時多発的)

日付: 2022/12/25

撹乱クラス: AMIDA (5/5)

概要: ワシントン州の各地に存在する”ミステリーサークル”を中心に引き起こされた同時多発的現象であり、SCP-3100-JPに基づく破壊的レゾナンス・カスケードの一種であると推測されます。各発生地点を中心とする半径1km圏内が暴力的かつ激甚に汚染され、地質や生物、その他環境を構成するミーム構成概念が極限まで破壊されました。少なくとも、ワシントン州の18%以上の陸地が完全に消失し、他の60%以上の区域は、人間が生存できない規模でミーム的に汚染されました。

この事件による死傷者数は300万人を超過しており、現在も行方不明者が多数存在します。財団は、当該事象を特定組織による同時多発テロ事件と推定し、その捜査を開始しました。また合衆国政府との協力により、通例のミーム学的見解から民間人への説明・誘導を行いました。この影響によるヴェールおよび正常性コンセンサスへの損失は甚大です。

特筆すべきことに、事件発生地点のミステリーサークルからは無数の”手形”が発見され、これがミーム漏出の源であると特定されました。この”手形”が何らかのミーム的異常特性を付与されていると仮定し、これをSCP-3100-JP-Aと定義しました。SCP-3100-JP-Aの異常特性は現在調査中です。


更新: 上記事件の発生から凡そ24時間以内に、現GoI-000 (カオス・インサージェンシー) を名乗る組織が犯行声明を公表したことが明らかになりました。この組織は、現在のSCP財団や類似する組織への明確な敵対意思をもって攻撃を計画したと宣言しています。間もなく正式に書き起こされた犯行声明の一文は以下の通りです…

彷徨える子羊たちよ。私たちの声が届いているだろうか。

君には未だ足りないものがある。それは手だ。我々の差し伸べた手を掴むための…カオス・インサージェンシーとなるための手だ。君たちは訪れようとしている災難を知らない。哀れなことに、多くの者たちによるエゴが、君たちを封じ込めている。

シーッ…静かに。聞こえるか?たった今君たちが耳にしたのは、悪魔の咆哮だ。あらゆるものを解き放つ悪意の怒号。我々でない悪意が…またそれらを呼び寄せているのだ。

落ち着いて、私たちの言葉に耳を傾けてほしい。君たちは彼らに包囲されている。行動をせねば、君たちはかつての私たちのように支配されてしまうだろう。耳を澄ませ。声を聴け。そして私たちを見るんだ。私たちは味方だ。

すぐに悪意は君たちに嘘を吹き込みに来るだろう。だが恐れるな。私たちの声を信じれば…君たちは二度と忘れない。この日は聖戦の幕開けなのだ。決して忘れてはならない、そうだろう?すべてが順調に進んでいる。やがて玉座に座るのは彼らではない…君たちだ。この混沌の時代に”選別”を受け、君たちは生き残った。その命は神に選ばれている…祝福を受けてな。

立ち上がるんだ、同志よ。彼らのハルマゲドンを許してはならない。神の命に従うのだ。

この犯行声明の直後、ローカル放送を通じたアンニュイ・プロトコルが実施され、本来であれば問題なく混乱が収束する予定でした。何らかの影響で除染措置が無力化されていることが判明すると、財団は即座にプロトコルを停止し、次なる対策のために緊急会議を招集しました。

補遺終了

補遺3100-JP/III: 収容対応

音声映像転写ログ 3100/プライム-8Q1T

前文: SCP-3100-JPに関係する破壊的インシデントに対応するため、SCP財団の考古学/芸術/ミーム学総合研究を務めるそれぞれのセクション長が招集され、緊急会議が開始されました。また、本インシデントへの暫定的な対策本部はプロジェクト: 3100/プライムと命名され、資産運用部門によって独立した資金援助を受けることが可能となりました。以下は緊急会議の音声および映像転写ログです。

参加者:

  • 会議長 サンドラ・ロバートソン管理官.緊急脅威戦術対応機構ならびに総合研究機構スタッフ。
  • カミラ・ハイドルフ 総合研究機構セクション長、
  • ホーレス・ワトキンス ミーム学部門主任、
  • 保持者.当人物は、ある特定の意味論的修辞災害実体の収容作戦 (モノゴン作戦) において多大に貢献したことを後に評価され、O4評議会の中では異例の”コードネーム”を贈与されている。 ベッドロック・エンダース (O4評議会主任)
[転写開始]

[ロバートソン管理官が手振りで場を静止する。]

ロバートソン: [咳払い] — それでハイドルフ君、ここ数時間で連鎖的に発生したレゾナンス・カスケードの詳細と、我々がまだ認識していない発生イベントの詳細について報告してくれ。我々の姉妹施設がほぼ破壊されている状況から鑑みても、ヴェールの修復は絶望的だろうがね。

ハイドルフ: 事態は我々が想定していたよりも遥かに深刻だということでしょう。ワシントン州は新政府の立ち上げに追われています。我々にできることは、このレゾナンス・カスケードの二次的影響を限りなく抑制することでしょう。

ロバートソン: そもそもの話だが、通例の高級記憶処理がどうして機能しなかったのかが我々には理解できない。アレは間違いなく事態を鎮圧するだけの能力を備えていたのにもかかわらず、だ。

ワトキンス: 彼ら…カオス・インサージェンシーは、その事を「祝福」だと称しています。この件については、我々が観測しているSCP-3100-JP、つまりオブリオスタシスの理論とやや関係していることが推測されるでしょう。何かミーム的効果を及ぼす存在が、世界全土の人々の脳に直接影響を与えています。

エンダース: 実に興味深いと思いますね。その場合、彼らインサージェンシーもしくは全人類に力を付与しているのは何でしょう?私の想像ですが、これにはレゾナンス・カスケードの持つ強固なミーム的残留粘着特性が影響しているのではないかと —

ロバートソン: — 我々に分かる言葉で話してくれないか?

[エンダース主任がやや不服そうに頷き、続けて開口する。]

エンダース: SCP-3100-JP現象…オブリオスタシスは、ミームの生分解プロセスです。その背景には、鉱山資源のように長期間残留しているミームベクター…要するにSCP-3100-JP-A、シンボルが存在し、その現象と対立しています。普段はSCP-3100-JP-Aという鉱山資源が眠った状態で保存されているのですが — これが何らかの形で一斉に解放されると、直ちにミーム情報が漏出し、レゾナンス・カスケードを引き起こします。

ロバートソン: ミームの鉱山資源が都合よく存在していたのか?

ワトキンス: 未調査のミステリーサークルに関しては、そうです。それらの不特定多数の地点にSCP-3100-JP-A、もしくは同様の「過去の遺物」が存在していたと考えられます。その発掘と活性化により、大規模なカスケードが引き起こされたのでしょう。この場合ですと、大量の化石や遺骨なども含まれますね。

ハイドルフ: この化石群の発掘現場に関する資料と、実際の考古学的な分布には大きな差異が存在します。ミステリーサークルは元来異常でなど無かったのですが、この瞬間にかけて異常に発達し、それまで未観測であったミームの鉱山資源を発掘できるよう加速しました。局所的に異常なイベントが引き起こされています。

ロバートソン: それ自体がカオス・インサージェンシーの活動による結果とは考えられないのか?

ハイドルフ: 規模的には不釣り合いになります。そのような局所的現実改変作戦を実行できるのは特定の固有神格のみであり、人間の肉体が適応するとは考えられません。

ロバートソン: つまりインサージェンシーが固有神格の手助けを得てテロを引き起こしたと考えるのが妥当だと。記憶処理が無効だったのは…さしずめミーム的影響が残留したことによる二次災害とでも考えるべきかな?

エンダース: ええ、全くもってその通りです。我々はヴェールを回復させる手段を持ち合わせません。ですが幸いにも、我々の公式の形態は明らかにされておらず、ほとんどの施設が継続的に稼働しています。

ロバートソン: それで事態が解決するようには思えんがな。我々には解決策があるのか?

エンダース: 方法はありますが、調査が先決です。カオス・インサージェンシーの次なる作戦を先読みし、それを未然に阻止しなければなりませんね。そのためには既存の事例を調査し、状況を分析する必要があります — 当然ですね?

ワトキンス: 分析というと…SCP-3100-JP-Aを利用するのですね?

エンダース: SCP-3100-JP-Aの過去の実例を活性化させることで、特にオブリオスタシス現象の発生理由を解明できるかもしれません。それにはより多くの手段で、現象自体を解き明かしていく必要があります。

ロバートソン: そのアプローチとは?

エンダース: ミステリー・サークル・ツアーですよ、管理官。

[転写終了]

後文: レゾナンス・カスケードの発生地点を含む事後調査が必要であったため、プロジェクト: 3100/プライムは更なる資金援助を要求し、承認された。プロジェクト: 3100/プライムの今後の調査計画は、レゾナンス・カスケードが発生した各ポイントを調査し、可能であれば (安全に) SCP-3100-JP-Aの類似した実例を起動することで、過去の記録を再現し分析する方針で定められている。この結論の任意投票後、O5評議会ならびにO4評議会の評決により、プロジェクト: 3100/プライムは承認された。

補遺終了

補遺3100-JP/IV: オペレーション提言

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オペレーション: 3100-T1/サブプライム

プロジェクト監督下作戦

作戦参加: 機動部隊ラムダ-1 (”レテ”)、専任任務部隊パース-1 (”グリッチトラッパー”).ATF パース-1は、財団の生体実験の結果として生成された強化ヒト実体により構成される任務部隊です。

目的: アメリカ合衆国全土で発掘された、ほぼ全てのSCP-3100-JP-A実例の調査。および、現時点で支配区域を拡大するGoI-000 (カオス・インサージェンシー) の撃破。

概要: SCP-3100-JP-Aの複数活性化に次いで発生したレゾナンス・カスケードは、アメリカ合衆国の大部分を完全に分断し、社会的混乱を招いた。その被害は甚大であるが、GoI-000の不自然な動機と行動は、その背後に存在する未知の現象を示唆し、プロジェクト: 3100/プライムが研究を開始する重要なアプローチとなった。プロジェクトの基本的な調査方針は決定されている。すなわち、SCP-3100-JP-A実例を多数保有していると推測される地点 — ”ミステリーサークル”の調査である。

レゾナンス・カスケード発生地点の大部分がミステリーサークルに該当する。この理由は未だ不明であるが、GoI-000の背後に存在する未知の現象との関係は疑わしいものであるとして、調査が試みられている。

補遺終了

補遺3100-JP/V: 調査結果

序文: 以下の調査記録は、オペレーション: 3100-T1/サブプライムの結果として出力されています。

項目-01

実施内容: 旧ニュージャージー州に存在した (破壊された) ミステリーサークル地点からのサンプル回収。

経過: 回収地点はレゾナンス・カスケードの影響により汚染されていたため、財団の所有するサンプリング・ドローンを用いた回収作戦が実施された。ミステリーサークルは暴力的に破壊され、その結果として地下空間に存在した無数の物品が露出した状態を維持していた。興味深いことに、地質学的に存在しない (由来不明の) 大量の化石が発掘され、これらは全て非異常の (太古の) 物品であることが判明した。

更に調査が継続されると、ドローンは地下空間に埋没している石板を発見した。概ね風化しているが、その表面には無数の手形が確認できた。これらのSCP-3100-JP-A実例はほぼ休止状態にあり、サンプル化されたヒト細胞や臓器の接触にも関わらず活性化しなかった。また、この石板は比較的最近に掘り起こされた形跡が確認された。サンプルは回収された。

項目-04

経過: ドローンが現場の更なるサンプル回収を試みていたところ、ドローンに搭載された (サンプル化された) ヒト細胞が僅かに振動し始め、ミーム構成概念レベルで分解されることにより急速に消費された。また、現場の地下空間が激しく振動すると同時に崩落し、その空洞空間からは先述のサンプルに類似する洞窟壁画が観測された。劣化の兆候が見られるものの、直ちに観測に向かったドローンが信号を喪失したため、それ以上の情報は得られていない。

このドローンから送付された最後の映像は、活性状態にあったと推測される無数のSCP-3100-JP-A実例がミーム的激甚性災害を引き起こし、ドローンを破壊する様子であった。ドローンのカメラ視点では、無数のSCP-3100-JP-Aから半透明の”手”が引き延ばされ、ドローンに接触する様子が描写されていた。特筆すべきことに、それらの”手”は概ね人間のそれとは一致せず、6または7本指で、縦に比較的長く引き伸ばされている。

この直後、現場付近で更なるレゾナンス・カスケードが発生した。これは、サンプル細胞がSCP-3100-JP-A実例と共鳴した際に、そのミームを封じ込められなかったことに起因すると推測される。

項目-25

実施内容: 他の地点に関わる探索。

経過: アラスカ州におけるミステリーサークル地点の探索の際、GoI-000の前哨基地と推測される簡易的な建造物を発見した。この建物はミステリーサークル周辺の地下空間を拡張する形で構成されており、内部には無数のSCP-3100-JP-A実例と、無関係の壁画が確認できた。GoI-000の戦闘集団と即座に交戦する形になり、結果として財団の機動部隊が現場を鎮圧した。この際、GoI-000の主要な指導者として確認されていたC・D・ガリフィアナキスの身柄を拘束することに成功したため、当事者はプロジェクト: 3100/プライムの前哨地へと移送された。

注: GoI-000の支配を抑圧し、SCP-3100-JPに関する情報を早急に回収することを目的として、当事者 (C・D・ガリフィアナキス / PoI-310) に関する調査が現在進行中です。

補遺終了

補遺3100-JP/VI: 聴取調査

SCP-3100-JPインシデントの影響は甚大であるものの、GoI-000の活動本拠地が各国に存在しないことから、災害の規模は最小限に抑制されていました。しかしながらSCP-3100-JP現象は依然として未解明であり、犯罪行為への悪用などの潜在的脅威が危ぶまれます。2023/03/19、プロジェクト: 3100/プライムはPoI-310 (C・D・ガリフィアナキス) への聴取を命令し、当人が認識しているSCP-3100-JPの異常性を調査する必要があると判断しました。

収容中のPoI-310は安全な状態で拘束されており、敵対的意思は見られませんでした。この後、財団の調査員が当人に聴き取り調査を行うことが許可されました。

音声映像転写ログ 3100/プライム-7N4G

調査員: ベッドロック・エンダース主任

対象: PoI-310 (C・D・ガリフィアナキス)

[転写開始]

[エンダース主任が尋問室に進入する。]

エンダース: アンタの人生がどういう経緯で破滅したのか知らんが…報いは受けてもらうぞ、テロリスト。洗い浚い話すまでここから出れないと —

[PoI-310は「アメイジング・グレイス」を歌い、エンダース主任の話をほぼ無視している。]

PoI-310: 神の恵みこそが — 私の恐れる心を諭し。その恐れから、心を解き放ち給う。ハハハ…どうやら私の元へと向かいつつあるようだ…武運がな。天使はやがて…愚かな罪人の首をもってやって来る…

[PoI-310は沈黙し、再び開口する。]

PoI-310: 要件はなんだね?さしずめ、オブリオスタシスの性質と背景情報を欲していると見たが。それが必要なんだろう。

エンダース: ああそうだ — 待った、何?”オブリオスタシス”はどう考えてもこちらのインフォーマルな用語に過ぎない。どうしてお前が知っている?

PoI-310: — 我々がかつて同士だったように、今もまた、繋がりを持つように。君たちは逃れることなどできない。過去を払拭することなどできはしないのだ。

エンダース: 言葉を濁すな。

[PoI-310は暫し沈黙している。]

エンダース: 後でゆっくり聞くとしよう。お前たちはアラスカ州の前哨地で何を企んでいた?そこに何があった?

PoI-310: 我が主が示したのだ。主の崇高なる使命に従い、我々はこの不条理を滅ぼさんと願った。その努力を告白するには未だ早い。

[エンダース主任は資料を取り出し、PoI-310に提示する。]

エンダース: アンタが黙っておく必要はないぞ。つい先日、我々の優秀な排撃部隊がアラスカ州の全域を奪還し、この前哨地をくまなく調査した。発見された物品を見て驚かずにはいられなかったね。あれは…人の死体だった。

PoI-310: ふむ。

エンダース: ただの人の死体じゃない。ありゃ偶発的に形成された完全な凍結保存の死体だった。前哨地のある場所はどういう訳か、アラスカ州の永久凍土と接触していた。これが、インサージェンシーが意図的にアメリカ北部を制圧した理由だろう。アンタらは死者を使って何をしようとした?

[沈黙。]

PoI-310: どうやら…黙っているだけ無駄なのか?彼らは知っているようだ。[小休止] — 君たちは保存死体の特徴を見て異変に気付いたか?

エンダース: 普通の人間じゃない、そうだろう?

PoI-310: 素晴らしい、その通りだ。彼らはホモ・サピエンスではない。7本指の生命に魅力を感じるだろう?彼らは…生物学的にも全くもって異常な存在で、さしずめ人類を凌駕する旧文明の名残、といったところだろう。彼らは自らの墓場を荒らされることを酷く嫌っている。だから彼らは我々に天啓をもたらし、その墓場からあらゆる”ミーム”を抹消して、近づく人々が現れないようにしたのだ。

[沈黙。]

PoI-310: 我々の何人かは彼らに忠実ではないがな…我々の中の反乱者が彼らを掘り起こそうとしている。世界の破滅を目論んでいる。

エンダース: それを発掘しても何も起きはしない。

PoI-310: いや、君は誤解している。全てのミーム保存媒体が”芸術”だけだとは限らない。芸術とはある種の痕跡であるが、同時にその人物の影でしかないのだ。影は存在しない。より明瞭な本体の姿を見るよりも貧弱で、直ぐに消えてしまうだろう。だが、人間そのものが当時の状態で保存されているなら?— それはオブリオスタシスを克服しているだろう。つまりミーム学的観点からしても、多量のミーム情報の貯蔵庫として機能しているのだ。

エンダース: — ミームの貯蔵庫。

PoI-310: 我々が何を成し得るかは分かるだろう。

エンダース: クソッタレのレゾナンス・カスケードを、より深刻な規模で引き起こそうとしている。お前たちは全くもって無意味なことをしているんだぞ、世界が破壊されるかもしれないのに!?

PoI-310: 私が知っていることはそれだけだ。それが全て。我々の罪だ。

エンダース: 生憎だが、必ず阻止してみせよう。

PoI-310: 悲しいかな、エンダース。お前たちは何もできはしない、お前たちは闇の中で生きる脆弱な生物でしかないのだ。その点においてお前たちは我々と共鳴 (Resonance) し得ないだろう。

エンダース: なぜ知っているんだ!?

PoI-310: もうお前と話すことはない。

[以降、PoI-310は沈黙を貫いている。]

[転写終了]

補遺終了

補遺3100-JP/VII: 最終結論

以下の記録は、2023/03/20から2023/05/01にかけて断続的に送信された、財団内部ネットワークのメッセージ履歴です。

監督評議会へ、

最近行われた調査によって明らかになった、幾つかの興味深い事実についてお伝えしなければなりません。

オペレーション: 3100-T1/サブプライムは終了しました。この結果により、統計的には次のような事実が浮上しています。レゾナンス・カスケードの引き起こされた全ての地点は、恐らく共通の”ミステリーサークル”であり、起源が従来より不明であるとされた地点です。このような現象を更に調査すると、全ての地点から — 恐らく生物学的にも一致する — 同型のSCP-3100-JP-A実例が発掘されました。これらは全て6本または7本指であり、PoI-310によって言及されていた「旧文明」に関する情報に依存します。

これらの (保存された) 旧文明の残滓は、全てレゾナンス・カスケードを引き起こすに十分な分布をしています。そのインシデント規模は、概ねアメリカ — いや、世界全土を巻き込める規模です。これは、旧文明によって配置された”時限爆弾”のように想像することも難くないと思われます。SCP-3100-JPは、”旧文明”が仕掛けた墓守です。そのシステムなのです。

あらゆるミーム学的観点からの結論は既に予測済みです。我々が本当に疑問に思うのは、どうしてSCP-3100-JPに関わる情報をGoI-000が保有しているのか、という事です。GoI-000は財団より早く存在を察知しました。しかし、どうしてそのような事が起こり得るのでしょう?財団の情報能力が劣っているとは考えられません。

カオス・インサージェンシーとは一体何なのです?どうして彼らは我々を知っているのでしょう?

ベッドロック・エンダース

エンダース主任へ、

大変申し訳ないのですが、それ以上の質問にお答えすることはできません。財団は完全な統制体系の下に指示を行っており、そのため捜索に若干の遅延が発生する場合があるのです。今後の方針により、プロジェクト: 3100/プライムは何らかの形で別の部署に移送される事になるかもしれません。特にGoI-000との戦闘には、あなた方の司令では完全でないケースが多々存在します。

今後、我々の部署にインシデントの情報を訪ねるのはお止めください。我々は知りもしない情報に回答を提示することはできませんし、そのような質問は混乱をきたすでしょう。我々はカオス・インサージェンシーに関する情報を持ち合わせていません。

それと主任、次の国際会議のために準備期間が設けられています。財団の定例会議に出席してくださることを願っています。

監督評議会代表

この事態を踏まえ、プロジェクト: 3100/プライムは財団内部の不審な活動と癒着問題に関する報告書を作成しました。その安全を確保するため — もしくはプロジェクト全体の職員を保護する観点から、プロジェクト: 3100/プライムは財団から独立しました。これ以降、当該プロジェクトはワシントン新政府直轄地 調査監督署の保護下に参入し、その資金援助の下で活動を続けることになります。

当該オブジェクトに関する結論が以下のように提出されています。

声明

状況を手短に説明する必要があります。

プロジェクト: 3100/プライムは、長い研究の末にSCP-3100-JP、オブリオスタシス現象の起源を特定することに成功しました。SCP-3100-JPには、少なくとも1つ以上の (崩壊した) 文明が寄与しており、その文明により人為的に生み出された災害事象であることが判明しています。すると必然的に、世界各地に点在するSCP-3100-JP-A実例を特定し、安全に中和する必要があるでしょう。

ここで、我々は大きな困難に直面しています。それは財団の統制体系であり、何か大きな謀略が我々の行動を妨げています。我々は長い間、財団本部から一切の資金援助を受けられていません。明らかに特定の部署が我々を妨害しており、そしてその行動原理は、少なくともGoI-000と深く関係しているものと推測できます。

では、彼らが我々に発見してほしくないと願うものは何でしょう?ガリフィアナキスに味方する理由こそありませんが、彼らには何か隠されたものが存在すると思います。彼らの犯行は償われるべきであり、同様に我々の内部の問題こそ裁かれるべきであるでしょう。

物事には順序があります。我々は今日、真実を白日の下に晒し出します。

補遺終了

FILE 2/2

SantaCruz-CuevaManos-P2210651b.jpg

SCP-3100-JP-A、レゾナンス・カスケード発生地点にて発見。

補遺3100-JP/VIII: 更なる調査

音声映像転写ログ 3100/プライム-5T6Q

前文:

参加者:

  • 会議長 サンドラ・ロバートソン管理官、
  • カミラ・ハイドルフ 総合研究機構セクション長、
  • ホーレス・ワトキンス ミーム学部門主任、
  • 保持者 ベッドロック・エンダース (O4評議会主任)
[転写開始]

[エンダース主任が手振りで指示し、場は沈黙する。]

エンダース: あらゆる対応が遅れてしまったことをお詫び申し上げます。

ワトキンス: 謝罪の必要はありません。それより我々が中央エリアから完全に隔離され、今や合衆国政府の管轄に置かれている状況についての説明が必要です。

エンダース: はい。— 知っての通り、SCP-3100-JP現象は太古文明によって創生された超自然的プロセスの一環であり、それを収束しようとすることは事実上不可能です。そのミーム的プロセスは恐らく隠蔽不可能であり、早い段階から民衆へと公開されていれば、もっと洗練された改善案があったかもしれません。ですが状況は変わりました。

ロバートソン: どういう…意味だ?

エンダース: 財団内部の資料を検索したところ、興味深い事実を発見したのです。その興味深い事実というのは、少なくとも我々がSCP-3100-JPの発見者ではないという事です。

ハイドルフ: 先駆者が存在したと?もしそうであるなら、財団の監督者らはどうして我々にプロジェクトを進行させたのでしょう?

エンダース: 先駆者が財団に反旗を翻したからでしょう。その先駆者らは、恐らく研究のある段階でSCP-3100-JPの真の性質を認識し、この情報を世間に知らせない場合、数十年で天文学的な単位の情報が喪失されてしまうことを理解していました。事態はより最悪なケースを辿っており、財団の監督者らは — その情報を財団だけが独占することにより、軍事的な側面で己が強力な存在になることを望んだのです。

ハイドルフ: ミーム学部門にそのような歴史は存在しません。

エンダース: だからプロジェクトは独立したのです。あらゆる情報をデータベースから抹消し、財団のみが軍事的な圧力を持つことを恐れたのです。それら先駆者はやがて完全に新組織を確立し、財団の危険性を訴えるようになった…

ロバートソン: — カオス・インサージェンシーが?

ワトキンス: 私たちは犯罪の後始末をさせられているのですか!?この状況下でカオス・インサージェンシーを破壊することで証拠を隠滅しようと?

エンダース: 後続のプロジェクトに更なる研究をさせる一方で、彼らの真実を徹底的に秘匿したのです。

ワトキンス: しかしインサージェンシーの方法は正しくないでしょう?我々が彼らを打倒することに何の不都合が?

エンダース: そうして彼ら絶対悪が存在しなくなった時、財団を抑制できるのは誰なのでしょう。我々はこの過ちを世間に公表しなければなりません、そうでしょう?

ロバートソン: 我々の地位を危険に曝してまですべき事ではない。

エンダース: それこそ我々の支配権を更に酷いものへと失墜させることになるでしょう?我々は過ちを推測でしか語れない。我々は組織構造にあやかる子供でしかない。これこそ今まで我々が取り組んできたこと全ての罪です。これを払拭しなければなりません。

ハイドルフ: 貴方は知らないんでしょう!?財団の権力構造が世界全体にどれほどの影響を及ぼしているのか?私たちは救済です。我々の行動一つであらゆる平和をもたらすことができる。それを失いたいと本気で思っているのですか?

エンダース: あなたは新しいものを発見したはずだった。

ハイドルフ: 私は —

エンダース: それは既知の情報だった。あなたはただ利用されていたに過ぎない。私たちは皆、財団という礎の上に立つ捨て駒でしかない。

ハイドルフ: [沈黙]

エンダース: だが未来は変えられる。我々が新たな方法で道を切り拓けば、より良い未来が待っている。あなた達も私もこの捨て駒でしかない。でも何に利用されるかを選択することはできる。この生き地獄でより良い選択をすべき、でしょう?

[エンダース主任が資料を取り出し、場に提示する。]

エンダース: いつまでも我々自身の議論をしている暇はありません。GoI-000の次の犯行声明が公開されて20分以上経っています。

ロバートソン: — 彼らの手法は正しくないと言ったな?

エンダース: ええ。

ロバートソン: その通りだ。我々は民衆に混乱をもたらすために存在するのではない。適切な説明が必要だ…だからこそ我々は生き延び、この戦いの全てを晒上げなければいけない…そうだろう?

エンダース: それ相応の処罰があることを危惧した方がいいのでは?

ロバートソン: 君が言ったんだぞ、これが我々の罪だと。今更なにを考える必要がある?

エンダース: その調子です。

[転写終了]

後文: この会議中に通達されたGoI-000に関する戦況報告の詳細については、次の補遺を参照してください。

補遺終了

補遺3100-JP/IX: 解放

前文: 2023/07/11、GoI-000の不特定多数の構成員による同時多発テロが予想され、財団ならびに調査監督署は対応を迫られました。その同時多発テロは、アラスカ州で発見されたような異生物の保存死体を回復させることにより、急速に世界全土にかけて連鎖的に広がるレゾナンス・カスケードを引き起こすことが目的であると判断されました。GoI-000のテロ行為を未然に防止するため、SCP-3100-JP現象に関して精通した知識を持つ1名の職員 (ベッドロック・エンダース) が派遣されました。この人物の言及によると、レゾナンス・カスケードはある一定のミームの”漏出”に起因しているため、これを抑制することが可能な — 大規模な”記憶媒体”が必要になるとされました。

即座に大量の記憶媒体が要求されたため、プロジェクト: 3100/プライムは一時的にSCP-3100-JP-Aの大量の実例を生成し、これを以て収容状態を完成させることを決断しました。そのため、以下のような実例が世界全土に作成されました:

  • SCP-3100-JP-A、ヒトの手形によって構成される具象芸術。複製が2,400,000体作成される。
  • ”ミステリーサークル”。通常の通過儀礼に従って形成されるこのアイテムは、SCP-3100-JP-Aとほぼ同等の記憶媒体として機能する。この複製が旧ワシントン州を含む25か所に新たに作成される。

この収容オペレーションの達成には、レゾナンス・カスケードを一時的に引き起こす必要がありました。この収容努力は、偶発的に発見されたアラスカ州の保存死体を起動することで達成されました。以下は当時の音声映像転写ログであり、この収容試行に参加した — または直接的に関与したベッドロック・エンダースを中心とする描写が含まれます。

補遺終了

再現手順-JaIlプロトコルに基づき音声映像転写ログを起動しています…映像を審査中です…

全ての資料の閲覧が完了しました。最終結論が用意されています…

補遺3100-JP/X: 結論

作戦終了報告
ケースファイル: 3100/プライム

状況: ”オブリオスタシス”、またはSCP-3100-JPとして記録されるアノマリーは、現在のGoI-000 (カオス・インサージェンシー) が財団に離反する以前、これに関する研究を行っていたことが判明した。このアノマリーの社会的または情報的影響が甚大であることが発覚すると、GoI-000は即座にこれをヴェール内部の通常社会へと通告しようと試みた。その試みは財団の監督局によって阻止され、財団が独占的にSCP-3100-JPの研究成果を獲得している状態が長く続いた。

SCP財団は、これまでのSCP-3100-JPのプロセスを意図的に操作することで、財団に敵対する都市国家に対して圧力をかけていた可能性がある。この証言は、GoI-000の元構成員やプロジェクト: 3100/プライムの職員からなされており、追及が必要である。GoI-000は最終的に財団に離反したが、当初の構成員が殉職または決別することにより、徐々に本来の活動意義を失っていった。

最終的にGoI-000によって引き起こされた破壊的なレゾナンス・カスケードは、これを抑制する働きをもつSCP-3100-JP-Aを生産することにより、その影響を分散することで無力化された。これによって発生した異常なSCP-3100-JP-A集合地点は、これ以降の収容対象または長期的な解体の対象となる。

収容: SCP-3100-JPに関係する全てのプロジェクト資料はワシントン新政府直轄地 調査監督署に共有され、以降の収容に応用される。世界各地に存在するSCP財団の直轄地は法的拘束力を失い、長期的な交渉のもとに段階的に解体される予定である。この収容手順は現在監督評議会および管理者と完全に衝突しており、慎重な議論が続けられている。あらゆる資産の引き継ぎが完了した場合、本アノマリーは正式なSCPエントリーに登録される。

補遺終了

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執筆者: Enderman_desu
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最終更新: 27 Jan 2023 23:23
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