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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの存在が露見しないための標準的な監視および情報統制が継続されます。SCP-XXXX-JPの特徴的な文化と技術について、異常社会部門が当件の研究調査を担当します。
説明: SCP-XXXX-JPはかつて“花の都ヴィオレム”の愛称で知られ、数千年前にインド山脈の麓で栄えていた都市です。SCP-XXXX-JPは時代にそぐわない高い技術力を持ち、不明な要因によって滅亡するまで以下に解説されるような都市を展開していました。

SCP-XXXX-JPのマップ。
1.都市構造
SCP-XXXX-JPは円形の都市で、その面積は約55km2です。しかしその中で実際に人が住んでいたのは中心部の約25km2であり、人口は1,000~2,000人程度です。残りの土地は全て未知の白い花を植えた花畑であり、この花畑は中心部の都市を囲むようにして存在しています。
都市の多くは2~3階建てであり、密集して建築されています。その様式はインド建築に似ますが、建材については分厚く万能な植物の茎が用いられています。西部の植栽区で栽培されていたこの茎は、あらゆる機能の基盤となっていますが、その種については既知のいかなる植物とも類似しません。また町の各所には5m、中には15mを越える異常生長した花が生えています。ただしこれは町の景観を形成するために意図して植えられていたものと見られ、必要以上に生長しないよう剪定などの整備措置が取られていました。
SCP-XXXX-JPには水道や電気が存在します。そのシステムは現代社会のそれと同一ですが、水道管などのパイプは先述した茎によって作られています。電気については“花エネルギー”というものを用いて発電していたようです。花エネルギーとは、初めに言及した花畑に植えられた白い花から未解明のプロセスによって抽出された化学エネルギーを指し、抽出されたエネルギーは東部の発電所に収集され、電力に変換されて各建物に供給されます。
なお、植栽の整備・栽培、システム構築・管理などは後述される機構によって自動的に行われていたようです。これはSCP-XXXX-JPの機械的な技術力が著しく発達していた事を示しますが、それらの技術が内部発展したものなのか、外部から持ち込まれたものなのかについては判明していません。

SCP-XXXX-JPの位置。
2.住民と文化
外見上、SCP-XXXX-JPの住民はヒト1に酷似していますが、体内組成に大きな違いが見られ、根本的にヒトと異なります。財団によってホモ・ロータス2と分類された住民らの生物学的特徴として、皮膚には葉緑体と同じ機能を持つ半透明な粒状の器官があります。この事は、住民が光合成で栄養を得ることが可能であったという事実を示しています。
この葉緑体に似た器官には、老化に伴って皮膚全体へと広がると共に白みが増し、皮膚全体を覆うようになるという特性がありました。住民が死亡すると、この器官はほぼ完全に皮膚全体を覆うと共に内部器官へと入り込み、強力な“保存作用”を引き起こします。この状態になると体の腐敗が極めて遅くなり、その都市の技術による塗布型保存処置を受けさえすれば、外気に晒した状態でも数千年近く良好な保存状態を維持できます。保存状態の質を示す証拠として、財団による初期発見でベッドに横たわった状態の住民が確認された際、確認した職員がそれを「眠っている状態」と誤認していた事が挙げられます。
その保存状態の高さゆえに、SCP-XXXX-JPでの文化には「埋葬」の概念がほぼ欠落しています。回収された資料によればその都市では一般に、親族が死亡すると保存処置を受けて家族のもとに帰され、その人が使用していたベッドに横たわらせます。その後は定期的にシーツ等を換えてその人をタオルで拭くなどするようですが、これがこの都市における住民の「弔い」の形であったようです。
3.アマランシア
初期発見時、SCP-XXXX-JPの各所には四足歩行の自律機械が存在していました。これらの機械は都市システムを支える為のもので、都市や花畑を整備していました。犬をモチーフとした造形であり、住民からは「アマランシア」の愛称で呼ばれていたようです。頭部には命令がプログラムされたチップが内蔵されており、個体を幾つか調査した結果、大きく分けて2種類のチップが存在することが判明しました。
1つは“整備用”で、これは花畑の整備や管理、都市における物品の運搬や発電所の管理を担当するものです。これらは半永久的に活動できるようプログラムされており、気候の影響を受けにくい地形に都市が形成されている事も長期的な活動とそれによるSCP-XXXX-JPの高い保存状態の維持を助けたと考えられます。
もう1つは“家庭用”で、これは家事を補助する物理的支援に加え、愛玩動物として触れあう精神的支援の役目を持っています。これには犬に似た挙動を取るようプログラムされており、例として“頭部を撫でられると寝転がる”等があります。なお技術的に言えば家事を補助するのではなく、完璧に行うような設計も理論上可能でしたが、住民の意向や価値観によりそのような設計にはされなかったようです。なお所有率については、全家庭のうち半数以上であった事が明らかになっています。
設計については、アマランシアの開発チームによる資料が発見されています。資料によればSCP-XXXX-JPには動物や昆虫類を寄せ付けないための強力な薬剤が全体に撒かれており、それにより人間以外の生物はほぼ存在しないとの事でした。ゆえにSCP-XXXX-JPにおいて数種の ― 恐らくは外部文明から伝わったと思われる ― 生物、特に犬については伝説上の存在として扱われていました。開発チームはその伝説上の存在である犬を再現するためにアマランシアを犬を模倣したデザインにしたようです。
ただし本質は機械であるため、プログラムされた挙動しか取れないという問題があります。これは開発チームにおいても課題だったようで、アマランシアに知性を芽生えさせようとする試みに注力していました。現在では自己学習型AIとして知られるものに近いプログラムは埋め込まれていましたが、これだけでは知性の発現に不充分であったようで、最終的には失敗に終わっています。
なお、動力源は花エネルギーであり、それを貯蔵したコアが心臓部に装着されています。アマランシアはほとんどの活動を自律して行えますが、コアの交換については人の手で行われることが多かったようです。これは、当初はバランスを崩すなどして自力ではコアを入れ替えられなかった事や、故障時はコアを一度外して点検する必要があった事が原因だったようです。開発後期にはコアの自己交換ができるよう改善されましたが、依然として人の手でも入れ替えられるような機能は残されたままでした。資料によれば、コアの自己交換機能が実装されてからも、故障や経年劣化により交換の必要が生じた際は自らの手でコアを入れ替える住民も一定数いたとされています。
コアの形や色については、ハス3の花に酷似しています。これは開発チームの遊び心による意図した模倣のようですが、一見しただけでは本物のハスと見分けがつかない程の高い模倣精度を誇ります。
4.文化的側面からの興味深い事象
初期発見時、ベッドに横たわった状態の住民のそばに、コアの無いアマランシアが停止しているという特筆すべき光景が各所で確認されています。コアは、その住民の心臓部に置いてありました。
これに関してアマランシアの視覚情報を解析した結果、その個体が自身のコアを外して住民の心臓部に置いていた事が判明しています。この挙動の行動原理については、以下の仮説が支持されています; "故障時に住民によってコアを替えられ、その結果として再び活動できるようになったという事をアマランシアは学習した。それゆえ、死亡した人間に対しても'故障して動かなくなった'と推察、コアを与えることで再び目を覚ますと仮定して上記の行動を取った"。
この説の真偽は未だ証明されておらず、更なる研究待ちです。しかし文化的側面の視点から、現地調査員はその光景に対し説とは反する興味深い報告を残しています。それは、コアがハスの花を模倣したデザインであるため、アマランシアがコアを住民の心臓部に置いた光景というのがあたかも「死者に花を添えて弔っているように見える」というものです。
なおアマランシアのこの挙動がプログラムされたものである確率は、有意に低いという結果が得られています。
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:6637840 (11 Jul 2020 10:56)
現状ですとNVです。美しいメタタイトルにぴったりの情景描写、アマランシアの献身など素敵なところは沢山あるのですが、いくつか気になったところがありました。
ponhiro様のやりたいことを優先していただければと思います。
以下は報告書形式について不慣れな新参の意見ですので、
以下は内容について一点だけ、個人的に気になった点になります。
幻想的な雰囲気と花の濃厚な香りがする素敵な報告書でした。拙い批評ではありましたが、
ponhiro様の執筆の一助になれば幸いです。この報告書をサイトで読める日を楽しみにしております!
批評ありがとうございます!すぐさま修正できる分のみ修正致しました、また時間のある時に詳しく修正します。
追記: 修正しました。引き続き批評を募集します。
拝読しました。読んだ感想としてはではNV寄りのUVかなという印象です。多分UVを押すでしょう。
全体では、幻想的で素敵な世界と何となく心が温まるようなストーリーで私は好ましく感じました。
以下は細かい点になります。表現やクリニカルさにおける部分の「僕だったらこうするかな」を指摘をしますが、ponhiro氏にはponhiro氏のスタイル、やりたいことがあると思いますので、取捨選択していただければと思います。
・大きいサイズの文字でブロックごとのタイトルが示される点
体裁を重視する人には「ん?」と違和感を与えそうなので、僕なら避けるかなと思いました。独自の表現を持ち込むこと自体を否定はしませんが、「見出し」の役割をしていると考えた時に、「説明」内のコンテンツである以上、「説明」が大見出しにあたり、「1.都市構造」等は中、或いは小見出しに当たる部分になるかと思います。大見出しよりも大きいサイズで小見出しがあるような印象を個人的には受けました。ただし、PCで記事を開いた時に「1.都市構造」「2.住民と文化」が最初に目が行くので、読者に心構えをさせてから読ませる効果はあると思います。
「町程度」という表現はあまりクリニカルな表現に感じませんでした。分かりやすい近似のサイズの具体的な固有名を出すか、参考として「東京中央区は~」等の基準となる場所とのサイズを比較させるのも良いかもしれません。
2~4階建てくらいの建物が沢山あるのかな、とイメージしましたが、一応少しのタワマンと平屋が沢山の可能性も否めません。イメージに合わせて、「建物の多くは3階建てであり、〇階以上の建物は殆ど見られません。これらは密集して建築されており~」等にするのも手かなと思いました。
剛性・弾性が高いからこそ万能性が高いように思いました、語順を入れ替えてみるというのはどうでしょう。
不明です。と言うと、そもそも調べることが出来なかったような印象を受けました。「既知の如何なる種とも~」みたいな言い回しや、ホモ・ロータスのような新たな分類をするということが考えれます。
「だったようで」が結構引っ掛かかります。「剪定などの整備の痕跡が見られ、町の景観を形成するために植栽されていたものと考えられます。」等の表現が考えられます。
「これは、初めに~」では花からエネルギーを取り出すプロセスである。と説明していますが、前の文では電気、あるいは発電の話をしているようです。
「花から未解明のプロセスによって花エネルギーが抽出される」「収集された花エネルギーは東部の発電所で電力に変えられ供給される」と示せるとよさそうです。
保存状態に対して「高い」はしっくり来ませんでした、「保存状態」は良い悪いで言うイメージなので、「良好な保存状態を~」等のほうがよさそうです。
シーツではなくベッドで正しいですか?
ここまで、電気と水道の話等はありましたが急に情報科学的技術が出てきたのでびっくりしました。(剣と魔法の国にマシンガンが出てきたような印象)
この違和感を感じるのが僕だけかも知れないのでアレですが、もし他の方も感じたようなら、事前に情報科学的な要素もチラ見せする等するとよいかもしれません。
・解説に浸ることで流せましたが、整合性を重視する人にとってはDV要素に成り得る点(曖昧にしてもある程度は押し切れるかなとも思います)
保存された死体で溢れないのか?
→埋葬等の概念がなく、なおかつ死体の長期保存がされることを考えると大変なことになってそうには思いました。
人類の弔いとは違うが、これは弔いではないのか?
→死体に保存処理を行い、ベッドに寝かせて世話をしているのは「この文化における弔いの形」という風にも感じました。それに対して「なんかいいな」とも感じました。
「その町の持つ機能によって自己収容状態にある」とは何だったのか?
→これは言わないでも別に大丈夫ですが、情報科学技術の前振りとして「1.都市構造」の部分で触れることも出来そうに感じました。
色々と言及しましたが、最初に述べさせていただいたように、ponhiro様のやりたいことに応じて取捨選択していただければと思います。
批評ありがとうございます。批評された内容は概ね反映させていただきました。
「弔い」については私もこれを「文化の欠落」とするにはなんか惜しい、これもまた異文化なのでは、と思っていたので、「ホモ・ロータス特有の弔いの形」とする事にしました。
よってオチが「文化の欠落→発露」ではなく、「アマランシア特有の文化(弔いの形)が芽生える」の形に変更となりました。
改めて、批評ありがとうございました。
引き続き批評を募集致します。
拝読しました。現状ではDVです。以下の内容はあくまでも私の主観ですので、あまり気にしすぎないでください。
・文章は分かり易いか?
分かり易かったと思います。
・ネガティブな読書体験につながるような文章のクセは無いか?
特段、そのようなクセは見当たりませんでした。
・場面や状況が想像できるか?
想像できました。
・描写に魅力を感じるか?
描写自体に魅力は感じませんでした。
・描写に納得感があるか?
「なるほど」という納得感のある描写はありませんでしたが、違和感のある描写は無かったと思います。
・マップやハスの花などの画像を用意した方が想像しやすくなるか?
花の画像はあったらより良くなるのではないかと思いました。
以下、その他の所見及び、細かな気になった部分です。
この街の人々の生活の情報はどのような形で得ているのか?ということを"花エネルギー"が登場する辺りの早い段階でしっかりと示した方が良いと思いました。文献で得ているのか、アマランシアの視覚情報を解析して得ているのか、具体的な人々の生活に触れるのであれば情報源は明記した方が良いと思います。
また、財団による初期発見がいつのことなのかも明記した方が良いと思いました。
アマランシアの行動がオチとなっていますが、私にとって「機械が人間の行動を学習して自ら行動する」であるとか、「機械が弔いをする」ということ自体結構色々な場所で見たものなので、あまり響きませんでした。また、オチとそれまでの記述との関係が希薄であることも残念に思った部分です。
と弔いの形を示しているので、"死者に花を添えて弔っている"というのはあり得ないことになり、財団が"興味深い報告"として扱うことは無いと思います。
これはしょうがないことなのかもしれませんが、納得感が無いため読んでいてあまり興味を引かれませんでした。4.の項に至るまでは都市の設定を提示している段階ですが、この部分が記事の主である以上読者を楽しませる納得感を与える要素が必要になると思います。都市機能、文化の合理性を示す、この都市の存在の歴史的必然性等を示す等、手段は様々だと思います。
執筆応援しております。
批評ありがとうございます。意見の多くは概ね納得できるのですが、1点だけイマイチ意味を理解しかねる部分があったので質問させてください。
納得感を与える要素が必要と仰っていますが、「都市機能」「文化の合理性を示す」「歴史的必然性」の例についてお教えできますか?そしてそれらの例がなぜ「読者に納得感を与える要素」として適切だと思ったのかについても説明できますか?(説明できない場合・難しい場合はそれはそれで構いません)
承知しました。
「都市機能」、「文化の合理性を示す」は、都市機能と地形、気候条件や、文化との繋がりを見せて「確かに実際に都市を作ればこうなるかもしれない」と思わせたり、「確かにこの文化ならこの都市が出来上がるな」と思わせたりすることを指していました。例えば、気候条件によって土地ごとの建物の構造、材質は大きく変わってきますし、外敵を想定するか否か等の周囲の環境でも都市構造は大きく変わります。
「歴史的必然性」は、「この頃インドではこんなことがあったからここに超技術を持った国が生まれた」とか、「この民族がある所から渡ってきて国が作られた」とか、古い時代のことですので「この神話はこの国の話だった」等の、存在を納得させるための描写を歴史的、神話的な角度から入れることを指していました。財団が発見するまでどうして見つからなかったのか? も示せるとなお良いと思います。
「読者に納得感を与える要素」として適切だと思った理由としては
・この記事の多くは都市及び文化の説明になっており、せっかく分量を割くならそこで納得感を出した方が良いと思ったから
・この記事の都市及び人々はかなり突飛な超技術を持っており、ある程度「それらしい」説得力があった方が良いと思ったから
・この記事には「不明な○○」が多く存在し、読者によっては「作者が説明を投げている」と捉えるかもしれないため、「作者には合理的な説明をしようと思えばできる力があるけど敢えて説明していない」と思わせるのに必要だと思ったから
理由は以上です。完全に私の主観ですので、対応はお任せします。
ありがとうございます。