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ポーランド政府による”ショパン・プロジェクト”開始から半年経過 国内では反発の声も根強く……
2016年12月11日
ショパン博物館の写真 2016年撮影
2014年6月10日、ポーランド政府が”ショパン・プロジェクト”と名付けられた復興事業を開始した。
”ショパン・プロジェクト”は観光業界の復興を目指すとともに、ポーランド国内でのフレデリック・ショパンの評価を偉人へと復権させることを目標としている。具体的な方法として、国内での音楽祭の開催促進や旅行会社の誘致などを行うとしている。
聖ショパン正教会を含めた団体はこの活動を絶賛、自身らも協力するとの声明を出し、各地では聖ショパン正教会主催による音楽祭が大きな盛り上がりを見せているという。
プロジェクト開始から2年半、人々の反応はどうなのか。
「このプロジェクトを政府が立ち上げてくれて、本当に良かったと思います。」
そう語るのは観光ツアーガイドであるアリツィア・バダジェフスカさん。
「今まではほとんど観光客の方々が来ないということが少なく無かったのですが、”ショパン・プロジェクト”が始動して以降何十、何百という観光客の方々が来てくれました。フレデリック・ショパン博物館やショパンの生家などを見た方々が興奮したように、楽しそうに写真を撮っているんです。そしてツアーの最後に口をそろえて”楽しかった”と言ってくれました。このプロジェクトでポーランドが復興して、観光客の方々が更に安全に、更に楽しく来れるようになってほしいです。」
彼女のような賛成者の中には、”ショパン・プロジェクト”によって人々の楽しそうな顔が見れるという理由が多かった。
また、別の理由で賛成する人もいる。
「私は”ショパン・プロジェクト”に救われました。」
そう語るのは現在ワルシャワのアパートに住んでいるピアニストのアレクサンドル・アダムスキーさん。
「あの事件から十数年間、私はドイツで難民として暮らしていたのですが、その立場と事件後の混乱で、中々安定した職に就けずにいました。そんな中、聖ショパン正教会の方々に『音楽祭に出てみないか』と誘われたんです。音楽祭に出て演奏すると、大きな拍手と歓声が私を包みました。その後、音楽祭への出演料として多額の現金を頂き、そのお金でこのアパートに引っ越しました。今ではあちこちの音楽祭から声をかけてもらえています。"ショパン・プロジェクト"が無ければ、今頃私はポーランドに帰れないまま、ドイツで仕事を探し続けていたのかもしれません。」
彼のような元難民が、”ショパン・プロジェクト”をきっかけに祖国に帰還し、生活できるようになったという理由も多かった。
しかし、”ショパン・プロジェクト”には否定的な意見が少なからず存在する。
「私はマウォポルスカ県の田舎で、夫と共に静かに暮らしていたんです。」
そう語るのは現在ワルシャワの仮設住宅に住んでいるアガタ・カバルスカさん。
「しかし、あの忌々しいショパンの顔をしたセミにより、夫は貪られました。私は夫の指示で部屋にずっと閉じこもっていたので、私だけはセミに貪られず、今こうして生きています。昔は好きだったショパンの音楽も、今はあのセミを、あの惨状を思い出させるものでしかありません。街中で耳にするたびに、それに交じって羽音が聞こえてくるんです。」
彼女のような被害者の中には、”フレデリック・ショパン”そのものに対し忌避意識がある人もいる。
一方、また別の理由で”ショパン・プロジェクト”に反発する人もいる。
「このプロジェクトが成功するようには、どうしても思えないんです。」
そう語るのは現在ワルシャワの一軒家に住んでいるアベル・コヴァルスキさん。
「聖十字架教会の近くを通ったところ、”ショパンの心臓を破壊しろ”だとか、”ポーランドに復興を、ショパンに滅びを”だとか、酷い落書きがされていました。ショパン本人はヴェール崩壊とも、ポーランドの南部壊滅とも関係がありません。しかし、風評被害が余りにも大きいんです。ショパン目当てにポーランドへ来る人もあまりいないのではないでしょうか。現状、成功しているように見えても数年後にはきっと破綻すると私は考えます。」
風評被害により、ショパン関連の観光を目的とした人々が来ないのではないかという意見もある。
反発の声は少なくはない。30代以上のポーランド国民1000人に行われた世論調査の結果、543人が賛成、301人が反対、156人が無回答であったという。(第二中央ポーランド新聞社より提供)
この反発の声が今後”ショパン・プロジェクト”にどんな影響を与えるのか、今後とも注目していくべきだろう。
ポーランド神格存在出現事件以来より始まっていた物価の高騰は、現在落ち着きつつある。しかし落ち着きつつあるとはいえ、依然物価は高いままであり、食料品や生理用品の窃盗事件は未だに後を絶たない。
例えば、ポーランド神格存在出現事件前のパンの値段は約0.42ズウォティ(約12円)だったのに対し、現在は約60ズウォティ(約1790円)であり、凡そ150倍となる。ポーランドでの労働月給は平均約5,500ズウォティ(約16万円)であるため、パンは月に90個しか買えない計算になるのだ。当然ながらパンだけでは栄養を摂るのは厳しく、他の食材も買うこととなるためにこれ以上の経済負担がかかるだろう。さらには出国したポーランド国民が帰国し始めており、住居の不足や治安の悪化などが問題となっている。そのため、ポーランド政府は”ショパン・プロジェクト”で得た資金を南部の復興、及び治安の維持に使うとの声明を出しており、国内の安全化、及び住居の確保に努めるようだ。現在、外国から戻ってきた国民に対し凡そ10000ズヴォティ(約28万円に相当)の特別給付金の配布案が国会にて出されており、今後の動向が気になるところである。
財団は語る
「ポーランド国内、特に南部は未だに復興のめどが立っていません。」
財団渉外部門特設ポーランド復興局に所属する初夏 冬至博士(はつなつ とうじ、日本支部より派遣)はそう語る。
南部崩壊により大規模な経済的打撃を受けたポーランドは、復興の為に回す資金が未だ少ない。マイナス成長していたポーランドのGDPは近年ようやくプラスへと回ったばかりだ。
時に南部には異常存在が出現し、復興作業を妨害することもある。
「しかし、今回の”ショパン・プロジェクト”により復興が早まる可能性が大いにありえます。」
ポーランド神格存在出現事件以降、世界は大きな変化を遂げた。ヴェール崩壊を皮切りに、パラテクノロジーの浸透や新たな市場の開拓、新たな人権問題などが発生した。しかし、依然としてポーランドの状況は変わらない。高騰した物価、治安の低下、風評被害。”ショパン・プロジェクト”はそれを変える新たな一手になり得ると初夏 冬至博士は語る。
事実、”ショパン・プロジェクト”開始以降徐々に南部復興へ回される資金が増加してきている。このままプロジェクトが成功すれば、20年以上かかると見積もられた復興が5年以上短縮するとのことだ。
すでに復興が完了した地域には人が住み始めており、段々と日常が戻りつつある。
「ポーランドの復興は、ヴェール崩壊による様々な打撃を受けた国際社会にとって新たな希望の光となるはずです。我々はポーランドが復興するその日まで努力を続けます。」
ポーランド復興の日は、そう遠くないかもしれない。
しかし、一方で懸念点も存在する。
「現在、ポーランド国内において故ショパンの信仰人口が急激に増加しています。」
そう指摘するのは戦術神学部門所属のオリバー・ジェイソン博士だ。ここでいう信仰とはアキヴァ量の決定に影響を与える概念全般を指す言葉であり、宗教的なものだけでなく、非宗教的なものも含んでいるとのことだ。オリバー博士は例として信頼や信用、尊敬や傾倒などを挙げている。
「信仰人口とアキヴァ量には正の相関が見られます。すなわち、信仰人口が増加すると、アキヴァ量が上昇する傾向にあるのです。」
オリバー・ジェイソン博士は続ける。
「1998年当時、民主化を果たして10年足らずであったポーランドは非常に不安定でした。そのポーランドを支えていた柱の1本に、故ショパンの存在があったことは否定できません。彼の祖国に対する思いに感化された当時の国民が、彼の音楽を心頼りにしていたという話は多く聞きます。その結果、故ショパンの信仰人口は前例がないほどに増加し、神格存在出現の原因の1つになったと考えられているのです。」
事実、1998年当時のポーランドは、共産主義政権時代の膨大な借金や経済危機が深刻な問題となっていた。そんな中、どのような状況にあっても不変である音楽が、多くの国民の心の支えになっていた可能性は否定できない。
「故ショパンに向けられた信仰と、神格存在に向けられた信仰は本来別のものでした。しかし、"聖ショパン再誕のための音術師協会"の行った奇跡論的儀式によりその信仰の方向が捻じ曲げられ、結果として神格存在の顕現に至ったのではないかと考えられています。事実、"聖ショパン再誕のための音術師協会"の信仰だけでは神格存在がその肉体を維持・成長させることは困難だったという研究結果が出ているのです。」
悪意のある団体や存在によって信仰の方向が捻じ曲げられた場合、ポーランドに再び神格存在が出現する可能性がある。それは現状のポーランドに止めを刺しかねないだろうと、オリバー博士は語る。
「"ショパン・プロジェクト"が、ポーランドの復興に王手をかけ得る政策であるというのは理解しています。しかし、それ以上にリスクが大き過ぎるのです。そのため私は、”ショパン・プロジェクト”について再考すべきだと考えます。神格存在の再出現という大きなリスクがある以上、私には賛成できないのです。今は大丈夫でも、明日や明後日のことは誰にも分かりません。ならば、少しでも破滅のリスクを減らすため、なにか別の方法を考えるべきだと思うのです。」
ポーランドの明日がどうなるのか、それはまだ分からない。
関連キーワード 聖ショパン正教会 財団 ショパン ポーランド 復興
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- portal:6717718 (07 Nov 2020 15:59)
拝読しました。
記事の方向性としては、自国の英雄であり、ポーランドを愛していたショパンの名誉回復を目指すのは、自国の完全な復興と併せて、事件で変化した国民意識の再編を促すという点で面白いと思います。ただ、新聞記事や財団フロントの記事の体裁としては少しあらがあると感じました。
基本的に財団としてはポーランドの復興を支援する姿勢でしょうから、本文が国内世論は否定的で、専門家も否定的だとズバッとまとめてしまうのは少し違和感を感じました。賛成派の意見がないのでそれを加えてみたり、記述する順番を否定→賛成にしてみるとか。フレデリック・ショパン音楽アカデミーという音楽大学があるので、これを使うなど、現実性を高めてみてもいいでしょう。
また、この記事を書いているのは、信濃中央新聞なのでしょうか?
世論調査までやるとなると、現地の財団フロントメディアが書いた記事を自社サイトに転載する(財団フロント通信社の供給)だとか、世論調査部分はそこから引用して他はうちで書きましたという体裁をとるのが自然かと思いまして。
あと、ポーランド国旗の白色が背景と同化してわかりずらいので、政府機関やクラクフ、ショパンの写真・絵を使ってみるといいと思います。
以下記事各所の修正提案
アカウントを間違えたようです。
批評有難うございます!!
指摘された点、全て修正させていただきます
拝読させていただきました。
気になった点としては、
この文はケント氏の言葉の直後に来ている文ですが、「続ける」という表現は「〇〇はこう言った。そしてああ言った」の「そして」にあたる部分なので、ヘンリク氏→ケント氏→ヘンリク氏と語り人をシフトさせたい場合、「最後に、ヘンリク氏はこう筆者に語った」などのような表現にすれば、より自然な文になるのではないかなあと思いました。
ショパンショックから20年、人々の今を写す記事、私はどうもこれが好きなので、完成を祈っております。
批評有難うございます!!好きと言っていただけてうれしいです
当該箇所は修正しておきます
一般に信仰者を集めている宗教、特に財団職員も所属しているような宗教をカルトと呼ぶのは新聞としてはポリティカルコレクトネス的に良くないのではないかと思われます。例えば2912-JPではサーキック・カルトについて、「サーキシズムという用語が壊れた神の教会による差別的意図を含むことから、一般社会ではナルキシズムと呼ばれている」ことを示しています。
フレデリックは姓ではなく名前ではないでしょうか。
ヘンリク・ヤンコフスキ氏のコメントにケント・フレデリック氏が割り込む構成となっており、非常に読みにくいです。引用部の「でもね、」から始まる段落と「音楽というのは、簡単なものではありません。」から始まる部分は統合した方が良いかと思われます。
ここは同じような形式の見出しで、あまり芸が無いように思われるかもしれません。
余り詳しくは無いのですが、国家の財政赤字は隠蔽できるものなのでしょうか?
ナチスネタが被っているのでもう少しひねりを加えた方が良いかもしれません。
全体的に
「ポーランド政府、”ショパン・プロジェクト”の開始を発表」というタイトルからは発表についての報道、つまり開始した直後のことを伝えるのかなと思ったのですが、実際はすでに開始して成果も出ており、少しタイトルと内容の齟齬があるように思います。特にアリツィア・バダジェフスカ氏のコメント(プロジェクトへの期待)とアレクサンドル・アダムスキー氏(プロジェクトにすでに救われた)とで時系列がごちゃごちゃになっているように感じてしまいました。そもそもなんですが、「事業を発表する」あるいは「事業を開始する」は良く聞きますが「開始を発表する」は違和感があります。「復興事業を開始することを発表した」というのはおかしいのでは無いでしょうか。
この記事では引用コメントが多用されていますが、どれも説明口調なのも気になります。特に、
ここの部分は「~ました」が連続していることもあって設定の羅列感が強く、違和感がありました。新聞であればもう少し自然で簡潔なコメントを意識してみてはどうでしょう。
「財団は語る」の欄ですが、全然財団が語っていないのも気になりました。確かに財団職員が語ってはいますが、その内容はほとんど財団職員である必要性が無いため設定をとってつけた感じが強いです。「財団は語る」の利点は財団視点で報道されている事象を説明できることなので、現状はそれが全く活かされていないと言えます。
全体的に内容が薄く、復興に対する人々の思いの重さを上手く感じ取れませんでした。現状は個々人のエピソードの比率が多いため、現在のポーランドの状況についての分析などに重点をおいて記述してみてはどうでしょうか。
批評有難うございます!!
うーん、内容が薄かったですか……大規模改稿してみます
あ、国家の財政赤字隠蔽はギリシャという前例が一応存在しています……
拝読しました(第二次批評)
全体的にディティールが上がって実在性が上がっており、益々面白くなっていると思います。
明確に気になったところはひとつあります。
高騰した物価が落ち着いたのに、物価高騰を原因とした犯罪が後を絶たないというのは違和感を覚えました。「高騰していた物価自体は落ち着いているものの、その影響は長引いている」なのか、「物価高騰は以前に比べて落ち着いたものの、未だに高いと言える」のか、どちらにせよ、不明瞭感が拭えませんでした。前者ならば「物価高騰が残した爪痕は未だに治安の悪さで現れている」というような、「見た目は良くなってもまだ元通りというわけにはいかない」感を、後者ならば「未だにパンの平均物価は〇〇ユーロ、イベントペルセポネ以前に比べて〇倍です」のような、「まだまだ完全復活とは程遠い」感を出せば、より詳細に現状が伝わって良いのではと思いました。
第二次批評有難うございます!修正いたしました!