ノワールになるか、ならないか 翻訳対応

C-DivesC-Dives氏の指摘のあった第五パラグラフ以降の翻訳において、気になった点を列挙しています。

第六パラグラフ

Your job as a member of this particular division of the Department of Analytics is mainly going to be watching these novels. They tell me that the AIs are pretty good at filtering both by genre and by characters, so you're probably not going to be sorting through all that many truckloads of original fiction each day you're on the job.

分析部門のこの課のメンバーとしてのあなたの仕事は、これらの小説を監視することです。彼らは私に、AIがジャンルとキャラクターによるフィルタリングに優れていると教えてくれました。ですからおそらく、あなたは毎日何十冊ものオリジナルフィクションを振り分ける必要はないでしょう。

  • particularが訳抜け。ここでは後の文章で仕事内容を説明しているあたり、詳細と訳すのが適切であると考えられる。
  • truckloads ofが訳抜け。何十冊もと意訳されている可能性もあるが、元の比喩表現の意味合いを損なってしまっているように思える。ここでのoriginalは創作物に使われているあたり、独創的なと訳しても通じるかもしれない。

訳案: 分析部門のこの課の一員としての君の仕事の詳細は、これらの小説を監視することにある。彼らが言うには、AIがジャンルとキャラクターでフィルタリングするのに優れているから、君がトラック一台分になるくらいたくさんの独創的な作り話を振り分けなくともいいだろう。

第七パラグラフ

When you think you've got a lead, you'll fill in a form, boot it upstairs and if Command reckons it's worth investigating, a few Agents like myself will probably get sent off to interview the author, see whether or not they show any of the signs of metafictional fuckery with some basic MID-terms – Memory, Inspiration, Diction. If it turns out your tip was accurate, you'll soon find yourself chasing further fictional leads to ensure that we've got a comprehensive collection of their movements 'n' such.

手がかりを見つけたと思った時は、用紙に記入し、階上でそれを提出してください。もし司令が価値ある発見だと見なしたならば、私のような数人のエージェントが著者へインタビューをするでしょう。いくつかの基礎MID用語 - 記憶、インスピレーション、言い回しから、メタフィクショナルな存在の痕跡が見つかるかどうかを確認するためです。もしあなたの警告が正確であったなら、私たちが広範囲な彼らの活動を記録できるように、さらなるフィクションの手がかりを追い求めている自分にあなたは気付くでしょう。

  • ここでのupstairsの意味は上の階ではなく上層部であると考えられる。
  • send offが訳に反映されていないように思える。意訳するうえで日本語として自然な文章にするために意味を切り落とした可能性もある。
  • whether or not がwhetherの意味で訳出されているように思える。
  • turns outが訳抜けしている。
  • find youeselfが誤訳されており、最後の一文が日本語として不自然になっている。
  • 'n' suchが訳抜けしているように思える。

訳案: 手がかりを発見したと判断した場合はフォームに記入し、上層部へそれを提出してくれ。司令が調査する価値のあるものだと判断すれば、俺みたいな数人のエージェントがインタビューのために著者のもとへ送り込まれる。バカげたメタ・フィクションの痕跡があるかどうかに関わらず、基礎的なMID用語(記憶、発想、語調)で確認する。仮に君の情報が正確だと判明すれば、君も我々がこういう彼らの広い範囲での活動を確実に得られるようにさらなる創作物の手がかりを追っているとすぐに分かるだろう。「n」のようなね。

第九パラグラフ

In a metafictional fight like this, you're not going to be settling the feud over a nice dinner at an Italian restaurant. No, the only way to settle this kind of dispute is with good old-fashioned murder, but that gets pretty complicated when you're trying to murder a fictional character. Authors can pull plot twists out their ass to save any character, especially ones as well-loved as these guys seem to be, and if their reader base suffers, it doesn't matter – so long as they're alive and able to fight the other side, they're not going to give a rat's ass about the authors they have to manipulate to stay that way.

このようなメタフィクショナルな戦いにおいて、あなたはイタリアンレストランでの素敵な夕食で争いを解決しようとはしません。ええ、この種の争いを解決するたった1つの方法は、古き良き殺人によってのみです。ですが、あなたがフィクションのキャラクターを殺そうとするとき、物事は少し複雑になります。著者はちょっとプロットをひねるだけで、如何なるキャラクターをも保護出来るのです、とりわけそれが最愛のものである場合は。読者がどんなに苦しもうが、それは問題ではありません – 彼らが生存していて別の場所で戦いさえすれば、読者はそうしなければならなかった著者にねずみをけしかけたりしないでしょう。

  • not a rat's assの意味をとれておらず、不自然な表現となっている。

訳案 こういうメタ・フィクションの戦いにおいて、君はこういう軋轢をイタリアンレストランでの優雅なディナーで解決しようとはしないだろう。この種の抗争を解決する唯一の方法は古き良き殺人者だが、君がフィクションのキャラクターを殺害しようって時にはかなりややこしいことになる。著者はキャラクターを守ろうと全力を尽くしてプロットを用意してくるし、作者のお気に入りのヤツに対しては特にそうさ。そのうえ基本的に読者がどんなに嫌な思いになろうとそれは問題にはならない。彼らが生きてて、別世界で戦っている限りは著者が彼らを操作して支えていないといけなかったとしても気にも留めないのさ。

第十パラグラフ

Clearly, you can't kill a fictional character in fiction. So you have to lure them out into reality and then kill them, before finishing off any potential authors who might want to bring them back. We've had reports of authors who've been literally taken hostage and forced to write out the adventures of the kidnapper's comrade at gunpoint, and good old Kurt Vonnegut had to have a covert security detail monitoring him simply because of the possibility of metaphysical infiltration of his work.

明らかに、あなたはフィクションの中でフィクションのキャラクターを殺せません。だからあなたは彼らを現実へとおびき出し、それから殺すのです。彼らを引き戻したがっている潜在的な著者たちにそうされてしまう前に。私たちは文字通り人質となって、銃口の先で誘拐犯の仲間の冒険を書かされている著者たちのリストを持っています。あの古き良きカート・ガヴォネットも、作品へのメタフィジカルな潜入の可能性から、自身を詳しく監視する秘密のセキュリティをもたねばなりませんでした。

  • ここにおけるpotentialは潜在的な可能性を持ったという意味でつかわれていると考えられ、潜在的なのみだと日本語として不自然。
  • finishing offが訳抜けしている。
  • write outのニュアンスを含めて訳せていない。
  • Vonnegutはヴォネガットとカナ転写されることが多く、この人物のwikipediaでもそのようにされている。

訳案 君はフィクションの世界でフィクションのキャラクターを殺せないのは分かりきっている。だから君は何らかの潜在的な力のある著者が彼らを連れ戻して終わりにしてしまう前に、現実世界に誘いだしてから殺さないといけない。我々は文字通り奴らの人質となり、銃口を向けられて誘拐犯の仲間たちの冒険譚を強制的に完成まで書かされている著者についての記録もある。それにあの古き良きカート・ヴォネガットですら作品にメタ・フィジカルが浸入する可能性があったから、自身の詳細を監視する極秘のセキュリティを持たねばならなかった。

第十一パラグラフ

Which brings me to this thing right here on the table. The last "re-entry" into reality these guys made, an entire hectare of land got levelled within the first fifteen minutes of the fight, and at least half of it was thanks to this thing right here.

テーブルのここに、私をこれへと導いたものが載っています。これらの男たちによる現実への最新の"再突入"では、戦闘の最初の15分で丸々1ヘクタールの土地が破壊され、最終的には被害の半分がここにあるもののせいでした。

  • at leastが訳抜けしている。

訳案 テーブルのちょうどここに、俺をここへと導いたものがある。奴らが一番最近行った現実世界への"再突入"では戦闘開始から15分で1ヘクタールの土地全てが破壊された上に、少なくとも被害の半分はちょうどここにあるもののせいだ。

第十四パラグラフ

No pressure.

そう緊張しないでください。

  • no pressureは無理しないでなどの励ましのニュアンスで利用される会話表現であり、緊張しないでと伝えたい場合、don't be nervousなどという方が適切であるため、原文のニュアンスとずれていると考えられる。

訳案 まあ、無理はしないでくれ。


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