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SCP-3XXX-JP - NYCTOPHOBIA


あなたは新しくなんかない。

概要: SCP-3100-JP-Aは、美術史的に知られるネガティブハンド様の具象芸術である。(ネガティブハンドは洞窟壁画の一例であり、人間の手に塗料を吹き付け、手形を浮き上がらせるものである。) 人間がSCP-3100-JP-Aに接触すると、対象の人物はSCP-3100-JP-Aを通じて異時間点のSCP-3100-JP-A作成者と同期し、その時点の記憶や歴史的背景情報を認識できるようになる。つまり、過去の出来事について再現された記憶を読み取ることができる”手形”アートこそSCP-3100-JP-Aであり、どのような形態でも、この世界では必然的に異常特性を付与される。

世界観: 舞台となる世界では、”手形”というものが重要視される。この世界のある科学者は、歴史上の断片的な情報がどれだけ時間をかけても発見できない=消失している理由が、この世界に存在するミーム的情報の自然還元作用にあると発見した。科学者はこれをNyctostasis (ニクトスタシス、持続的幽暗) と命名し、あらゆる文明の情報が時間とともに失われる根源的な理由であるとした。

SCP-3100-JPは、このニクトスタシス現象である。ある時点まで存続していた文化的情報の残留物は、時代とともに侵食を始めたSCP-3100-JPという現象のために抹消され、後の時代で発見できなくなっている。

ニクトスタシスは、”手形” (SCP-3100-JP-A) と呼ばれる普遍的手法によって防ぐことができる。これは狩猟儀式の一部であると理論化されているが、一方で製作者たちの意図を超え、現代での数少ない、簡単な伝達手段として機能している。”手形”に限定されず多くの手法はニクトスタシスを防ぐことができるが、太古の文化的情報の多くはこの”手形”によって保存されていることが多い。(ラスコー洞窟の手形アートなど)

-Aは簡単に破壊されてしまうこともあるが、その時々で簡単に情報を残留させるだけの手法としては十分なものである。-Aは残留するミームを通じて過去の情報を断片的に再現し、いつ何時、そこに何が存在したのかを詳細に記録することが可能だ。この特定のミーム構成概念を詳細に成型することで、更に発展的な情報を伝達するためのベクターとしても機能するだろう。

しかし反面、ニクトスタシスについて判明している恐ろしい事実もある。SCP-3100-JP-Aの”使用者”と”手形”の適合性が異常に高い場合 - この場合、生物学的な類似性などに一致がある場合 - 使用者と”手形”の間で一種の共鳴現象が発生する。これはResonance Cascade (レゾナンス・カスケード) と呼ばれ、時空間ならびにミーム学的構造を激甚に破壊する災害である。

歴史: レゾナンス・カスケード / ニクトスタシスは過去に何度も発生している。その度に致命的な損害をもたらし、時代ごとに文明が破壊されたという痕跡を残した。最後に発生したレゾナンス・カスケードは2021年のアメリカ合衆国で、この影響でアメリカ合衆国全体が永久に分断されるほどの損害を受けた。

レゾナンス・カスケード (2021) の発生前、以下のような歴史が存在した:

  • 2012年以降、アメリカ合衆国の各地でテロ組織が台頭し、政治的混乱に陥る。
  • 2018年、”カオス・インサージェンシー”を名乗る組織がアメリカ合衆国に宣戦布告する。
  • 各テロ組織がCIに吸収され、旧デトロイト市周辺を掌握する形で支配を拡大する。
  • 2020年、CIはSCP財団の目下監視対象であるルーク・J・アイゼンバーグ氏を拘束する。

ルーク・J・アイゼンバーグは本記事の重要人物である。以降の情報をまとめて説明すると、彼はレベルIIのニクトフォビア (局所的現実改変者) であり、特に彼自身にはSCP-3100-JP-Aとの異常な適合性がある。更に言及すると、彼は紀元前の永久凍土から回収された人類祖先の”直の子孫”である。アイゼンバーグは、北極域の永久凍土で発見された彼の母の凍結死体から回収され、財団の技術で強制的に蘇生されている。

要するに彼は”紀元前の時代から生き続ける唯一の人物”であり、この影響で同年代のSCP-3100-JP-A個体と適合性が異常に高い。彼は財団の要人として扱われていたが、2020年にCIにより拘束されてしまう。

CIの当初の目的は不明だったが、記事の終盤にかけてルーク・J・アイゼンバーグの正体が明かされるにつれ、実はCIが財団からその身を守ろうとしていることが明らかになる。これは、財団から回収されたプロジェクト資料を参照すると理由が明らかになる。

SCP財団は、ある時点からニクトスタシスが「人為的なもの」であると考えるようになる。レゾナンス・カスケードもニクトスタシスも、人類よりもっと高次の文明モデルが、自らと同等の水準まで進化しようとする文明を排除するために仕組んだメカニズムなのではないか?という仮説。実際にこれは正しく、記事の後半では以下のように説明される: SCP-3100-JPは超自然的にふるまうミーム還元作用であり、不特定の高次文明によってもたらされる破壊工作の一環である。

CIのリーダー (C.D.ガリフィアナキス) はアイゼンバーグを扇動する。曰く「財団の収容努力は全くもってエゴイズムであり、そこに正義など存在しない」と言う。実際に彼は財団に利用されているわけだが、それでも彼は”自らの善”を貫き、C.D.ガリフィアナキスを撃破する。

終幕: C.D.ガリフィアナキスの最期の悪足掻きで、人類文明全体を滅ぼしかねないニクトスタシス (ラスト・レゾナンス・カスケード) が発生間近になる。CIのレベルIIIニクトフォビア軍を前にSCP財団が苦戦する中、アイゼンバーグはそれら全ての戦士をまとめて殲滅する手段を画策する。

彼は、自らの出生の地である北極域の永久凍土に向かい、そこに存在したかつての居住区を発見する。壁一面に存在したSCP-3100-JP-Aインスタンスをまとめて起動することで、CIの本拠地を吹き飛ばすことを決意した。彼は自らの記憶と過去に別れを告げ、そしてレゾナンス・カスケードを発生させる。北極域が吹き飛び、CIは降伏する。そして最後には、アイゼンバーグが高次文明に接触したという示唆が含まれ、彼自身がニクトスタシスの中で脱現実することで物語が終了する。

終焉の持地者 (Holders of the End) (link)

二度と戻れない過去–The Anthropocene Reviews (link)

レゾナンス・カスケード (link)


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