冒頭の画像を見た精神作用により、"お前"は深層心理下で自分の事を寿司だと認識するようになった。自覚は無いかもしれないが、来たるべき時が来れば"お前"は無意識に体を回転させ始める。それこそ私の寿司としてスシブレードとなった証であり、"お前"は敵の寿司とぶつかりあい闘う運命にある。
これは精神酢飯漬け技術のちょっとした応用に過ぎない。何、嘆いたり絶望する必要も無い。そんな事をしても無駄だし、闇寿司の覇道への貢献の一助になれると考えると"お前"にとって良い知らせと言うべきかも知れない。
認識が世界を形作る。寿司をスシブレード化するにはスシブレーダーがそれを寿司だと認識するだけではなく、寿司自身が自らを寿司だと認識しスシブレーダーとの関係を理解していなければならない。
人体のスシブレード化については古くから多くの試みがあるが、必ずしも技術として一般化されていなかった。今回の精神酢飯漬け技術により人体の寿司資源としての利用は加速するだろう。
"お前"の能力値レーダーチャートである。人体を寿司とした場合、性能は素体に大きく左右される事を考慮しなければならない。
強靭な肉体の持ち主を寿司にすれば強靭なスシブレードが得られるという訳であるし、それは肉体だけに限らず精神にも影響を受ける。へそ曲がりな人物を寿司にしても操作しにくいのは想像に難くないところだが、素体の好戦的性格でパワーが上がるという事もあれば、戦術的思考能力がスシブレードとしての自律判断能力を支える場合もある。素体の個性を慎重に見極めて扱わなければならない。
そして興味深いことに、スシブレードの素体としてはスシブレーダーが強く適性があることがわかっている。これは『スシブレーダーはその扱う寿司に似て、寿司もまた操るスシブレーダーに似る』という古い格言を思い出すもので、素体の扱ってきた寿司の性質を受け継ぐが故にスシブレードとして扱いやすく応用が効き、またスシブレーダーと寿司の関係を理解しているので動かしやすいということだろう。
このファイルを読むであろう読者、闇寿司ブレーダーは特に強力かつ特殊な性能を期待できる。それがこのファイルの冒頭に精神酢飯画像を置いた理由の一つである。
なお、総じて人体は一般的な寿司よりもかなり重量がある。これは人体をスシブレードとして扱う際の大きな利点となりうる。
総じてみると"お前"の能力値は高水準を保っている。これは実戦での使用にかなりの期待が持てるといえよう。
他の活用法
今回の技術により人間の寿司化が非常に容易に行えるようになった。これにより過去に凍結された人類総寿司化計画、及び全寿司存在知的生命化計画を実行出来る可能性が生まれたと言えよう。
エピソード
さて、"お前"は今インターネット上で闇寿司ファイルを読んでいるように思い込んでいるだろうが、すでに"お前"は寿司となってこの私、地獄町弁天に付き従っている。
これから"お前"は私と共に闇寿司に敵対するスシブレード道場、「雷騰雲奔」へ道場破りを仕掛ける。
気合を入れていくぞ。
"お前":オレスシー。
道場内部は静かである。誰もいないようにも思えたが奥の陰から初老の男が現れた。背は低いが眼光鋭く油断できない雰囲気を醸し出している。"お前"も警戒しておけ。
初老の男:栄の弟子筋かよ。奴も偉くなったなぁ。門下生はアブねえから逃がしてある。道場主の儂、斑鳩三杯酢がお相手しようじゃないの。
地獄町:親方の本名を知っているのか。私たちの襲撃を知っていたのか?まあいい少しは手ごたえがありそうだ。
斑鳩:へっ、闇寿司のようわからん寿司よりは儂のトロ・チューはつええだろうよ。
地獄町:ならば来い。
"お前":スシシシー。
地獄町、斑鳩:3、2、1、へいらっしゃい!
高速回転を始めた"お前"と斑鳩の中トロ握りがぶつかりあう・・・・・・ と思いきや中トロ握りに素早く躱される。更に逃げ回りながら隙を見てこちらに攻撃を仕掛けてくる。
地獄町:くそっ、"お前"も頑張れ!
斑鳩:おいおいおい、闇寿司がイカレてんのは知ってるがついに人間かいよ?
"お前":スメーシー。
斑鳩:そこじゃい!
強烈な一撃が"お前"の後頭部に突き刺さる。
"お前"は不意の激痛と共に自分が何者であるか思い出した!
地獄町:見ろ!
私は"お前"にスマホに保存していた画像を見せた。
再度の精神酢飯的認識変換により"お前"は瞬時に寿司へと戻りスシブレード戦闘を再開した!
地獄町:気をつけろ!相手は驚くべき素早さだ。
斑鳩:そういう仕掛けかい。しかし闇寿司にほめられるとケツが痒くていけねえ。そんで、あんた、ここからどうすんだい?
地獄町:・・・・・・ こうさせてもらう。行け!ダイレクトアタックだ!
"お前":スメーシー。
斑鳩:!!儂を守れトロ・チュー!
"お前"は斑鳩をダイレクトアタックする、と見せかけて、反転し戻ってくる中トロに文字通り「食らいつい」た。つまり文字通り中トロ握りを食べてしまった。スシブレード同士の相互作用により寿司の硬質化を無効化したという具合だ。寿司が寿司を食べて何がおかしい?当然の結果である。
言葉を介さないコンビネーションが上手く刺さった形だ。
私は崩れ落ちた斑鳩をヒールで踏みつけた。
地獄町:さて、このジジイも寿司にしてやろうか。
斑鳩:ぐぅぬぬぅ・・・・・・
"お前":スシッスー。
???:そこまでだ。闇寿司!
道場の扉を開けて現れたのは闇寿司のブラックリストに記されている根田一寛であった。
根田:知らせを受けて駆けつけた。闇寿司の連中は全員殺す!
地獄町:根田か・・・・・・ 仕方ない、やってしまえ!
"お前":オレヌシー!
今度もまた"お前"を根田のマグロ寿司に食らいつかせようとした。
しかしマグロ寿司は口腔内を通過し"お前"の喉奥を貫いた!
"お前":ガッ!ゴホッ!ボフッ!オエッ!
地獄町:ああー!
根田:人間を寿司にすると急所も人間のままだな。で、終わりか?地獄町。それとも自分自身が寿司となって襲ってくるか?
地獄町:クソッ・・・・・・ ならば根田!これを見ろ!
根田:!?
手が滑ってフリックしてしまい昨日撮った私の愛猫、ドロシーちゃんの画像を見せてしまった。
私の顔面に正拳突きが突き刺さった。
根田:・・・・・・ 反射的に殴ってしまったが何だったんだ?
消えゆく意識の中で根田の声が響き渡った。
直後、闇寿司の増援部隊が到着したらしく、どうにかこうにか生還できた。
精神酢飯効果の解けた"お前"も何故か治療後に闇寿司の後方部隊が元の場所に戻したらしい。
今回の教訓として、やはり人を寿司にするならば問答無用でいきなり寿司にすべきだと改めて思った。
"お前"に奇襲的に冒頭の画像を見せて寿司にしたのもそれが理由である。
不意打ちは常に有効だ。
何にせよこれらの精神酢飯漬け技術の発展により闇寿司はさらなる繁栄が期待できる。私が高位の地位に就く知らせを受け取るのも近いかもしれない。
関連資料
闇寿司ファイルNo.625 "俺"
人体の寿司化における方法論という点でこのファイルには強く影響を受けた。
闇寿司ファイルNo.627 "大五郎"
甲類焼酎。昔の友は今日も友。この酒に免じて"お前"を寿司にしたことを許してほしい。
闇寿司ファイルNo.978 "シャリタツ"
ポケモンの寿司化という観点から非常に興味深い考察がなされている。
月刊闇寿司 vol.75 付録 猫のしつけ方
猫は厳しい闇寿司での戦いの中で一つの癒しになる。
不滅なる寿司の選別・利用・維持および活性化のための委員会Sortation, Utilization, Maintaining and Energizing Committee of the Invincibles (SUME-CI)より通達
以上のファイルは認識災害の危険によりDeletedカテゴリに送られます。
冒頭の画像を見た者は至急、闇寿司総合病院に入院し対抗ミーム処理を受けてください。
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