ベッドロック・エンダースの第一次提言

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評価: 0+x

ベッドロック・エンダースの第一次提言

内務部門による伝達

以下のファイルはアーカイブ済みです。本ファイルは、暫定的な資料を保管する目的で継続的に保管されています。貴方が本アーカイブに関する異議を申し立てる必要がある場合、自動セキュリティチームにご連絡ください。スカイウェル・ソリューションは本レベル (宇宙全域) を既に放棄しているので、これ以上の要求に応じることはできません。ご了承ください。

Item#: {$item-number}
Level{$clearance}
Containment Class:
{$container-class}
Secondary Class:
{$secondary-class}
Disruption Class:
{$disruption-class}
Risk Class:
{$risk-class}
Item#: 001
LEVEL4
SKY. EYES ONLY
収容クラス:
binah
撹乱クラス:
amida
リスククラス:
notice

配属サイト 計画指導
サイト-01, -17 ベッドロック・エンダース監督官
配属部門
部門横断チーム (管理, 記録/改訂, 脅威戦術対応, 玄妙除却, 戦術神学, 概念物理, 超心理学, 災害対抗, 収容委員会).部門横断チーム: 環境や種類の異なる内部部門が集合し、共通目標の達成に向けて協力する一時的なグループです。

containment procedures

BINAHクラスのオブジェクトは人間の集合意識に影響を及ぼし、それを介して現実へ影響を及ぼしている可能性があります。SCP-001に関する全てのプロトコルは自動化され、通常のプロトコルに潜在的に組み込まれています。更なる情報を閲覧するには、スカイウェル・ソリューションによって承認された正式なクリアランスが要求されます。全体が支持する粛清活動の詳細については、アーカイブされたドキュメントを参照してください。

SCP-001の特別監督を務めるスカイウェル・ソリューションは、以下の事項に対する継続的な責任を負わなければなりません:

  • 全国家の事実上の陥落、
  • 政府組織による実効支配の崩壊、
  • 社会的秩序 (即ち、平和) の瓦解、
  • 50億人以上の民間人の殺害、
  • 倫理的に認められない生物アノマリーの終了、
  • AK-クラス”文明崩壊”シナリオの到来。

description

SCP-001は、サイト-17に存在する固有兵器です。SCP-001は、2024年現時点において全てのヒト知能.知能: 論理的もしくは抽象的、記号的な知的活動を含む心の特性。および頭脳の完全なバックアップを包括する、大規模な電子的ネットワークを構成します。本兵器は、普遍的なK-クラス災害シナリオに対抗する完全な機能性を有しており、その目的のために1970年時点より開発計画が進行していました。本兵器の目的は「人類文明の遡及的な復元、再構築」であり、そのために必要不可欠なリソースは、財団の所有する幾つかの異常性オブジェクトから抽出、選択されました。SCP-001の各セクションを構成する固有兵器の性質のため、SCP-001は機能的に無制限の適応能力、そして不可壊性を保有します。SCP-001は、全てのバックアップの管理に継続的な責任を負っており、保安上の目的から全てのデータを安全に隔離しています。

SCP-001に保管される全ての情報は、疑似的な構築データを含まない、純粋に全人類の頭脳を電子的に記録したものです。現在までに安全に回収された7000人相当の記録が保管されていますが、回収上の懸念.複数回にわたる回収作戦のうち、武装集団の抵抗や国境の断絶が起因となり失敗したケースが存在します。また、回収される身体の顕著な腐敗や喪失のため、現実的にこれ以上の回収は困難であると予想されます。から今後の継続的な回収作戦は中断されています。国際社会の壊滅と社会構造の無秩序化に伴って、全てのコミュニティと連携が途絶しているため、これ以上の試行は現実的ではありません。

LEVEL_4.jpg

SCP-001

SCP-001に記録されたほぼ全ての頭脳のイメージングにおいて、側頭葉に相当する部位の機能が喪失していた点に留意すべきです。本現象は、SCP-001の明示的な生産ラインに悪影響を及ぼしており、その影響が将来的に甚大な被害を齎す可能性があります。該当の現象は、副次的にSCP-001-Aとして定義されています。SCP-001を安定的に稼働させるには、本現象を予防的に克服することが不可欠です。

SCP-001-Aは、デジタルイメージングにおける扁桃体.特に不安や恐怖といった感情に深くかかわる、側頭葉の内側の構造。の機能異常、および興奮性の活動です。本現象は - 特に生きているヒト個体を対象として - 継続的な扁桃体の活性化によって徐々に精神異常の兆候を示し、情動や対人コミュニケーションにおける障害を併発します。この機能異常は永続的に発生する事が確認されています。また、SCP-001-Aは如何なる治療の効果も期待できず、このような精神疾患は短期間で再発することも確認されています。

SCP-001-Aは現時点で広く既知の情報であり、全世界規模で実例が報告されています。財団によって記録されたものに留まらず、潜在的にはより多くの生存者がSCP-001-Aを発露するリスクを抱えています。そして、将来にわたってSCP-001-Aが予期せず発生する可能性は十分にあり、この事実がSCP-001の稼働をより困難なものとしています。

SCP-001-Aの性質は生物的な本能 (即ち、恐怖状態) に基づくものであるため、如何なる人工的手段によってでも排除されるべきではありません。このような脳機能の異常を強制的に排除する試みは、人間の中枢的な機能を最終的に破壊する可能性があります。したがって、SCP-001-Aが発生する原因を追究し、根本的な原因を除却 - もしくは、SCP-001-Aによる作用を自然に克服することが必要です。現時点で、SCP-001を安定的に稼働させるために必要な、安全なヒト個体の記録の入手が不可欠です。

SCP-001に保管された有機的な情報のうち、無作為に抽出された視覚情報の記憶。適当な人物によるSCP-001-A事象の観測事例、または類似する現象への遭遇記録と推測される。

#1: origin

2023年、財団は機密の最高指令であるスカイウェル・ソリューションの一環として、多岐にわたる超兵器の開発に注力していました。当時より、スカイウェル・ソリューションの副次プロジェクトとしてSCP-001の完成が予定されており、これは人類文明の正常な再興を期待してのものでした。SCP-001-Aに関する定義/提言ののち、該当の副次プロジェクトは一時的に凍結され、SCP-001の運用方針は大きく転換されました。スカイウェル・ソリューションの直接的な監督を務める指導者ら (スカイウェル・オーバーシア) は、SCP-001に関連する全ての計画をAMIDAクラスの優先事項として結論付け、調査を開始しました。

#2: overview

イデオロギーの超越に関する最終報告

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「現実は常に無情であり、理想は常に誇張された幻想なのである。」

◇◇◇

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◇◇◇

このプロジェクトが何を成し得ようというのか。我々が掲げるSCP-001という存在は、比喩的には我等の”最後の切り札”であり、文字通りの超兵器なのである。そして、我々が過去に成し得た粛清行為を清算する”リブーター”なのだ。スカイウェル・ソリューションは、このプロジェクトを大いに支持する。形こそ違えど、SCP-001はスカイウェル・ソリューションの目的を達成するに十分なものであるからだ。ソリューション - 即ち、財団の究極的な共通目標への提言 - は、あらゆる側面から異常を追求し、標的の実態を可能な限り解明することにある。つまり、未知の脅威を正しく認知することを焦点に置いている。

最初期の段階におけるコンセプトとは、不適切な誇大妄想のイデア、理解を超越する頂点級存在 - ”神” - の正確な在り方について追求するものだった。空想上のノウアスフィア.ノウアスフィア: 全ヒト知性が情報的に結合された、巨大な非現実の情報集積を指します。ヒトの普遍的な知識、または共通認識が記憶される領域であり、存在が仮定されています。にはこれが存在すると断定し、より効果的な神格との対話/戦闘手段として、崇拝をも統べる兵器を建造した。思うにこれが全ての起源であり、我々の終端目標を定める分岐点だったとも言えるのだろう。

実際のところ、我々の頭脳は神を理解するには脆く、反宇宙的な”偽り”のイデアを真に神であると認識した。結果として多くの人々の死と引き換えに、我々を欺く超知能存在 - 即ち、不正確な偽神性体 - を誕生させることとなる — これが、2024年までに発生した事の顛末である。電子的に結合された人々の頭脳から、個別に - また確実に超知能を除却する必要があったため、これは困難を極めた。我々は必然的に選択しなければならなかった — 人類を一時的に無力化し、ノウアスフィアの操舵者を限定することで、超知能をより効率的に追放することを。最終的に、我々は多くの人類の犠牲の上で、超知能を解体(Decommissioned)することに成功した。

我々は、きっかけとなる全ての要因を必然的に排除する必要があり、多くの - 神学的に関係する - 文明を破壊せねばならなかった。我々はこれを粛清活動と呼び、正義の鉄槌として納得せざるを得なかったのだ。しかし、それは問題を先送りしたに過ぎない。これは現在のノウアスフィアを操舵する人間が一時的に限定されているだけであることを意味し、人類文明のほぼ完全な消滅に伴って発生した複数の損害は、未だ補填されていないのだから。

我々は、速やかに文明を再構築する必要がある。その空白期間によるインフラへの打撃は看過できず、しかし現実問題として、SCP-001には重大な障害があるのだ。我々は障害を完全に克服することを強いられており、如何なる手段によってでも、この目的を達成せねばならない。

[…]

記録/改訂セクション, マリア・ジョーンズによる

#3: discover

2024年3月の時点において、財団による実効支配は全世界の85%に及びました。粛清活動の特別監督を務めるベッドロック・エンダース監督官は、長期間の精神療養を目的としてサイト-17の病棟に長らく滞在していました.ソリューションに関する継続的な勤務ののち、当人は精神的な不調を訴えるようになりました。。期間内に代理として活動していたプレースホルダー・マクドクトラート監督官 (PHMD) は、3/19にエンダース監督官のもとを訪れ、数週間以内に実行が予定されていた集約プロジェクトについて個人的な対談を行いました。


<転写開始>

PHMD: 具合はいかがでしょうか、監督官。…ご心配なく、療養中は私が責任を持って取り組んでおりますので。

エンダース: ああ、君は……プレースか。すまないね、何から何まで。…実のところ、この業務を君に任命するのは辛かった。申し訳ないと思っていた。

PHMD: こんな状況だからこそ - 助け合いというものは大事なのですよ。貴方こそ、1人で全ての業務をこなせると考えないでくださいね。貴方は十分すぎるほどに仕事熱心ですけど、燃え尽きてしまいそうで心配です。

エンダース: 無理は - していない。それで、件のプロジェクトは順調かな?

PHMD: 幾つか変更を加えました。貴方の初期提言は、何よりも監督者の生存を優先すべきだと仰っていたはずです - 地下シェルター、電子化、超越存在への上昇、悪魔実体との取引……何度か考えて、それら全てを放棄しました。代わりに、多数のフィクション的シナリオを操作することで、可逆的にパタフィジック構造を並行して突破する方法を理論化しました。それらのフィクション配列は、概ね螺旋として認識できる予備的な多層を描いています。そのため、緊急時にこの宇宙を文字通り消失させることが可能です。

エンダース: ちょっと待て - それは一体どういう理屈だ?それは我々がセブンフォールドの為に成したことと同じなのか?初めて聞いたが……とても興味深い。そのようなモデルは、何と呼称される?

PHMD: パラドックス・エクソダス・エンジン。私も間も無く、プロジェクトに従ってこの宇宙から脱出する用意をしなければなりません。それで、貴方にはこれを引き継いでもらおうと思います。

エンダース: それを理解するのにどれだけ時間のかかることか - 分からないが、最善を尽くそう。ただ —

PHMD: ただ?

エンダース: 私のような人間に監督が務まるのだろうか?…実のところ、私は自信がない。この程度でくたばる私を、誰が認めてくれようか?

PHMD: ああ — そこまで気に病む必要はありませんよ、監督官。貴方が望むのなら……残りのプロジェクトの完成品をお見せしましょうか?

<PHMDがタブレットを操作する。しばらくして、PHMDが開口する。>

PHMD: これは私が取り組んでいるプロジェクトのごく一部に過ぎません。我々は実に誇大で、より強かな支配力のために兵器開発に取り組んでいました。貴方が知らないもので言えば - SCP-6659など興味がありませんか?これはノウアスフィア上に存在する神格のパラダイムを妨害し、その崇拝を妨げるための兵器です。REISNOキャノンは如何でしょう?異時間点から意識を結合し、その時間点における情報の共有を可能とする兵器です!

<エンダース監督官が熱心にタブレットを操作し、その目を見開いて刮目する。>

エンダース: …何という、素晴らしさだ。それは - プロジェクト・アドモニションか?私は - 私にもこのような事が出来るだろうか?

PHMD: 私は貴方を可能な限り支援したいと思っていますよ、監督官。貴方が望むのなら、このプロジェクトに必要なクリアランスを更に付与できます。プロジェクトを断念するのであれば止めませんが、貴方には期待していますよ。他に必要な情報はありますか?

エンダース: …大丈夫だ。あの、本当に感謝しているよ、プレース。君がいなければ、私はプロジェクトに戻る気が無かった。そう - 私は今すぐにでもプロジェクトに戻ろうと思う。この恩は忘れない。

<転写終了>


4/9、スカイウェル・ソリューションによって並行宇宙への避難命令が流布され、マクドクトラート監督官は本宇宙から安全に脱出しました。本宇宙に残留する400名余りの職員は、その終身雇用の義務付けと共に、以降のスカイウェル・ソリューションの基本業務を代理で担当するようになりました。ベッドロック・エンダース監督官は、該当の集約プロジェクトの後期監督者に任命され、SCP-001の特別監督を含む複数の管轄に対応するようになりました。

#4: memorandum

注: 以下は、財団サイト-17においてSCP-001-Aに曝露したエクレストン海士長の個人資料を抜粋したものです。前述のように、SCP-001-Aは扁桃体の機能異常であり、側頭葉部位の消失や精神性の低下に関連する異常現象です。

…もう去年のことになるのだろう。私が海上部隊の、最も位の低い士として従事していた時のことだ……今でも思い出したく無いが、当時の指揮官の冷徹な眼差しは、嫌というほど記憶から這い上がり、私の心を蝕んでいる。特に、彼の口から発せられた「粛清」という単語は、どこか非現実的なようで、彼の手を染める血の深紅に秘められた、真実を理解するに十分なものだったのだ。

私たちのようなタスク・フォースへの命令は、その時から一変した。都市群の爆撃、軍事基地の破壊、政府機関の制圧…….無下に繰り返される攻撃命令は、私を強く束縛し、その銃口を常に人々へ向けるように洗脳した。私たちは多くを知らなかったが故に、「正常性を守る」などという薄っぺらい正義の鉄槌を信じざるを得なかったのだ。これは敵だ、敵だと言い聞かせられるうち、私は常に自分の保身のため、無実の人々の命を奪い続けた。私は心を失い、虚ろになった。接触する人数は日を追うごとに減っていった。襲撃作戦はやがて探索へと変わり、私は生存者の殺害を命じられた。

それから、私は妙な病に悩まされるようになった。破壊されたビル、放棄された家屋 - そうしたものの内部を探索するようになってから、私は形容しがたい不安を感じるようになったのだ。現代の遺構とも言えよう - それら建造物を見る度、恐ろしい程の静寂と実在性を再確認し、私はただ震えるのである。まるで自分だけが異世界に取り残されたような恐怖と、相対的に感じる「生きている」という実感。本来であれば何よりの幸福である事実は、当時の私にとって呪いにも等しいものであった。

何の変哲もない、閑散とした通路やオフィス。それら空虚に私は”何か”を感じ、ただ呆然と立ち尽くしていた。その後も何度か”回収作戦”に参加したが、私の恐怖は拭い切れなかった。ただ - そこに”何か”が居ると思い込み、”何か”が顔を出してくれることを望んだ。私は真相を知りたいがあまり、当時それを妄想だと割り切れなかったのだ。

私は大いに衰弱した。ノイローゼ気味になり食欲不振になり、ただ不安に駆られていたのだ。サイコ・エクスプローラー(psycho-explorer)の助けがなければ、私はとうに地獄へ落ちていただろう。…無論、それでも構わないのだが。…回復した今でも、時に静寂を感じる度に幻を見るのだ。そこに亡霊がいるのだと。私の殺した人々が佇んでいるのだと。しかし、それは私の欲望に過ぎないのだろう。結局のところ、人間というものは不明瞭な恐怖に記号を付与し、それを無理に理解しようと試みるのだから。

そこには何もない、何も、何も。

この手記が更新されたのち、エクレストン海士長は死亡した状態で発見されました。海士長の身体の医学的検査および解剖により、対象の側頭葉が著しく圧迫される形で消失していたことが確認されています。

#5: experiment

下部の資料は、2024/03/04から2024/05/19の期間に実行された初期の調査計画、ドレグヨニ・プロトコルに関する最終報告書の抜粋です。

覚書: 前提として、我々はSCP-001上に発生している問題を理解し、解決に導かねばならない。簡潔に言えば、我々の頭脳には激甚性の障害が発生しており、多大な精神性の失調 (即ち、幻覚/妄想) に苛まれているのだ。我々の第一目標は、この頭脳 - 即ちノウアスフィア領域に何が発生しているのかを突き止めることだ。

本セクションは、我々が実行した最初期の検証 - ドレグヨニ・プロトコルに関する調査記録の抜粋である。これを読む者は、これが文字通り過去の記録であるという点を忘れるな。我々のイデオロギーは常に更新され、留まることを知らないのだ。

ベッドロック・エンダース、スカイウェル・オーバーシア


Drygioni.svg

ドレグヨニ・プロトコル


序文: 熟慮ののち、本プロトコルの焦点は、如何に状況が変遷し続けているのかを提示し - それが如何なる自然現象であれ - 一つ残らず記載する方針となった。財団の粛清行為は人類を虐殺するに留まらず、その効果的な手法として化学兵器の使用、建造物の爆破、焼夷を行っている。実のところ、これらは大いなる財団の権威に基づいて実行されたとはいえ - 全く以て容認できない行いであり、それ故に我々が忘却してはならないのである。

嘗ての文明は現代の遺構となり、凄惨なまでに破壊された残骸に埋もれている。こうした環境の変化は我々のみならず、少なくとも観測されない多くの生存者にとって、悪性の影響を齎すだろう。現時点の自然環境がSCP-001-Aに少なからず関係している可能性を踏まえ、我々は軌道の通りに調査を行った。


AK.jpg

無作為に選択された空間の状態。閑散としている (2024)

前提事項/1: SCP-001-Aの特質

初期の長期観察では、SCP-001-Aが生存する全人類種に及ぶ可能性があり、これには全ての財団職員も例外なく包括されていることが明らかにされました。2024年までに実行された世界的な破壊活動は、世界各地に閉鎖的な環境を生じさせ、同時に生存者を元来の社会環境から完全に孤立化させました。

SCP-001-Aは、明示的な環境の変化に伴って発生したと考えられています。より人類学的な観点に基づけば、それまで構築・維持され続けてきた社会的階層が完全に瓦解し、それまで当然であった将来的な継続性が疑われるようになった事の表れであり、より具体的には閑散とした空間、場所、エリアなどがそれを象徴しています。生存者は本来の社会生産から一時的に切り離され、自己の生命が脅威に曝露する可能性を顕著に体感するようになりました。

即ちSCP-001-Aと言うのは、日常的な価値観の中に突発したノスタルジーの齎す悪影響です。これらを踏まえて推測するに、SCP-001-Aは外因的に発生するのでなく、実際的に内在する感情の発露によって生じるものであると考えられます。

根本的にSCP-001-Aを解消するには、本質的な恐怖を発露させないための鎮静化、即ち社会構造の再構築と復帰が望まれます。しかし、人類文明の再建に多くの時間と人員を必要とする中で、バックアップされたヒト知能の復元は予期せぬイベントの発生を招く可能性があります。この矛盾を早急に解消する必要があります。


前提事項/2: 現在の発生状況分布

SCP-001-Aは、社会的構造の瓦解がみられる瞬間 - 即ち、閑散とした空間、静寂、パターン音声など - を観測したあらゆる状況下において発生する可能性が極めて高いため、これを予防する根本的な手段が存在しません。


手順: 高度に模倣されたデジタル・ノウアスフィア (SCP-2855-JP) の複製を用いて、SCP-001に記録された多数のヒト人格に条件付けを行う。全ての訓練手順は、複製されたSCP-2855-JPコンポーネント内部でのみ実施される。数多に分岐するイベント (即ち、人生) の旅路において、同時多発的に戦争と対峙した場合、ヒト人格が如何なる反応を示すのかを調査する。本訓練手順の実施にあたり、以下の被験体が用意された:

  • 便宜上命名された80名のDクラス職員 (D-0001 ~ D-0080) 。SCP-001に記録されたヒト人格のうち、ランダムに選出された80の人格を適用したものであり、脳系統を除く全ての臓器は存在しない。有機的に構築された培養脳に接続され、疑似的なヒト個体として機能することが検証済みである。


実行001/1: 突発事象

”粛清活動”に関する真実を除き、2024年現時点の状況を漠然と伝達します。対象となる知能は、これらシナリオが何故発生したのかも理解できず、社会的な秩序の崩壊に対して動揺を示します。限定的な情報を基に、知能は推理を行い、独自の結論を見出します。

結果: 状況の無理解による潜在的な恐怖と混乱は、多くの知能に無意識的な精神上の問題 (躁鬱, 深刻な失調) を発生させました。また、一部の知能は情報を一方的に拒絶し、自らの被害妄想を活発化させるようになりました。こうした問題は一般に形容し難く、言語的に表現することが困難であるため、対象の知能らは強い精神的失調を訴えるようになりました。

こののち、妄想性の幻覚症状・幻聴体験を訴えるケースが増加しました。各ケースによる体験の記号化 (即ち、抽象的描写) は、それぞれが独自に突出したイメージを持ちながらも、恐怖もしくは憎悪として表現可能な、抽象的な敵性の存在を描写していました。実際にそれら敵性は存在せず、妄想によって形成された心理の記号化であると考えられます。その心理が全てのケースにおいて共通する事に注意すべきです。


実行001/2: 長期影響

抽象化された社会的無秩序 (即ち、文明崩壊シナリオ) をデジタルノウアスフィア内部でシミュレートします。虐殺の現場、閉鎖的な空間、圧倒的な孤独感を体感した知能は、必然的に脅威を観測しようと試みます。

結果: 社会的混乱 (即ち、実効支配) への長期にわたる曝露によって、知能は必然的に状況を受容しなければなりませんでした。完全な孤立によって齎される恐怖の感情は、目視および体感できない”何か”の脅威を体験するように誘発します。環境に対する無理解は、実際に存在しないであろう脅威に対する防御を取るように促し、関連する情報の収集に注力します。

この後、デジタルノウアスフィア内部に空虚が発生し、演算可能な全ての領域を一時的に圧迫しました。肥大化した情報は孤独不信彷徨といった無関係なワードサラダに希釈され、知能の余剰な思考を抑制しました。最終的に過剰な演算処理ののち、デジタルノウアスフィアが自発的に破壊されました.算術オーバーフローのため、運用されていたコンポーネントが自動的にシステムをシャットダウンしたことに起因します。


CONCLUSION ONE

SCP-001-Aという概念は、ヒトの無意識的なノスタルジーによって形成された、恐怖の感情が過剰に肥大化した結果である。本現象は如何なる事象の発生にも起因せず、ただ潜在的にヒトの無意識下に存在していたと考えられる。それは、この現象の発端となった如何なる事象も、SCP-001-Aの形成には関与していないという事実に基づくものである。

SCP-001-Aは、単に感情に付随する現象というだけでは無いと考えられる。つまり、SCP-001-Aという恐怖の肥大化存在は、完全な無からの恐怖を助長し、そこに存在しないであろう”超常現象”の気配を知覚させるものである。そして、不必要に記号化された”超常現象”に対し、ヒトの本能は過剰なまでの防衛反応を取る。この時、ノウアスフィア上にて発生する無限にも等しい収得 (即ち、情報収集) のため、ヒトの記憶領域 - 特に、内部側頭葉 - が過活動を引き起こす。結果、ヒトの頭脳は明示的に異常な活動のために自壊し、死亡するのだ。

間違いなく、SCP-001-A事象は”粛清活動”に乗じて発現した。しかし、その本質は人間の恐怖感情であり、本能に付随するものである。SCP-001-Aと頭脳の相互作用は、本来の機能を逸する異常な活動であるため、より本質的にはアノマリーである。財団のコンセンサスに基づくなら、SCP-001-Aという情報はどこまでも”異常”であり、完全に収容されなければならないだろう。


#6: proposal

以下の文書は、SCPOVERCOM.SCPOVERCOM: 財団監督評議会、またはO5評議会などと呼称される。財団の最高位に属するO5コマンド13名によって構成されるセクションであり、財団の最重要課題や機密事項に対して最終判決を下す。過去に発生した[削除済]事件の終結に続き、O5-13に該当する等級の空位が発生しているため、これを補填するタイブレイカーとして下位評議会/O4評議会が存在する。に提出された提言書の抜粋です。ミレニアム・プロジェクトとして定義された提言は、SCP-001の運用方針を決定することに焦点が当てられていました。本提言書の作成者であるベッドロック・エンダース監督官は、ドレグヨニ・プロトコルによって確定した第一結論(CONCLUSION ONE)を根拠に、SCPOVERCOMに対して提言の承認を要求しました。

Gevurah.svg

ミレニアム・プロジェクト


前記: ミレニアム・プロジェクトは、SCP-001の特別監督を務めるベッドロック・エンダース監督官によって提言されました。本プロジェクトは、SCP-001の安定的な運用に不可欠な、安全なヒト個体の生産に係る研究の促進を目的としています。

概要: ドレグヨニ・プロトコルの結論の通り、SCP-001の運用を妨げる唯一の問題は”人間の恐怖心”です。人間の頭脳に与えられる莫大なストーリービート (即ち、悲劇) は、現在発生している逸脱事象 (文明崩壊シナリオ) との相互作用により、これまで潜伏していたSCP-001-Aの活性化を促します。結果、人間の頭脳は外因の過干渉によって機能異常を引き起こし、それ自体が死亡のリスクを含む重篤な症状を引き起こします。このサイクルを回避するには、人間の頭脳に元来より潜伏するSCP-001-A、および扁桃体の機能異常を効果的に封じ込めることが重要です。

ミレニアム・プロジェクトの継続的な任務は、このSCP-001-Aを回避可能とするヒト生体の研究、およびSCP-001生産ラインの構築です。最終的に完成が予想される新規ヒト生体は、今のところ遺伝子工学的に組み替えられているか、遺伝子導入が行われる予定です。この研究の過程において、ゼノバイオロジー部門またはパラヒューマン研究部門の参入が予定されており、その結果として出力されるものは、明示的に異常であるか、またはそうでありません。

この研究においては、主に扁桃体の機能異常を克服させ、側頭葉の機能を異常に増強する方針で研究が進行します。全ての手順の達成に伴い、安定的に生産可能なヒト生体の構築が完了した場合 - SCP-001の生産ラインは再構築され、スカイウェル・ソリューションの明示的な目標達成のために再稼働されます。

提案者注記: これまで、新たな文明を構築することは”人類種”の維持と同意義であると誤認し、我々は研究を進めてきたのだと思います。しかし現状、その他の倫理的なコンセンサスに基づく研究では、これと同等の期間内に同様の結果を出力することは難しいと考えられます。実際的に、こうして我々が悠々と研究を進める間にも人類文明の崩壊は顕著に進行し、そのライフラインの崩壊や二次災害の発生は致命的です。可能な限り短期間で文明を再興し、そのために倫理的配慮をするというのは暫し矛盾していると思うのです。

私は少なくとも、正常や異常といった古きコンセンサスに囚われる必要は無いのだと考えます。もし、そういった”倫理”が人類文明を苛み、結果として破滅を導くのなら - 私はそこに相反する意義があると思います。その両立というものは極めて難しく、我々はこれらから選択しなければならないのです。そして同時に、SCP-001-Aという”悪性の腫瘍”が存在する理由を解き明かす必要があり、長らく我々を苦しめるこの概念が、如何にして生まれたのかを追究しなければなりません。

全ての手順が承認された場合、SCP-001-Aは直ちに、副次的にGEVURAHクラス.GEVURAHクラスのアイテムは、財団の内部構造を脅かし、その二次的目的達成への能力を制限します。へと再分類されるべきでしょう。そして、この事象の終結を妨げる我々自身のコンセンサスを結論付けなければなりません。

[…]


コメント

貴方の意見には一理あります。結局のところ我々は利己的な集団であり、そこに”正しさ”など存在しないのですから。ただ、貴方は1つ見落としています。それは、貴方が思っている以上に我々は巨大な存在であり、その誇大なイデオロギーへの依存のために、貴方1人のエゴイズムを許容することは出来ないという事です。

そう、我々は正常の維持を貫かねばなりません。我々が、ちょうどその手で文明を滅ぼしたのと同じく……正当性に足り得る理由があれば、その権威をコンセンサスの為に振るう事が、我々の大いなる使命であるからです。我々がこれまで積み上げた歴史に「否」と訴え、それを破壊する試みを許容することはできません。直ちに我々は代案を構築する必要があります。

O5-1、オーバーウォッチ・コマンド。

何故です?我々は常に完全であらねばならないでしょう。これ以上のプロトコルを無作為に積み上げる必要は無いのです。ここに存在するただ唯一の結論が、我々の導き出したイデオロギーの象徴なのです。なのに目を背け、その目標から遠ざかることが果たして出来るのでしょうか?私はここまでやってきたんです、そして戻る勇気などありません。貴方はそうやって我々の思いを無下にするのですか?我々には信念があります、そうでしょう?その目的を達成することこそ、何より望ましい選択なのではないですか。

ベッドロック・エンダース、スカイウェル・オーバーシア。

付け加えて述べるなら、貴方たちにはSCP-001-Aという”悪性の腫瘍”が存在する理由を解き明かす責任があります。繰り返すようになりますが、我々はコンセンサスのためにエゴイズムを排除しなければなりません。そして同様に、我々を苛む災害が存在するのなら、それを研究し、封じ込めるのが貴方たちの責務です。その活動に付随する様々な災害に対しても、同様に排除の方針を固めなければなりません。

スカイウェル・ソリューションの責任として、その手で積み上げた罪悪から背くことは許されません。貴方には貴方の責任が存在することを忘れないでいただきたいのです。

O5-1、オーバーウォッチ・コマンド。

こののち、SCPOVERCOMによって6か月の猶予が設けられました。スカイウェル・ソリューションの従事者には、この期間内に生産ラインの完成と研究の達成を明示化することが要求され、その継続的な責任を担うことを強いられました。そして、最終的な動議が2025/01/19に予定されました。

#7: message

注: 以下のファイルは、後述される全ての事件に対する参考文書として列挙された、保安フィードの抜粋です。

すみません、監督官。26日から1週間程お休みを頂こうかと思っています。と言いますのも、ここ数週間で行ってきた”実験”の数々は、私が想定していたよりも遥かに冷酷 - いや、残酷で無意義なものであったと思うからです。このサイトに配置されてからというものの、デジタル・インテリジェンスの管理や収容実験、心理分析などを行ってきました。それらインテリジェンス - 培養脳に括り付けられた情報は、一見して電子的な情報であるようで、実際に我々がその”生命”を握っていると考えるほどに……この”実験”がとても狂気的であることを実感するのです。

実際、私はこれまで様々な異常と対峙しました。しかし、この手で人を殺したことはありませんでした。…最近の実験で、数え切れないほど殺害される電子の人々を殺害するまで。SCP-001-A事象を圧倒するのに、そこまで精度の高い情報が必要なのでしょうか?果たして、この実験にこれ以上の意義があるとは思えません…….潔く死を受け入れた方が気楽でいいと思ってしまう程に、ここは地獄です。私は、貴方のやり方に合点がいきません。

ウィリアム・W・ウェットル、再現研究セクション。


申し訳ありません、ウィリアム。貴方を深く傷付けてしまったこと、お詫びします。貴方が必要十分な休暇を取ってくださる事を切に願います。また……貴方が望むのなら、このセクションの”実験”を私が代わりに引き継ぐことも不可能ではありません。貴方が私に必要な権限を与えてくだされば、貴方の職務はより一層快適なものになるかと存じます。

それと - それ程深く悩む必要はありませんよ。私は貴方の仰ったことを全て理解できている訳ではありませんが、少なくとも貴方は”人殺し”ではないのですから。アレは単なるデジタル・インテリジェンスであり、情報的にはそこらの電卓やパソコンと何ら変わりないのですから。ええ、貴方が望むのなら……カウンセラーをそちらに向かわせることも可能ですので。何か問題があればお知らせください。

ベッドロック・エンダース、あなたの友。

エンダース監督官、倫理委員会の渉外として貴方に意見があります。最近のサイト-17における継続的な研究は、精力的であると同時に - 少しばかり過剰です。あなたの部下は皆、疲弊しており、全ての人々があなたの思う通りに動いてくれる訳ではないのです。スカイウェルに幾ら絶対的な権限があると言えど、あなたの傲慢な態度には愛想が尽きるというものです。加えて、あなたには幾度となく注意喚起がなされており、その行動に逸脱する点があることに留意すべきだと言っておきましょう。倫理的な配慮にもう少し気を配り、部下のストレスを軽減することこそ - 監督者としての役目ではないのでしょうか?

あなたがより良い人になってくれることを願います。話を聞いてくれてありがとう。

ジェレミア・シメリアン、倫理委員会。


初めまして、シメリアン博士。このような事態は幾度か経験しており、そして対処法も理解しております。部下たちには休息が必要かもしれませんが、それ以上にこのソリューションを放棄するわけにはいかないのです。申し訳ありませんが、貴方の期待に応えることはできません。

それと、倫理委員会とは言え……このように個人宛のフィードを送付するのは、些か”越権行為”ではないか?という思いがあります。貴方が必要以上に私に干渉するのなら、こちらとしても処分を考慮せざるを得ませんので、ご了承ください。何分 - 私はかなり疲れているもので。

ベッドロック・エンダース監督官。

#8: activation

2025/01/19、SCPOVERCOMおよび下位評議会に対し、以下の動議が提出されました。

議決録 - 監督会議ACTION #01 ("CONPLAN-001")


以下の動議がスカイウェル・オーバーシアによって提出された。SCP-001運用計画の発動により、現行の問題を無視して人類文明の再興、および人類種の再生産を行うべきか否か。

是: 34

否: 33

棄権: 10

保留: 1

保留した1名 (O5-1) が24時間以内に要求に応じない場合、無効票として扱われます。

注: 以下のファイルは、後述される全ての事件に対する参考文書として列挙された、保安フィードの抜粋です。

…もういいでしょう、O5-1。研究は達成され、我々は成すべき事をしました。しかし、どうして貴方はそれを認めないのですか?我々は実に為し得なかった目標の達成まであと一歩という段階に来ており、これを完全にすることはそう難しくありません。そう、貴方の認可が必要なのですよ!

私がいつ貴方に嘘をつきましたか? — これは正真正銘、私たちの集大成としてここに存在します。もし貴方が望まない提案をするのなら、こちらとしても抵抗せざるを得ないのです。迫る動議の確定を前に、貴方が正しい判断をしてくれることを願います。

ベッドロック・エンダース

これ以上、言い逃れようとしないでください。私はこの目で真実を見てきました。そう、SCP-001などという破壊兵器に期待するべきじゃなかった、貴方は - 間違っている。私たちの集大成なんかじゃない、これは実に貴方のエゴイズムの塊なんだ!SCP-001によって生産される新人類が、実際のところ本当に — 我々の文明を維持する責任を負うとでも信じているのですか?馬鹿馬鹿しい……

貴方は最良の形で人類を改良すると約束しましたね、監督官?でも実際、貴方が作り上げたモノなんておもちゃに過ぎない。新人類を管理する程の技術が、果たして我々にあると思いますか?そのような強かな存在を支配する手段が、平和を齎すと思いますか?

私は - 貴方の未熟さにほとほと愛想が尽きています。我々は支配者になりたいのではありません。今すぐにでもこのプロジェクトを停止するよう進言します。

O5-1

私は警告し、そして貴方は従わなかった。いいでしょう、貴方が私に背くのであれば、私こそ貴方に一矢報いて見せましょう。人類の、そして文明の管理のために、我等は支配者として君臨し、その権威のもとに完全な世界を構築することが不可欠です。そして貴方は — それを疑った。後戻りできないというのは、貴方も同じ事だ。

ベッドロック・エンダース

後文: 動議の最終予定時刻まで、O5-1は投票を行いませんでした。同氏は24時間以内に投票に反応しなかったため、無効票として扱われました。動議は可決されました。

#9: overwhelm

以下に記録される文書は、O5-1によって個人利用されていた記録ファイルを抜粋したものです。

ハロー?私は[削除済]、現在日付は2025/01/02。私は - 何を隠そう財団の監督者であり、より広義にはETTRAセクションのスタッフでもあります。今は個人記録を行っている最中であり、どうしてそんな事をしているかと言うと — 今日見たものは特に重要だったと感じるからです。ここでは誰もが明日の生存確率を心配しているし、私も同様に、いつまで自分が生きているのか分からないもので……

私は、今まさに提示されたSCP-001の標準演算コンポーネント前で待機しています。それで…….コレが一体どういう意味なのか、私には到底理解できないのです。目の前にある巨大で古びた機械は、どう見ても最新の固有兵器などでは無いから。少なくとも、計画書に記述されたメカニズムとは大きく異なるものでした。

六角形型に配置されたリアリティ・ブレンダーと、財団ロゴの彫刻された100Wのタイム・グルーブ…….失礼、この時代に合わせるなら、スクラントン現実錨とか恒常時間溝と呼称するべきだろうか?更に中央に存在するシェルターもどきからは、ヒト科に酷似した - しかし酷い出来だ - 生命体が無制限に排出されています。SCP-2000と呼ばれたであろう兵器が、イエローストーン国立公園でなく、どうしてサイト-17に存在するのでしょう?大昔のポンコツ兵器を、どうして今の財団が運用する必要があるのでしょうか。SCP-001なんて言うのはでたらめだ。コイツは紛れもなくSCP-2000で、その疑問は真実を示しているようで……スカイウェルの反逆者どもは何を考えているんだ?私は — 私たちは何を見せられている?

更新: 最終動議の宣言から凡そ48時間後、O5-1の遺体が当事者の宿舎から発見されました。死因は頭部に銃撃を受けたことによる即死であり、この事件の容疑者としてベッドロック・エンダース監督官が書類送検されました。倫理委員会は報告を保留しており、ベッドロック・エンダース監督官に対する業務上の要請は発生していません。

By order of SCPOVERCOM

本報告書の後半セクションは、保安クリアランスレベル5/ARCAに限定して公開されています。貴方がこのセクションを認識できるということは、貴方は旧ミレニアム・プロジェクトの関係者です。プロジェクトは現時点で大幅に改訂されており、新規に集約されたプロジェクト・オーバー・アルカとして統合されています。このセクションを閲覧する場合、3回まばたきして、貴方の海馬領域に投射されたミームフラグメントが正常に認識できることを確認してください。

SCP-001


COGNITOMOLE.png

WE DIE IN THE DARK
CONTINUED LIFE SIGNS CONFIRMED

Item#: {$item-number}
Level{$clearance}
Containment Class:
{$container-class}
Secondary Class:
{$secondary-class}
Disruption Class:
{$disruption-class}
Risk Class:
{$risk-class}
Item#: 001
LEVEL5
ARCA. EYES ONLY
収容クラス:
apollyon
撹乱クラス:
amida
リスククラス:
critical

containment procedures

APOLLYONクラスのオブジェクトは、既存の人類種及び文明に対して能動的な終焉を齎します。当該オブジェクトは通常、終末論的事象を招くある種のK-クラスシナリオには相当しません - しかし、プロジェクト・オーバー・アルカの運用方針が必然的に人類の終焉を招くため、暫定的な特別定義として当クラスに分類されています。これらは分類委員会によって定義されています

description

SCP-001は、サイト-17の収容エリアに存在する、全てのヒト知能および頭脳の完全なバックアップを包括した超兵器です。専用に配備された複数の固有兵器の性質上、SCP-001は如何なる因果律/破滅的事象にも影響されない、クラスIX現実改変性と不可壊性を保有します。SCP-001は、人類意識下に存在する悪影響を除却し、その文明を可能な限り最高の形で再構築する共同計画 - スカイウェル・ソリューションの結果として財団により製造されました。本兵器は、入力された全ての知性を完全な形で再現することが可能であり、遺伝学的な構造、もしくは意図的に決定された生物情報を基に、製造する実体の構造を自由に改変することが可能です。

SCP-001は、嘗てイエローストーンの異常実体として確認されていた最古の固有兵器、SCP-2000のシステムの大部分を借用する形で建造されています。専用のSRA-XACTSユニットを15基有しており、多くの再現不可能な機能面を持ちます。そのため、本兵器の完全なシステムは把握されておらず、予防的な修復プロトコルは不確実的です。AK-クラスシナリオが到来した後、その完全な文明再構築に必要不可欠であると判断された本兵器は、潜在的な危険性が如何なるものであれ - それらを無視し、プロジェクト目下での実行を強制されました。

LEVEL_5.jpg

SCP-001

SCP-001-A事象による破滅的かつ完全な人類種の根絶が確定したのち、人類文明の - 可能な限りの - 維持を試みるため、SCP-001の運用が決定されました。現行人類種のノウアスフィアは人類に対し極めて不順であり、その適応性が将来にわたって不正確である点を踏まえ、監督プロジェクトは新規に人類種を建造することを決定しています。新規人類種の完全な頭脳を構築するに十分な量のヒト遺伝子が保管されており、SCP-001を監督するプロジェクト・オーバー・アルカの全員が、新規人類種の構築を暗黙的に了承しています。

本プロジェクトが達成された場合、新規人類種の高度な適応性によるSK-クラス: 支配シフトシナリオの発生は明示的です。しかし同時に、現行人類種の完全な文明は維持および再建されるように指向されるため、本シナリオの抑制は比較的容易であると判断されます。何らかの要因のために新規人類種が異常な活動を開始した場合、財団は即座に対象の個体群と戦闘する準備が出来ています。この予測事態が確実なものとなった場合、SCP-001はTIAMATクラスに再分類され、想定される不可逆的事態の収束に注力します。

更新: SCP-001の運用方針を確定させるため、SCPOVERCOMによって完全な結論(#11: CONCLUSION)が用意されました。

#10: judgement

破壊的イノベーションの助長

apollyon-icon.svg

「我等はコンセンサスを破壊するため、古きに向かい”否”と吼えるのみ。」

◇◇◇

我らが指導者、O5-1の死は痛ましいものであった。その実、我らの闘争を刺激するものは根底的な価値観であり、本質的なイノベーションの矛盾、軋轢によって生じたものであった。誰もが自身の理解を真実であると思い込み — 実際のところ、それが正常か否かという問題を、疎かにしていた。どれ程悔もうとも、失った命が返還されるわけではない。我々は歩み続ける必要がある。

以下はSCPOVERCOMの総意である。

我々はプロジェクト・オーバー・アルカの本質を見誤っていた。直ちに再調査を要求し、その結果として興味深い事実を理解した。第一に、SCP-001-Aという”悪性の腫瘍”は、合意的には異常な概念であり、より本質的には人類の進化そのものである。つまるところ、”悪性の腫瘍”は人類文明の崩壊、そして知的孤立に伴って肥大化した”恐怖心”からなる防衛手段であり、我々がそれを知らないというだけの事実により、異常と見做されていたのである。

そう、これは人間の価値観の問題だ。持続的なコンセンサス — 即ちイノベーションによって齎される思考は、自然な価値観の更新を阻害し、今ある理解のみを真実と捉えるようになってしまった。2000年問題のように、我々は新たな普遍的事実を受け入れ難く、それを否定するかの如く — 欺瞞を交えた扇動を行うのである。

我々が滅亡を乗り越え、人類史の延長のために出来ること — それは即ち、新たな普遍的事実を甘受することであるだろう。それが生物種として超越してはならない領域だろうとも、比喩のない文字通りの未知だとしても — 今はそれが異常だとしても、それを受け入れるほか無いのだ。

我々は、世界の人々に正しい知識を行き渡らせなければならない。多数の人々に知識と関心を与えることは、我々の大きな目標である。例え人々が我々の認識と異なるものであろうとも、それは些細な問題である。

我々は正常性を維持し、文明の再起を助長する。かくして、我々がこのように傲慢であり続ける事は、人類の進化における過程に過ぎないのだから。我々は常に、歴史の傍観者であり続けるのだ。

- 監督評議会

確保、収容、保護

#11: conclusion





SKYWELL





SKYWELL SOLUTION LEVEL: 1
PERFECT CONCLUSION


最終的プロトコル: SCP-001は、既に確立された自立AI (Newdawn.aic) の制御によって完全な自己収容状態を確立します。レベル1宇宙 (基底宇宙) における地球全土は、間もなく再生産されるヒト個体 (暫定的にセカンド・エイジと命名) によって環境および文化を継続的に維持します。セカンド・エイジの各個体は人類文明を維持するための継続的な責任を負うことなく、元来より定められていた義務付けから解放されます。レベル1宇宙に前文明が存在していたという情報は秘匿され、その文明構築に明示的な影響が発生しないよう注意しなければなりません。あらゆる保安プロトコルは、セカンド・エイジへの干渉可能性を最低限に留める必要があります。

最終定義: SCP-001によって生産されるセカンド・エイジは、既に絶滅した人類に代わって新たな文明を構築する責任を負います。セカンド・エイジのアイデンティティ (即ち、集団への帰属意識・人格) は、既にSCP-001内部に保管されている約7000名余りの人格情報を模倣し、近似または人間学的に合致する性質の人格が割り当てられます。全てのセカンド・エイジ個体に対しこれ以上の干渉を必要としないためには、恐怖の原因、即ちSCP-001-Aの情報が個体から完全に排除されていることが重要です。SCP-001-Aに関するインシデントが継続する場合、予備的な解体オペレーションに従って、セカンド・エイジと関連する全てのアイテム、エンティティ、個体が破壊されます。


最終動議

是: O5-2, -3, -4, -7, -8, -10, -11, -12

否: O5-5, -6, -9

最終的な結論が確定しました。


後記: 最終的な結論の確定ののち、プロジェクト・オーバー・アルカの指導者であるベッドロック・エンダース監督官は逮捕されました。内部審判部門による最高判決の後、同氏は内部法定における反乱罪 (財団刑法第18条) に相当するとして実刑判決を受け、現在まで拘留されています。

#12: report

後記: プロジェクト・オーバー・アルカ、およびスカイウェル・ソリューションの尽力によって、旧人類種の支配体制は完全に解体されました。現在、観測上の全ての旧人類種個体は殲滅されています。スカイウェル・ソリューションは本宇宙における活動を無期限に放棄し、最終的プロトコルに従ってSCP-001の稼働を開始させました。

本事象の発生から現地時間で約1年後、残留する監視部隊により、最初期のセカンド・エイジ個体を観測することに成功しました。以下は現在地で撮影されたセカンド・エイジ個体の写真です。

SecondAge.jpg

セカンド・エイジ個体。異常性は観測されない。

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scp jp apollyon 異次元 遺伝子 k-クラスシナリオ 未収容 財団製 集団意識 人工 精神影響 知識 破壊不可能 パラドックス 歴史 深淵目録 マクドクトラート博士 001提言 シメリアン博士 ウェットル博士



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執筆者: Enderman_desu
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最終更新: 12 Jul 2022 10:22
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