不幸な事件

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部下が新しく家を買った。会社にも近く、通勤が楽になったと嬉しそうに話しているのを聞いたことがある。
その割には仕事の効率も上がらないし、出勤時間も今まで通りだ。部下ならば朝早く来て、上司にコーヒーを淹れるのは当然だろうに。



最近この街での行方不明事件が多くなってきているらしい。
らしいというのも、俺自身は全く興味が無いからだ。どうせ女や子供を狙った誘拐や、最近よく聞く家出だろう。
相次いで起きていた██市の行方不明事件は収束したらしいが。



アイツらの態度が悪すぎる。
俺が頼んだ仕事も「すぐに出来ない」なんて言い訳しやがって。これくらいなら時間はいくらでもあるだろうが。部下は上司の頼みも快く引き受けるのが当たり前だ。



新人が無断欠勤した。
何をしているんだアイツはと思い携帯に連絡をしまくった。上司を待たせてようやく出た電話の内容が「仕事がきついです」だ?
最近の若者は腑抜けきっている。新人だろうが仕事くらい他と同じに決まっているだろう。何甘いこと言っているのか。



同僚が死亡した。死因は自宅での事故死。
何故だか爪楊枝が脳まで貫通していたと聞いた。
まったく、本当に馬鹿げた死因だ。ほとほと呆れる。



一体アイツらはどういう教育を受けてきたんだ?
風邪気味だからって休む理由にはならない。どうせたかが風邪だろう。心配性すぎるにも程がある。
たとえ医者の判断でも、軽い症状なのだから会社に来るべきだろう。早く来いと連絡を入れておいた。



最近の若者を見ていると頭が痛くなる。
マナーも言葉遣いもなっていない、返事が小さい、すく言い訳をする、言われたことしかしようとしない、キビキビ動かない、飲み会での付き合いが悪い。
ざっと思い浮かぶだけでこれだけある。俺が新人の頃はこうじゃなかった。



また会社の人間が死亡した。今度はアナフィラキシーショックでの死亡らしい。
アナフィラキシーショックとは確かアレルギーの一部だったか。そんなもので死ぬなんて信じられない。



最近腹立つことばっかりだ。
部下が会議で使用する資料をダメにした。おかげで作り直しだ。不慣れなくせにパソコンなんか扱おうとするからこうなるんだ。



一人暮らしをしている、会社のとある人間が行方不明になったと聞いた。荒らされた形跡も無いらしい。財布も携帯も家にあったとのことだからどうせ家出だろう。くだらない理由に決まっている。
仕事を放棄されると損害がこちらに来るからやめろと言いたい。



新人が機材の使い方を教えろと言ってきた。
まず人に聞くな、自分で調べろ。お前の持ち歩いているその箱は何のためにあるんだ?



久々に別部署のやつらと仕事をした。
新しい人材も入っていたが、なんと向こうにも仕事中に携帯を触るやつがいる。
その上注意したら「パソコンの使い方を調べていた」と言い訳していた。それくらいすぐに分かるようになれ。これだから全く能力が身に付かない無能は困るんだ。



また会社の人間が死亡した。最近多い気がするが気のせいか?
今度は総務の██氏らしかった。飛んできた石が頭部に命中し死亡。あの人の態度には俺も悩まされていたから清々する。



また死亡事故が起きた。ベテランの██らしい。
アイツは態度が悪すぎていたから特に思うことは無い。



最近会社員の死亡事故が多いとのことで、上から「気をつけるように」との通達が来た。
また何人か社内でも行方不明者も出ており、未だ見つかっていないとのことだ。全部一人の時が狙われているらしいが、そちらの方が家出しやすいからだろう。どうでもいい。



























現在時刻午後八時。その家では、一人の男が冷蔵庫から冷えたビール缶を取り出すところだった。
男はリビングに戻り、やや大雑把にビール缶をテーブルに置く。プルタブを開けると小気味いい音がして、男はテーブル上の枝豆をつまみながら缶を口につけた。
今日は休日だ。煩わしい部下にも振り回されない、数少ない日。
そう思う男は、自分がむしろ振り回している側だと思っていないのだろう。上機嫌にレンタルしてきたDVDを観ながら酒を飲んでいる。

そんな彼が楽しんでいるところで、ふと玄関のチャイムが一度だけ鳴った。

「……チッ、誰だよこんな時に」

モニター付きインターホンで確認すると、それはどうやら彼の部下のようだった。萎縮したように背を丸めて立っている。

「あの、こんな時間にすいません。渡し忘れていた書類があって……」
「は? どうしてしっかり確認しないんだ? 注意力散漫にも程があるだろう」
「す、すいません……」

楽しい時間を邪魔されたと一気に気分が萎えたらしい男は、「今行く」とだけ言い、ぶっきらぼうに通話をやめる。もちろん文句も忘れずにだ。

「で、書類ってどんな──」

リビングから玄関まではすぐだ。たどり着いた男がドアノブを回して扉を開けようとする。しかしその言葉は最後まで続かない。

「、」





「はあ、次は██さんが」
「でもあの人厳しすぎましたよね。その、いない方が嬉しいっていうか……」
「事故死でしたっけ、原因って」
「いえ、行方不明らしいですよ。休日だったので一人だったんじゃないですか?」
「今多発している事件ですか? 一人の時を狙っているっていう」
「社内でも何人か居なくなってますよね。……なんだか不気味ですね」




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執筆者: winter key
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最終更新: 31 Jan 2021 15:17
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