稀望

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは未収容であり、収容のための試みも成功していません。

SCP-XXXX-JPは世界中で確認されているものの、一般社会に著しい攪乱を起こすほどの影響を有していないか、もしくは被害者が全員生存していません。そのため現時点においては、直接的な収容を試みるよりも発見の抑制が重点的に行われます。一般社会でSCP-XXXX-JPの存在が示唆された場合、それらは標準隠蔽手順に則って対処してください。

説明: SCP-XXXX-JPは概ねヒト型とみられる実体です。

SCP-XXXX-JPの四肢はヒト型と見做すには小さく、それでいて両手は成人男性の4倍ほどの大きさがあります。指は太くしわがれており、爪は全て抜け落ちています。特徴的な部分として、頭部には目・鼻・髪・耳が存在しておらず、唇の欠けた口、ヒト科のものと酷似した歯、そして額からは4~5mほどの不明な器官が突出しています。

この器官の先端には発光体が存在します。この特徴は"疑餌状体"という器官に酷似しており、例としてアンコウの頭部に見られます。SCP-XXXX-JPの有する発光体からは白い光が放出され、その光度・明度は自在に変化させる事が可能であると推測されています。

SCP-XXXX-JPは基本的に夜間でのみ出現します。SCP-XXXX-JPは暗い道を通行している歩行者を見つけると、その首の上に乗り、両手で歩行者の視界を塞ぎます。この時歩行者はSCP-XXXX-JPの存在を如何なる方法でも感知する事が出来ず、唯一"首や肩が重い"という違和感のみを覚えます。

ほどなくして歩行者は自身の視界が異様なほど暗いという事実に気付き、懐中電灯などを持っている場合はそれを起動させるなどして視界の確保を試みます。しかしながらSCP-XXXX-JPによって視界が塞がれているためにこれを達成させる事が出来ず、「自身の目が見えなくなっている」もしくは「懐中電灯が機能しない」と錯覚し、多くの場合混乱します。

ほとんどの歩行者は、視界が確保できない事への不安からその場に留まります。しかしながらこの状態になってから数十分後、SCP-XXXX-JPの有する発光体は淡く光り始め、それと共に視界を覆う手の指と指の間を少しだけ開けます。これにより、歩行者はSCP-XXXX-JPの発光体だけが見える程度に視界が開け、また歩行者が多くの場合極度の緊張状態にある事から、その光を頼りに進み始めます。

歩行者が進むと首に乗っているSCP-XXXX-JPもまた進む事から、歩行者は絶対に光に辿り着く事が出来ません。また歩行者をより効率的に誘導するためか、時折左右に揺れる、明滅する、光の強さを変えるなどの行動をします。歩行を開始してから数十分後、SCP-XXXX-JPと歩行者は突如消失します。再出現は確認されておらず、また歩行者が向かっていた方向の調査では、特筆すべき事物が無い事が確認されています。

SCP-XXXX-JPの存在は、サーモグラフィカメラを通してのみ視認する事が出来ます。これ以外の方法では視認できず、また直接触れようとした場合は透過する事から、物理的な肉体を有していない可能性があります。SCP-XXXX-JPを具現化・固定化させる試みは全て失敗しており、現在まで一切の干渉が出来ていません。

上記に示すもの以外にも、追加の異常性がある可能性があります。それらは未だに実在が確認されていないか、もしくは研究が不足しています。不明確な異常性についての詳細は補遺1と補遺2を参照してください。

補遺1: SCP-XXXX-JPの調査を担当していた職員の一部は、ある時期に異常な行動を取るようになりました。以下はSCP-XXXX-JP担当職員の1人であるエージェント・セシリアの、配属後の異常な行動についてのタイムラインです。

<2020/11/13> セシリアがSCP-XXXX-JP担当チームに配属される。

<2020/11/25> セシリアが暗闇に対して神経質になりつつあることを報告する。また、出来る限り明るい場所に留まる事を好むようになり、夜遅くに帰路につく事を無意識に避けるようになった。

<2020/12/22> セシリアはサイトに留まりがちになり、家に帰る回数が少なくなっている。また、日常の中の暗い場所、例として路地裏が挙げられ、昼間でも研究室に引き籠るなどの行動が確認されるようになる。

<2020/01/08> 暗い場所へ行く事に対する、生活に支障をきたすほどの強い恐怖心が発露し始める。

<2020/01/28> 22:37、視界が3秒間だけ暗転した事を報告する。この時セシリアは同僚と共にサイトを歩いており、視界が暗くなるような外的要因は無かった。

<2020/02/16> 無意識に光源へと近付くようになる。注意力の散漫や危機感の欠落が確認されるようになり、より強い光源を見る回数が多くなっている事が確認されている。

<2020/02/22> 突如、セシリアは南南東の方面を37秒間見つめ、硬直する。その後、休憩時間であった事も相まって、その方向へと向かおうとする。異変に気付いた職員によって確保、医療部門へと移送された。


上記のタイムラインはセシリアだけが経験したものではなく、セシリアの配属と同時期に配属されたSCP-XXXX-JP担当職員も同じように経験していました。特に02/22について、セシリアは南南東の方面を見つめましたが、他の職員は同時に北東や西南の方面を見つめました。判明しているのは、職員がある一方向を見つめていた時の居場所と方向を見取り図に書きこんだ場合、それは正確にある一点を示していたという事です。後にその地点を調査したところ、サーモグラフィ越しに8体のSCP-XXXX-JPが、強い光を発しながら木の幹に座っていた事が判明しました。サーモグラフィカメラ越しにこれを視認した職員は、SCP-XXXX-JPを"誰かをおびき寄せようとしているように見える"と形容しました。なお、この"8体"という数は、上記の症状を経験した職員の数と全く同じです。

補遺2: SCP-XXXX-JPについて記載されたと思われる歴史的資料は、世界中の様々な地点で確認されています。以下は1900年代前半にスウェーデンで執筆・公布されたとみられる"怪物と歴史"という作品内における、SCP-XXXX-JPについての記録の抜粋です。ここではSCP-XXXX-JPは『エルピダ』と呼称されています。

…一般的にエルピダは夜間に現れる。しかし、昼間でも出現する事がある ― 視覚を持たない人物などがその例である。それらは視認できないが、例外的に、子供の中でも極一部の人間がこれを視認できる場合があるという。

例え話になるが、お腹を空かせた豚の背中に釣り竿を付け、先端に人参をつけて豚の目の前にぶら下げる ― そうすると豚はそれを追いかけるらしい。永遠に追いつけないのに、体力が無くなるまで、届かない人参を手に入れようと奔走する。

エルピダは、それと同じ事を人間に行う。人の視界を覆い、恐れを抱いた時に希望を見せる ― その希望が、白い光である。ともかく、光があると人というものは安心し、それに縋り付こうと、近付こうとする。そして暗闇の危険な道にまで不用意に踏み込ませ、闇の中へと溶け込ませる。

これに出会って、生きて帰った人物はいない。大抵は暗闇を恐れ、怪物が見せる蠱惑の光に惑わされ、そこへと踏み込んで闇へと消え失せる。その先に何があるのか、彼らがどうなったのか、怪物の目的は何なのか、怪物の起源は何なのか、それは分からない。


君も、夜道を1人で歩いたことがあるだろう。その夜道には、無視できない確率でエルピダが居ると言っていい。他の光に紛れ、当たり前のように、明るく君の視界に映る。つまり、エルピダが自発的に君の目を塞ぎに行かずとも、自分からエルピダの方向へと進んでしまう可能性がある、という事である。君は想像した事があるか、君がいつも歩いている夜道に見える光の1つが、エルピダが発しているものなのだ、と。想像も出来ないかもしれない。ただ確実に、そこにエルピダはいる。

ただ、少なくともあの光の先は希望ではない。君が暗闇を1人で歩く時、似たような状況になった時、光を必要としている時。ハエのたかる街灯よりも悪辣なその光を、どうか追いかけるな。



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