ITEM #: SCP-2688-JP |
LEVEL E |
収容クラス: Euclid |
機密 |
特別収容プロトコル: SCP-2688-JPの規模が大きく、完全な収容は困難であるか不可能です。しかしながらその性質のため、異常性が外部へと伝達される可能性は有意に低い状態にあります。そのため、現時点ではSCP-2688-JP発生地域の近隣に建設されたサイト-H8に職員が配置され、異常性の監視と研究を行います。
後述される禁忌について、財団が充分に収容可能でなおかつ収容しても財団職員や町内文化への影響が大きくないものから順に収容されています。そのうち口碑実体(妖怪)はサイトの3階東、人型実体は3階西に収容されています。それぞれの実体の細かな収容手順は、別途資料を参照してください。
SCP-2688-JP発生地域の内部へと進入するには山科博士の許可を得てから進入してください。進入の際だけでなく、SCP-2688-JPと何らかの形で関わる際は、補遺に記載された事象に注意して、禁忌に触れないようにしてください。
また、SCP-2688-JP発生地域にアクセス可能な全ての道路には地中埋込式記憶改竄電磁波放射装置が設置され、禁忌の内容を含むあらゆる異常が外部へと漏洩しないような処置が取られます。
説明: SCP-2688-JPは、宮崎県███の山林に位置する捌縁町やつえんちょうに存在する複数の異常実体・異常現象の総称です。
捌縁町に存在する様々な場所 例として家、神社、墓所、坂、丘などは、それぞれ固有の異常に支配されています。いずれの異常にもそれぞれの法則があり、その法則に従う事で安全に生活する事が可能です。代表的な例に『捌縁町の異常をみだりに他者に伝えてはならない』という法則が存在しますが、この法則を遵守している事により、町では様々な異常現象が発生しているもののそれが外部へと伝達されにくい環境が形成されています。捌縁町の住人はこれらの異常を『禁忌』と呼称し、許容しており、法則性を遵守しながら生活しています。なお、町民はこの禁忌を破った人物を捌縁者と呼んでいます。
補遺: 禁忌のうち、危険性の高い実例; 地元の指導書を編集したものを抜粋
注: 後述の人型実体・口碑実体については細かくナンバリングされていますが、当該ファイルにおいては可読性のためナンバリングされたものではなく実際の名で呼称している事に留意してください。
禁忌1 - 伝えるな
範囲: 町全体
詳細: 禁忌を、捌縁町と極めて関わりの薄い人間に伝えてはなりません。ネットの掲示板に書き込むなど、伝える相手との関わりの薄さが甚だしい行為がこれに当たります。この禁忌を破った場合、伝えた人間・伝えられた人間(以下、"捌縁者")は枠や区切りに対する恐怖を抱くようになります。その状態になってから数年以内の土用の日に、突然両目を手で塞いだ後、地面の中へと引き摺り込まれるようにして消失します。消失後、そこがどのような場所であれ、微量の土が消失点に残っている事が確認できます。
対策として、伝えられた側の捌縁者は、春の土用の期間に、北に向かって二礼二拍手を行い、炎を焚き、その炎の中に生物1体を放って一礼をする事で、その年は影響から脱する事が出来ます。炎の中に放る生物はウマ(Equus caballus)が望ましいですが、用意できなければそれ以外の動物や昆虫でも構いません。
それ以外の方法としては、自身が捌縁町と何らかの形で関わり始めることで影響を取り除く事が出来ます。例として捌縁町で働く、旅行に行く、捌縁町の事を積極的知ろうとする事など多岐にわたりますが、大事なのは「捌縁に敬意を払う事」だと言い伝えられています。
なお、伝えた側の捌縁者は上記に示したいずれの行動を取っても意味がありません。
禁忌2 - 視界に入れるな
範囲: 町の東側
詳細: 捌縁町東には、『鵺』という妖怪に似た、捌攣やてなえと呼ばれる動物が存在しています。頭部が存在せず、普段は人けの無い道を歩いていますが、しばしば商店街などを訪れます。人間はこの生物を長時間視界に入れてはなりません。この禁忌を破った場合、捌縁者はその場から動けなくなり、捌攣によって両腕をもぎ取られます。腕をもぎ取られても出血する事はありませんが、バランスを保てずうつ伏せになって倒れる事になります。その後、捌攣によって仰向けにさせられると、地面から黒い大きな手が現れ、捌縁者を地面の中へと引き摺り込みます。
捌縁者の両腕だけがその場に留まります。それらは腐敗するので、供養を行って下さい。
禁忌3 - 聞くな
範囲: 町の西側
詳細: 捌縁町西では、稀に奇妙な、笑い声のような声が聞こえる事があります。人によってそれは『ノイズ混じりの声』『溺れている最中に発しているかのような声』と形容されますが、一貫した特徴として『耳元で囁かれている感覚がある』というものがあります。これを聞く事は避け、耳栓もしくは手のひらで両耳を塞ぎ、その声が止まるまで待たなければなりません。この禁忌を破った場合、耳から大量の、小さな手が溢れて捌縁者の体を這い、体の背面にしがみつきます。その後、それらの手は捌縁者を、近くにある壁面へと引き摺った後、捌縁者を壁の中へと引き摺り込みます。
禁忌4 - 振り返るな
範囲: 町の西側、
果橋はてばし
詳細: 果橋は大淀川に架けられた橋の1つです。そこを渡る時、如何なる場合でも後ろを振り返ってはなりません。この禁忌を破った場合、捌縁者の両目、首、手の付け根に圧迫痕が付着します。圧迫痕には指紋が付着していますが、そのいずれも特定不可能か、或いは故人のものです。その痕が付着してから数週間後、捌縁者は突如、痕がついた場所に異常な力が加わり、引き千切られます。
禁忌5 - 無視するな
範囲: 町全体
詳細: 町を歩いていると、手が異常に肥大した『やづれさま』と呼ばれる赤い髪の妖怪にしばしば出会う事があります。話をする事は出来ず、こちらの存在に気付いていないように振舞いますが、その存在とすれ違う時に無視をしてはなりません。具体的には、『やづれさま、やづれさま』と唱え、会釈する必要があります。この禁忌を破った場合、捌縁者は他者から急速に忘れ去られます。
この影響を取り除く事は不可能ですが、捌縁者の近親者が亡くなった時、その葬式において棺の前でひと掬いの土を飲み、「捌縁を成す黄泉よみに御座おはす御手をて、此身を贄として捌縁の儀を後らせ給ふやうお頼みお頼み申す」と何回も唱える事で忘れ去られる事を遅らせられます。しかしこれは、亡くなった近親者を贄として差し出す事を意味するため、行うには注意が必要です。
補遺2: 発見
SCP-2688-JPは初め、捌縁町という町が著しく情報を欠いているという点が興味を惹き、その後調査の対象となりました。
調査では、町民がこれらの禁忌の存在を認知し、注意しながら生活をしているという事が判明しました。特徴的な点として、禁忌それ自体には許容的な住民が大部分を占め、文化の一面として受け入れられている事が挙げられます。捌縁町に入るための全ての道路には検問所が存在しており、外部からの来訪者に対してはここで捌縁町に関わる際の留意点とルールが記載された本が配布され、説明が行われるなど、禁忌を中心とした様々な施策が実行されているのは特筆すべき点です。こういった禁忌を許容している一面や、『伝えるな』の禁忌、また単純に捌縁町の来訪者が少ないなどの理由により、捌縁町は大きな話題となる事もなく、現在まで存続していました。
状況把握の後に、財団は捌縁町への介入を決定しました。しかしながら積極的な収容はハイリスクであるとして実行されず、現時点では収容プロトコルに示されたような収容形態を取っています。その主な理由が、収容が困難である点、町民が異常に対し許容的であり積極的な収容の必要性が薄い点、禁忌の内容が複雑である点です。特筆すべき点として、禁忌の中には記録を阻害するようなもの、例えば『ある禁忌を記録する事それ自体が禁忌である』などがあり、報告書に捌縁町の異常を記述する事は困難を極めました。現時点では、コストマネジメントの観点からも、財団の介入は町の監視やエージェントの配置、そして収容・隠蔽が確実に可能な禁忌の封じ込めのみに留まっています。
また、これらを考慮しても、捌縁町の情報は不自然なほど外部へと伝わっていません。記録上、同規模の異常は、ネットの都市伝説まとめサイトなどに断片的に情報が記載されている例が多数存在します。しかしながらSCP-2688-JPに関してはそのような例が確認されていません。これに関連する情報は少なく、財団が未だ把握していない禁忌が関わっているとみられていますが、現在Dクラス職員を介した実験を行うかは審議中です。
補遺3: インタビュー
以下は、町民に実施したインタビューの書き起こしです。
インタビュー記録2688-JP
話者:
序: 山科博士は、一般の民俗学者を装ってインタビューを行った。
山科博士: 道川さん、インタビューに応じてくださりありがとうございます。
道川氏: いえいえ、禁忌に関するインタビューとなると受け入れる人が少なくて大変だったでしょう?
山科博士: そうですね…色んな人に打診したのですが。ここは…本当に禁忌中心に町が回っているみたいです。検問所とか祭事とか。
道川氏: 面白いでしょう。でも禁忌について詳しく話すのは、決められた人にしか許可されていません。だから他の人は話したくても話せません。これは町の規則です。それに、禁忌から身を守るために最低限必要な事を話すのは検問所で充分ですし、何より詳しく知ろうとする人なんて少ないですよ。
山科博士: では、そう…貴方は何というか、禁忌について話す"ライセンス"的なものを持っている、と解釈してよろしいですかね?
道川氏: はい。そして貴方には、私の話を聞くリスクに留意していただく必要があります。私の話を聞くという事は同時に、貴方がこれから捌縁と関わらざるを得ない事に同意し、また境目を揺るがすリスクと禁忌に命を脅かされるリスクに留意するという事を意味します。大丈夫ですか?
山科博士: 大丈夫です。
道川氏: よろしい、では詳しく話していきましょうか。何からお聞きしたいですか?
山科博士: 「大丈夫」と言ったばかりで申し訳ないのですが、境目とは何ですか?
道川氏: ああ…うーん。まずは『捌縁』の話をしましょう。紙に書きながら説明しますね。では貴方は、"捌縁"が何を指すのかご存知ですか?
山科博士: いえ…不躾ながら。
道川氏: 捌縁は、『やつえん』、『やちえん』、もしくは『はつえん』と読みます。捌という漢字は『八』の異体字としての意味合いを持ちますが、ここでは数字自体に特に大きな意味はありません。
(道川氏は筆記を続ける。)
道川氏: 捌という字は、『別』という字に手偏が合わさって捌と書くのです そして、別という字には、何かを離れさせる、別れさせるという意味があります。つまり、『手によって何かを離れ離れにする』という意味合いを持つのです。
山科博士: では、捌縁というのは、手を以て縁を離れ離れにする、と?
道川氏: その通り。ちなみにこの町は遥か昔、生物の手を用いた特殊な供養や縁切り、祓などを行っていました。ですから町人はそれを『捌縁』と揶揄し、それ目的で来訪される方も少なくなかったそうです。『捌縁町』と呼ばれるようになったのは、そういう由来があります。
山科博士: でも確か…縁切り、断捨離という行為をしすぎると、それらの行動で塞いでいた瘴気がいつしか塞げなくなり、溢れ、災厄をもたらす…と聞いたことがあります。もしかしてこの町がこういった性質を持っているのって…
道川氏: そういう事でしょうね。では元の話に戻しましょう 何の境目なのか、という話でしたよね。あ…すみません、ここから先は禁忌に触れるので、対策のためにマジナイを唱えましょう。えにしつぎ、ふちかひて、はけるなかれ。えにしつぎ、ふちかひて、はけるなかれ。
山科博士: …あー、えにしつぎ、ふちかひて、はけるなかれ。えにしつぎ、ふちかひて、はけるなかれ。
道川氏: ありがとうございます。…『縁』は、何かと何かを繋ぐものです。そして『境目』も、何かと何かを繋ぐものです。その違いはほとんど無いように見受けられますが、『境目』の方は何となく境界がハッキリしている感じがあると思いませんか?
山科博士: …神話か何かでそういうの、ありましたね。冥界から追いかけてくるイザナミを、地上のある一点で封じた…とか。あれも境目です。
道川氏: はい。では、貴方は体の境目がどこか分かりますか?
(山科博士は首を横に振る。)
道川氏: 背中です。より正確に言えば、人間の視野である200°より外側 ここが視野の境目、『死角』です。この範囲で発生している事を、我々は自分の目を通して見る事が出来ません。
山科博士: …続けてください。
道川氏: そして捌縁町の禁忌は、背中が多く関わります。背中というのは把握不可能で隙の多い場所であり、転じて何かが取り憑きやすい場所となるのです。
山科博士: 何が取り憑くのですか?
道川氏: 死んだ者たちですよ。…ちなみに、『捌縁によってもたらされる死』について言及する事は禁忌ですが、さっきのマジナイを唱える事で安全になります。
山科博士: そんなところにも禁忌があるんですか?
道川氏: 別に破っても大した影響は無いですが、死について言及する事は、生と死の境目を曖昧にしてしまいますから。
山科博士: なるほど。
道川氏: …この町は大きな境目です。この町の外は生者の住む所であり、そしてこの町は生者と死者と妖怪と神と怪異が共存する、ちょうど境目なのです。
山科博士: …では、禁忌を破った捌縁者が引き摺り込まれる地面の中や、壁の中は…
道川氏: 『死』に繋がっています。先程、捌縁の事を『手によって"縁"を絶つ』と言いましたが、それはあの手が、『生きる』という縁を絶つという事なんですよ。貴方は、捌縁者を引き摺り込む怪異の共通点をご存じですか?
山科博士: いえ…
道川氏: 『手だけ』か、『頭部が無い』かのどちらかです。これは人間の認識が関わっていて、手だけの存在も、頭部を欠いた体も、それを人だと認識する事は難しいのです。言い換えれば、人でなし。ですから、彼らは自分が人になるために捌縁者の身体の一部を求めているんだそうです。
山科博士: うわ…なるほど。その、生活しにくくないですか?
道川氏: 禁忌には、触れないように工夫さえすれば安全に生活できます。むしろ、禁忌が中心となっているので、外の世界のようないざこざは意外と少ないんです。まぁ、ある程度機転が利くような人でないと生活が難しいのは事実ですが。
山科博士: やはり。…この辺にしときますか。
道川氏: あら。では手土産がわりに御守りを渡しておきましょう。この町の御守りは強力ですよ。
山科博士: ありがたく頂戴しておきます。
道川氏: …あっ、そうだ、このインタビューというか…この町について記録するんでしたよね?記録という事は、報告書とかにまとめたりしますよね?
山科博士: ええ、そうですが。
道川氏: あー、そこにも禁忌があるんですよ。でも、書く側じゃなくて見る側が気を付けなきゃいけない事です。
山科博士: どんな事に気を付ければいいですか?
道川氏: ごめんなさい、この内容は口伝じゃないと禁忌に触れてしまいます。ええと…カメラに記録されるのもまずいです、お耳を拝借して…
(道川氏は山科博士の耳元で、報告書を見る人物が禁忌に触れないために必要な配慮について話す。)
山科博士: …なるほどなるほど。書き留めるのは問題ないですか?
道川氏: いえ、覚えなければなりません。ですが、そう難しい事では無いはずです。
山科博士: ええ、じゃあ報告書を見る人物にはこの行動を義務付けましょう。私の口から直接伝えればいいんですよね?
道川氏: はい。直接じゃないとダメです。
山科博士: 分かりました。もしこの禁忌に触れたら…捌縁者になったらどうなるんですか?
道川氏: そうですね…少し前に『境目』の話をしましたが、日常の中にある境目とは何だと思いますか?
(沈黙。)
道川氏: 『枠』です。境目は中と外を隔てるもの、性質が違うものを隔てるものです。例えば冷蔵庫の扉、鏡のフチ、バッグのファスナー…あるいは、パソコンの枠とか。その枠の中を見たり、覗いた時、何かがおかしい事に気付くと思います。
山科博士: 具体的には?
道川氏: 枠の中に手が見え始めます。死者の手が。そしてその枠から手がはみ出て、知らぬ間に貴方に取り憑き、背中へと回り込むのです。その後は…
山科博士: その後は?
道川氏: 引き摺り込まれるんですよ。いつなのかは分かりません、数秒後、数日後、数か月後、もしかしたら数年後かもしれません。ですが生きている間に必ずその日は訪れます。
(沈黙。)
道川氏: 背中には何かが取り憑きやすい場所だと先程申し上げましたが、それは言い換えると、目に見える範囲には何かが取り憑きにくいという事です。『見る』というのは他の行動より遥かに安易で、そこに何かを感じ取る事は難しい。つまりそこに何かしらの怪異を明確に認識出来る、感じ取れるのであれば、既に手遅れである可能性が高いのです。そして、くれぐれも気を付けてください。
道川氏: 『見る』というのは、最も無責任な行為なんですよ。
今さっきTwitterで流れてきたので拝読しました。思ったことをそのままに書くので、単純に私が読み取れてないかもしれません。
内容に相当するホラーを演出していて良いとは思ったのですが、「ブラウザバックしてください」とか「受講すれば~」みたいな文言のせいで、セキュリティが強固なものなのか、単純なものかよく分からなかったです。誰でも閲覧できるのに「絶対にボタン押すな」みたいな警告があるのは、ある意味で安直すぎるというか、脆弱性の面で問題じゃないかなと思いました。あと、ブラウザバックというのは一般的なWebブラウザの機能ですが、これはメタ的な意味合いを持つのでしょうかね?
全体を通して思ったのですが、『禁忌』といい装飾的な言葉遣いといい、SCP-4000を意識しているのかな、と思いました。雰囲気が出て良いとは思うのですが、オブジェクトの危険性と”SCP-XXXX-JP”ナンバーに登録されている事実などを考慮すると、報告書でも無いのにスロットに登録されている事実や、装飾的な言葉遣いがかえって目立ちました。「諦めてください」なんかも、財団職員が記述したとは思えない雰囲気でした。私が単純に理解できてない感じがしますが。
「道川 のぞみ」という人物がやけに財団のインタビューに好意的ですが、これが最も違和感を感じる点でした。そもそも財団は機密組織なので、「インタビュー」となるとそれ相応のカバーストーリーが記述されるべきではないかな、と。現状のリビジョンを見る限り、まるで道川 のぞみ氏が積極的に捌縁町をアピールしているかのような感じで奇妙でした。
それと、インタビュー形式でよくあるとは思うのですが、雰囲気を演出するあまり…何というか、インタビューが淡々と進みすぎてる気がします。何も知らない一般人が如何にも怪しい団体のインタビューに連れられて、流暢に街の禁忌を説明できるものなのでしょうか?これが訓練された財団職員とかだったら納得なのですが、「200°より外側」とか、分析的に表現しすぎてリアリティに欠ける気がします。他のSCPWikiにおけるホラー系の記事は、こういう点を上手くぼかすとか、巧妙に表現していると思っています。
色々悩む点が多く - いや、オチが意外性に富んでおり良いとは思うのですが、点々とした違和感に気を取られて、最後まで没入感を得ることが出来ませんでした。特に最初の警告文がいきなりアクセル全開で吹っ飛ばしに来ているので、中盤の意外性のなさというか安直さが退屈でした。2520-JPのような薄気味悪さや、どことなく不穏な感じがより財団的に、分析的に表現できていると良いかなと思います。思ったことを書き殴ったような感じなので見当違いな点が多いかもしれませんが、ご参考までに。
こちらに関しては,修正致しました.ですがお恥ずかしながら正直に申し上げると,少々改稿が難しく,上手く表現しきれていないかもしれません.申し訳ございません.
一応「地元の指導書を編集したものを抜粋」と書かれてはいたのですが,読み返して不自然さが多かったため,修正させていただきました.
この表現は意図的なものですが,私が少々説明を欠いていたと反省しています.より分かり易くなるような表現を差し込みました.
もっと正確に述べると,ムラに伝わる伝統や怪異,後ろめたい事象が関わることは,それを伝達する行為の大抵が曖昧な表現であったり,全体が漠然としています.それに対してこのインタビューでは非常に正確に分析されているのですが,これは文化の一面として受け入れられている事を示唆し,町民がこれらを必要以上に恐れていない事を示します.
明確な理論に基づくものではありませんが,例えば地域施策の観点から都市部・中山間部を分析すると,都市部の施策が機能・性能への価値(実利的機能)を高めるようにしているのに対し,中山間部は比較的サービスへの価値(情緒的機能)を高めるようにしています.これは経営学などの分野において,前者の価値を『機能価値』,後者の価値を『情緒価値』と呼ぶのですが,情緒価値は端的に言えば『好き』の価値であり,抽象的です.(他にも『自己表現価値』などがありますが,ここでは省略します)
そういう訳で,別に何か正しい根拠がある訳ではありませんが,田舎の町はその大部分において抽象的,言い換えると漠然・曖昧になっています。話を戻しますが,田舎町に蔓延る怪異を語るなら通例抽象的になりますが,こと捌縁町では具体的になっている≒例外的で通常の怪異らしくない=受け入れられた異常,というのが,このインタビューで表現したい事の真意となります.
ですので,通常のホラーとはこの記事は目指すベクトルが違うと思われます.ご意見は本当にありがたいですし,理に適っているとは思うのですが,この部分を修正する事は少し控えさせていただきます.
改めて,ご批評ありがとうございました! あと,批評への返答なのに凄い長文になってしまい,申し訳ありません!
拝読しました。
オチの流れは良いと思います。最初の忠告はオチの伏線になっていますし、画像のインパクトも強いです。ですが、エンダーマンさんが仰られているように道川氏が財団からのインタビューに協力的な事に強い違和感があり、素直に面白い記事とは思えませんでした。
町民が禁忌を受け入れている、という要素自体は別に良いと思います。ですが、外部の人間である山科博士に禁忌をアピールするかのように詳細に説明している事は問題があると思います。説明ではみだりに禁忌を伝えてはいけないと明記されていますし、特プではその異常性から外部に禁忌が漏れることは無いと書かれています。にも関わらずここまで協力的だと「外部に禁忌は伝わらないし伝わっていない」という前提が揺らぎ、強い違和感を生み出す要因になってしまっています。インタビュー前に「それも異常性の1つだよ〜」みたいな説明がありますが、納得できる理由は挙げられていませんし、この要素はノイズのように思えます。また、外部に禁忌が伝わっていない明確な理由が分かっていないにも関わらず、実験もせずに特プで「収容は不必要」とするのは危機感が無さすぎなように思います。
道川氏が禁忌を詳しく話している不自然な点については,補遺3のインタビューにおける最初の会話にその説明をする事で改善させました.上手く改善出来ていなかったら申し訳ございません.
「外部に禁忌が伝わらない」という事に関する矛盾については,ひとまず「伝わらない」と断定するのではなく,「伝達される可能性が有意に低い」「外部へと伝達されにくい環境が形成されている」といった表現に改編する事で補いました.
重箱隅つつき部分も全面的に改稿致しました.
改稿した部分は以上となります.改めて,ご批評頂き誠にありがとうございました!