もったいない 改稿案

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give me money 2021/08/08 (Sun) 15:09:43 #19181716


俺のおかしい友人Aの話だ。
Aは、少し考え方がずれているところがあった。
というのも、何でもかんでも”もったいない”という理由で行動する節があるんだ。
例えば、捨てられていた子猫。
普通、拾う人は”可哀そうだから”という理由や、”ペットが欲しかった”という理由だと思う。
でも、彼は違った。

十数年前のことだ。彼と一緒に帰路についていた時、古ぼけた街灯の根本に、段ボールが置かれていた。
覗いてみると、生後数日という、まだ目も開いていない子猫。
ガリガリにやせ細っていて、苦しそうに動いていた。
そこで、友人が段ボールごと子猫を持ち上げたんだ。
そして数か月後、その猫はすくすくと成長してた。今は既に寿命で死んでいるが。
その猫を抱っこしてなでながら聞いてみたんだよ。
なんでこの子を拾ったのか。別に俺は拾ったのを否定していない。純粋に気になったんだ。

いや、だってせっかく生まれたのに、そのまま死ぬなんてなんかもったいないじゃん。

正直、普通に可哀そうだからと返されるって思ってたもんで、少しびっくりした。
可哀そうだと思わなかったのか、と聞いてみても思わなかったと即答された。
ただ、愛情とかはあるようで、大事そうに猫を見つめてた。

give me money 2021/08/08 (Sun) 15:12:41 #19181716


そして、その数か月後だ。
当時Aが住んでいたアパートも老朽化が進んでいて、雨漏りが酷いとのことで、一軒家の賃貸物件を探しにいったんだよ。
そこで、Aが一つだけ気に入った物件があった。
でも、どうしても不動産がいい顔をしない。理由を聞いてみると、その物件は心理的瑕疵、つまり曰く付きということだった。人の入れ替えが多く、最終的には売れなくなった物件らしかった。
だが、Aはそんなことを気にしていなかった。

せっかく家が建てられたのに、誰も住まないなんてもったいないじゃん。

Aは即決でそこに住むことになった。
確かに心霊現象は起きたが、Aが暮らしているうちに無くなったとだけ伝えておく。

give me money 2021/08/08 (Sun) 15:15:32 #19181716


まあ、これぐらいにならまだ考え方がずれてるぐらいで片付けられるんだよ。
俺がAの異常性を感じたのは、1年前のことだ。

夏場中、突然の停電でAの家の冷蔵庫が使えなくなったことがあった。
数日ほど停電が続いたらしく、冷蔵庫の中はてんでダメになったらしい。
俺はAに冷蔵庫の掃除を頼まれて、奴の家に言ったんだよ。
まあ、冷蔵庫の中身は腐って、家の中はすさまじい臭いだった。Aも耐えかねて、二階から出れなかったらしい。
台所に行くと、夏場ということもあって野菜のドロドロに溶けた液が流れ出してて、冷蔵庫を開けるとそのほとんどが飛び出てきた。
酷い臭いに耐えながら掃除していると、Aが床に垂れ下がった腐敗液をかき集めて、コップに入れているのが見えた。
なんとなく、すごく嫌な予感がした。

俺が掃除をし終えたところで、Aが俺の足元を拭いていた。
いつの間にかきれいになったもんだと思ったが、それでも臭いは未だに消えない。
冷蔵庫に染み付いたかなと思いながら後ろを見ると、あの腐敗液がコップ十数個にたまっていた。
まさか、と思いつつも、腐敗液をどうするのかAに聞いたんだよ。

せっかく買ったのに使われずに捨てちゃうのもったいないじゃん。

奴はそういいながら、美味そうにその腐敗液を飲み始めた。
僅かにこぼれた分が顎から体を伝い、服を僅かに黒く染める。

ここで、初めて奴の異常性を知った。

奴はそのまま全部を飲み干すと、数分後に顔を真っ青にして、トイレに駆け込んだ。
吐くのを堪えたらしいが、下痢が止まらなかったらしい。
吐けばよかったのにと言ったが、奴は「せっかく飲んだのにもったいない」と答えてきた。

give me money 2021/08/08 (Sun) 15:20:54 #19181716


さらに、だ。
数カ月前の、蒸し暑い夜中。
道路に、何かが倒れていたんだ。よーく見てみると、動物。

大型の犬だった。車にはねられて、腹から真っ二つの。

一瞬来た吐き気を抑えて、俺は両手を合わせてた。せめて弔ってやらないとって思って。
でもさ、Aの奴、そんなことせずに普通に死体に近づいていくんだよ。
同時にすごく嫌な予感がした。

せっかく死んだのに、弔うだけじゃもったいないじゃん。この犬も自分の亡骸を見てほしくないはずだよ。

Aはそう言うと、犬の死骸を嚙み千切り、飲み込んでいく。
明らかに異常だ。
俺は足早にその場を立ち去って、家で吐いた。

これで完全に理解した。
Aは、異常だ。

翌日、Aはケロッとした顔で俺の家を訪れた。
何の用かと思えば、なぜ走るように帰ったのかと聞かれたよ。
そこで、奴に言った。「死肉を食う奴がいたら逃げるだろ」って。
でもさ、奴はこう言うんだよ。

いや、俺たちが普段食べてる牛も豚も、鶏も死肉でしょ?動物を解体して作り出している。あの犬も一緒だよ、同じ死肉だから食った。だって、もったいないでしょ?

もう話にならない、と俺はAを追い出した。
奴が言っていることにある程度筋は通っている。
だが、筋が通っているからこそ異常なのだ。

今でもあの事を思い出すと、犬の死肉を美味そうに、楽しそうに貪っていた所を思い出すと、胃から酸っぱいものがこみ上げてくる。

give me money 2021/08/08 (Sun) 15:25:29 #19181716


だが、こんな中でも、特に最悪だった事例がある。つい昨日のことだ。
正直奴に会いたくはなかったんだが、理由が理由だった。

奴の猫が老衰で死んだそうだ。

一緒に弔ってほしいとのことで、仕方がなく俺は奴の家に行った。猫に罪はない。
奴は今まで以上に落ち込んでいて、やっぱりある程度愛情は感じていたのかと思った。
部屋にはすでに骨壺が置かれていて、どうやら火葬は既に済ましたようだ。
奴はどこか暗いまま、料理を俺に出してきた。
食べたこともない料理を食べながら、奴は語りだした。

あの猫は最初はあまり可愛いとは思わなかったこと。
暫くして、強い愛情を感じるようになったこと。
そして、死んだときに強すぎる悲しみを感じたこと。

奴に、そんな考えができるとは思っていなかった。根本はただの人間なのだと気付いた。
暫くAと一緒にいて、俺が帰ろうと思った時。
1つ気になったことを聞いた。あの料理に何を使ったのかと。
奴は、まだ落ち込んでいたが答えてくれたよ。

死体がもったいないじゃん。

あの猫の肉だって。



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