暫定保管エントリ / SCP-0001 (保管用)

このページの批評は終了しました。

評価: 0+x
blank.png



配属サイト 配属部門
レベル1: 監督サイト-17 部門横断チーム (戦術神学, 概念物理, ミーム, 対抗概念, 超常工学, 超量子学, 超常実験物理学).部門横断チーム: 環境や種類の異なる内部部門が集合し、共通目標の達成に向けて協力する一時的なグループです。
計画監督
全宇宙監督コミュニティ: スカイウェル・ソリューション


SCP-0008.jpg

SCP-0001の視覚的な描写。



閲覧可能な個人記録: 1件


これから起こる事態に先駆けて、私は自らの理性的活動を事細かく記録しておこうと思う。必要に応じて、これは近い将来の自然な記録として機能する筈だ。私はエンダース監督官、ベッドロック・エンダース。スカイウェル・ソリューションにおける監督者の1人だ。SCP財団サイト-17職員、概念物理学部門員…….或いは、そうでないかもしれない?この記録はシステムに従って恒久的に保管されるので、私が死んでも情報は永続するだろうな。

現時点において、我々が懸念している事態は凡そ1つの情報に集約される。それは神に関する巨大な崇拝である。人々が一般に信仰する - 或いは無神論として提供される - 抽象的認識、即ち”神”は、人々の意識下に根強く存在しているのである。我々はこれを寄生虫のようになぞらえ、幾つかの悪影響を及ぼす情報であることを明確に導出した。我々のこれからの方針として、先ずは現在の環境を把握する必要がある。SCP-0001を全人類に散布し、その結果を電子的にスキャンする事になるだろう。




閲覧可能な個人記録: 1件


今日は大変な1日だった。特にボールド管理官を説得するような真似は、今後二度としたくない……

エリーは戦術神学部門の人間で、昔から聖遺物や神学的多能性実体の研究など……とにかく神学へと精通した知識を持っていた。私が自身の研究結果を発表するのがバカバカしいぐらいには、彼女は優秀だと思う。そんな彼女でも、今回ばかりは私の助言を求めていたのだと思う。私とエリーはサイト内の料亭に行って (もちろん、私の奢りだ。) ボールド管理官の強情さについて愚痴を言い合った。特に彼女はボールドの目つきが嫌いらしい、私は特に気にならないが - いや認めよう、確かに彼のガイコツ目は少々不気味だ。

彼女の宗教に対する理解を否定しようとしたボールドの事を、私はあらかた皮肉って罵倒した。その方が彼女は楽しそうだった。私たちは (多分) 意気投合したんだと思う…….彼女の信じる”神”とやらが何であれ、私はそれを受け入れる - そう言うと、彼女は笑ってくれた。彼女の、エメラルドの様に透き通った瞳を見る度に、私は気が安らぐ。思うに、私は彼女が好きなのかもしれない…….私は彼女の理解者でありたい。

それに、このソリューションは完全に遂行する必要がある。彼女の協力は必須だろう。



閲覧可能な個人記録: 1件


正直言って、これは既知の問題であったと思う。神への崇拝が異常な結果を齎すことは前例があって、それ自体に何の興味も湧かない。問題なのは、我々が単にそれを「神」だと信じ、崇拝する合理的な理由を言語化することができない事だ。これは単に、SCP-0001-Aの情報が無限に膨大で、それを理解できる程に我々の頭が優れていないという事を示しているのかもしれないが — Newdawn.aicの反応を伺う限りでは、どうもそれだけではないのかもしれない。

エリー曰く、グノーシス主義的な考え方がもっとも効果的に説明できるとの事だ。これは反宇宙的な二元論であり、要するに - 世界には悪性の秩序が蔓延っているとする考え方である。我々が生きる宇宙はどうも狂っていて、原初には我々の純粋な、崇高なる”神”が創造した真実 - 即ち善の宇宙が存在していたと、そう考えるらしい。

ここで更に二元論の言葉を借りると、我々の住む宇宙が悪であるなら、同様に信じる”神”は偽りの存在であり、故にこの世界でない - 真実の世界と、そこに住まう純粋な神が存在する。SCP-0001-Aたる”偽り”は、この真実を意図的に秘匿する目的で、効果的に我々の認識を阻害しているのかもしれない。

人々は多種多様な”神”を崇拝する。ヤハウェ、キリスト、アッラーフ、シヴァ、ティターニア、ゼウス、天照大御神…….ここまで考えて気付いたのだが、私は無神論者なのかもしれない。どれ1つとして興味がなくて、私は何を信じているのだろう?ふと過ぎったのがエリーの顔だ。研究や実験、訓練の過程で彼女とはよく会うが、いつも彼女は美しい瞳で私に微笑みかけてくれる。”天使の微笑み”とはよく言ったものだ。



閲覧可能な個人記録: 1件


仮説は実証された。予測の通りの反応が出ている。ノウアスフィアの集約された情報を摂取したD-001911は、一時的に全人類を軽く凌駕するほどの知性を入手し、恐らくはノウアスフィアを超越した存在 - 即ちSCP-0001-A - を観測しようと試みていたのだろう。最終的にそれはSCP-0001-Aによって襲撃され、彼の存在の希釈とともに情報を抹消した。これは、現在のノウアスフィアに何らかの明らかな異常が形成されている事を示唆しているだろう。

これをエリーに直ぐ報告した。私が実践した内容を一通り説明し終えたところで、彼女は明らかな不快感を示していた…….彼女曰く、倫理的配慮に欠ける私の行動が気に食わないそうだ。実のところ、私はそれがショックだった。それでも私は研究を続けなければならない。彼女の感傷は研究に何の支障も齎さない。



閲覧可能な個人記録: 1件


ノウアスフィア上に異常な存在が出力されており、現時点で我々の頭脳はそれの支配下にあるのかもしれない。我々がこうして正常に思考できるのが不幸中の幸いだが、事態は芳しくない。神を純粋に信じる心がある限り、我々の理性は思うように突き動かされてしまうだろう。我々は — 神を排除しなければならない。

この事をエリーに伝えたが、彼女は猛反発した。当然だ…….彼女の信じる”神”を否定しただけでなく、彼女自身の生きざまを否定したようなものなのだから。

私は、彼女の透き通るような瞳がもう一度見たい。やはり彼女といる瞬間だけが私の安らぎだった。すまない、本当にすまない。戻ってきてくれ、エリー。私には君のような輝ける存在が必要だ。エリー、私には君のような理解者が必要だ。

私は何のために戦闘する必要がある?何のために混乱を引き起こした?

太陽は二度と微笑まないかもしれない。私は……



SCP-0001から抽出された写実的描写。





閲覧可能な個人記録: 1件


███はオーバーウェルムの最後の試行を拒否した。彼女が突き付けた事実は、同時に彼女の終了処分を意味するものだった。私は…….使う予定のなかった携帯小銃を取り出して、彼女の額にそれを押し付けた。彼女は最後まで私に微笑み返すことは無かった。代わりに彼女は侮辱とも罵倒ともとれる雑音で、私の耳を満たした。私は彼女のその声が、酷く私を傷付けたのを実感した。…理解者は必要ない。この人間は必要ない。スカイウェルは次の段階へと進む必要がある。分かっている、分かっている!

私は引き金に指をかけた。嘗ての理解者を殺害するために。— 本当に彼女は私を必要としてくれたのだろうか?

彼女には同僚がいて、それらは彼女のよき理解者だったんじゃないか?私は単に、その時間を奪ったのでは?

彼女は私の助言を必要としていただろうか?或いは — 単純にお節介だと思ったのかもしれない。

彼女の信じる”神”について、私は一度でも詳しく聞いてあげたことがあっただろうか?

何も分からない…….今になっては何も思い出せない。クソッタレのミームエージェントが。

そして私は彼女の最期を看取った。彼女と、彼女の神に関する知識はノウアスフィア上から完全に除却された。彼女を覚えている人はいない。私ももうじき彼女の名前すら忘れる。

███、君との出会いは何だっただろうか?███、君の好きな人は?█████████

太陽は果てた。


次レベルに関する報告は保留されています。アクセスが解禁された場合、ここに再表示されます。



評価: 0+x

以下スポイラー:

  • スカイウェル・ソリューションは、財団によって提供される、全宇宙/次元/タイムラインへのアプローチです。”異常に対する正しい知識”を獲得することを最終目標としています。
  • 財団はスカイウェル・ソリューションを監督し、自らの思うように宇宙を最適化しようと試みています。
  • この記事においては、スカイウェルのメンバーは人間の精神に寄生する「神」の概念を発見しました。数々の歴史的証拠や現代における崇拝のメカニズムを解明していきます。時には人類規模でのアプローチを行い、財団を除く全ての人類種に永続的な悪影響を及ぼします。
  • 最終的に、スカイウェルが展開した電子的ネットワークを掌握する形で「(偽の)神」が顕現します。これを止めるため、人類全体を虐殺する必要がありました。スカイウェルは基本的に、その宇宙で探索したい情報があらかた見つかった場合、完全に破壊された宇宙を隔離し、次の宇宙へと渡り歩きます。それが「レベル」です。

GoIフォーマットと言っているのは、既にこれが「財団」でないからです。表面上は財団ですが、本質的に全く異なる、もはや人間ですらない「何か」が運営する組織となっています。


goi-format _その他団体-jp jp 深淵目録 戦術神学部門 ボールド管理官 ムース管理官 グラス博士 わかばコンテスト _イベント2



ページ情報

執筆者: Enderman_desu
文字数: 37701
リビジョン数: 18
批評コメント: 5

最終更新: 03 Jan 2023 15:26
最終コメント: 30 May 2022 13:14 by indonootoko

ページコンソール

批評ステータス

カテゴリ

SCP-JP

本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

GoIF-JP

本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

Tale-JP

本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

翻訳

翻訳作品の下書きが該当します。

その他

他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。

コンテンツマーカー

ジョーク

本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。

アダルト

本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。

既存記事改稿

本投稿済みの下書きが該当します。

イベント

イベント参加予定の下書きが該当します。

フィーチャー

短編

構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。

中編

短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。

長編

構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。

事前知識不要

特定の事前知識を求めない下書きが該当します。

フォーマットスクリュー

SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。


シリーズ-JP所属

JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。

シリーズ-Other所属

JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。

世界観用語-JP登場

JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

世界観用語-Other登場

JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

ジャンル

アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史

任意

任意A任意B任意C
    • _


    コメント投稿フォームへ

    注意: 批評して欲しいポイントやスポイラー、改稿内容についてはコメントではなく下書き本文に直接書き入れて下さい。初めての下書きであっても投稿報告は不要です。批評内容に対する返答以外で自身の下書きにコメントしないようお願いします。

    新たなコメントを追加

    批評コメントTopへ

ERROR

The Enderman_desu's portal does not exist.


エラー: Enderman_desuのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:6759963 (24 Aug 2020 05:02)
特に明記しない限り、このページのコンテンツは次のライセンスの下にあります: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License