渡されるバトン 筐体造り

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彼は自身のデスクで腕を組みながら物思いにふけっていた。
「もう、逃げてしまおうか。」
誰もいない、がらんとした部屋で彼はつぶやいた。
もうこのサイト8101には彼以外に人間はいない。あるのは数個のanomalasだけだ。それらも特段管理の必要はない。
他のサイトからの連絡はまだあるが、特段重要なものでは無い。サイト8101の生存確認のようなものだ。
他サイトはあと数刻と迫った人類滅亡に対しての対抗策を実現しようと躍起になっているだろう。もうほとんど死んでいると考えられているサイト8101に対して特別注意を払う人間などいないのだ。
もしこの瞬間に彼が自身のこめかみに銃弾を放っても誰も咎める人間はいないだろう。彼以外の最後の一人であった副管理者も今では地下の特別収容室で物言わぬ屍となっているだろう。最後に彼と別れを告げたのはほんの30分前だが、彼にとってはずいぶん前のように思われた。彼が下についてからもう時間は十分に経っている。彼もダメだったのだろう。
自分以外のすべての職員が犠牲になっている中でも彼は卑怯なことに死への片道切符を使用することをためらっていた。
彼には親族と呼べる人間もいないし、友人はもう皆死んだ。つまり、彼がしり込みしている原因はただただ何も成せずに死ぬことに対する恐怖であった。
この二か月弱、彼は最善を尽くしたと言えるだろう。管理者としても、研究者としても。このプロジェクトに対しての彼の貢献度は他の職員と比較しても大きいものであった。だからこそ彼にはこのプロジェクトの無謀さが痛いほどわかっていた。
一週間前から犠牲を出す方法が使われ始めた。もう数百人が犠牲になった。しかし成せなかった。彼の頭の中は自分がやっても成せないのではという考えが満ちていた。神を創造するなんて元来不可能なのだと。もちろん彼もこれがただの時間の無駄であるとわかっていたが、考えざるを得なかった。
彼は思い出したかのように立ち上がった。
彼が行うか行わないか。どちらにせよ、犠牲者は弔わねばならない。
コツコツという足音が誰もいないサイト8101に響き渡る。
特別収容室の扉は固く閉じられている。彼の副管理者に対する淡い希望は消えた。
特別収容室に入った彼は部屋の真ん中に倒れる犠牲者を見つけた。30分前に会話した人間とは思えないような老人の遺体であった。
特別収容室の隅には研究資料と思われる紙々が山のように積まれている。部屋の中央には小さな机があり上には瓶がひとつとパンが1切れ、そしてグラス1杯の水が置いてあった。副管理者の気遣いだった。
白衣を着た老人は酷く痩せていて、彼は簡単に持ち上げることができた。彼が遺体を墓地へと運ぼうとした時、遺体の白衣から一枚の古ぼけた紙の切れ端が滑り落ちた。

あとは任せた

サイト8101 研究員へ サイト8101 主任研究員へ
サイト8101 副管理者へ サイト8101 管理者へ

彼は怒りを覚えた。
「こんなこと言われちまったら……逃げられねえじゃねえかよ……」
彼は遺体を部屋の外に投げ出した。せめてもの彼なりの復讐・・だったのだろう。
部屋に帰った彼は机の上のパンを食べ始める。最後の晩餐にしては粗末だが無いよりはいいだろう。もちろん時間の無駄だが時間じゅみょうはまだ多くある。
部屋の時計の音が彼の心拍と一致する。
食べ終わって彼は卓上の瓶を手に取る。中には丸薬が二粒だけ残っている。彼はそのうちの一粒を飲み込みながら言う。
「さあ、研究を始めよう」
……..
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SCP-001-JPに対して追加の調査が行われました。その結果、約1██PBペタバイト分のデータが発見されました。これらのデータは大部分が財団フォーマットに準拠しており、内容は遺伝子工学や超常人間工学、現実改変対処学が主です。これらデータはすべて一人で書かれたと思われる文体ですがこれらのデータを一人で作成するには約二万年ほどかかると考えられるため調査が進められています。また、特筆すべき点として、細かな文体の変化、一人称の変化などが5██回行われています。これについても現在調査が進められています。
また追加調査の結果、1枚の紙が発見されました。当該の紙はSCP-001-JPの裏に隠される形で収納されていました。
以下は当該の紙の内容です。


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  1. portal:6728553 (03 Sep 2020 10:04)
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