The Oldest Ex Machina

このページの批評は終了しました。

評価: 0+x
blank.png

NOTICE FROM THE FOUNDATION RECORDS AND INFORMATION SECURITY ADMINISTRATION

貴方は現在、SCP-001-JPの旧リビジョンを参照しています。最新版の報告書へのアクセス権限およびトークンはお使いの端末から申請可能です。


8

SCP-001-JP-ARC.

アイテム番号: SCP-001-JP-ARC

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-001-JP-ARCの研究を目的として、サイト-01がSCP-001-JP-ARC上部に設立されました。SCP-001-JP-ARCの研究を目的とした財団の活動は長期の掘削作業であるというカバーストーリーの下隠蔽されます。財団および合衆国政府のみがSCP-001-JPの実態について把握しています。サイト-01の所在を可能な限り外界から秘匿する事を目的として、SCP-001-JP-ARCのエリアには最大の警戒と保安境界プロトコルが有効化されています。

説明: SCP-001-JP-ARCは現在の隔離サイト-01の地下750m付近に埋没する形で存在した、人為的に建造された形跡のある構造物です。合衆国政府からの情報によれば、この構造物は過去3000年以上の間において外部に露出した形跡が無く、その歴史的背景は紀元前もしくは更に過去に及ぶとされています。SCP-001-JPの最初期遭遇は現在の財団が発足される以前であり、合衆国のベンチャー企業による掘削事前調査によって発見されました。合衆国はSCP-001-JP-ARCの異常性を社会的に隠蔽し、一般社会に露見する前に秘密裏に破壊を試みました。結果的に、SCP-001-JP-ARCの有する高度な技術によって破壊の試みは失敗に終わりました。以降、合衆国はSCP-001-JP-ARCの長期的な研究と一般社会からの隠蔽、そして異常な存在の破壊を目的とした前身団体の創立を"プロジェクトFoundation"という名称の計画で開始しました。当初のプロジェクトFoundationの研究は非常に単純なものであり、また合衆国の管轄下で大規模な資金も提供されなかったため、多くの試みは成功していません。幾つかの興味深い計画は現在の財団に引き継がれています。

こうした状況を鑑み、合衆国は異常存在の研究を本格的に始動すべくプロジェクトFoundationを政府の管轄から完全に独立させる事を検討しました。以降のプロジェクトFoundationの試みは1940年代のSCP財団の正式な発足に伴い、SCP財団に引き継がれています。現在の財団はSCP-001-JP-ARCに関する研究を継続していますが、その物理的な規模と不明な多くの要素の為に実質的な収容は出来ていません。代わりに、SCP財団の最初期の拠点としてサイト-01がSCP-001-JP-ARC上部に設立され、サイト-01自体を人為的に外界から隔離することでSCP-001-JP-ARCの完全な収容を実現させています。今では隔離サイト-01はSCP財団の主要なサイトであり、且つ保護目的の最も重要なサイトとして機能を維持しています。

SCP-001-JP-ARCの本質的な実態に関する情報にはLvl.5データクリアランス制限が設けられています。


補遺001-JP-ARC.1 - 回収された文書

これを読むであろう君たちを説得するのは難しいだろうし、それからの出来事を目の当たりにして納得できるかも分からない。だから、我々は君たちに暫し考える時間を与えることにした。これからの数百年の間で、多くの物事が起こり、そして多くの人々が死に絶える。そんな事を言っても御伽噺だと思う事だろうが、その事実はこの施設 - 君たちが名付けるであろう唯一の名前…"SCP-001-JP"が裏付けてくれる事だろう。

この奥で我々の1人が君たちを待っている。君たちの一助となるために、そしてその未来を見届けるために。我々はこの問題を長きにわたって解決する事が出来なかったが…より早い段階で君たちが気付けば - 或いは既に、君たちは鍵を持っているだろう。我々の多くは先ず生き残れないし、君たちにとっての負債も残るだろう…SCP-001-JPもその1つだ。あらゆる異常存在の露見が問題になったのは"これ"が初めてではないし、きっと君たちはこの文書丸ごと、SCP-001-JPを機密指定するつもりだろう…それでいい。嵌め込まれた古い釘はあるがままにすべきだし、我々としてはそれ以上の何かを施して欲しくない。だが…君たちがより新しい釘、或いは螺子を持っているのなら話は別だ。我々は君たちに可能性を託すことにする。待っているのは終焉だが、君たちに与えられたのは有限の未来だ。それをよく覚えて、これから成すべき事に取り組んでいただきたい。

我々は君たちに期待しているよ。

君たちに先立つ監督者より

トークンの認証が完了しました。

SCP-001-JPを展開します。

評価: 0+x

- FOR OVERSEER EYES ONLY -
当ファイルへのアクセスはLvl.5/Overseerクリアランスを持つ人物のみ許可されます。無許可の職員がファイルへのアクセスを試みた場合、認識殺害処理の実行とともに当事者の情報はO5コマンドへと伝達されます。
001-JP


Security Code

WE DIE IN THE DARK


Item#: 001-JP
Level5
Containment Class:
esoteric
Secondary Class:
thaumiel
Disruption Class:
amida
Risk Class:
critical

セクター-α192、監視カメラ-009

特別収容プロトコル: SCP-001-JPは保護サイト-01、地下階層秘匿収容セクター-α192に存在するフィギス=メアリー因果的拘束ユニットの内部に収容されます。ユニットの指揮系統は代理AI - Poseidon.aicによって管理され、如何なる人物の干渉も許容されません。全ての研究はAMIDA-CLASSの最優先事項に割り当てられています。管理職員および専門機動部隊をサイト-01の各エリアに配置してください。許可なき職員がセクター-α192内部に侵入する、SCP-001-JPに接触するなどの行動を起こした場合、対象となる職員には虚偽の内容による終了処分が下されます。現時点で割り当てられた機動部隊は以下の通りです。

  • ATFソウェイル-18("炉心融解")
  • ATFハガラズ-1("個人的介入")
  • ATFアンスール-5("言語的抹殺者")
  • ATFユル-1("傀儡人形")
  • ATFパース-001("最高機密指定")

SCP-001-JPがパターンを超過した異常な行動を起こした場合、O5コマンドによってオペレーション・オーバーウェルムの開始が宣言されます。オペレーション・オーバーウェルムの最大の目的はSCP-001-JPの安定化にあり、関連情報には改竄命令が下されます。オペレーションに従事するのは専任任務部隊パース-001("最高機密指定")であり、その必要性は作戦の機密性とリスクによって裏付けられます。パース-001は作戦終了時、O5コマンドに直接の報告を行ってください。最終的にSCP-001-JPの安定化が事態の改善に十分ではないと判断された場合、SCP-001-JPに関する情報の一部公開とK-クラスシナリオの発生が宣言されます。オペレーション・オーバーウェルムの失敗はYK-クラス"現実崩壊"シナリオの発生を意味します。当該シナリオの発生時にはSCP-001-JPの再起動とその段階で発動可能なあらゆる手順を以て人類文明の維持が試みられます。

更新版収容規約: 本ファイルの機密性は監督評議会の満場一致でLvl.5 - 監督者機密へと指定されました。セクター-α192の実態は継続して秘匿されます。現時点で監督者および専任任務部隊パース-001のみがSCP-001-JPの本質的な実態について把握しています。

収容覚書: 私たちが現時点で直面している非常に重大な問題について、貴方はこれまでのように精密な研究を重ねたり、その異常性について論理的かつ非超常的な概念と結び付けようと頭を抱える必要はありません。私たちがただ貴方に求め、投げ掛けるのは決定的な3つのフレーズであり、絶対に変動しない我々の理念です。貴方が水を掬うように自らの影を調べたとして、そこに見えるのは単なる闇であり、実際には自らの思考を支配しているだけだという事を覚えておいてください。常に貴方は盲目であり、熟考の末に破滅へと導かれるのです。ようこそ過去へ、我等が視る生き写しの貴方へ。

説明: SCP-001-JPは財団の創始以来、長期にわたり研究が行われていた世界規模の収容計画 - プロジェクトFoundationによる財団製の異常な兵器です。過去100年以上の財団の変遷と当事者らの退職などによってプロジェクトに関する資料の多くが失われていますが、情報セキュリティの尽力によってSCP-001-JPが実在し、保護サイト-01の封鎖された地下階層に収容されている事が判明しました。現時点までのあらゆる調査によって、SCP-001-JPが不明な人工知能によって統制される大規模表象サーバーである事が判明しています。SCP-001-JPは内蔵された不明な技術を以て、現実改変を行使することが可能であると考えられます。SCP-001-JPは常に活性化状態にあり、SCP-001-JPは何らかの形で基底現実に対する大規模な干渉を行っていると推測されています。

SCP-001-JP-Aは起源不明な1体のクラスA霊的実体です。SCP-001-JP-Aはサイト-01の地下階層の探査中に発見されており、情報の無い研究セル内部にミイラ化した人物の死体とともに幽閉されていました。死体は酷く劣化していながらも、セル自体の維持機能によって人為的にその状態を留めていました。


補遺001-JP.1 - 最初期遭遇


SCP-001-JPの実在について財団が把握したのは1947年の初期です。当時の財団は第二次世界大戦を筆頭とする様々な社会的混乱によって紛失された幾つかのアノマリーに関する情報や焼失した資料の復元などを行っており、これら紛失した資料にSCP-001-JPの関連文書も含まれていました。復号化されたプロジェクトFoundationの資料からは当時の監督評議会がSCP-001-JPの製造を指揮していたこと、19世紀には既にプロジェクトに関する情報収集が開始されていたことなどが示唆されていました。SCP-001-JPが保護サイト-01の地下階層に存在している事実について言及された文書も復元されましたが、保護サイト-01自体の機密性と文書の正確性において問題があったため、この言及は長期にわたって保留されていました。

1967年にサイト-01の大規模な改築が提案され、それに伴って実施された解体作業によってサイト-01の地下階層の存在が明らかになりました。特筆すべき事にサイト-01の管理職員やO5コマンドは地下階層の存在について把握しておらず、この階層がいつ、何を目的として拡張されたのかは不明です。内部には旧式の実験設備が整えられており、関連資料のデータからは設備が19世紀前半のものである事が判明しました。最下層には大規模な収容房とSCP-001-JPが存在し、またSCP-001-JPがその時点で活性化状態にあることも確認されました。

また、別のエリアに存在した研究セルからは前述のSCP-001-JP-Aが発見されました。SCP-001-JP-Aは職員に対し友好的であり、派遣部隊員がセル内部に接近したところ、SCP-001-JP-Aは職員との対話を試みました。SCP-001-JP-Aは部隊員によって回収され、サイト-01暫定収容セクター-β01内部に収容されました。最初の接触はセクター-β01内部にて財団上級スタッフ - A.クレフ博士によって実施されました。クレフ博士は異常な改変に対して生来の抵抗力を有するため、この試みに対して適切であると判断されています。

<音声記録開始>

クレフ博士: (ノイズ) - 私の声が聞こえるか?

(不明な反響音)

SCP-001-JP-A: (不明瞭) - ト、アルト。そこに居るのはアルトだな?

クレフ博士: 君は私の事を知っているのか。君は異常存在である以前に財団職員か?

SCP-001-JP-A: (沈黙) - 失礼…ああ、私は確かにここの職員であった。名…名を、そうだ…ヴィルジール…

クレフ博士: コードネームは無いのか?

SCP-001-JP-A: デッドマン、或いは - One、O5-1。

クレフ博士: こりゃたまげたな、監督者様ともあろう方が何の因果で研究セルに入っているんだ?ついでに言っておくが、私は現職のO5-1が暗殺されただとか、そういった事は聞いてない。

SCP-001-JP-A: 現職……ああ、そうか。ここはサイト-01だな?私は地下の研究セルにいた、そうだろう?

クレフ博士: その通りだ、知っているのか。

SCP-001-JP-A: (不明瞭) - 失礼、どうか誤解しないでくれ。私…私は霊魂と概念を自らの肉体に縛鎖させ…こうして自らの存在を保っていた。私が自らを埋没させていたのは….君たちに伝えるべき事があったからだ。今は、今は西暦か?だとしたら何年だ。

クレフ博士: 1967年だ。

SCP-001-JP-A: ならば…まだ間に合う。底 - 地下に機械があっただろう、まだ動いているか?

クレフ博士: 調査中だが、見たところ機能は維持している。

SCP-001-JP-A: わ-分かった。それを何としても止めてはならない。黙示録は既に訪れているか?

クレフ博士: 残念だが未だ。

SCP-001-JP-A: 僥倖だ。機械…SCP-001-JPに異常があれば直ぐに教えてくれ、私は…暫く休みたい。Fourは私の為に本を用意してくれた。長きにわたる仕事の休息にと。私の…記憶が正確であれば、SCP-001-JPは間もなく兆候を見せる。それが始まりの合図だ。

クレフ博士: 合図とは?

SCP-001-JP-A: 我等にとっての終わりだ。隔壁は崩れ、闇が露見する。夜が来るのだ。

クレフ博士: 私に何が出来る?

SCP-001-JP-A: 見守っていてくれ、SCP-001-JP…永久なる時見の目を。現実を糸繰り、解れた部分を修復する為に。君たちの理念に基づくなら…今が最も安定しているのだから-唯、有るが儘に在らせてくれ。

クレフ博士: SCP-001-JPとは何だ?

SCP-001-JP-A: 究極的な兵器であり…そして-崩壊の予兆だ。

<音声記録終了>

SCP-001-JP-Aの言及はSCP-001-JPが現実に影響を及ぼしているという事、そのためにSCP-001-JPを停止させるべきではないという事を示唆しており、この情報の真偽について更なる調査が行われました。

SCP-001-JPは発見された時点で既に稼働していた異常な機械群から成る構造物です。SCP-001-JPの基幹部位は地下750m付近から垂直に800mの深さまで広がっており、一定の間隔で階層に区分されています。現時点での財団の有する技術ではSCP-001-JPの原理を詳細に解明する事は出来ておらず、外部からの観測のみに留まっています。以下は各階層の性質についての分析記録です。

第1階層: 不明な岩石、金属、溶液、琥珀で構成された外壁が無数に存在しており、構造パターンが内部のスキャンをより困難なものとしています。特筆すべき事に、想定される外壁の枚数と規模、体積はそれらによって内部を完全に圧迫していることを示しており、内部に異常な物品は存在しない可能性があります。

第2階層: あらゆる科学技術で合理的に説明のつかない物質が内部空間の大部分を占有しています。この階層はそれらが占める異常な因果律によって物語的な可能性を有しません。あらゆる因果は内部構造の設計通りに作用し、やがて崩壊します。

第3階層: SCP-001-JPのエネルギープラントである可能性の高い階層であり、内部空間は測定不可能かつ強力な現実によって保持されています。内部空間の周辺には不明な性質のオブジェクトが存在しており、オブジェクトは単純な立方体、流体、石材、植物、生物、超常的な存在など関連性のない物質へ連続的に変質しており、これら変質のパターンに一貫性はない事が確認されています。

第4階層: 可視化された表象領域。内部空間への侵入は対象の不可逆的な現実性の希薄化を伴い、対象に関するあらゆる記録は恒久的に喪失されます。

第5階層: 現実に関係するあらゆる概念/法則/因果/霊魂/人格/精神/言語/思考/形而下収束の全てを異常な手段によって記録化した大規模なデータベース。

第6階層: 論理的な異常の全て。

現時点で財団職員の多くはSCP-001-JPとの関与を否定しており、SCP-001-JPがいつ/誰によって/何を目的として建造されたのかは不明です。


補遺001-JP.2 - 監督者資料


SCP-001-JP-Aと同じセルに幽閉されていた不明な人物の死体は、後の解剖調査によって現職のO5-1: "死者ザ・デッドマン"の生物学的情報と完全に一致することが判明しました。

2

Error.

O5-1: "死者ザ・デッドマン"

本名ヴィルジール-ヴァリエ、男性、系統不明、出身不明。存命のO5コマンドのメンバーの中では最高齢であり、当人の有する超常的な改変能力と生命維持機構によって現在まで生存している。公的に出席する事例は稀であり、基本的に出席が必要な場合には代理人が送られる。現職のO5メンバーはその素性について多くを知らない。

しかしながらO5-1は公的に活動を継続しており、一致する人物の死体が存在する原因については現在も不明です。何らかの要因で存在したO5-1の意思を有する実体が死亡し、霊的実体として幽閉されていたことが推測されます。生物学的に死亡したO5-1の遺体について現在も調査が行われています。


補遺001-JP.3 - 特定脅威記録


1971年11月、基底現実において前例のない次元崩落現象が発生し、高い撹乱のリスクを有する事態を招きました。

所在地: アメリカ合衆国 アラスカ州 (67°59'19.0"N 159°46'51.1"W)

調査状況: 進行中

調査期間: 11月10日 — 現在

撹乱クラス: EKHI


イベント概要: 当該イベントはアラスカ州ノータック国立保護区にて発生した、全長160m規模の可視的次元崩落です。現時点で次元崩落は徐々にその規模を拡大しつつあります。アノマリーへの接近は存在の希薄化や不確定な転移現象をもたらすと考えられており、また民間への露見のリスクも高まっています。付近のサイトに対抗現実改変部隊の派遣と収容機材の配置を早期に指示すべきです。


以下は近隣サイト-97から派遣された無人探査機による偵察映像の書き起こしです。無人探査機 - コードネーム"バンクシア"は長期間偵察用の大型ドローンであり、最長18時間の探査が可能なバッテリーと人工知能コンスクリプトモジュールを以て自律活動が可能な状態でした。バンクシアには本現象の偵察のため小型のスクラントン・アンカーが装備され、活動時間内であれば崩落した空間内を自由に航行可能です。


<ログ開始>

財団ドローン"バンクシア"はサイト-97の展望台から発進し、イベント発生地点に向かい南西に15kmの移動を開始する。バンクシアのカメラが起動し、安定した映像記録の送信が開始される。映像の遠方には明らかに歪み、捻じれた空間が確認できる。湾曲空間は球状に展開されており、内部の様子は目視では確認できない。

発生地点に200mまで接近した段階でバンクシアのセンサーがオンラインになり、湾曲空間がより鮮明に描写される。機体が空間に最接近すると同時に投光ランプが起動し、内部空間が映し出される。この時点で送信される映像には若干のノイズと砂嵐が確認されており、正確に判別が出来ない。風の音と雷鳴に類似した環境音が記録される。

3

映像記録抜粋

凡そ15分が経過した段階で、内部空間が次第に鮮明に映し出される。搭載されたAIによる自動解析が開始され、ファンの回転音がノイズを発生させる。内部空間は酷く荒廃しており、構造物が点在しているのが確認される。多くの建造物は植物によって覆われており、その正確な材質を判別することが出来ない。複数の構造物は岩が積み上げられたような単純な構造になっており、一部は風化している。

凡そ10分間の継続的な観察の後、バンクシアは更に奥へと進行する。この時点でバンクシアのステータスが途絶し、操縦がAIによる自律操縦に切り替わる。約3分後、森林のような構造物が視界に入る。人為的に開拓された形跡は無く、比較的若い木によって構成されている。先程までの石造りの構造物は見られなくなり、次第に薄暗くなっていくのが確認される。映像記録は暗視装置が起動した事を示している。

4

送付された画像

約10分の観察の後、バンクシアは森林を抜ける。空間は開けており、中央には半壊した教会のような構造物が確認される。中央に配置されていたであろう石像は酷く崩壊し、周囲には獣道なども確認できない。構造物は有史以来の特定起源を指す要素の無い紋章や文字、装飾品、モニュメントによって構成されており、石室は白煉瓦のようである。地面には大量の紅葉が落ちており、腐敗の傾向は確認されていない。バンクシアは構造物内部に侵入する。構造物は部分的に半壊していることを除き、一切の劣化の兆候を確認できない。構造物内部には長椅子やロザリオらしき物品、腐食が進行していない不明な果実が存在する。

凡そ5分間の観察と幾つかのデータ収集の後、バンクシアはルートを戻り始める。約12分の飛行の後、バンクシアの生体識別警報が作動する。目視で確認する限りでは、生物は存在しない。バンクシアは警報に従い、コース修正を行いながらエリア脱出を試みる。その直後に雷鳴が記録されるが、天候は一切変化していないことが確認される。再び生体識別警報が作動するが、一向に警報が鳴り止まない。生体情報は座標が徐々にバンクシアに接近している事を示している。

徐々に映像が鮮明になっていき、同時にバンクシアの暗視装置が解除される。空間は次第に明るくなっていき、サイト-97のステータスが再びオンラインになる。音声記録は徐々に甲高い叫び声や唸り声、類似するものが無い音声が記録される。音量は徐々に大きくなっている。異常な周波数の波長やノイズが記録され、様々な音声の混合によって激しいノイズが発生している。

約2分後、バンクシアが次元崩落から脱出する。機体にはそれまで確認されていなかった無数の損傷が見られ、メインカメラ、記録装置の多くが人為的に破壊されている。後方のカメラが作動するが、次元崩落の内部は目視で確認できない。

<ログ終了>

当該現象についてSCP-001-JP-Aの言及を参照する限りでは、SCP-001-JPのもたらす現実改変が今回の異常現象を引き起こしたとの見方が出ており、これについて再びSCP-001-JP-Aに対する聴取が行われました。

<音声記録開始>

クレフ博士: O5-1、そこにいますか?

SCP-001-JP-A: 勿論だよ、アルト。何かあったのか?

クレフ博士: 貴方が仰る異常現象と思われるものが確認された。

SCP-001-JP-A: 知っている。ワームホールの類、或いは次元崩落と呼ぶのか?

クレフ博士: あの機械 - SCP-001-JPが関連しているのか?

SCP-001-JP-A: 部分的には関連するが、起源としては全くの関わりを持たない。自然発生の現象だ。

クレフ博士: 前例のない次元崩落現象が勝手に発生するとでも?

SCP-001-JP-A: あ-何?前例がない、ということは…あー、つまりだな、最近収容違反が起きなかったか?或いは時空間異常でも現実改変者でも、何であれ大規模な異常現象が発生しなかったか?

クレフ博士: 全く。

SCP-001-JP-A: それは-成程…非常に興味深い。我々は再起動したにも拘らず、因果律的な違反が発生した。或いは、自然由来のバタフライ効果か?

クレフ博士: それが貴方の言う崩壊の兆候なのか。

SCP-001-JP-A: 君たちは恐らく…現在に至るまで多くの異常存在を確保し収容し、保護して来た筈だ - かつて我々がそうしたように。そうして無限に発生する異常が現実にどのように作用するのか - 奴らはエントロピーを貪り、現実の実在性を揺らがせる。異常存在は収容され、やがて存在自体が特異点となり得る。現実は崩壊し、そして終わらない黙示録が訪れる。財団のキャパシティは崩壊し、あらゆる存在が隔壁を越えて解き放たれる。君たちが足掻いても、この終末論は根本的に回避できない。

クレフ博士: 貴方はその世界を見たことがあるのか?

SCP-001-JP-A: 恐らくは…だが、君たちがこれまでに知るものとは一線を画す。恐らくは単純な収容違反程度のものを想起するだろうし、多数の死人が出ると思うだろう。無論、それは間違っていない。終末論が世界を食い潰し、最後の1人が息の根を止められるまで、あらゆる人々が平等の死の下に苦しみ続ける。我々が経験し、そして君たちがこれから知るのは無限の苦痛だ。次元崩落はそれを促進させる。

クレフ博士: それが起きるのは?

SCP-001-JP-A: 私は曖昧な事象についてのみ記憶している。その正確な年代は分からない…だが、サーバーであるSCP-001-JP自体を調べられるのなら-それは分かるだろう。

クレフ博士: 打開策はあるのか?

SCP-001-JP-A: 審議の余地は無かった。我々がそれを知るには些か現象について慣れすぎていたし、その予兆は突発的に訪れた。備えると言うには余裕が無いのだ。仮に予兆が確認できたとして、具体的に実行可能なプロトコルは大体が無意味だろうな。だが……

クレフ博士: 何だ?

SCP-001-JP-A: SCP-001-JPを用いることによって…一時的に緩和する事は可能だ。現実を捻じ曲げ、希薄させ、あらゆる因果を一時的に問題の特異点に収束させて無力化出来る。

クレフ博士: 確証があるのか?

SCP-001-JP-A: そうして我々は今まで生き延びてきたんだ。

クレフ博士: (沈黙) - それを実行したところで、結果的には変わりないんだろう。

SCP-001-JP-A: 無論君がそうしたいと願うのなら、世界が滅びゆくまで眺めていることも咎めない。

クレフ博士: 分かったよ。必要なものはあるか?

SCP-001-JP-A: 今の財団に入手可能な、あらゆる技術を以て。

<音声記録終了>

この会話の記録終了後、監督評議会による討議が行われました。

<音声記録開始>

O5-2: 既に発生したアラスカ州の次元崩落について、最早議論の余地もありません。本議会は次元崩落イベントによる異常存在の民間への露見、そして潜在的なK-Classシナリオを妨害する目的でSCP-001-JPを運用することに賛成か否か、その為に開かれました。先ず以て - One、貴方はSCP-001-JP-Aについて本当に関与していないのですね?

O5-1: 無論。先程から述べるように私は私の死体について知ったのはこれが初めてであり、知る由も無かった。SCP-001-JP-Aと私は完全に無関係だ。時に…Machinaプロトコルの改訂は進んでいるか?

O5-4: 無茶を言わないでください、発電所どころか工場の1つもない区域に…如何に立入禁止の命令を下せと?異常の収容以前に、この計画には問題点が多すぎるのです。

O5-1: だからと言って黙って見ている事は許されない。既に調査隊の多くが次元崩落の鎮圧を無理難題であると報告書を投げ出す始末で、派遣された機動部隊員も安否が未だ分からない。状況打破の為に用いれるのは精々…幾つかの無関係なThaumielとSCP-001-JPだけだ。何の因果で暴走が起きるか分からないようなアノマリーを打ち込むより、丸い釘を丸い穴に嵌め込む方がより良いとは思わないのか?

O5-9: それを実行するには幾つかの手順を踏む必要があってですね —

O5-1: 時間が無いんだ。

O5-3: つかぬ事をお聞きしますが、どういった因果でSCP-001-JPと次元崩落は関係するのです?

O5-2: One - SCP-001-JP-Aの説明によれば、絶えず生成されたこの世界の複製によって現実を上書きし続ける事で現実を維持しているらしく、あのような次元崩落が発生するのは言わば - 機械的なプロセスのエラーのようなものです。発生したエラーを如何にして修正するかは、同じ機械によってのみ定められます。

O5-4: SCP-001-JP-Aは信頼に足るのか —

O5-1: 信頼に足る事実より、我々の目に映った多くの真実の方がより重要だと思うね。

O5-9: 仮に正しいとして、SCP-001-JPがどの様に作用するかは不明なのですよ?

O5-1: 相手は人間じゃない、機械だ。既に文書を読んでいるのなら知っているだろうが、SCP-001-JPは正確に記載された情報のみを反映する。例えば我々が正確な因果を入力したテキストを代入すればそれが結果となるし、他の現実で穴を埋めようとすれば求めた結果となる - 今のように。

O5-4: 実際に…それを実行したとして、現実に別の作用が働くことを考慮しないのですか?

O5-2: いえ…単純に分からない、というだけです。その因果によって何が起きるのか、正確にシミュレートするには我々の技術が不足しています。しかし、他の現実で埋め合わせをするというのが抽象的ではなく文字通りの意味であるとするなら…それ以外の存在を対価として支払うことになるでしょう。

O5-4: 何故黙っていたのですか?

O5-2: 私はそういうつもりでは —

O5-1: 今一度考えていただきたい、我々が守るべきものとは何なのか?異常が存在するこの世界の全てにおいて、我々が必要とするものは?単純な現実を守るというなら、その全てを保護する必要性が何処にある。我々が守りたいものは1つ - 我々にとっての世界だ。そこが単なる理想世界だと言うのなら私はその通りだと答えよう、人類文明、ひいては人類を、我らにとっての理想さえ守れるのならそれで良いのではないか?隔壁によって我々が理想とする世界は隔たれ、維持される。戦争も平和も異常に感化されることなく、あらゆる事象が歴史のままに進んでいく。終焉の概念はそれらを全て水泡に帰す存在であり、大義名分の為にあらゆるものを捨てるという覚悟を持った人間がこの中にどれ程いるのだ。

(沈黙)

O5-2: 投票に入りましょう。次元崩落イベントによる異常存在の民間への露見、そして潜在的なK-Classシナリオを妨害する目的でSCP-001-JPを運用するか。賛成の方は?

O5-1, -2, -5, -7, -8, -11, -12, -13: 賛成アイ

O5-1: 反対の方は?

O5-3. -4, -6, -9, -10: 反対ネイ

O5-2: 期限は終了しました。動議は賛成多数につき可決されます。

(沈黙)

O5-4: 私は…1つの異常のために多くを犠牲にする事が理解できません。

O5-1: これが我々の総意だ、Four。

<音声記録終了>


補遺001-JP.4 - インシデント記録


アラスカ州で発生した次元崩落に対し、SCP-001-JPの現実改変能力を以て無力化する提案が可決され、SCP-001-JPは自律的にその能力を行使しました。最終的に次元崩落が収束したことによって事態は鎮圧されましたが、予期せぬ事象によって離散的な現実の改変事象が発生し、一部の情報が改変されたことが判明しました。

- DAMMERUNG EYES ONLY -
The following file is Level Dammerung/001-JP classified.
Unauthorized access is forbidden.
Machina Protocol

SCP-001-JPを用いた現実の局所的再構築に関する計画です。

SCP-001-JPによって連続的に再構築されている基底現実において、現時点で離散的かつ広域にわたる現実性の不安定化、および実際に1件の次元崩落現象が確認されています。この事態を受けO5コマンドは以下の判断を下しました:

SCP-001-JPの第4階層にあたる表象領域を財団製の現実改変機器によって安定化させ、異常な活性化を最大限抑えます。スクラントン・アンカーおよび第5階層への干渉によって-次元崩落が発生した座標に対する"処置"を行い、通常の状態へと再構築/回帰させます。SCP-001-JP自体はその安全性を考慮し設備の改築の後、現在のエリア自体をサイト-01収容セクター-α192へと再指定する事が決定されました。SCP-001-JPの完全な収容には財団製の兵器であるフィギス=メアリー因果的拘束ユニットが用いられます。

F-M CAUSAL CONSTRAINT UNIT

計画スケジュール:

71/11/09: 保護サイト-01地下階層の拡張工事の開始。工事期間中は次元崩落に対応するため、制空権の確保および周辺区域の封鎖措置が実施される。

71/11/19: 第2次資産の投入。

71/11/21: 第1次支援物資の搬入開始。

71/11/23: 第1次支援物資の搬入完了、第2次支援物資の搬入開始。

71/11/27: 第2次支援物資の搬入完了。


Machinaプロトコルは終了しました。


所在地: アメリカ合衆国 アラスカ州 (67°59'19.0"N 159°46'51.1"W)

調査状況: 進行中

撹乱クラス: AMIDA


概要: 次元崩落は収束しました。しかしながら連鎖的に発生した複数の改変事象は基底現実に深刻な被害をもたらし、情報、概念、人物、史実の局所的かつ恒久的な抹消が確認されました。DEEPWELLアーカイブの保持された記録との比較より、現時点で以下の様な矛盾点が判明しています。

  • ノータック国立保護区の消失。元来保護区が存在したエリアには小規模な湖が形成されており、周囲の地形も依然と大きく異なるものに変質していた。
  • 史実より、アラスカを発見し命名した探検家の名称が"ヴィトゥス-ベーリング"から"セミョン・デジニョフ"に改変されていた。
  • アラスカ州全域での経済情勢が急激に悪化。
  • アラスカ州内部に生息していたとされるハイイログマが1934年の時点で絶滅した。
  • アラスカ州の人口が1971年10月時点で約30万人であったのに対し、現在の調査では約12万人だと推計されている。

これに伴い、当該イベントはAMIDA-CLASSの優先事項に引き上げられました。SCP-001-JPの本質的な実態について、時間をかけ精密に調査を行うことを提案します。

これら一連の事象の後、財団はSCP-001-JPによって発生した次元崩落、およびその後に起こる一定の過去改変事象を全てSCP-001-JP-PRIMEへと指定し、以降の観察/研究対象としています。

以下はSCP-001-JPの異常性に関連して公共への情報漏洩が起きたとされる事例の抜粋です。

これまで確認されなかった一連の撹乱事象について、SCP-001-JPの運用が強く影響しているものと考えられました。これについてO5コマンドは評決を取り、今後のSCP-001-JP-PRIME発生事象への対処とMachinaプロトコルの運用について討議が実施されました。

議題: SCP-001-JP-PRIME発生事象に対し、別の手段を用いた対策を行うべきか


棄権
O5-1
O5-2
O5-3
O5-4
O5-5
O5-6
O5-7
O5-8
O5-9
O5-10
O5-11
O5-12
O5-13

動議否決

議題: SCP-001-JPの無期限の停止


棄権
O5-1
O5-2
O5-3
O5-4
O5-5
O5-6
O5-7
O5-8
O5-9
O5-10
O5-11
O5-12
O5-13

動議否決

議題: Machinaプロトコルの継続的な運用


棄権
O5-1
O5-2
O5-3
O5-4
O5-5
O5-6
O5-7
O5-8
O5-9
O5-10
O5-11
O5-12
O5-13

動議可決

補遺001-JP.5 - プロトコル状況報告


Warning


Machinaプロトコル状況報告書に関する更なる情報には承認されたセキュリティロックが施されています。閲覧にはLvl.5セキュリティクリアランスおよびAuth:001トークンが要求されます。

閲覧権限が認証されました。ようこそ、監督者様。

001-0001: 復合鍵 0819128-朽ちたる神は我等を貪るのか


プロトコル提言書: Machina/研究チーム: Perth-001
研究日時: 11/05/1971
提言書抜粋

基底現実において連鎖的に発生した次元崩落現象に対し、ヴェール崩壊の可能性と時間軸の損傷を最小限に抑える事を目的としたSCP-001-JPの応用、もしくは技術的特異点の作成。

研究監督者: O5-1

研究補佐官: O5-2, O5-4

指令:

  • 施設23で製造された幾つかの製造品の支給
  • サイト-64, 超常天文学部門からSCP-179に関する情報の転送
  • [データ破壊済]
  • サイト-120よりPH-GOS(現実性同期装置)の搬入
  • 標準Keter-Class収容プロトコルに基づく対応物品の搬入
  • 製造部門に対するスクラントン・アンカー製造の申請
  • 雑務処理および整備者として50名のD-Class職員の導入

プロトコル詳細:

SCP-914を用いた幾つかの製造品の出力結果は非常に有用であり、主に自然界で入手不可能な合金などの素材を変換する事で資産の有効な活用が可能です。また、SCP-179に関する超常的な予知能力を用いて外宇宙の脅威、および現実の大規模な変動を察知する事が可能であると考えられました。超常天文学部門はこの理論を実証することに既に成功しています。

当該プロトコルの実現にあたり、財団の保有する幾つかのアノマリーを用いる事が承認されます。現時点で[データ破壊済]に関する多くの情報は財団のデータベースから抹消されています。SCP-001-JPの前例のない脅威を前提として、D-Classの倫理的配慮に欠ける使役は委員会によって黙認されます。財団の資産はSCP-001-JP関連事象への対処のため、優先的に導入されます。

当該プロトコルが正常に実施された場合、次元崩落は問題なく無力化する事が可能であると試算されます。完成予定の機構(F-M CAUSAL CONSTRAINT UNIT)は保護サイト-01に隣接され、専門スタッフによって管理されます。

001-0004: 復合鍵 0819132-神の歯車が我等を滅する


研究チーム: Perth-001
研究日時: 12/02/1971

経過報告:

Machinaプロトコルの実行は、異常現象の露見と現実の崩壊を以て重大な問題であるとされました。後日開催された監督者会議ではこの問題が提起されましたが、研究監督者であるO5-1からの提言が未提出な状態です。別の事例で発生が確認された次元崩落への更なる対応と即座の収容処置が要求される状態であり、サイト内部ではMachinaプロトコル廃止の動きが見られています。職員らはサイト-01からの移転を余儀なくされました。

また、事態を把握した複数の要注意団体によって財団への攻撃が相次ぎ、世界オカルト連合などの中立的な組織からは事態を即座に鎮圧するよう提起されています。蛇の手による民間への撹乱は機動部隊員による鎮圧が試みられていますが、ヴェール崩壊の危険性は極めて高いとされています。Machinaプロトコル関係者には早急な対応が求められています。


追記:

O5-4を除くプロトコルチーム上層部によって、SCP-001-JPを用いた敵対組織の排除が提案されました。この提案は事態の早急な可決を望む多くの支持者によって可決され、事態の排除とヴェールの維持を目的としたプロジェクト"神の歯車"へとフォークされました。

001-0006: 復合鍵 0819134-有限の灯が我等を照らす


研究チーム: Perth-001
研究日時: 12/11/1971

経過報告:

プロジェクト"神の歯車"は新規のSCP-001-JP応用計画として即座に指導され、機材の多くは旧Machinaプロトコルから移行されています。10日に実行された最初期のプロジェクト試行結果では要注意団体"赤斑蛇の手"および"マーシャル・カーター&ダーク"に関する情報、人物、概念、異常が基底現実から抹消されました。以下のファイルは当時の監督者間で送付された書状の記録です。

12/11/1971
宛先: O5-1
差出人: O5-4

ヴィルジール、今すぐこの破滅的な愚行を止めなさい。

私が見てきた多くの結果と情報の中で、貴方の指令は根本的に間違っていると私は確信しているのです。先日の実行結果 - 貴方は表面上の情報しか読んでいないでしょう?実際には、MC&Dとアカマダラの存在を消す対価として、埋め合わせとして…より多くの情報が失われたのです。朝鮮半島の歴史は大きく変わり、各地のショッピングモールでは今や異常な玩具が売り捌かれる始末です。人々は周囲に異常存在が居ることに何ら疑念を感じていません。

貴方はこれまでの歴史を避けて進もうとしているだけに過ぎない。こんな事は間違っている。貴方が名誉ある監督者の1人として間違った選択をすることの無いよう、私からは即座の廃止処分を求めます。どうか。

ホセファ-バラダ, O5-4
計画補佐官

12/11/1971
宛先: O5-4
差出人: O5-1

バラダ、依然として私の見解に変わりはない。君の戯言には振り回されたくない。

君には見せただろう、次元崩落による現実の完全な崩壊の兆候を。これが示す事は単純に、SCP-001-JPのみが唯一の救済措置であるという真実だ。他の現実錨だろうと恒常時間溝だろうと因果撹乱だろうと、一度失った現実の修復は出来ないんだ。それが何故理解できない?理解してくれない?

我々にとって不都合な現実はやがて破滅を齎してくるんだ、そのリスクヘッジをする事に何の問題がある。私は自分のエゴで動いている訳じゃない、これは総意だ。我々は世間から異常を隔離するために壁を築き上げ、そして我々もまた壁の内側に居る必要がある。その為に、不要な脅威は排除しなければいけないのだ。

君だって知っているだろう、財団の技術と資源ではあらゆる脅威に対抗できる訳ではないと。財団は無力だ、だからこそ…どんなに冷酷だろうと残忍だろうと、出来る手を打たなければいけない。そうやって先代は財団を維持してきた。今度は私たちの番だ。君が私に対抗するというのなら、私はこの総意を以て君に問い続けよう。

例え狂気であっても構わない。これが私の信じる"機械仕掛けの神"だ。

ヴィルジール-ヴァリエ, O5-1
計画監督者

001-0009: 復合鍵 0819137-神の写し絵は夢を見るか


研究チーム: Perth-001
研究日時: 12/29/1971

経過報告:

プロジェクト"神の歯車"は立て続けに発動され、現時点で財団の脅威となり得る多くの組織、存在が抹消されました。これによって齎される副次的な改変事象は財団の情報統制によって鎮圧される予定です。

次回に予定されるプロジェクトの攻撃対象はGoI-016("世界オカルト連合")です。


補遺001-JP.6 - 現在


1971年のインシデント以降2000年現在に至るまで世界的に、SCP-001-JP-PRIMEの発生数が増加傾向にあります。2000年7月、財団サイト-19にてSCP-001-JP-PRIME事象が発生し、結果的にサイトの部分的な崩壊、そして異常次元への崩落を招きました。発生した次元崩落のセクションは封鎖され、2000年現在もSCP-001-JPに関する更なる潜在的な情報を得るための物証として分析が行われています。以下は2000年10月から2000年12月にかけて発表された、サイト-19の集中的な調査の報告です。

SCP-001-JP-PRIME分析報告

ティルダ-ムース - Site-19管理官による論文


5

Site-19, SCP-001-JP-PRIME.

本件で第158件目のPRIME発生事象であると私が聞いた時に、何としても事態の改善を試みようと躍起になっていた事は言うまでもないでしょう。本来ならばそこに存在していたはずのSite-19の一角は既に崩壊しており、SCP-001-JPによる修復プロトコルの試みはいつもの如く — 何も意味を成しませんでした。恐らくは抹消された情報が在ったであろう場所には空間の著しい損傷が見られ、Site-19全域で混乱を招く結果となっています。これまでの実例で異常存在を巻き込んだ事例など存在しませんでしたが…今回は違った、正にそこに存在していたであろう幾つかのアノマリーが巻き込まれてしまったのです。そしてセル内部に滞在していたであろう多数の職員すらも犠牲になりました — 誰も素性を覚えられる事なく。我々が照らし出された闇を見上げる一方で、その盲点は我らが灯の足元に存在したのですから。

捜索部隊の多くはPRIME内部に関連する何かが、決定的な物証が存在すると睨んでひたすらに探し続けました。失ったであろう自らの同僚たちの墓を幾度となく掘り起こし続け、そして…そして、何週間もの継続の末にそれが全て無意味であったことを知りました。次元崩落は文字通りの単なる崩落現象に過ぎず、実際に発見された廃墟は埋没していた事実であることにほかなりませんでした。PRIME事象で発生する次元崩落の内部空間ヒューム値が通常値を超過する理由とは何だったのか、今なら言及できます — そこが真の現実であったからとだけ。

SCP-001-JPは表象を記録するサーバーであり、ここで言う"表象"とは即ち現実に存在する情報/記録/霊魂/歴史/言語/概念/精神の全てを内包する — 言わば現実のバックアップそのものです。ならば、SCP-001-JPによって埋め合わされた現実は何を起源とするのか — 瓜二つの現実そのものを反映しているのです。ならばその現実はいつ記録されたのか?今の我々が偽なる存在だと仮定するなら、この答えは自然と出力されます — 既にSCP-001-JPは情報収集を終了しています。

SCP-001-JPは神の如き機械仕掛けなどではありません、それは朽ち果てた太古の記録です。我々にとっては未来の記録ではありますが、鏡に映る光のように手の届かない羨望でしか無いのです。簡潔に言って — 我々の世界は1度、或いはより多く滅んでいる筈です。未来のある時点でSCP-001-JPは「再起動」されました。我々は墓を掘り起こしたのです。

異常工学について以前より遥かに進化した現在の財団技術であれば、SCP-001-JPの調査も可能である筈です。我々はSCP-001-JPの再調査を申請します。そこに異常も正常も存在しません。あるのは唯、鏡写しの現実です。

ムース管理官の申請は監督者討議の後、賛成多数で可決されました。

SCP-001-JP-PRIME中間報告

Ra.aic - Site-120, データベース管理


SCP-001-JP、および近年発生しているPRIME次元崩落事象について、Site-120の長期にわたる研究資料およびそこから推測された幾つかのオブジェクトの言及の包括的な報告書を作成しました。


序文: 長期的にSCP-001-JPの観察、そしてリバースエンジニアリングによって再開発されたSCP-001-JPに関する構造分析が行われてきました。そこから得られた多数の情報は、Machinaプロトコルによって実行された内容が極めて正確であり、周辺の現実が改変された事象についてもある程度の物理的な理論、演算に基づくものである事が現時点で判明しています。これはMachinaプロトコルの妥当性を支持するものです。

結果: 結論から申し上げますと、SCP-001-JP-PRIMEの収容は財団の有する倫理的理由に基づきほぼ不可能であると断言できます。SCP-001-JPによる現実再構築は不完全でありながら、SCP-001-JPを無期限に停止させる事は現在の合意的現実を支持するあらゆる概念が喪失する事を意味します。Machinaプロトコルの正常な試みは新規に複雑なインスタンスをもたらす事はありませんでした。更に言うならば、SCP-001-JPは歴史上のある段階で財団によって作られた事を考えれば - SCP-001-JPが既に起動しているという事実は"過去に財団が何らかの事情でSCP-001-JPを起動せざるを得なかった"と解釈することが出来ます。

SCP-001-JPの異常性は簡潔にまとめるならば - 表象のバックアップサーバーです。SCP-001-JPの起動はCK-クラス"再構築"イベントの発生を明示します。即ち、現在の基底現実は何らかの形で元の世界を"上書き"して作られたものだと考えられます。これは現在の世界が"過去の記録"であるという仮説を裏付ける事になるのではないでしょうか?

2000年12月、一般社会で発生している大規模な騒乱、SCP-001-JP-PRIMEの多発事象に伴ってBK-クラス"壊された虚構"シナリオの発動が宣言されました。


[END OF FILE]



























You can access the related documents


001-0190: 復合鍵 0819317-機械仕掛けの神


研究チーム: Perth-001
研究日時: 12/29/2000

経過報告:

SCP-001-JP-PRIMEの発生範囲は全世界に及んでおり、これに対処するための現行のプロジェクト"神の歯車"およびMachinaプロトコルは現実の局所的な破壊をもたらしています。

また、SCP-001-JPに関する研究により、SCP-001-JPの長期的な影響は基底現実全体に干渉していることが現段階で判明しています。O5コマンドの評決により、SCP-001-JPはKeterクラスに分類されました。

12/29/2000
宛先: O5-1
差出人: O5-2

もう分かっているでしょう、O5-1。全て無意味であると。全てがおとぎ話の中の存在であったと。

SCP-001-JPは単純に現実を上書きしているに過ぎません。それが何を意味するのか?本来あるべき現実はまさに貴方がその目で見てきたあらゆる狂気そのものです。異常が支配した世界こそがSCP-001-JP-PRIMEであり、SCP-001-JP-PRIMEこそが本来の現実世界です。私たちは彼の機械仕掛けに創られた…単なる模造です。

貴方は自らの死体を見て、そして目を背けました。事実に行き着いて、なおも認めたくなかったから?或いは、自らの行き着く確定した未来を想像したくなかったから?どちらにせよ、確定した終焉が私たちを待ち受けていることに変わりはありません。

SCP-001-JPの最高監督者はO5-1、貴方1人です。老いた私たちにとって…未練などないでしょう?私たちは長年、あるべき世界を収容し、そこに幻想の世界を作り上げました。残された特異点の存在すら邪魔なものとして、歴史の深く底に幽閉しました。今度は私たちの手によって、この馬鹿げた偽りの世界を解放すべきです。我々の影が犯した過ちに、我々自身が正すべき歴史に終止符を打つのです。SCP-001-JP、我々の焼き付いた影が作り上げた悪夢を、2度と人々が目覚めることのないように。

私たちが人々に与えるべきは安らかな眠りです。良い夢を、O5-1。

12/29/2000
宛先: O5-1
差出人: O5-2

O5-2、私は以前に"理想さえ守れるのならそれで良い"と言ったのを覚えているか?私は…自らの意思を貫いて、そして君の意見を蔑ろにしてしまった。Machinaプロトコルを見直す時間は幾らでもあったのに、本当にすまない。

2000年の討議の後で…O5-4が死んだ事を覚えているか?私は彼自身の影が焼き付く瞬間と、影のように溶ける彼の体を見た。その時になって初めて…最も重要な1人が欠けてしまった事で、私は自分の選択の愚かさに気づいた。君にとっては証拠不十分の単なる異常現象だと思うかもしれないが、私は001-JPの監督者であったが故に知っている。度重なるSCP-001-JPの変動グラフは、O5-4の死んだ瞬間に跳ね上がったのを見た。O5-9が必死に彼の名を叫ぶ瞬間を、今でも覚えている。狂気に支配された彼女の顔を私は知らなかったが、少なくとも彼女が私を酷く睨み付けた事で…私自身が彼女を狂気に落とした事を知った。

O5-4が今となって何処にいるのか私には分からないが、私は彼が死ぬ前に彼と同じ光景を目にした。私は咄嗟に次元崩落から脱出したものの、O5-4は…間に合わなかった。彼は恐らく私が見たように、次元崩落のその先に地獄を見ただろう。君は私1人が生き延びた事を恨むだろうし、私はこの罪を以て償わなくてはならない。SCP-001-JPが生み出した幻想の中で、私は永遠に償い続ける。

恐らくはこの世界が上書きされる前の…終末が訪れた世界の中に私とO5-4は居た。保護サイト-01であった筈の空間の中で、私は逆さになった空と海を見た。周囲は知りたくもない排泄物と血痕で満たされて、デスクの上に誰かの肉塊が転がっていた。文字通りの世界終焉が起きた後だというのは、嫌でも理解できた。単なる幻覚であったとは思わないが、少なくともその世界の全てが暗闇によって支配されていた。私はそこにあった時計を見て、2019年のいつかの段階であった事を知った。

我々が虚空を彷徨った僅か2.4秒の間で、途方も無い時間の流れと耐え難い苦痛を受けた。いや…単なる言い訳にしかならないな。最終的に私は幾つかの方程式で帰路の座標を割り出し、そこを脱出した。背後を見る事は最後まで無かったし、見たくもなかった。だが私の背中から聞こえる断末魔は常に悲鳴で満たされていて…それがO5-4のものであるとは考えたくも無かった。

彼の心は常に強く在り、そして誰かの信頼によって支えられていた。私は彼の全てを奪った。私がそこで見たものは文字通りの地獄と、溢れんばかりの悲鳴で苦しむ死人の数々だった。この世界が繰り返される円環なのだとしたら、我々もまた破滅へと導かれるのだろう。私は…自分のみならず君たちを巻き込んでしまった事を強く後悔している。私は…

私は願わくば…世界を生き長らえさせたかった。私が単なる模造なら、そこに価値などあったのだろうか?


補遺001-JP.7 - 過去


O5コマンドおよび研究チームの運用停止決議に従い、SCP-001-JPは無期限に無力化されることが決定されました。現行の運用プロトコルは廃止され、危険性を伴わない手段によって正式にSCP-001-JPの無力化が施行される予定です。今回の決議に至った経緯として、従来より確認されていたSCP-001-JPの危険性、現実を担保するとされるその異常性が制御下に置けないことが問題視された事が挙げられます。長期的に維持されたMachinaプロトコルによる損害は、基底現実において間もなく発生が予測されるYK-クラス"現実崩壊"シナリオのために修復は無意味だとされています。







Security Code
WE DIE IN THE DARK



監視処置を解除しています

ターミナルからの応答を確認できませんでした

システムをシャットダウンしています



6



ログアウトしました

さようなら、監督者様


—]


ページコンソール

批評ステータス

カテゴリ

SCP-JP

本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

GoIF-JP

本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

Tale-JP

本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

翻訳

翻訳作品の下書きが該当します。

その他

他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。

コンテンツマーカー

ジョーク

本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。

アダルト

本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。

既存記事改稿

本投稿済みの下書きが該当します。

イベント

イベント参加予定の下書きが該当します。

フィーチャー

短編

構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。

中編

短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。

長編

構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。

事前知識不要

特定の事前知識を求めない下書きが該当します。

フォーマットスクリュー

SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。


シリーズ-JP所属

JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。

シリーズ-Other所属

JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。

世界観用語-JP登場

JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

世界観用語-Other登場

JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

ジャンル

アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史

任意

任意A任意B任意C
    • _


    コメント投稿フォームへ

    新たなコメントを追加

    批評コメントTopへ

ERROR

The Enderman_desu's portal does not exist.


エラー: Enderman_desuのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:6759963 (24 Aug 2020 05:02)
特に明記しない限り、このページのコンテンツは次のライセンスの下にあります: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License