闇寿司ファイルNo.795-D "地球"

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Earth

宇宙空間の闇に浮かぶ地球

概論

地球とは人類を含め多くの生命が生きる太陽系の惑星である。この闇寿司ファイルの読者は人類を想定しているが、凡そ全ての人類は地球上に生息している。
地球は太陽から3番目に近い惑星であり、2番目に近い金星は高熱の渦巻く星で、4番目に近い火星は凍てつく氷の星となっている。この丁度いい距離感こそが液体の水を存在させ、多くの生命を育む惑星とさせた。
中心のコアの部分は鉄やニッケルが主体であり、地表面には水が多く、地表から上空約100kmまでは窒素と酸素を主成分とした大気、とミルフィーユのような層状を為した構造を取っている。もっとも、構成こそ違うものの惑星や恒星といった巨大な天体は重力の影響により球形層状構造を為すのが普通である。
地球は一日で自転、一年で太陽の周りを公転し、独楽の動き1に類似する。これがポーランド人ニコラウス・コペルニクスにより初めて理論化された地動説である。地動説によると宇宙の中心は太陽であり、地球は他の惑星と共に自転しつつ公転している。これもまたスシブレードの土俵と寿司の関係に類似する。

スシブレード運用

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

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やはりその超重量が一番の魅力であろう。
一般的な寿司の重量はせいぜい20g、ラーメンですら器を合わせて1kgを少し超える程度。地球の質量は5.9724×1024kg程度といったところか。比較することも烏滸がましいとはまさにこのことである。
しかしその規格外の質量により操作性は劣悪であり、また大きさも巨大すぎるためにスシブレード化する際に用いる箸についても工夫が必要である。機動力に関しては、もともと公転している寿司であるためにある程度緩和はされる。
そして地球は通常、寿司とはみなされない。地球をスシブレード化するにあたってこの問題は重篤であったが後述の方法により解決に至った。
また、スシブレードとしてのギミックを用いて闇寿司の一つの目標を達成することが可能であるがこれも後述のエピソードの項に譲る。
一点モノであり私有物ではないために使用に際してはトラブルを想定しておかなければならない。
言うまでもない話であるが、スシブレード用の土俵に乗る大きさではないため公式試合などでの使用はナンセンスである。そもそも、基本的にスシブレードの勝負は地球上で行われるものである。

他の活用法

地球人類はこの星で誕生し、生活の場としている。我々闇寿司に友好的な人間も敵対的な人間も全て丸ごとこの惑星に住んでいる。他の惑星、あるいは他の次元世界への人類移民も考えられうるが、現在のところその未来へはそれなり以上に遠いように思える。
人類唯一の惑星という点は地球を考察する上で重要な項目であろう。

エピソード

闇寿司の至上目標として世界征服というものがある。この世界は各国の軍事力や異常団体によって多くの権益がバラバラに分かたれている。世界を闇寿司の手に握るというのは組織の究極的な目標として常に掲げられていたが、どこか空想的な匂いのする手に届かない概念であった。

だが、私はピサの斜塔地下スシブレード場でキャビア寿司が遠心力によりそのキャビアを振りまいているのを見て天啓を得た。
我々の立つこの地球をスシブレードとして回し、イクラやキャビアの寿司のように、敵対する組織の人類をネタとして大気圏外に吹き飛ばしてしまえばこれはもう闇寿司の世界征服は成功したも同然ではなかろうか?

この発想には幾つかの問題点があったが、何よりも大きい問題はどうやって地球をスシブレード化するかという点であった。
スシブレードは寿司を回すものである。しかし寿司とは何ぞや?闇親方はラーメンを回しているし、他の闇スシブレーダーも似たようなものである。
彼らはハンバーグ寿司やらラーメンといったものを寿司だと認識しているからこそスシブレードとして回すことができるのである。
しかし地球が寿司かとスシブレーダーに問えば、百人が百人同じ答えを返す。否だ、と。ならば地球を食ってみろと嘲笑わられるのがオチであろう。無論私も馬鹿にする。

では、寿司と寿司でないものの違いとは何なのだろうか?
握られるもの?食べられるもの?回転するもの?あるいはそれらが複合した定義なのか?
その答えに関しては、スシブレーダー百人が百人異なる答えを持っているかもしれない。

私は物理学・天文学を研究するに従い、回転こそがこの宇宙の運動の本質であることを知った。
回転するものこそがこの宇宙を記述する。ピサ大学で東洋からひそかに伝わった寿司という食品が回転するのを初めてみたとき私は、スシブレードという競技が宇宙の縮図だと悟った。
太陽とそれが作り出す重力場はスシブレードの回る土俵であり、地球や他の惑星はそこで回る寿司。そう考えてみると全ての辻褄が合った。地球が太陽を中心として回っているのである。それがわからない人間が多すぎたのだ。
しかし、とはいえ、そういった認識があってさえ仮定、例えに過ぎないとはわかっていた。

結局のところ、何が寿司であるかとは認識・主観に過ぎない。そこで私は主観を変容させる事にした。
幻覚剤を固形化したネタであるLSD寿司を用いた自己暗示・自己洗脳の手法を用い、半年かけて自己認識を惑星を喰らう宇宙怪獣と変化させた。そのため他の一切の食事を摂れないようになり点滴で栄養補給をせざるを得なくなったが多少の犠牲は受け入れなければならなかった。

その結果、私にとっての地球は、寿司となったのだから。


不滅なる寿司の選別・利用・維持および活性化のための委員会Sortation, Utilization, Maintaining and Energizing Committee of the Invincibles (SUME-CI)より自動通達


地球は寿司ではありません。
この事は自明であるので抗議は却下されます。
このファイルはDeletedカテゴリに送られました。



そして闇寿司有志の手を借り、ドクタートラヤーの開発した闇寿司ロケット2で打ち上げられ静止軌道まで到着した。
静止軌道は高度約3万6千kmの上空に位置しており、軌道周期が地球の自転と同期しているため地球が静止して見える。
私は宇宙服を着込み船外に出た。青く美しい星が魅惑的な美食に感じられる。…… そう、目の前にあるものは寿司である、そうでなくてはならないのだ。
地球をスシブレード化するために東弊重工より借り受けた3ホログラム装置を使い、明瞭な箸の幻像を宇宙空間に生成した。箸の一方は手元に、もう一方は地球を挟むように調整し、湯呑で箸頭を叩いた。

「3、2、1、……へいらっしゃい」




湯呑をぶつけた直後は、地球に変化がないように思えた。しかししばらく見ていると少しづつ、地球の自転が増していっている4のが確認できた、すなわち地球のスシブレード化に成功した。地球の質量はスシブレードの規格外でありスシブレード回転にも時間がかかる訳だ。

地球は回転力を増しつつあるが、内部の生物などにこれによる影響はない。スシブレード化に際し発生したスシフィールドの影響により強固に内部構造が守られているからである。柔らかい素材で作られた江戸前寿司のスシブレードがぶつかり合っても簡単には破壊されないのと同じ理屈である。

このまま十分に遠心力を得た後に、闇寿司に敵対する組織、人物をスシブレード操作により全て大気圏外に吹き飛ばしてしまう予定である。
今一度、自らの定義した地球の定義を確認する。特に射出する対象の長いリストだ。世界中の軍隊、回らない寿司協会、財団、世界オカルト連合、境界線イニシアチブ、ローマ教皇庁教理省5、ローマカトリックドミニコ会…… もちろん闇寿司の大義のためであるが、大義と復讐の遂行が同時にできるならばそれに越したことはない……

…… ふと見るとこちらに迫ってくるロケットが確認できた。

見たところロケットの型は財団製のものである。予想よりだいぶ早い。地球がスシブレード化してから打ち上げていたとしたら絶対に間に合わない。つまりこれは闇寿司に財団の内通者がいた、ということであろう。
果たして誰であろう?この前財団とのパイプを得たクラウディだろうか?ヴェネツィアで拾ってやった恩を忘れたか?
そうも考えたが、決めつけるにはまだ早い。私はロケットから飛び出した男の顔を、宇宙服のヘルメット越しに見た。

男はタカオだった。資料で見慣れた顔で財団絡みとなれば実力から考えれば奴が出てくるのは道理だろうが内通者は未だにわからない。そこで通信し、探ってみることにした。
「おお、これはタカオ殿。初めまして。私は宇宙怪獣ガ・ガ6である。どうやってここを知ったのだ?」
「お前のことは知っているぞ!スシの暗黒卿ガ・ガ!……いや、元スシの暗黒卿か」

…… なんだと?元?闇寿司から破門された記憶は、無い。
なるほど。私は闇親方直々に財団に売られたということか!
反射的に私は精神酢飯接続によって闇親方に繋いだ。

「闇親方、これはどういうことだ?なぜ私を売った?」
……
「おう、ガ・ガ。もうタカオがそっちに行ったか。本当は俺が行きたかったんだがな」
……
「なぜ私を売ったかと聞いている。私を異端だと思ったか?」
……
「流石に精神波も光速を超えられないらしいな。静止軌道の距離だとラグが酷い」
……
「私の計画は闇寿司の至上目標のためなのだぞ!」
……
「お前の方法じゃ失敗することが目に見えていたからだよ。むしろより闇寿司の立場を怪しくするだけだ」
……
「なんだと?日和ったのか?すべてが一瞬にして解決するというのに」
……
「この世界の闇はお前が思っているよりも深いということだ。地球をスシブレードにしたところで、敵を全て消し飛ばしたところで、俺達が勝利することはできない」
……
「それは見解の相違だな。ならば闇、お前も大気圏外へ吹き飛ばしてやろう」
……
「ふん。それよりもガ・ガ。お前はお前のスシブレードの強さを証明せねばならんようだぞ?」


タカオはすでにサルモンを構えていた。
「話は終わったか?」
私は近傍の小惑星を箸の幻影で挟んだ。

「「3、2、1、へいらっしゃい!」」

小惑星の大きさは直径100mを少し超えたぐらいだ。この程度でも十二分に重量で圧倒できるだろうという算段である。
しかしサルモンは宇宙空間を飛びながら小惑星に何度も激突し、ついには破壊してしまう。
もう3発ほど小惑星を放ってみたが結果は同じであった。
それどころかサルモンが私の手にあるホログラム発生装置を虚空の無重力空間に弾き飛ばしてしまった。

「これで決着だ!ガ・ガ!」
「ほほう。スシブレードの勝負において質量は必ずしも試合を決しない、か」

「ならば更なる質量、地球本体だ」
時間は稼げた。地球は高速回転により水色の球体に見えた。未だに敵対人類射出には回転数が足りないが、スシブレードとして操作するには十分である。
地球はいつも使っていたガリのスシブレードとは比較にならないほど操作性が悪かったが、ここまで大きければぶつけることは造作もない。

地球の視直径が著しく大きくなる。急激に近づいた地球に対しタカオはサルモンを放った。
真空空間に火花がきらめく。私の定義した地球という寿司は低軌道、高度2000kmまでを含む。静止軌道から低軌道にまで落ちてきたような感触だが、そこに貼られたスシフィールドとサルモンが激突している格好である。
タカオは苦悶する。我が地球が優勢であるようだった。

「この質量の寿司に対してその小さな寿司で対抗するとは見上げたものだが、これまでのようだな」
「いい加減にしろ!こんなものは寿司じゃない!地球はみんなのものだ!お前一人が回すものじゃない!」
「私は惑星を喰らって生きている宇宙怪獣だ……」
「ならなんで点滴で栄養を摂取しなきゃならない!このサルモンを寿司と認識してなぜこんな岩の塊が寿司だと言える!」
「…… 地球は回っている……」
「お前は宇宙怪獣なんかじゃない!ただの狂ったスシの暗黒卿だ!」


急に火花が消えた。地球の回転も何事もなかったかのように元に戻った。
地球のスシフィールドが失われた、地球のスシブレード化が解かれたことを意味する。
ああ、結局のところ誰よりも私が地球を寿司だと信じ切れていなかった訳だ。タカオの言葉で自己洗脳が解けてしまったのだ。

あまりに巨大なスシフィールド消失の余波が操手である私の方向へ跳ね返り、足場としていた闇寿司ロケットを粉砕した。

敗北である。なるほど、地球をこの手で回す私もこの世界の闇の中では井の中の蛙に過ぎなかったということだ。
そもそも、タカオに勝てないようでは地球上のあまたのアノマリーをどうにかすることもできなかったか?闇親方が言っていたのはそういうことかもしれない。

「掴まれ!」

財団のロケットから命綱でつながれたタカオは私に手を伸ばす。
私はタカオの手を掴む…… と見せかけて大きく突き飛ばした。
反作用で私は地球の重力に引かれて落ちていく。

「ガ・ガ!?」
「スシブレードの敗者は自分の寿司を食べなければならん」

闇スシブレーダーは必ずしも負けた寿司を食べない。恥ずべき行為だが、食べることが事実上困難な寿司を無理やり食べて人事不省に陥るよりも名誉を掃き捨ててでも生き抜くほうが闇の人間として道理にかなっているという考え方だ。
私は負けたときのことなど考えてもいなかったが頭の中のどこか、無意識領域下で逃げを考えていたのかもしれない。

だが我が456年の人生をかけた寿司と真っ向から闘い打ち破ったタカオに対して敬意を表したくなったのだ。地表に達するまでに断熱圧縮で燃え尽きてしまう自己満足ではあるが。


確実な死を前に、未練を残さぬよう地球という「寿司」とその顛末を闇寿司ファイルに残している。
精神酢飯ネット7の私の闇寿司アカウントは未だに有効であった。闇親方の最後の情であろうか?

再び地球の方を見やる。頭から落ちているから見上げると言った方が正しいが重力の方向へ頭を動かすので見下ろすという方が正解なのかもしれぬ。

自転する地球はアメリカ大陸、アジア大陸、ヨーロッパ大陸を眼前に映す。ヨーロッパ、地中海、イタリア、アルチェトリ。異端審問の末軟禁された際はあのまま死んでいくと思っていた。どうにか影武者を立て脱出し、オランダ経由で日本に逃げた時の事を思いだす。ふとしたことで手に入れたアノマリーにより寿命を引き延ばし、復讐のためにスシブレードの技術を鍛え生きてきた私を評価したのが闇親方であった。何もかも懐かしい思い出だ。

自己洗脳を行った時は正気の状態で地球を眺めながら死ねるとは思わなかった。


…… 宇宙から地球を見るのは若い頃からの憧れであった。このようにしてみるとやはり、明らかである。



地球は寿司では、無かった。

Earth2

それでも地球は回っている。E pur si muove




関連資料

闇寿司ファイルNo.007 "LSD寿司"
精神酢飯漬けよりも精神操作手段として原始的かつ直接的だが、それゆえ融通が利く場面もある。

二大世界体系についての対話
自著。今となっては内容も古い。

中世ヨーロッパスシブレード史
地球をスシブレードにしようという発想自体は古くから散見された。

闇寿司ロケット開発記
ドクター・トラヤー著。闇寿司ロケット開発にかけた資金は膨大である。

大気圏再突入 - Wikipedia
宇宙服のみでは低軌道からの自由落下での生還は不可能だろう。


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