SCP 愛に絆されて

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3/2601-JP LEVEL 3/2601-JP
CLASSIFIED
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Item #: SCP-2601-JP
Keter

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SCP-2601-JPの手と、小指に巻き付いている赤い糸。


特別収容プロトコル: SCP-2601-JPはサイト-8190の高危険度人型実体収容チャンバーに収容されています。
後述のイベントが発生した場合、SCP-2601-JPを追跡し、イベントの一部始終を記録してください。この際、いかなる干渉も行ってはなりません。イベントの目撃者がいた場合、その全員に簡易的な記憶処理を施してください。
また、イベント発生時、一般市民が後述のSCP-2601-JP-Aになる事を防ぐため、20代男性のDクラス職員をサイト-8190に配置し、Dクラス職員がSCP-2601-JP-Aになる確率を上げるようにします。更に20代男性の職員を可能な限りサイト-8190から離れたサイトに配属し、財団職員がSCP-2601-JP-Aにならないようにしてください。

現在、SCP-2601-JPを出来るだけ一般社会から隔離するため、海上サイトに移送する事が予定されています。

説明: SCP-2601-JPは柊木 文香ひいらぎ ふみかと呼称される、現在18歳の女性です。SCP-2601-JPは毎日19:17に異常なイベントを発生させます。イベントは以下の通りです。

19:17、SCP-2601-JPの右手小指に赤い糸が巻き付いた状態で出現する。そのうち一方の端は不明な方法で伸び、自立性を持って移動する。しかしながら伸びる長さには限度があり、約2mの長さまで伸びるとSCP-2601-JPの体を半ば引っ張る形で無理矢理移動する。この間、SCP-2601-JPはいかなる生物も視認出来なくなる。

その後、赤い糸はランダムな20代男性(SCP-2601-JP-A)の左手小指に巻き付くまで自立移動を行う。 巻き付いたのち、SCP-2601-JPおよび-Aは視認する事で互いに強い情動作用が発生し、「相思相愛」に近い状態になる。この時点でSCP-2601-JPの視認能力は元に戻り、両者の脳はアドレナリンなどの脳内物質を異常生成し始める事によって高揚や興奮を感じる。この状態の両者は約1時間、行動を共にする。

約1時間が経過したのち、両者は興奮を理由として抱擁やキスなどの愛情表現を行う。

愛情表現の最中に、青く発光する物体がSCP-2601-JP-Aの真上に出現し、それが高速で落下してくることにより頭を貫通し、死亡する。


このイベントが発生している間、SCP-2601-JP、-Aには因果論的除外作用が働き、イベントの進行を妨げるような物品・事象・生物は干渉出来ないように改変されます。簡潔に述べれば、イベント実行中の両者に干渉しようとすると、過去・現在・未来からの、最悪の場合死に至るような攻撃的妨害を受けてそれに失敗します。

補遺1: SCP-2601-JPは初め、福岡県にあるデパート内で発生したイベントを財団に補足され、調査の対象になりました。イベントの目撃者には記憶処理が施され、関係者がサイト-8190に護送されたのちにインタビューが実施されました。以下はインタビュー記録の抜粋です。

インタビュー記録 - 坂下 雄大
付記: 坂下氏はイベントの目撃者です。


<抜粋開始>

大鹿研究員: 坂下さん。

坂下氏: な…なんでしょう?

大鹿研究員: 落ち着いて。ただの事情聴取ですからリラックスして、貴方が目撃した事全てをお話しください。

坂下氏: …分かりました。女の子と男の子がキスしてた、それを遠目で見てただけです。まぁ…人前でやるのもどうかと思ってたのですが、その最中、男の方の真上に、青く光る小さな物が…本当に突然現れて、それが男の頭を貫いていきました。…それだけです。女の子はびっくりしてましたよ。

大鹿研究員: なるほど。他に何か特別な事はありませんでしたか?

坂下氏: ええと…ああ、あの女の子と、男の指は赤い糸で繋がっていました。最初はそういう…運命の赤い糸みたいなシチュを楽しんでるのかなと思いましたが、どうもあれは生き物のようにウネウネ動いていました。まるで女の子に絡み付いているような、そんな感じで。本当にそれだけです。

大鹿研究員: 分かりました。それ以外は何か?

坂下氏: あの、女の子はどうしてます?俺それが凄い気がかりで…

大鹿研究員: 気にしなくていいですよ、こちらが今ここで休ませてますから。それでは。

(インタビューが終了され、坂下氏は別室に誘導される。)


<抜粋終了>


その後、SCP-2601-JP-Aの死体は非異常が確認されたのちに処分され、SCP-2601-JPは異常性の嫌疑のために収容されました。財団は当初Euclid指定していましたが、SCP-2601-JPが毎日同じ時間にイベントを発生させ、またそれを容易に封じ込め出来ない事が確認されたためにKeterに格上げされました。
また、SCP-2601-JPの収容担当者について議論がなされましたが、サイト-8190の管理官である如月氏の推薦により、大鹿研究員に委任する事が決定されました。以下は関連するメールファイルです。

補遺2: SCP-2601-JPのイベントを阻止するために幾つかの実験が行われました。以下は実験記録の抜粋です。

実験1


実験内容: SCP-2601-JPをサイト-8190にある高危険度人型実体収容室に封じ込め、イベント発生時に身動きを取れなくする。

結果: 19:17、赤い糸が出現し、糸は収容室のドアの隙間をすり抜けた。ドアには鍵が掛かっていたにもかかわらず、SCP-2601-JPは難なく扉を開いた。そのままSCP-2601-JPは糸に従って移動し、糸はサイト外にある公園のベンチに座っていた片桐 壮馬氏(SCP-2601-JP-A)の指に巻き付いた。

その後両者は1時間ベンチに座って談笑を続け、20:20にキスを行った。その最中、SCP-2601-JP-Aの頭上に青く光る物体が出現し、頭を貫通して死亡する。

メモ: 扉を開ける瞬間、強い時間流の乱れが発生していた事が確認されている。恐らく、過去改変か現実改変の発生によって、鍵はかかっていたにもかかわらず、無理矢理それが解除されたものと考えられる。

実験2


実験内容: SCP-2601-JPの移動を機械や人員によって妨害する。

結果: SCP-2601-JPが収容室の扉から出て即座に、事前配置していたDクラス職員がSCP-2601-JPを取り押さえようと試みた。しかしながらSCP-2601-JPに触れようとした瞬間に転倒し、床に置いてあった突起物に頭をぶつけて死亡した。その後も幾つかのDクラス職員が妨害を試みたものの、SCP-2601-JPに危害を与えようとすればするほど、それに応じた負傷を負い、いずれも失敗した。また、電子錠やスタンガンなどの機械も同様に、事前メンテナンスを充実させていたにもかかわらず、不明な要因によって故障していた事により失敗した。

糸はサイト-8190から500m離れた地点にある商店街を歩いていた木崎 信氏(SCP-2601-JP-A)の指に巻き付いた。その後両者は50分間行動を共にしたのち、21:10に抱擁を行った。その最中、SCP-2601-JP-Aの頭上に青く光る物体が出現して頭を貫通し、死亡する。

メモ: 糸がSCP-2601-JP-Aに結び付くまではSCP-2601-JPはいかなる生物も見えない。このため、Dクラスが懸命にSCP-2601-JPを止めようとしている行動すら見る事が出来ないのだろう。
更に、食い止めようと躍起になればなるほど、更に強い力でそれを阻止される。よって、これは阻止しようとしない方が賢明であると思われる。

実験3


実験内容: SCP-2601-JPを食い止めるため、収容室周辺にSRA1、恒常時間溝2を配置する。

結果: 強い時間流の乱れが発生し、SRA・時間溝のいずれも機能していたにもかかわらずSCP-2601-JPが収容違反を起こす事を阻止できなかった。

糸はサイト-8190のカフェテリアにて休憩していた山田 健太郎氏(SCP-2601-JP-A)の指に巻き付いた。SCP-2601-JP-Aはオブジェクトの影響を受け、1時間半カフェテリアで談笑した。その後、抱擁の最中に頭上に青く光る物体が出現し、頭を貫通して死亡する。

メモ: 強い時間流の乱れは、つまり、逆因果的な改変が発生したと推測される。過去→現在に向かっての改変、現在→現在に向かっての改変はSRAや時間溝で阻止出来るが、未来から現在に向かっての改変を食い止める術は現時点で存在しない。

お手上げである。現時点で、我々はこれを収容できない。

補遺3: 大鹿研究員は異常性の理解のためにSCP-2601-JPとのインタビューを行いました。以下はその抜粋です。

インタビュー記録2601-JP.1


<抜粋開始>

大鹿研究員: どうも、SCP-2601-JP。

SCP-2601-JP: その番号で呼ばないで。私には柊木 文香って名前がちゃんとあるのに。

大鹿研究員: 規則です。それで、貴方には捜査のためにここに滞在してもらっています3が、何かご不満な点がありますか。

SCP-2601-JP: こんな狭い場所に閉じ込められて不満が無いとでも?

大鹿研究員: そうですか。では次に、貴方はなぜ毎日あのような…ハグやキスをしたり…どうせ死んでしまうのになぜそんなことを?

SCP-2601-JP: あ……貴方って随分デリカシーの無い人なのね。言う訳ないでしょう。

大鹿研究員: 言わないのならそれはそれで構いませんが。

SCP-2601-JP: 冷たい人。正直、貴方には寸分ほどの好意も向ける気が起きないわ…他の人はいないの?

大鹿研究員: 残念ながら。では次の質問ですが、貴方は愛情表現をした後、その相手が死ぬことに、何かしらの感情を抱いていますか?

SCP-2601-JP: …辛い、のだけれど…もちろん貴方のような愛の無い人には分からないのでしょうね。

大鹿研究員: はい。では今日のところはこれで。


<抜粋終了>


インタビュー終了後、SCP-2601-JPの異常性と関連する情報が発見されたとして如月管理官から大鹿研究員に情報が送付されました。以下はメールファイルの抜粋です。

添付ファイル
SCP-2601-JPの過去


SCP-2601-JPは異常性が発現する1週間前まで、20歳男性の桐谷 司きりがや つかさ氏と交際関係にあった事が判明しました。しかしながらイルミネーション施設を訪れ、約1時間半の談笑を行った後に、接吻を行った際、イルミネーションの飾りつけの一部が桐谷氏の頭に向けて落下し、それによって死亡しました。

SCP-2601-JPの異常性はこれに起因するものと思われ、ショックによる心的外傷から、この出来事を繰り返すような再現ループが発生しているものと推測されます。

補遺4: その後、SCP-2601-JPの収容試行が計7回行われましたが、いずれも失敗に終わりました。
財団の介入から1週間後、異常性の理解のためにSCP-2601-JPにインタビューを再度実施しました。以下はインタビュー記録の抜粋です。

インタビュー記録2601-JP.2


<抜粋開始>

大鹿研究員: こんにちは。

(SCP-2601-JPは啜り泣いている。)

SCP-2601-JP: …何しに来たの?

大鹿研究員: 貴方にインタビューを行おうと。

SCP-2601-JP: 何のためのインタビュー?帰ってよ。私から得られる情報なんて無いわ。

大鹿研究員: 貴方が事件に巻き込まれる件5について、何か知っている事は無いかと思いまして。

SCP-2601-JP: 知っている事は無いか、ですって?あのですね、私がこの事件の中心なんですよ。私がこれを望んで続けています。赤い糸を見たでしょう?

大鹿研究員: 糸?それは私も見ていますが。

SCP-2601-JP: あれは…私に寄生している虫のようです。あの糸は私と、死んだはずの司くんを無理矢理結び付けて、まるで運命で繋がっているように錯覚させる。何より司くんが死んだことを受け入れて前に進まなきゃいけないのに、私は…あの糸を…

(沈黙。)

SCP-2601-JP: 私は……赤い糸の先に居る司くんが本物じゃないって分かってるのに、自分で赤い糸を断ち切ればどうにか出来るはずなのに、私は私自身を変える事が出来ないんです、どうすれば……

(SCP-2601-JPは大鹿研究員の方を向き、その後目を逸らす。)

SCP-2601-JP: …いえ、貴方なんかに言ってもしょうがない事ですね。すみません、少し錯乱してしまいました。……今言った事を忘れて、そして帰ってください。

(長い沈黙。)

大鹿研究員: いえ…ううむ、分かりました。それでは。


<抜粋終了>


インタビュー終了後、大鹿研究員は以下のようなメールを如月管理官に送付しました。

補遺5: 大鹿研究員はSCP-2601-JPに更なるインタビューを実施しました。以下はインタビュー記録の抜粋です。

インタビュー記録2601-JP.3


<抜粋開始>

大鹿研究員: こんにちは、SCP-2601-JP。

SCP-2601-JP: …どうも。

大鹿研究員: 先日お伺いした時、貴方は錯乱気味でした。ですがその際に仰った事に興味がありまして、それを再度お話して頂きたいと思い、ここにお伺いしました。構いませんか?

SCP-2601-JP: 構いませんが…急にどうしたのです?何か心情の変化でもありましたか?

大鹿研究員: …確かに私は少しばかり変化しているかもしれません。

SCP-2601-JP: そうでしたか。…ええと、どこから話せばいいですか?

大鹿研究員: 司さんが亡くなったところからお願いします。

SCP-2601-JP: はい。私と司くんは交際して1か月程度で、その日は2人でイルミネーションを見に行っていました。そこで、初めて司くんとキスしたんですね。甘く、長く…私はすごく幸せだったのです。しかし、その最中、青色の飾りつけが倒れてきて、それに押し潰された?形で死んじゃったんです。それが、あまりにもショックで。

SCP-2601-JP: 茫然自失としていた私のところに現れたのが、あの赤い糸です。あの糸は私の小指に巻き付いて、無理矢理引っ張っていきました。そして最終的にある男の人の指に結び付きました。…その顔、司くんと同じだったんです。有り得ない事だと思ったんですが、赤い糸が死んだ彼に合わせてくれたのかな、って。

大鹿研究員: 待ってください、という事は、貴方には、糸が結ばれた相手が司さんに見えていたんですか?

SCP-2601-JP: え、違うんですか?

大鹿研究員: 糸は…ランダムな20代男性の指に結び付いてます。

SCP-2601-JP: そうだったんですか!?そんな…

大鹿研究員: その、残酷な事ですが。

SCP-2601-JP: …という事は、私は、こう、実質的に人を殺めてる、ってことですか……?

大鹿研究員: 残念ながら。

(SCP-2601-JPは数秒間考える素振りをする。)

SCP-2601-JP: …でも、それでも、私には、相手が司くんにしか見えないんです。どこから見ても司くんの姿形なんです…だから、その、最低ですが、人を殺めてでも…この糸に依存していたいです。

大鹿研究員: いいですか、貴方は、そうですね…一般人にキスしてるんですよ?

SCP-2601-JP: 分かってます、分かってるんですが…でも、会ったら、興奮してしまいます。こんなのおかしいですよね?変わんなきゃいけないんですよね?

(大鹿研究員は沈黙する。)

大鹿研究員: ……すいません、今日の私は少し、どうかしているようです。こんな事を知っても、どうしようもないのに…今日のところはこれで失礼します。


<抜粋終了>

補遺6: 大鹿研究員はその後も様々な収容試行を行いましたが、その内容やSCP-2601-JPへの対応に関して如月管理官から叱責を受けました。以下はメールファイルの抜粋と、その返答(未送信)の抜粋です。

補遺7: 大鹿研究員は上記のメールファイルを受け取った後、返答を途中まで書いた後にSCP-2601-JPの収容室に無断で侵入し、会話を行いました。以下は会話記録の抜粋です。

会話記録2601-JP


<抜粋開始>

大鹿研究員: 柊木さん。

SCP-2601-JP: どうしましたか?

大鹿研究員: いえ…その、貴方がここに来て、糸に連れ去られている時、私達が一生懸命貴方を止めようとしていたの、貴方は気付いてましたか?

SCP-2601-JP: いいえ、赤い糸についていっている時は、糸が誰かに巻き付くまで私は他の人が見えなくなるんです。

大鹿研究員: そうでしたか。実は今まで、貴方を止めるために私達は機械や人を使って干渉しようとしていたのですが、いずれも失敗していたのです。貴方にも、赤い糸にも、触れる事さえできませんでした。

SCP-2601-JP: ……そうだったのですか。

大鹿研究員: もうお手上げです。でも、貴方はこの状況を変えたい、ですよね?

(SCP-2601-JPは沈黙する。)

SCP-2601-JP: …はい。先日貴方と話して、やっぱり、糸を断ち切りたい、って思いました。

(大鹿研究員はSCP-2601-JPにハサミを差し出す。)

大鹿研究員: ならば。私達は干渉できませんが、貴方なら切れるかも。規則違反ですが…

SCP-2601-JP: ええと……規則違反という事は、私が糸を切ったら貴方は罰則を受けたりするのですか?

大鹿研究員: ああいえ、気にしないでください。大した罰ではありません。それよりも、貴方は…この絡み付く糸から解放されたいんですよね?

SCP-2601-JP: はい。それはそうですが、貴方は ―

大鹿研究員: お願いします。貴方は今、不自由です。貴方は今、自分でもそう思っているでしょうが、中身のない愛に依存しています。

大鹿研究員: ですが貴方はこれを乗り越えて、本物の、心からの愛を育む必要があると思います。赤い糸は、決して運命を繋ぐような糸では無く、貴方に絡み付く寄生虫です。どうか、決別してください。

(SCP-2601-JPの収容室を監視カメラ越しに監視していた如月管理官が異常事態に気付き、インタビュー室をロックする。警告のアラームが鳴る。)

大鹿研究員: もうバレましたか。ですが今は…19:15。間に合いました ― もうすぐイベントが始まります。私の事は気にしないでください。

SCP-2601-JP: ……私に、出来るでしょうか?

大鹿研究員: 貴方なら出来ます。

(SCP-2601-JPは微笑む。)

SCP-2601-JP: …分かりました。やってみます、私。

(しばらくして警備員が収容室に侵入し、大鹿研究員を捕縛する。それと同時にSCP-2601-JPの小指に糸が出現する。)


<抜粋終了>


その後、イベント発生時刻に、SCP-2601-JPは大鹿研究員の指示通り、ハサミによる糸の切断を試みました。以下はインシデントログの抜粋です。

インシデントログ


<抜粋開始>

[19:17] SCP-2601-JPの小指に、巻き付いた状態の糸が出現する。SCP-2601-JPはそれについていく。収容違反発生。管理官の指示により、多数の職員がこれを阻止しようとするが、全て失敗する。

[19:20] SCP-2601-JPがサイト外に出る。SCP-2601-JPはハサミを懐に隠している。一般人に扮装した職員が確保のために尾行する。

[19:24] SCP-2601-JPは赤い糸によって500m先の商店街にまで連れられる。SCP-2601-JPはハサミを取り出す。

[19:25] SCP-2601-JPが数十秒ほど躊躇った後、小指に巻き付いている糸を引っ張って少し緩ませ、ハサミを使用して糸を切断する。

糸が消失する。SCP-2601-JPは周りを見回し、恐らくこの時点で視認能力が回復する。SCP-2601-JPは空を見上げ、数十秒ほど経って涙を流し始める。

[19:26] SCP-2601-JPが確保される。


<抜粋終了>

大鹿研究員およびSCP-2601-JPは収容室に収容されました。しかしながらSCP-2601-JPは調査ののちに、一切の異常性が消失している事が確認されたため、後日Neutralizedに再分類され、一般社会に解放される予定です。

以下は大鹿研究員に対する対話記録の抜粋です。

対話記録 - 大鹿研究員


<抜粋開始>

如月管理官: やってくれましたね、大鹿研究員。

大鹿研究員: はい、管理官。申し訳ございません。

如月管理官: いいですか、貴方の行いはいくら謝罪したとて許されないものです。財団の理念を忘れましたか?

大鹿研究員: 確保、収容、保護 ― それはもちろん覚えております。

如月管理官: その中に破壊Decommissionは含まれていますか?

大鹿研究員: …いいえ、管理官。

如月管理官: 私は…どうやら貴方を買い被っていたようです。さて、貴方は故意にオブジェクトの異常性を無力化しました、それについて何か弁明はありますか?

大鹿研究員: いいえ。

如月管理官: よろしい。貴方はこの後審議にかけられ、財団憲章に則って処罰されます。貴方は最悪の場合、Dクラス職員に降格されるでしょう。

大鹿研究員: 了解しました。

(如月管理官はため息をつく。)

如月管理官: 貴方はこう、オブジェクトに対して情を抱く人間ではなかったはずです。私もそれを見込んで任せていたというのに、随分失望させてくれましたね。

大鹿研究員: はい、残念ながら。

如月管理官: 取り返しのつかない事をしてまで、彼女を救う価値があったとでも言うのですか?

大鹿研究員: ええ。私は、初めは彼女を理解する事が出来ませんでした。しかしながら、彼女が彼女なりに自分の置かれている状況を理解しようとし、感情の矛盾に苛まれながら変わろうとする姿を見て、彼女を救おうと思いました。

如月管理官: …分かりませんね。誰が貴方をこんな風にしてしまったのですか?

大鹿研究員: ……彼女は、変わろうと思っていながらも、停滞していました。つまり、手を差し伸べてくれる誰かが必要だったのです。そして私は彼女に手を差し伸べられる立場に居て、何もしないわけにはいきませんでした。

(沈黙。)

大鹿研究員: …あの糸は、彼女を縛り付けるだけの、有害な存在でした。更にそれのせいで何人もの市民が死亡し、更に彼女は夜の時間を、糸と愛に左右されて不自由に過ごさざるを得ない事、それが許せませんでした。……結果的にこれはハッピーエンドだったと、そう思いませんか?もう誰も死ぬことはありません。

如月管理官: それは結果論にすぎません。貴方がやった事の罪が軽くなるわけじゃありません。

大鹿研究員: 管理官、罪を軽くする必要などありません。私は刑罰を受ける覚悟の上で彼女を助けたのですから。

如月管理官: ……そうですか。

大鹿研究員: それに、管理官、貴方は正しくありません。確かに、貴方がまだ研究員であった頃の財団は、オブジェクトに対して優しく接さない事が当たり前でした。オブジェクトは危険で、感情移入しないように…オブジェクトを長いアイテム番号で呼ぶのもその名残でしょう。

(大鹿研究員はため息をつく。)

大鹿研究員: ですが、今は違います。オブジェクトの中には、後天的に異常に巻き込まれた、いわば病気として異常特性を獲得したものも多い。今の時代に、貴方のように過剰なくらい冷徹で敵対的な考えは通用しないのだと思います。

如月管理官: なんとでも言ってください。前時代的と言われようと、私はこの考えを信じています。……まぁいいでしょう、最後に1つ教えてくれませんか。貴方が彼女を助けようと思った直接的な理由はなんですか?

大鹿研究員: 私はただ、異常性によって不自由になった彼女を解放させたかった、ただそれだけです。それに私は彼女の背中を押しただけ、糸を切ったのは彼女の意志によるものです。

(沈黙。)

大鹿研究員: それでは。

(大鹿研究員は警備員に連れられ、出口へと向かう。)

如月管理官: …私はこれがハッピーエンドだとは思えません。ねぇ、大鹿さん。貴方は本当に……この結末に満足しているのですか?

(沈黙。)

大鹿研究員: …管理官、さようなら。もう2度と、会う事は無いでしょう。


<抜粋終了>


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執筆者: ponhiro
文字数: 16760
リビジョン数: 17
批評コメント: 4

最終更新: 16 Aug 2021 09:30
最終コメント: 15 Aug 2021 11:58 by ponhiro

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