いつか人事が生やしたくなった時用の

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 それはいつもと何も変わらない、ただの夕食のはずだった
その日のメニューは唐揚げで、目の前に積まれた大きな唐揚げの山によだれを堪えていた
「お父さん、まだいただきますしちゃ駄目?」
「お母さんが来てからな。いただきますは家族みんなが揃ってからやるものなんだぞ」
つまみ食いをしようとする私をたしなめ、頭を撫でながら父が言った
母がテーブルに着くのを待ち、それからいただきますをして、各々好きなものから手を付ける
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、私の家族四人の大切な日常の一コマ
大好きな唐揚げをお皿に取り分けてもらい、真っ白なご飯と一緒に口の中に放り込む、幸せな時間
幼稚園の友達のこと、先生の指にはまった指輪、お昼寝の時間に見た夢のこと、そんな話をしながら
小学校に通い始めた年の近い兄に唐揚げをとられ、喧嘩になり、父が宥め、自分の分の唐揚げを私のお皿に置く
そんな他愛のない、ささやかな幸せ
壊れるのに前触れなんてなかった

荒い息遣いが聞こえる
背中に感じるのは…母の腕だろうか。
さっきまで私達は何をしていたのか、記憶にかかる深く濃い靄を払おうとするたび酷く痛む頭に顔をしかめる。
気が付いたら私達兄妹は酷い怪我を負った母にかばわれ、母を傷つけた”何か”から必死に逃げていた。
それまでの記憶が断片的なものしか残っていないのは後に行われた軽い記憶処理のせいだけではないだろう
鉄の匂いに混じって鼻腔を突くのは何の匂いだったのか
私を抱え、兄の手を引き、血まみれの足で必死に走る母はなんと言っていただろうか
廊下を曲がる寸前、一瞬だけ見えた”あれ”は一体何だったのだろうか
遠くから私達を呼んでいた父の声は、本当に父のものだったのだろうか

 私達を仏間の押し入れに隠しながら、涙と血でくしゃくしゃになった顔で母は言った
「何があっても、決してこの戸は開かないこと。音もたてないこと。きっと誰かが、きっと助けに来てくれるから。少しの辛抱よ。いい子でいてね。愛してるわ」
震えた声で、両手で、別れを惜しむかのように私達を撫でると、ズズ…という物音に我に返ったかのように振り返り、後ろ手に静かに押し入れの戸を閉めた。

 覚えているのはむせ返るような線香の匂いを塗り替える、重苦しい鉄の匂いと、母の断末魔、泥団子を握りつぶしたような気味の悪い音、微かに混じる覚えのない臭気と知らない人達の声、銃声。再びかすかに聞こえた、父と母の声
真っ暗な中に押し込められ、わけもわからないまま息を殺していた私達は、震える幼い体を寄せ合い、とめどなく溢れる涙をそのままにただ口元を抑えているしかなかった。


事件の後、そのまま財団に保護された私達は、カウンセリングとメンタルケア、インタビューを受け、軽めの記憶処理を施された。
後で聞いた話だが、この事件の全てを消すほどの記憶処理剤となると片手で数えられるほどしか生きていない子供には副作用の方が大きく出てしまうらしい。

預かってくれる親戚もおらず、祖父母も私が生まれてすぐに他界していたため、一通りの事後処理を済まされた私達は財団で働くおばあさんの所に引き取られた
兄と私は彼女のことを「おばあちゃん」と呼び、本当の祖母のように慕った
おばあちゃんも私達に目一杯の愛情を与えて育ててくれた
年に似合わずはつらつとした彼女は怒った時こそ怖かったが、いつもにこにことして温かく、名前を呼ぶときにはいつもしわくちゃの顔をもっとしわしわにして、これ以上幸せなことは無いかのようにふるまった

生活が落ち着いてからは財団が運営するフロントの学院に通わせて貰えた。同じような境遇の子が沢山おり、併設の寮で暮らしている子もいれば、私達のように職員の誰かに引き取られた子もいた

そしてエスカレーターでそのまま上がっていき、大学の心理学部を卒業した私は、一旦財団の保護下を離れて一般の病院で経験を積んだ。
今は財団で小児カウンセラーとして働いている。昔おばあちゃんが使っていた部屋を少し改造して貰い、子供たちが本能的に安心できる部屋で

兄は機動部隊に配属された

兄べつのtaleで殉職させたい

機動部隊にしたい…あ…でももう一人はカウンセラーとかいいなぁ~
子供にもきつくない、悲しい記憶との付き合い方を研究してください


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