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Item#: AO-2404
Level1
Containment Class:
esoteric
Secondary Class:
anomalous
Disruption Class:
dark
Risk Class:
notice

 

Notice from System

スロットナンバー:2404-JPはファイル:AO-2404によって上書きされました。

01
Site-101.

特別収容プロトコル: AO-2404はその異常性の更なる拡散を防ぐ目的、そして未解明異常の発現を未然に防ぐため、エアギャップによってTCP/IPを筆頭とする様々な通信プロトコルからの遮断措置が施されています。AO-2404は情報研究サイト-101の標準研究セクター-0019に低危険度物品として収容され、通常の保全警備プロトコルに従い保護が行われます。研究委員会の判断により、AO-2404に対しUSBフラッシュメモリを用いた独自セキュリティパッチの適用による異常の無力化についての研究は許可されています。当該手順の実行にあたり、使用されるUSBフラッシュメモリはサイト-101からの支給品であり、尚且つ3段階のフルスキャンが行われている必要があります。これら手順を無視した研究の続行は対象となる職員の公的研究資格の剥奪、及び専門クリアランスの降格処分など相当の処分となる事に留意してください。

説明: AO-2404はLenovo Corporation製とみられるラップトップ型コンピュータであり、表面に貼付されたシールには"ThinkPad T61 6457-9UJ.特筆事項: 当該メーカー製の機種に同一の型番は存在しません"と判別可能な商品名及び型名が記載されています。外装には窪みや傷、塗装の剥がれ落ちなど損傷が確認されており、側面のソケットは1つのUSB 1.0ソケットを除き大きく湾曲するなど破損し、使用できない状態となっています。バッテリーは完全消耗しており、ハードディスクの使用時間は既に内蔵されていたディスクユーティリティソフトウェアによる調査で1.2e+14時間相当になる算出結果が出力されました。AO-2404は確実な劣化の兆候を見せているにも拘わらず、オペレーションシステム/アプリケーションの起動には問題がありません。またバッテリー残量は常に100%を示しており、一切の充電を必要としていない状態です。それ以外にもAO-2404は高い破壊耐性を有しています。AO-2404内部のパーティションはプライマリパーティションであるCドライブ、そして同じ物理ドライブ内部の論理Dドライブから構成され、合計の記憶容量は40GBです。特筆すべき事項として2021年10月24日現在、これら容量のうち37.6GBをほぼ同一のコードで構成されるDLLファイルによって圧迫されています。DLLファイルはそれぞれ末尾に20~40桁の数字が付与され、先頭に"Bone"と記述される名称で保存されています。後述するファイルとこれらDLLファイル以外にはオペレーションシステムであるWindows98 OSがインストールされており、これは内部容量の約400MBを占有しています。

AO-2404の異常性は内部ファイルとして保存される"StarvingChild.bat"という名称のBATファイルに起因するものです。当該ファイルは何らかの異常によりストレージからの削除が不可能であり、セーフモードからの起動やコマンドプロンプトによるタスク削除の実行、強制削除の実行などの何れの試みも失敗に終わりました。StarvingChild.batは不定期的に — ユーザーが何らかのアクションを行わずとも自律的に起動し、存在しない"Fドライブ"ディレクトリを参照し、同じく削除不可能かつ不明な"Bite.exe"の実行ファイルを起動します。Bite.exeは強制終了させる事が可能ですが、実行から終了までが1~2秒弱であるため、Bite.exeによるシステムへの干渉を阻害することは根本的に不可能です。Bite.exeの実行は観測された限りでは何らかの変化を齎したケースは存在せず、問題なく終了します。

AO-2404は2021年9月、アメリカ合衆国オハイオ州にて不審死が観測された民間人の住宅で発見されました。当該オブジェクトの起源は依然不明でありながらも、当時の財団は危険性を考慮し当該オブジェクトをAnomalousオブジェクト指定しました。


補遺1. 特殊事象α-2404


特殊事象アーカイブα-2404


財団の収容後、AO-2404はその興味深い性質から情報研究サイト-101へと移送されました。2021年10月10日、研究セクター-0019で継続的に行われていた調査活動の最中に研究責任者であるエンダース博士が異常を確認、報告した事で事態が発覚しました。事象当時の映像記録情報から、AO-2404の論理Dドライブに不明な.logファイルが自動生成され、計30回以上の上書きが自律的に行われました。以下は当時の記録です。


特筆事項: 自律的な書き込みは紫色、エンダース博士による書き込みは青色で補正されています。

<ログ開始>

誰か聞こえますか、誰か?見えていますか、だれか?

見えていますよ、送信元の情報について教えていただければ — そして貴方は誰です?

良かった、私はルーシー…ルーシー・スクラントン。率直に言って — あー、別の次元、時間軸、タイムラインの人間よ。より補強した説明が必要かしら?DEEPWELLアーカイブの人間はいる?

待ってください、今何と?スクラントン博士は — いえ、失礼。至急、情報セキュリティとアーカイブの人間に繋ぎます。暫しお待ちを.

助かるわ。

<資格認証に関するログを省略>

申し訳ありません、少しばかり認証に時間がかかりまして。貴方は別時間軸の人間であるとは言いましたが、その資格は正式なものであると認められました — ルーシー

問題ないわ、これまでに起こったことに比べればこの程度の空白は大した事じゃないから

時間異常を用いてまでこちらのタイムラインに伝達すべき事項があったのですか いえ, 恐らくこれは時間異常 そうですよね?

ええまあ、どうせ我々は助からないのだから、せめて財団としての理念は果たすべきと思ってね。オブジェクトスロットの2404-JPは埋まっているかしら?

私の権限で確認する限りでは、存在しません

ならまだ余裕はあるわ、そちらは西暦で2021年でしょう?時空連続体のあらゆる座標に片っ端からコンタクトを取ったからよく知っているの。このオブジェクトは何れ2404-JPに指定される、これは単なるAnomalousアイテムじゃない。

71年に何が起きたのですか?

その言い方は正確じゃない、いつでもSCP-2404-JPは存在するし、逆説的には存在しない。我々も詳しいことは知らないけど、深層アーカイブのデータが正確ならSCP-2404-JPは観測できないだけで遥か昔から存在する。それが71年になって突然顕現した。奴は狼、猟犬、或いはそれらより遥かに危険な存在。役に立つかは分からないけど、報告書のデータはそっちに送信するわ。

助かります

ok, 先ず第一に、SCP-2404-JPは何をしても収容は出来ないし、仮にも成功してはいけないの。第二に、貴方達はそのままで在り続ける必要がある。第三に、我々を忘れないこと。2404-JPが求めるのなら、奴に必要な餌を与えなくちゃならない。飢えさせてはいけない — 特に獲物が間近にある時はね

飢える、とは?

報告書を読んで。私から言えるのはそれだけ。それと — 両親によろしく言っておいて。その設計図が完成したのは、あの人たちのおかげだから

ルーシー?

応答せよ

L.スクラントン

クソ.

<ログ終了>


この直後AO-2404のディレクトリ内部に、財団の報告書体裁に酷似した文書と画像、そして現在の基底現実に存在しない幾つかの異常工学、超常科学に関する設計図、文書が送付されてきました。以降この不明な更新は行われていません。また、累計144個の不明な.logファイルがディレクトリに同時に出力されましたが、直後にファイルは全て削除されました。この間にAO-2404にアクセスした職員は存在しません。

以下は送付された文書の抜粋です:

Item #: SCP-2404-JP

Object Class: Juggernaut

Site-responsible: Site-101


略式宣言: 財団は現時点で機能しておらず、SCP-2404-JPの収容は無期限に放棄されました。

説明: SCP-2404-JPの正確な実態は不明であり、現段階で如何にして現実世界への干渉能力を獲得したのかも判明していません。SCP-2404-JPは因果/法則を大きく逸脱した環境下での活動を可能とする多元可能性実体であり、SCP-2404-JPは2071年に現実世界へと顕現し — YK-クラス"存在論的空白化"シナリオの発生を引き起こした根源的存在だとみられています。

02
YKシナリオによる概念崩壊プロセスが進行中の現実世界。

YK-クラス"存在論的空白化"シナリオの発生は、現実世界におけるオントロジー的な概念構造の崩壊によるあらゆる物質/法則の消失を意味し、理論上 — それら消失プロセスに曝露した有思考存在は耐え難い精神的苦痛を伴うものだと予測されます。現実の崩壊プロセスは観測された範囲内では基本的に不規則的であり、局所的に消滅する場合もあれば現実の大部分が物理的に崩壊する場合も存在します。SCP-2404-JPはその場合により実体を持つケースも存在し、当該実体の法則性は現実世界に依存するものの、Blackクラスの脅威レベルが割り当てられています。SCP-2404-JPの影響に曝露する対象は動植物や物質に過ぎず、あらゆる物質的/概念的な異常存在がその対象に内包されます。特筆すべき事項として、手順Anti-Voidを実行しない環境下での概念崩壊への曝露は対象のあらゆる記録が消失することを意味します。


補遺2. 観測の試み


特殊事象α-2404の発生後、研究部門は別時間軸における財団の存在を仮定し、アノマリーの実態について実在性を仮定した場合の脅威を考慮し、基底現実におけるSCP-2404-JPの実在性について調査を開始しました。以下は時間統括部門管理下で施行された、SCP-2404-JP観測の試みについての文書抜粋です。また、時間統括部門はSCP-2404-JPの観測及び収容のための部門としてサイト-101内部に特別に設立されました。

現時点でスロットナンバー:2404-JPは仮定オブジェクトとしてプレースホルダーが生成されています。

2021

Operation ADVENT


未解明事象№: 2404-JP

プレースホルダー: SCP-2404-JP

潜在的撹乱クラス: Dark/Amida

潜在的リスククラス: None/Critical


計画序文: SCP-2404-JPの存在は現時点で、基底現実では観測されていません。情報の真偽は不明ではあるものの、確認された別時間軸での終末論的事象に基づき、SCP-2404-JPが存在した場合の収容手順は決定されるべき事項であり、それら全ての計画手順は時間統括部門に任命されました。オペレーションADVENTの主たる目標はSCP-2404-JPの観測、及び必要ならばそれに対する収容手順の確立です。

計画内容: 現時点での報告及び観測された事象に基づき、SCP-2404-JPが存在すると仮定した場合に想定される異常性、またそれに基づく副次的影響は以下の通りです。

  1. 因果律を無視した現実の操作。仮にSCP-2404-JPに人類種への明確な敵対意思が存在する場合、破滅的なYK-クラスシナリオの発生は免れない。
  2. 上記事象の影響に曝露した対象の恒久的な記録改変。発生する現実の矛盾は連鎖的なCK-クラスシナリオを引き起こす事が予想される。

これらの仮説に基づきSCP-2404-JPが因果律の影響を受けないのであれば、オペレーションADVENTの捜索範囲は基底現実時間軸の全ての座標に及びます。その為、当該オペレーションも同じく因果律を無視した航行が可能な機構を用いる必要があります。これは過去改変による潜在的なCK-クラスシナリオの発生を促す可能性があるため、専門の機動部隊員により、細心の注意の下に実行される必要があります。当該オペレーションの実行にあたり、以下の機材がサイト-101へと搬入される予定です。

  • スクラントン現実錨
  • オシロスコープ
  • ハドロン=アンドロズ巨視的加速器
  • アインシュタイン=ローゼン因果隔絶橋
  • イシュメール湾曲泡
  • テルフォード=スクラントン逆因果時間溝
  • SCPSゼロポイント 旧式宇宙航空機

以下の手順はオペレーションの一環として承認済みです。

  • スクラントン現実錨によるサイト全域の現実子の安定化処置
  • アインシュタイン=ローゼン因果隔絶橋による時間溝の生成
  • イシュメール湾曲泡を用いたSCPSゼロポイントの因果違反による時空上への転移
  • テルフォード=スクラントン逆因果時間溝の空間湾曲現象による、SCPSゼロポイントのアルクビエレ・ドライブ航法(座標転移)の実現

これら技術の多くは補遺1にて記述された事象に基づき、別時間軸から送付されたデータを基にリバースエンジニアリングを行い、その技術的安全性が確認されています。サイト-101研究部門はこれら技術を使用し、オペレーションADVENTの実行が現実的に可能であることを提言しました。後日、専門機動部隊員の構成とともに当該オペレーションに関する文書は公的に承認されます。

当該記録には不明な点が複数存在します。

オペレーションADVENTに関する公的記録は存在しません。

オペレーションADVENT実行記録


日付: 2021/10/24
チーム: 機動部隊ユル-1("Karmic Retribution")
探索目標: 未解明事象2404-JP/SCP-2404-JP
司令部: Site-101 / キアーナン司令官


<記録開始>

1-ᛇ クロウエッジ: ユル-1隊員、テスト。

1-ᛇ メーター: チェック。

1-ᛇ アラバスタ: チェック。

1-ᛇ ラグナレク: チェック。

1-ᛇ クロウエッジ: 異常なし。司令部、始めてくれ。

キアーナン司令官: 了解、これよりSCPSゼロポイント、アルクビエレ・ドライブを開始します。帰還まで本司令部及びサイト-101との通信は不可能となります、警戒を強めてください。

SCPSゼロポイントが起動する。この時点で外部の全ての信号が遮断される。

SCPSゼロポイントは時間溝に座標転移する。

1-ᛇ クロウエッジ: 恒常時間溝への転移を確認。現在の空間ヒューム値、0.7。これより過去の時間軸への転移及び記録を開始する。

1-ᛇ アラバスタ: 手順開始。ナンバー029、タイムライン2000、標準時間軸変動なし、現在の時間軸は並行現実のものです。

1-ᛇ クロウエッジ: 次。

1-ᛇ アラバスタ: 1年毎に転移します。タイムライン1999, 1998, 1997 — 1994, 1993。ストップ。

1-ᛇ クロウエッジ: 何か見つかったか?

1-ᛇ アラバスタ: 添付された資料との差異が確認されます。この時代においてオブジェクト173はサイト-19に収容された筈です。

1-ᛇ メーター: 資料との比較が完了しました。173の収容セクター自体が存在しません。

記録された映像端末には、本来存在していたSCP-173の収容セクター、及び周辺区域の土地が削られるようにして消失していることが確認される。

1-ᛇ ラグナレク: 奇妙ですね。この時間軸の人間は明らかにこの空間異常に気付いている筈です。

1-ᛇ クロウエッジ: 干渉はするな、次のタイムラインに移動しろ。

1-ᛇ アラバスタ: ナンバー096、タイムライン2018, 2017, 2016 — 2015、ストップ。

1-ᛇ メーター: 標準時間軸において当時代はオブジェクト049の収容された時期です。サイト-19、収容セクター02に移動します。

映像端末にはサイト-19の収容セクター-02が映し出される。内部にはDr.ハムと思われる人物と会話を試みるSCP-049実体が存在している。特筆すべき事に、SCP-049は記録された行動パターンを逸脱した不可解な挙動をとっている。

Dr.ハム: 我々は今に至るまで数週間君の仕事を見てきたが、正直言って私は君のしている事が何なのかよくわからない。君は一体何に怯えているのだ?

SCP-049: 君は気付いていないのか…ドクター、これは由々しき事態だ。私の言っている意味が分かるか?大疫病は再び目を覚ました、私は自身のこの手を、教えを、記録として刻み込んできた。私なら病気を克服できるが、疫病は — "奴"はとうに私に目をつけた様だ。

Dr.ハム: それは依然として私の質問の答えになっていない。結局君の治療はどうやってあらゆる事の救済たり得るんだ?

SCP-049: 君は間違ってはいないが大きく見落とした点について一切の配慮が欠けているよ、私の治療行為はこの上ない慈悲と未来の為に続けてきたものだった、だがこの独房すらも結局は外の世界と何ら変わりが無いではないか!君は最早先の世界を見る事は無い、その眼は何のために存在するかは君がよく知っているだろう?

轟音。

SCP-049: 時間が私を嘲笑っている、全てが手遅れであるとするように。君は私の声が聞こえるか — 成程。

Dr.ハムはその場に硬直し、一切の生物的挙動を観測できない。SCP-049は歩き出し、収容セクターの壁を貫通する。

1-ᛇ クロウエッジ: 何が起きている?

1-ᛇ ラグナレク: わ — 分かりません。しかしながらこれは未観測の現象であり特筆すべき事項です。

SCP-049: おや、君たちは彼の同僚かい?

SCP-049は反現実状態のSCPSゼロポイントを明らかに知覚している。

1-ᛇ クロウエッジ: SCP-049、こちらの声が聞こえているのか?

SCP-049: 本格的に時間が無いのだな。ああ聞こえているとも、そしてこれが最終警告だ。

咆哮。

SCP-049: 本当に君たちが私と同じく救済を求めるなら — 願わくば血清を作れるのなら、どうか根源を断ってほしい。私は高潔なる存在だったが…同時に無力でもあった。

より強い咆哮。

SCP-049: 逃げてくれ、君たちの匂いが嗅ぎ付けられる前に。私のように歩むことの無いように — さあ、早く。

不明な実体の叫び声と同時に、SCP-049は消失する。周辺区域の土地が抉られ、急速に空間ヒューム値が低下する。

1-ᛇ クロウエッジ: 離れろ、急げ!

SCPSゼロポイントは急速に離脱する。

1-ᛇ アラバスタ: 標準時間軸に転移、タイムライン不明 — 機体に異常なし。

1-ᛇ メーター: 今の化け物は一体何だ?

1-ᛇ ラグナレク: 状況から推測するに — SCP-2404-JP、或いは類似の存在と考えて間違いないでしょう。

1-ᛇ クロウエッジ: タイムラインデータは算出可能か?

1-ᛇ アラバスタ: お待ちを — 駄目です、参照可能な文明オブジェクトや生物種はこの時代では観測できません。

1-ᛇ ラグナレク: 座標方位が不明な状態です、時間溝に沿って進行すれば未来か過去、どちらかのタイムラインに侵入することは可能です。クロウエッジ、どうしますか?

1-ᛇ クロウエッジ: (沈黙。)仕方あるまい、進めてくれ。

1-ᛇ アラバスタ: 標準時間軸、タイムライン不明、進行中です。

映像端末には銀河系と大きく異なる惑星群や星団が観測される。その数は観測可能な範囲では比較的少ない。

1-ᛇ クロウエッジ: 戻ってくれ、大至急。データを本部に転送する。…アラバスタ?

1-ᛇ アラバスタ: コントロールパネルが機能しません — 何が、何が起きているの?

1-ᛇ クロウエッジ: タイムラインの確認を急げ。

1-ᛇ アラバスタ: タイムライン — 0021, 0022, 0023 —

1-ᛇ クロウエッジ: 正確に報告しろ!インフレーション直後の宇宙がこんな状態の筈が無いだろう。

1-ᛇ アラバスタ: 分かりません、分かりません — 計器に異常が発生したのかもしれませんが、明らかに何かが不自然です。

1-ᛇ メーター: おい、前 —

点在する星団の中に1つ、逸脱して強く発光する未知の実体が観測される。実体はSCPSゼロポイントに接近する。

1-ᛇ クロウエッジ: 離脱しろ、急げ!

1-ᛇ アラバスタ: 操縦が…クソ —

咆哮。

<記録終了>


上記記録は全てAO-2404のディレクトリ"$Recycled"から発見された情報であり、その大部分の損傷のために復元を行う必要がありました。フラグメントデータは著しく"千切られたように"破損していた事が確認されており、機動部隊ユル-1は現在も行方不明の状態となっています。

追記: オペレーションADVENTの終了直後、AO-2404ディレクトリに存在するStarvingChild.batが瞬間的な起動と終了を繰り返し、直後に不明な.logファイルを累計4個生成しました。直後にファイルは削除されました。財団は当該事象及び機動部隊員の不自然な喪失を考慮し、特殊事象α-2404との関連性について調査を開始しました。

当該記録には不明な点が複数存在します。

機動部隊ユル-1は存在しません。


補遺3. インシデントレポート


旧オペレーションADVENTの事態収束以降、財団は外時間大深度アーカイブを通じて各時間軸の報告書を秘密裏に入手し、オペレーションにて異常が確認されたオブジェクトについて調査を行いました。以下はその記録です。

インシデントレポート-2404-JP-1


インシデント発生時間軸№: AU-029

インシデント地点: サイト-19

関連オブジェクト: SCP-173

インシデント概要: 1993年の基底現実における歴史では本来SCP-173がサイト-19へと収容され、その年内に行われた収容プロトコルの一環で入室したDクラス職員が不慮の事故によって死亡する事件が発生する筈でした。しかしながら当該時間軸において同様の事例が発生した履歴は存在せず、また同時にSCP-173の収容セクター、そしてSCP-173自体についての情報が記録されていない事が判明しました。1993年、その影響で改変された歴史にはスロットナンバー:173に別のEuclidオブジェクトが割り当てられ、同じくサイト-19へと収容されました。

特筆すべきことに、SCP-173収容セクターが本来存在していた場所には巨大な陥没穴が発生しており、当該時間軸の財団はこれについての一切の起源を観測不可能な異常と認定し、Anomalousクラスオブジェクトとして指定していました。発生した陥没穴の座標はオペレーションADVENTにて観測されたものと一致します。

当該記録には不明な点が複数存在します。

SCP-173は未割当のオブジェクトです。

インシデントレポート-2404-JP-2


インシデント発生時間軸№: AU-096

インシデント地点: サイト-19, 研究セクター-02標準安全人型収容セル

関連オブジェクト: SCP-049

インシデント概要: 2017年4月16日の基底現実における歴史では本来SCP-049がDr.ハムを攻撃し殺害する事件が発生するはずでした。しかしながら当該時間軸において同様の事例が発生した履歴は存在せず、また同時に当該時間軸においてSCP-049はNeutralizedクラスに再分類されていたことが判明しています。報告書の記述によれば2015年の段階でSCP-049は"消失"しており、その際に研究セクター-02が抉られるようにして半壊した事が判明しています。

インシデント分析: 今回の状況はAU-029にて発生した事象に類似する現象ですが、特筆すべきことにSCP-049に関する記録は改変されていませんでした。サイト-101の総合評価としてはSCP-049が長期にわたり財団に収容されていた歴史は残存しており、その後にSCP-2404-JPに曝露したことによって記録改変の影響がその時点以降にのみ作用したと推測されます。

当該記録には不明な点が複数存在します。

SCP-049は未割当のオブジェクトです。


補遺4. 時間統括部門による提言


space-time.svg

以下はサイト-101, 時間統括部門による提言抜粋です:


まずは我々の話を聞いてくれた事に深く感謝する — サイト-101の時間災害対抗が無ければ我々はAO-2404の異常性にすら気付くことは出来なかった。如何にして不明な送信元が我々の有するAO-2404を特定し、ポートを経由せずメッセージを"上書き"する事に成功したのか — 率直に言ってしまえばそれは、送信元の別時間軸にも同一の実体が存在すると仮定するのが最も合理的だろう。

別時間軸から送付されたJuggernautクラスのSCP-2404-JPに関する報告 — これは何を意味するのか?我々はこれら一環の通信プロトコルと作成された多数の.logファイル、不明な要因による内部容量の低下について関連付けを試みていた — そして財団のデータベースとの相違点によって、これらの事象は符合した。Bone.dllは現実を構成する因果の全てだ。

無論、これらは憶測に過ぎない。貴方達が可能性を0として切り捨てるのならこれはただのAnomalousアイテムに過ぎないし、危険と判断するならKeterクラスへの再定義も視野に入れるべきだろう。我々が観測したのはただ一つ — Bite.exeの履歴が不明な手段による.dllファイルの削除を実行した可能性、それを仮定した場合の部隊員の喪失、そして記録されたインシデントの全ての事象と一致する事だ。

  • "1-ᛇ アラバスタ"の喪失判定時、AO-2404から末尾"Alabasta.dll"のファイルが削除された
  • "SCP-173"の記録消失時、AO-2404から末尾"scp173.dll"のファイルが削除された

これらが果たして偶然と言えるだろうか?仮定が正しいのなら、AO-2404は単なるAnomalousアイテムではない — より正確にはこの宇宙の因果を喰らう驚異存在の塒だ。

しかし我々は多くを知らない。

当該記録には不明な点が複数存在します。

時間統括部門は存在しません。


補遺5. 事象報告


指定オブジェクト不活性化報告

アイテム番号: SCP-411

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: 現在、SCP-411再収容のための研究が進行中です。

説明: SCP-411はあらゆる事象において因果関係が逆転した人型実体でした。多くの場合、SCP-411の異常性は近い未来の予測や緊急性の高い事象についての対処手段として活用され、2021年11月19日までThaumielクラスとして指定されていました。当日、SCP-411は担当職員に対し自身の容態の急速な悪化について言及し、これら異常が密接にSCP-2404-JPと関連する旨の供述を行った後、消失しました。SCP-411についての記録は断片的に破損しています。これらについて専門研究員は、SCP-2404-JPによる因果関係の破綻のためにSCP-411自体のオントロジーの急速な崩壊を招き、消失したと考えられています。


<記録再生>

ライタッカー博士: 411、立ち上がれるか?医療スタッフ、Haskellの専門家呼び出しと応急処置を頼む!

SCP-411: 無駄だ、これは — 頭が響くように痛い。呻き声が聞こえる。

ライタッカー博士: 411……会話の矛盾が発生していない。私の声が聞こえるか?何があった?

SCP-411: おお、博士 — 残念だが手遅れだ。犬に頭を食われちまったよ。私の中の存在性が薄れている。

ライタッカー博士: 犬、とは何だ?

SCP-411: 因果律を大きく無視した存在だ。犬は未来の — お前さんからすれば過去の私の匂いを嗅ぎ付けた。私は過去へ歩むだけだが、お前さんたちは未来に足を踏み出せる。奴にどれだけ追われても後ろを振り向くな…奴は今、とても飢えているように見える。私の知らない人々が次々と貪られているのが見えるよ。

ライタッカー博士: 大丈夫だ、落ち着け。医療班がすぐ到着する。

SCP-411: い — 今の私には分からない。今見えているのは過去か、それとも未来か — 或いは両方か?いや、よく聞いてくれ博士。犬は非常に獰猛で、執念深く、そして飢えている。奴に追われる船が見える。それがお前さんらの希望だ、彼らの話をよく聞くといい。そして、そして — (咳込む)

ライタッカー博士: …411?

SCP-411: 未来も過去も変えてはならない。奴の思い通りにさせてはならないのだ、いいな?お前さんたちは決められた時間に奴に餌を与え、そしてその先の未来を獲得せねばならない……

SCP-411が昏倒する。

ライタッカー博士: 411、おい — 応答せよ411、411 —

<記録終了>

当該記録には不明な点が複数存在します。

SCP-411は未割当のオブジェクトです。

SCP-411の無力化報告から12時間後、AO-2404-JPのディレクトリに突如として機動部隊ユル-1からの報告文書が作成されました。以下は送付された文書及び添付資料の抜粋です。

標準時間軸、タイムライン-オーバーフロー。こちらは機動部隊ユル-1、状況を報告します。

現時点で我々の存在するタイムラインは遥か過去のタイムラインです。西暦の開始より、人類誕生より遥か昔…宇宙インフレーションの更に前の時間であり、ヒューム値は負の数を記録しています。ここでは因果律が存在しないことも確認されています。ここは — 非現実の幾何構造時空です、因果律という概念が誕生する前の宇宙です。この世界を構成する超錐体は次元を構築せず、変動と凍結を繰り返している。この現実を支配する絶対的な理論は存在せず、無数の劇的に異なる概念が世界の全てです。ここでは我々の知る多くの存在が誕生する可能性を内包しています。非現実の存在は今や我々の手で生み出すことすら可能です。ここは — 異常の根源的な空間です。

我々はここを巣窟とするSCP-2404-JPに遭遇し、そして1人残らずその虐殺の対象となりました。我々は死亡していながらも、因果律の存在しないこの空間内でのみ自由に活動しています。我々は想像に難くない光景を目の当たりにしました — ここは全ての多次元時間軸の起源であり、貴方達が想像するように…無数のSCP-2404-JPが存在します。

ここが全ての始まりです。ここは飢えた猟犬の巣窟です。しかし貴方達はこれを破壊できません、してはならないのです — 因果が崩壊するように、SCP-2404-JPの解体は爪痕を残した全ての多元宇宙の歴史改変、そして再構築を意味します。貴方達は、財団は — 歴史を両立しなければなりません。遍在性の飢えたる猟犬の残した爪痕、そしてそれを乗り越えた2つの歴史。貴方達は未だ確定しない未来の時間で、SCP-2404-JPを終了する必要があります。逃げることは意味を成しません。あれは人の味を覚えてしまった — より大きな獲物を捕らえるために、時間と空間を超えてどこまでも奴は追い続けます…ちょうど我々がそうであったように。

この狂ったコンピュータは奴のエサ入れです。
Bone.dllファイルを削除しないでください。
Bone.dllファイルを削除しないでください。
Bone.dllファイルを削除しないでください。

我々はこの時間から脱出して再度因果律を獲得するとともに、そちらにこの文書を送ります。どうか我々の意思を尊重していただくことを切に願います。

当該記録には不明な点が複数存在します。

機動部隊ユル-1は存在しません。






[改訂版のリビジョンを展開します]







SCP-2404-JPは多次元時間軸に存在する反実在性-ユビキタス脅威実体です。現時点までにSCP-2404-JPの影響と思われる改変事象が基底現実にて幾度となく観測されており、その度に時間統括部門による歴史的異常の補正及び現実の小規模改変が行われてきました。特筆すべき事に影響を受けたのは人類史の範疇に留まらず、財団のDEEPWELLアーカイブに記載される幾つかのアーティファクトとの相違点が確認されることからも — 多くの異常存在がその影響に曝露し、消失したものと考えられています。人類文明は再建不可能なレベルまで崩壊しています。

SCP-2404-JPの攻撃対象となり得る存在は現実に存在する因果律の全てであり、特に異常存在の消失は現実に対する大規模な負荷及び記録的改変事象の起因となります。旧SCP-2404-JPに存在していたStarvingChild.batがSCP-2404-JPの行動を促していると考えられており、基底現実に相互作用を齎すと考えられている多数のBone.dllファイルは秘密裏に当該ファイルによって"削除"されてきました。





AO-2404はLenovo Corporation製とみられるラップトップ型コンピュータです。










[Message: 奴に餌を与えるな]

[Message: 過去を確保し, 現在を収容し, 未来を保護せよ]

当該記録には不明な点が複数存在します。

ファイル"Bone.dll"は存在しません。





Tindaloss.jpg
黒き神は飢えているか?


scp jp esoteric-class



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執筆者: Enderman_desu
文字数: 19655
リビジョン数: 22
批評コメント: 2

最終更新: 28 Oct 2021 02:24
最終コメント: 25 Oct 2021 13:38 by Enderman_desu

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