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本ドキュメントは
スカイウェル・ソリューション
の命令により認可されています。
戦術対応-管理委員会命令
戦術対応セクションの2018/01/15時点での命令により、本ファイルの編集はロックされました。現時点で進行している、またはその可能性があるEK-クラス: 幸福論的成長シナリオに次ぎ、この深刻な事態の改善に向けて調査が継続されています。戦術対応セクションの以降の命令には服従することが義務付けられており、違反者は処罰されます。
管理委員会はスカイウェル・ソリューションの内部監査に次いで、潜在的な不正の可能性を考慮しています。この調査に適切な協力・対応があった場合、当事者には多額の報酬金が支払われます。
アイテム情報
収容プロトコル | 臨時
SCP-2833-JPは人類文明の潜在的な構成要素であるため、秘匿のヴェールを完全に破壊することによってのみ収容されます.TIAMATクラスのアノマリーは人類に対し喫緊の脅威となりますが、公の戦闘など、ヴェールを破るような方法によって「収容」することはできます。。
全世界的なEK-クラス: 幸福論的成長シナリオが現在進行中です。この緊急事態の間、エリア-17の全戦術対応セクション (TRS) から発令される一切の要請は、その管理委員会の権威を伴う強制指令となります。SCP-2833-JPが完全に収容される、または一時的に鎮圧されるまでの間、TRS以外の職員はSCP-2833-JPに関連する収容試行を認可されません。
説明
SCP-2833-JPは、あらゆる生物の精神活動に深刻な影響を与えている、未発見の精神疾患の一群です。この現象に曝露した全ての生物は、それ以前の攻撃的な感情を劇的に改善し、致命的な作用なしに暴力的傾向を喪失します。その症状が進行すると、曝露者は次に精神的疾病の傾向から完全に脱却し — または、そのような感情を完全に喪失し — 正常な悲観反応を起こさなくなります。この現象は生物種全体には拡散しておらず — 特に元来より身体疾患などによる気分障害を持っていたヒトが中心的であるなど — 断片的です。
現在のところ、大多数 (>56%) のヒトの心理はSCP-2833-JPによって大いに改変されているか、または重度に湾曲されています。この幸福状態は、少なくとも以下のような影響を曝露者に及ぼしたと考えられます:
- 創造価値の発見: 人類全体のコンセンサスによって定義される、通念上よいとされる人間の能力の発見、活性化。全人類の社会的友好性の増大が主要な作用である。
- 体験価値の推進: 上記の能力 (即ち、徳) や善、美を享受する能力の発生。
- あらゆる過程を通じて、SCP-2833-JPを永続させようとする欲望の発生。
SCP-2833-JPは前述のような性質のため、その初期の段階を発見することが困難です。特に、精神疾患を持つ未認知の個体は対応が遅れたり、その疾患の予後を悪化させる可能性があることから、適切な治療を行うことが不可能です。SCP-2833-JP曝露者の、多くの非常識な行動・見解は注目を引きやすいため、その累積によって世界全体の秘匿のヴェールが憂慮すべき速度で劣化しています。
SCP-2833-JPは、エリア-17によって主導されたスカイウェル・ソリューションの最終成果です。スカイウェル・ソリューションは、2009年に超心理学セクション長であったベッドロック・エンダースBedrock Endersが監督した作戦であり、目的は「生物種の[SCP-2833-JP-A]への精神的依存による、精神の発達の促進」であるとされます。スカイウェル・ソリューションは2010年4月に始動し、2017/04/19にSCP-2833-JPとなる精神疾患の兆候が普遍的に観測され、そののちにEK-クラス: 幸福論的成長シナリオが発生するまで、継続的に運営されました。それ以来、あらゆる精神分析の結果は、曝露者の精神がSCP-2833-JP-Aによって多大に侵食されている事を示唆しています。
SCP-2833-JP-Aは、スカイウェル・ソリューションの成功裡の達成に次いで普遍的に存在するようになった実体か、概念か、情報か、または他のアイテムであり、詳細不明です。SCP-2833-JP-Aについて言及する、現存するドキュメントの全ては、エリア-17のデータベースから破壊行為によって抹消されたか、または高位職員のクリアランスによって妨害されています。調査は継続中です。
補遺2833-JP/I | プロジェクト提言
19世紀にSCP財団が結成されたのち、それまで各国で行われていたアノマリーの収容試行はSCP財団の管轄となりました。その後の継続的な収容試行の蓄積データは、社会的コンセンサスの維持やヴェールの保護対応、世俗的な超常現象への関心の引き下げにもかかわらず、その社会的または内部の不信感を増加させていることを示していました。
収容違反-事例抜粋
項目: エリア-17に収容されるSafeクラスアノマリーの標準的な収容手続き。作業員による双方向の確認作業が義務付けられているにもかかわらず、確認作業の怠慢が発生した。結果として、エリア-17-第7収容棟における作業員の死亡事故が発生した。その作業員の遺体はこれまで回収されていない。この事件に関与した技術者は、当事者自身を含む多数職員の精神障害の傾向を告白し、それにもかかわらず、これまで職務が免除されたことは無かったと証言した。
倫理委員会の審議ののち、このインシデントに対する処罰は下されなかった。当事者を含む複数名の抗議に対しては、現在も対応が取られていない。
項目: エリア-17に収容される人型アノマリーへの、医療福祉を筆頭とする最低限の支援が不足している。アノマリーは著しく衰弱しており、元来より暴力的傾向にあるアノマリーの反抗が確認された。標準の収容プロセスに期待されない、アノマリーの過剰な暴力的ふるまいに次いで、エリア-17-第3収容棟における収容違反インシデントが発生した。この事件で83名の職員が重軽傷を負ったほか、13名の職員が推定死亡と判断されている。
収容委員会は事態を受け、エリア-17に対して最低限の援助を行うよう指示した。一方で、その根底的問題は解決されず、特に暴力性を持つアノマリーへの対策は取られなかった。以降も収容違反インシデントは断続的に発生している。
[24件の記録を省略]
内部の不適切な対応の結果として、以下のような問題が発生しています。
- 社会的コンセンサスの維持に求められる、世俗的な知識の異常な促進、
- 一般社会における超常技術の限定的な普及、
- 社会全体の不信感の上昇、
- 人類文明の存続可能性が大いに低下。
現在、エリア-17を中心として、根底的な管理体制の欠如が露わとなっています。財団の全面的な資金不足のため、これら倫理的問題はほとんど解決されず、次いで複数のインシデントは損失を生みました。このような状況下で、エリア-17の管理委員会は、特に内部全体の士気に直結する倫理的問題を解決するため、独自の研究チームを立ち上げました。現在、このチームは多くの改造を経て、スカイウェル・ソリューションとして再結成されています。
2010/04/17、スカイウェル・ソリューションの最初の会議が招集されました。
音声映像転写 SKY-E8S1-00 (復元)
日付: 2010/04/17
出席者:
- ベッドロック・エンダース管理官 (超心理学セクション長)、
- ルーベン・ハーリス管理補佐 (ソリューション監督補佐)、
- ロイド・K・ウルガスト参謀長 (収容スペシャリスト)、
- ルイス・ローウェル管理官 (エリア-17, 概念物理学部門チーフ)、
- トーマス・グレアム管理官 (エリア-17, 共同管理官)。
<転写開始>
グレアム管理官: この会議にとても何か意味があると思えん。単に上層部が瘦せ我慢させようとするだけだ。
ローウェル管理官: 君も同じく権力者であるというのを忘れたのか?そう思うなら上層部に君が訴えかければいいだろう。
グレアム管理官: ……わかった、わかった。O5が楽観主義なのはどうしようもない。あのトランスヒューマニスト共は、自分たちみたいな改造主義が全体であると思ってるし、なおのことそうすればいいと思い込んでる。
ローウェル管理官: フランス王妃の比喩にしては笑えない。身体増強にどれ程の予算をつぎ込むべきか、俺たちは実際に頭を抱えているんだぞ。
ハーリス管理補佐: その代替案について話をするとか言ってましたよ。何のために雑談しているのでしょう?
ウルガスト参謀長: よろしいでしょうか、あー、皆様?質問は後でお願いします。それで、自己紹介からでしょうか?— 私はウルガスト参謀長、エリア-17の超心理学者であり、同時に神学者で、或いは今、ソリューションの参謀長です、ええ。知っての通り、エリア-17、サイト-19、エリア-150、サイト-120……まあ、その如何なる施設ですら深刻な財源不足が浮き彫りになっていて、今では財団の管理体制が完全に崩壊してしまっています。
エンダース管理官。
エンダース管理官: 単純な話、この組織は完全に腐敗しきっている。財団の権力者どもは私財を貯めこむのに必死で、如何なるK級シナリオに対してすら対応の意思を見せない。そうだろ?それで、このままでは本当に維持不可能であるというのは周知の通りで。そうでなくても、毎日のように死傷者が発生する状況を「万事順調です」などとほざくことはできない。
ハーリス管理補佐: 私怨が混ざっています。
ローウェル管理官: えっと — このプロジェクトは公的なものなんだよな?
エンダース管理官: 法的にはな。収容委員会がほぼ完全に活動を無視している点を除けば、エリア-17の完全な管轄であるとも言える。野放しにされてる。
ウルガスト参謀長: そこで私どもはエリア-17の戦術神学部門や、対抗概念部門、そして概念物理学部門の人間に協力を仰ぎました。彼らと、そして超心理学セクションの部門横断チームで、同一のプロジェクトを起草しました。
グレアム管理官: 随分と話が飛躍してないか?あの — これは社会的な不信感の解決とか、内部部門の改善とか、そういったことの代替案だろ?どうして神々を信仰する部門や、概念とか物理的顕現を扱う部門の出番があると思った?いや本当に、何でだ?
ウルガスト参謀長: 私どもの憶測ですが、これは正しいやり方です。アンニュイ手順やら記憶処理やら……適切な手段を用いれば、それは間違いなくもっと良いものだとは思いますよ、ええ。ただし、財団の限られた資産を用いて、それも成功裏に達成させられる手順と言えば話は別です。実際のところ、エリア-17にアンニュイ手順を実行する権限はないし、記憶処理剤の増産に向けた資産は用意できません。もっと効率的なプロジェクトを考える必要がありました。
<沈黙。>
ローウェル管理官: この — このドキュメントにある事は、そのプロジェクトの本質なのか?
ウルガスト参謀長: はい。
ローウェル管理官: 「はい」じゃない。どうにも奇抜すぎないか?その……「あらゆる生物種の精神的依存を構築し、そこに適合する神格実体を顕現させる」というのは、何だ。冗談か?
エンダース管理官: 間違ってない。生物の悲観反応と、それに伴う気分障害を完全に克服させるための手段だ。精神状態は、仕事の要だと考えている。例えばあらゆる権限を行使する無欠の存在がいるとしても、その心の支えがなければ、やがて破滅する。そうでなくても、そうした窮地に陥った存在は、自分を補助する思考がなければ破滅を選ぶだろう。
ウルガスト参謀長: 記録されたインシデントの大半は不注意によるものです、サー。
ローウェル管理官: 向精神薬とか抗うつ剤と、何か違いがあるのか?— いや、それが神であるという差異はもちろんのこと、その効果自体に何か特筆すべきものがあるかと聞いているんだ。
ウルガスト参謀長: 収容実現の可能性にあります。我々は確かに財源不足ですが、それ以上に適切な技術は保有しています。その正確性さえ補えるものであれば、我々は確実に神を使役することが可能で、最も低コストなプロトコルのみで世界中をコントロールできます。
エンダース管理官: 監督評議会どもが最も懸念しているのは、秘匿のヴェールがほぼ完全に崩壊する可能性にある。ちょっとした綻びですら、今の財団にはそれを鎮圧できるほどの支配力がない。実に愚かなことだが、実際にその可能性が今まであった。その実害が及ばなかったのは、単に我々が幸運であったというだけに過ぎない。ニュージーランドで13mの巨人が出現したとき、我々はニュージーランドの60人余りを殺害する必要があった。カンボジアで2つ頭のガチョウが大量繁殖した時は、ガチョウとその飼い主をまとめて殺処分した。
ハーリス管理補佐: 過剰ですね。
エンダース管理官: そうだ。今の財団は過剰な手段しか用いることができない。最悪なことに、時として人の命はY-909化合物よりも安価になるのだ。その点、今回のプロジェクトは世界中に神への信仰を振りまき、あらゆる疑念や不安を解消させようとするものだ。これの意味するところは—
ハーリス管理補佐: — 多分、恐怖や不安からなる緊張感を緩和する存在として、神を顕現させようとしている。
エンダース管理官: — そうだ。いつだって神が寄り添っていると思えば、またはそう刷り込むことで、人は不安を忘れることができる。何よりも効率的に、そして完全にな。
ローウェル管理官: 神が実在すると思わせれば、たちどころにヴェールは崩壊するんじゃないか?
ウルガスト参謀長: そうならないように、神という存在を宗教的なミームに落とし込みます。要するに、存在し得ないと分かっていても安心する、潜在的に存在すると信じている部分があるようにミーム化し、それを少しずつ文明社会に浸透させます。
ローウェル管理官: 欺瞞に満ちている。無神論者は?彼らはきっと神を信じない。
ウルガスト参謀長: 無神論を支持しようとするコミュニティが存在するから、無神論者はそれに同調するのです。ミームが世界の大多数によって信じられるようになれば、無神論者は抵抗する必要性がなくなり、屈するでしょう。他に質問は?
<沈黙。>
グレアム管理官: 下位評議会の者どもには私から通達する。きっと良い返事がくるだろう。
ローウェル管理官: グレアム?君 — 本気でこれが上手くいくと思ってるのか —
グレアム管理官: 消去法だよ、ローウェル。悲しいことにな、これ以上のアイデアなど思いつかん。そうしたくても、財団には我々の計画に投資しようという考えは根っから無いんだ。非情なことにな!
ハーリス管理補佐: まあ、これが上手くいくことを願いましょう。
<転写終了>
後文: 下位評議会を含む投票は、38-9-2で可決されました。この会議における提案は、ロイド・K・ウルガスト参謀長による初期提言案を基盤として、後に研究計画 (プロジェクト・レッド) として確立されました。
エリア-17 / スカイウェル・ソリューション監督
PROJECT RED
2010/05/01
ロイド・K・ウルガスト参謀長
スカイウェル・ソリューション
目的: あらゆる生物種の精神的依存を構築し、そこに適合する神格実体を顕現させる。
概要: 財団全体の深刻な財源不足に次いで、指数関数的に秘匿のヴェールの維持可能性が逓減する傾向にある。その具体的なヴェール崩壊は発生していないものの、現在の管理体制において、財団の総資産によって秘匿できないインシデントの発生率は極めて高いものと推測される。こうした状況下において財団が成すべきことは、財源問題を抱える収容状態の改善ではなく、万一の場合におけるインシデントの社会的影響を最小限に抑えることにある。幸いにも、財団の技術的課題は完全にクリアされており、その予防手段を設けることが可能であると判断された。
詳細: 現在のところ、財団は予想される収容違反インシデントの確実な予防手段を保有しない。原因は、何らかの形で超常現象にまつわる情報が拡散された場合に、財団の総資産では秘匿できない規模にまで情報が既知のものとなる可能性にある。従来のようなアンニュイ手順は既に財源的問題のため廃止されており、プロジェクト・レッドの最終成果物は、その代替案となることが期待されている。
このようなヴェール崩壊の根底的な原因は、その超常現象の露見時に予想される大衆の行動に起因する。
- ソーシャル・ネットワーキング・サービスを介した、安易な情報の拡散、
- 風聞による、反復的な情報の拡散・拡大、
- 財団の支配下にないメディアを通じた情報の拡散、
- それら風聞を信じる肯定的意見の共有。
これら行動の背景にあるのは、未知の情報に対する不安と懸念、または恐怖からなる煽動である。大衆の不信感は情報統制によって抑圧することは可能であるが、その手段は大衆の精神的な障害となることが元来より懸念されていた。これらの問題を総じて解決するためには、全人類が以下の条件を満たしていることが必要不可欠であると判断された:
- 超常現象に対する正確な認知を獲得し、拡大解釈などが含まれた (不都合な) 認知を排除している状態。これは、その人物にとって言語化することのできない恐怖/不安が表面化したとき、次いで周囲の人間による精神的な援助・共感が、潜在的に情報を共有することに起因する。
- 超常現象に対する順応。即ち、その超常現象が何か特異な状況で、自身にとって言語化することのできない恐怖であると解釈しない状態。
全人類がこの条件を満たすためには、不都合な認知を排除するための — より正確な認知の構築、即ち適切な (超越した) ミーム構成概念の認知状態を維持する必要がある。普遍的な超常現象を超越するミーム構成概念の認知は、それ未満の網羅的な超常現象に対する不安を発生させなくなる。例えば、絶対的な神格の認知と崇拝は、それ以外の (逸脱した) 超常現象による刺激に反応しづらくなり、結果として精神的な安定を得ることが可能である。
報告 2017/04/19: 以下の適切な超越性ミーム構成概念が発見されたのち、選択的に人間にとって安全な要素が見出され、全ての非破壊的なベクターによって、ミーム構成概念として一般社会に普及された。

高度ミーム図像描写にレンダリングされた、SCP-2833-JP-A。
- 終末論的実体-01 (”ティアマト”) 、もしくは選択的な要素の擬人化。
実体は暫定的にSCP-2833-JP-A.編集者フラグ: 第23版のナンバリング変更を反映。として分類される。この実体にまつわる神話、および宗教観点からの布教、流布に次いで、ミーム構成概念は段階的に文明に浸透した。2017/04/03の時点では、最後に無神論を指示していたコミュニティが崩壊したことに次いで、ほぼ全ての人間はその信仰に抵抗する意義を失い、そのミーム構成概念に屈服した。多くの人々は精神的な援助を必要としておらず、この実体未満の超常現象に対する恐怖や悲観反応を喪失した。この結果、秘匿のヴェールを恒常的に維持することがより容易になり、将来的な収容違反インシデントに対する懸念が逓減された。
生物全体に拡散されたこの現象は、暫定的にSCP-2833-JPとして分類された。
補遺2833-JP/II | 記録
2017/12/24、ベッドロック・エンダース管理官はREISNOカノンによって未来のエンダース管理官自身に接触され、SCP-2833-JP-Aに反抗する人類の隠された派閥を知らされました。言及によると、その派閥は将来的に社会全体の脅威として君臨するようになり、その後にEK-クラス: 幸福論的成長シナリオを発生させると予想されます。その後の調査により、以下のように推測される (潜伏した) 派閥が存在すると結論付けられました。
GoI-2833 (”神託の復権Resurrection of the oracle”)
概説: GoI-2833は、地球全土において活動中であり、その影響は形而上学的概念にも及んでいる可能性がある、神学的存在の逸脱的ふるまいを悪用するヒト集団である。この集団の目標は、信奉者によって齎される終末論的災害を通じ、人類全体の根源的な恐怖を取り戻そうとすることにあると、そのように集団自身によって表明されている。
注目すべきことに、この集団を構成する個々のメンバーは、主にSCP財団に在籍経験のある技術者やアノマリーが中心的である。信奉者がそのようにふるまう理由は依然として不明であるが、未来からの報告によれば、メンバーに対する説得の試みは全てにおいて失敗していると説明されている。
2017年時点でそのような派閥は誕生していません。一方で、スカイウェル・ソリューションによって想定されたようにプロジェクトが進行しているわけではなく、一定の超常現象が秘密裏に存在することが知らされました。
超常現象記録
撹乱クラス: AMIDA (5/5)
概説: SCP-2833-JP-Aに対して全人類が崇拝を行い、プロジェクト・レッドは成功裏に完遂された。一方で、人類の指向的崇拝が集約されたのち、その状態の変化に気付いた多数の神格実体 (-343, -3740, -6996) が激高し、人類に対して脅威となる活動を開始した。その多くは、超越性ミーム構成概念によって人間を再刺激することにより、SCP-2833-JP-Aによって喪失されていた暴力的傾向を再活性化させようと試みていた。
この結果、SCP-2833-JP-Aによって抑圧することのできない超越性ミーム構成概念が多大に侵食し、その現象に対する人間の無理解が、更なる混乱を招いた。往々にして不安障害を再発した人々は、未だSCP-2833-JPの影響下にある個体を認知し、その異常な現象を世界中に拡散しようとしている。
音声映像転写 SKY-F1C6-00 (復元)
日付: 2018/01/13
出席者:
- ベッドロック・エンダース管理官、
- ルーベン・ハーリス管理補佐、
- ロイド・K・ウルガスト参謀長、
- ルイス・ローウェル管理官、
- トーマス・グレアム管理官。
<転写開始>
ローウェル管理官: こうなると分かっていたはずだ。お前たちはそれ以上に何も知らなかった。
エンダース管理官: これは完全に予想外だったんだ![SCP-2833-JP]-Aとなる神格概念は、我々が予定したものよりも何倍も優れた、極めて神聖な存在の具現化だった!あらゆるチームが隠蔽工作を怠ったから、-343や-3740のような存在にまで情報が回ってしまったんだ。
グレアム管理官: 責任を追及する余裕はないぞ。どうやってティターンズどもを打ちのめせばいい?
ウルガスト参謀長: ええと — それ自体は問題ないんです、本当にね。ごく一般的なカバーストーリーを流布するんです。例えばの話、我々のような超常組織がヴェールを突き破って一般社会を制圧し、その支配のために、今起きている全ての破壊工作を続けていると信じ込ませればいいんです。そして全人類にその情報が浸透したところで、新たなカバーストーリーとして「その組織は正義のヒーローによって打倒された」とでも言えばいい。
ハーリス管理補佐: 責任を架空の組織に押し付けるということですね。もちろん可能でしょうが、それに何の意味が?
ウルガスト参謀長: 今の破壊工作がその組織によるものだと宣言した後に、我々が総力をもって神々を叩き潰します。その後、偽装されたSCP財団が声明を上げ、神々が打倒されたことを宣言する。こうすることで、財団の本質を露見させることなく、ありもしない組織によって事態は鎮圧されたと言えます。
グレアム管理官: 話がズレてる。ヴェールは崩壊する前提なのか?
エンダース管理官: ヴェールの本質は超常組織を完全に露見させないこと、そうだろう?どんな超常現象の目撃よりも、LOCAL58がテレビをジャックしたら、それは世界の終わりだと考えるだろう。そうなるよりも、単なる超常現象が謎の味方によって滅ぼされて、安全であることを保障されるべきだ。
ローウェル管理官: うん……それはそうだ。1つ気になるんだが、超越性ミーム構成概念はそれで完全に排除され得るのか?
エンダース管理官: そのはずだ。
ローウェル管理官: いや、我々はどうだ?ミーム構成概念の本質は人間の心理だ。いくら神格が打倒されたと言っても、その真実を知る者どもにとっては、同じことではない。きっとそれが財団内部の偽装工作であると信じ込んで、不安を完全に拭いきることができない。連中は”また”同じことが起きると思い込むだろうな。
エンダース管理官: それは、記憶処理を。
グレアム管理官: 生憎だが、Y-909化合物は底をついた。
<沈黙。>
エンダース管理官: クソッタレ、何で先に教えてくれない!?
グレアム管理官: もっと計画を先に教えてくれりゃあ、用意しただろうさ!もう手遅れだ、全て手遅れなんだ。人類どもは恐怖にまた怯えるだろう、お前たちは何もできない、どうしろっていうんだ、クソ!
<沈黙。>
エンダース管理官: ……いや、考えはある。
ウルガスト参謀長: 何です?
エンダース管理官: ……教えられない、すまない。だがきっと上手くいくアイデアだ。非常に困難な問題のため、君たちに伝えられないのが残念でならないが。記録を止めてくれ — これ以上は必要ないからな。
<転写終了>
後文: その後、エンダース管理官に対する如何なる聴取も無視されました。戦術対応セクションは、この収容違反インシデントに対する暫定的な対応策 (レッド・インジェクション・プロトコル) を取りました。
補遺2833-JP/III | 試行
以下のドキュメントは、レッド・インジェクション・プロトコルの報告書を抜粋したものです。
RED INJECTION PROTOCOL
副提言 4731番
2018/01/15
戦術対応セクション
スカイウェル・ソリューション
目的: 人類種にとって脅威となる、神格実体の根絶。
項目: SCP-6659を用い、人類のノウアスフィアに属する潜在的な超ノウアスフィア脅威と戦闘する。結果として、3体の該当の脅威に接触し、そのような脅威をノウアスフィアから完全に排除した。進行中。
項目: SCP-3797のパラドックスを利用し、将来における時間異常部門に確実にSCP-3797を開発させるという最高決定に次ぎ、SCP-3797自体を出現させた。その後、現実に侵攻する恐れのある最上級多能性実体12体を完全に排除した。進行中。
[43件のエントリが省略されています]
補遺2833-JP/IV | 対応
2018/02/24、スカイウェル・ソリューションの監督官であるベッドロック・エンダースは — 監督評議会の見解によると — 財団に反逆しました。エンダース管理官は、エリア-17の機密データベースにアクセスしたのち、SCP-2833-JP-Aに関わる予備的なドキュメントを全て破壊し、その情報を完全に閲覧できないように改変しました。

”神託の復権”が流布した映像。
2週間以内に、エンダース管理官はエリア-17を脱走し、それまで発見されていなかった組織 (”神託の復権”) に加担しました。それに次ぐ1時間以内に、エンダース管理官を筆頭とする13名のメンバーによってテレビメディアが掌握され、組織による人類全体への宣戦布告と、その本格的な攻撃を開始しました。実際のところ、その攻撃は財団の資産によって完全に防衛可能なものがほとんどであり、財団および他の正常性維持組織への被害は発生しませんでした。
音声映像転写 SKY-G6V4-00 (復元)
日付: 2018/02/24
記録された人員:
- ベッドロック・エンダース、
- ロイド・K・ウルガスト参謀長。
前文: この記録は、GoI-2833 (”神託の復権”) のメンバーがエリア-17へと侵攻してきた際の音声映像の復元です。恐らくベッドロック・エンダースにより、事前にエリア-17の情報が漏洩していました。
<転写開始>
<警報が作動しており、けたたましくアラームが鳴っている。ウルガスト参謀長はエリア-17の非常階段を降りている途中、その階段付近で疲弊したエンダースを発見する。彼は足を負傷しており、それ以上の行動は取らない。>

数分前の監視カメラ映像。
ウルガスト参謀長: おい、おい!クソッタレ — 生きてるか?この野郎。
<咳き込む音。>
エンダース: ああクソ、生きてやがるよ、この通りな。
ウルガスト参謀長: 何でお前が件の組織に加担した?それと、どうして連中を知っていた?
エンダース: — そうだな、もしかするとREISNOカノンの件で幾つか誤報があったかもしれんな。GoI-2833は実在したが、私が言わなかったかもしれない。EK-クラスシナリオの発生率については言っただろうか?ゼロって。
ウルガスト参謀長: クソ — クソ!お前、お前が組織全体を敵に回すから — お前は本当に —
エンダース: どうした、撃たないのか?謎の味方さんは最後に敵を打倒したと宣言するんだ、そうだろう?
<沈黙。時折、男性の泣き声が聞こえる。>
ウルガスト参謀長: お前をここで殺せば、きっと私は悪党を打ちのめした英雄として記録される。そうでなくとも、GoI-2833の崩壊に次いで、財団内部でも圧倒的に — 脅威は過ぎ去ったのだと思われることだろう、きっとな。
エンダース: 素晴らしいアイデアだろう?
ウルガスト参謀長: 馬鹿野郎!お前が — お前が果たして役目を被る必要があったか!?そこいらの死刑囚でも何でもいい — 本当の悪党どもにそういう役割を背負わせればいいだろう?なのに —
エンダース: 秘密を誰かに漏らしたくはなかった。
ウルガスト参謀長: — いや!まだ何かある筈だ。君の偽造IDを作ろうじゃないか!Dクラスを偽装して、リーダーは死んだと見せればそれでいい。僕らは遠くへ逃げれば —
<エンダース管理官が床を殴りつける。鉄骨が反響する。>
エンダース: さっさと始末をつけろ。これ以上嘘は付きたくない。
ウルガスト参謀長: これ以上?
エンダース: プロジェクト・レッドは元から失敗すると分かっていたんだ。それでも実行したのは、人類を管理しようという愚かな欲望があったからだ。もっと効果的に異常を収容できると思い込んだからだ。私は — 嘘つきだった。
<沈黙。>
ウルガスト参謀長: 人殺しの理由にはならない。
エンダース: もういいだろう?私はやるべき事をやった。君がいなければ完成されないんだ。
ウルガスト参謀長: しかし……
エンダース: 頼む、ロイド。君は私の同僚で、チームで、仲間で、愛すべき友人だった。だからどうか、私の頼みを聞いてくれないか?最後の頼みだ。きっと後悔させない。
<沈黙。>
ウルガスト参謀長: 君は後悔させないと言ったな?
エンダース: ああ。
ウルガスト参謀長: 嘘はそれで最後にしてくれ。私はきっと後悔するだろう。
<沈黙。>
ウルガスト参謀長: それでも — やってやるさ、クソ野郎。
エンダース: その心意気だ、友よ。
<発砲音。>
<転写終了>
後文: この音声記録の録音時刻から1時間以内に、ウルガスト参謀長がエリア-17のセーフハウスに帰還しました。GoI-2833は駐屯の機動部隊によって一掃され、死傷者なく全てのインシデントが鎮圧されました。
事後調査により、エリア-17内部で銃殺された状態のエンダース元管理官が発見されました。
補遺2833-JP/IV | 解析
スカイウェル・ソリューションの予測通り、GoI-2833の崩壊と偽装されたSCP財団の声明に続いて、ヴェール崩壊後の一般社会における懸念が大いに解消されました。SCP-2833-JPは以前の機能を取り戻し、全ての曝露者は如何なる精神疾患の兆候も示さなくなりました。SCP財団は、発生したE/BK-クラス: ヴェール崩壊シナリオについて、偽装された財団自身の声明として発表しました。この後、そのシナリオ以降に発生した如何なる終末論的災害も排除されたと説明し、大衆が不用意な不信感を抱かないように誘導されました。世俗的な超常現象への関心は、数年をかけてSCP財団によって逓減され続けました。この結果、再び全人類がSCP-2833-JPの影響下に置かれ、同時にそのような超常現象への関心が劇的に減少していることが明らかになりました。
SCP財団の管理体制は改善される傾向にあり、全施設における収容違反インシデントの発生率が劇的に減少しています。社会全体の不信感は年々抑制される傾向にあり、財団はそのような現象の被害者により積極的に介入できる程の資産を持つようになりました。風聞によると、現時点では如何なる終末論的災害に対する関心も無いか、または極端に薄いものです。
レッド・インジェクション・プロトコルは、事後にエリア-17の全AICプログラムに組み込まれ、SCP-2833-JP自動収容プロトコルの一環として集約されています。前回の (最後の) 収容違反インシデントでオペレーションが成功裏に達成されたため、このプロトコルに問題はないと判断されました。最後にこの情報を認知していたスカイウェル・ソリューションの研究者らは、これら集約された自動収容プロトコルを25基の潜伏.aicエージェントに学習させ、その後の記憶処理剤の投与によって完全に忘却しました。
残存していた管理委員会の合意により、SCP-2833-JPはIGNOSIクラス.IGNOSIクラスアイテムの発見は、財団によるものであっても阻止されなければなりません。に再分類されました。
アイテム情報
説明
SCP-2833-JPは、あらゆる生物の精神活動に深刻な影響を与えている、未発見の精神疾患の一群です。この現象はより具体的に — 人々の根底的な恐怖心を解消し、その不安からなる煽動を劇的に改善するものです。これを調査することは禁じられます。
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:6759963 (24 Aug 2020 05:02)
>全人類の心理状態に強い影響を与えており、
影響を及ぼす のほうがいいかもしれません
>情動から平静へと至る変遷プロセスが存在するように — SCP-2833-JPは
>2833-JPの収束状態 —
>後の調査において — パターンの発生時期は、
横線はいらないように感じました
>サイト-17,
17、 のほうがいいかもしれません
>一石を投じました。
表現をかえたほうがいいようにおもえます
>いとなみ
漢字のほうが読みやすいです
>パラドックス?と思った方はいるでしょう、
パラドックスと疑問に思った方はいるでしょう、 のほうがいいかもしれません
>人類文明の存続可能性が大いに低下。
ここだけ「、」になってます
>無気力症状を発生させると明らか
>進化論
>未来予知
>アノマリー
>上位の
>克服しよう
>幸福永続性のパラドックス
>生存競争だ
>ハーリス監督補佐: …これは記憶処理じゃきっと治らない。
>エンダース監督官: そうだ、これは明示的な収容違反だ
>君が独房で何をしでかそう
>自殺しよう
>24時間以内に
>あれは何だ?
>いばら
下線はいらないかもしれません
>ただ一つ、反ミームではありません。
漢数字になってます
><しばらくのち、
脱字があるようです
>この世界が一種の天国であるとするなら……
>その罪をほどいていく……
文末に「。」
批評していただけるのはありがたいのですが、内容についても教えていただけると嬉しいなと思います。この辺の表現は記事の根幹に直結しないので、深く考えていませんでした。
「影響を与える」という表現は間違っていないと思いますので、そのままにします。
ダッシュ記号は表現の一種ですので、ここに明確なルールはないと思います。よって変更はしません。
修正しました。
表現を変更しました。
これは、この前後の用語や慣用から勘案してひらがな表記が妥当であると判断して、意図的にひらがな表記にしています。何か間違っていればすみません。
文章的に分かりづらいと思いますので、そのままにします。
箇条書きで列挙された文章を理解しやすいよう、意図的に句読点を振り分けたものです。間違っていれば修正します。
その文章を強調しようとするものですが、他の案があれば変更します。特にこだわりはないのですが、読んだ時の理解しやすさを重視します。
修正しました。
誤字でしたので修正しました。
3点リーダーに明確なルールはありません。表現の一種としてあるものだと思いますので、修正はしません。
拝読しました。現状NV寄りのUVです。スポイラーにて懸念されている「展開の薄味さ」「キャラクターの対話」は特に問題ないと思われます。しかし、読者を置いてきぼりにしてないか、と言われると微妙なところだと感じました。補遺Ⅵまでは着いていくことが出来ましたが、補遺Ⅶで突然その後の話が描かれたのでそこが若干急かな、と思います。個人的にはワンクッションあっても良さそうだと感じました。とはいえ、これはわたしの趣味も含んだものであるため、他の方の意見も聞いて見る方がいいと思います。あくまで参考程度に捉えていただけると幸いです。
批評ありがとうございます。ご指摘いただいた点を中心に改稿を行いました。
2022/08/31、全面的に改稿を行いました。