SCP-XXX-JP - 冬は三本足の生き物

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SCP-XXX-JP-A-1

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは周辺にサイト-8165を建設し、一般人から隔離しています。またSCP-XXX-JPの異常性の喪失を懸念し、松原シズネ氏は常時監視されます。松原シズネ氏に異常が確認された際は、担当の狼谷博士まで即座に連絡されます。

説明: SCP-XXX-JPは秋田県██町にある、高さ80cmのドーム状に積もった小葉桜(Cerasus × parvifolia ‘Fuyu-zakura’)の花びらです。SCP-XXX-JPは一年中枯れない状態を保ったままであり、腐敗に対して異常な耐性を有します。しかし、SCP-XXX-JPを元あった場所から1m以上離すと即座に腐敗してしまうために移動が不可能です。SCP-XXX-JPの異常性は秋から冬までの間に活性化し、人間(以下対象)がSCP-XXX-JPから2m以内に入ることで発生します。またSCP-XXX-JPに侵入することが可能ですが、異常な空間などは発見されませんでした。

対象が近付くと、SCP-XXX-JPから白色のイエイヌ(Canis lupus familiaris)に似た実体(以下SCP-XXX-JP-A)が手編みの防寒具(以下SCP-XXX-JP-A-1)を咥えて出現します。またSCP-XXX-JP-Aの脚部に外傷は無いものの、歩く際は後肢を引き摺るような印象を受けます。SCP-XXX-JP-A-1は対象が特に欲しかったとされる物が選別されており、対象が着用している服を交換することで獲得出来ます。SCP-XXX-JP-A-1を渡したあとSCP-XXX-JPに戻って消失しますが、これはSCP-XXX-JP-A-1の獲得を拒否した際も同様の行動をします。SCP-XXX-JP-A-1を着用すると、対象にとって丁度良いと感じる温度を保ちますが、春が終わるとSCP-XXX-JP-A-1は切り裂かれたような状態になって異常性を喪失します。

SCP-XXX-JP周辺には3m離れた場所で1本の小葉桜(Cerasus × parvifolia ‘Fuyu-zakura’)の木(以下SCP-XXX-JP-B)が植えられています。SCP-XXX-JP-Bは、異常な腐敗耐性や一年中花が開花しないなどの異常性を有します。SCP-XXX-JP-Bは対象が交換した服などが枝に飾られており、それぞれ持ち出すことが可能です。SCP-XXX-JP-Bから服を持ち出した際、SCP-XXX-JP-Aが非活性化する季節であっても突如出現して怒ったような感情を示します。しかし現在までSCP-XXX-JP-Aが対象に怪我を負わせた事例はありません。またSCP-XXX-JP-BもSCP-XXX-JPと同様に元あった場所から2m以上離すと腐敗し、SCP-XXX-JP-A-1をSCP-XXX-JP-Bの枝に接触させると互いに腐敗します。

補遺1: SCP-XXX-JPは近隣住民の噂から財団の目を引き、異常性を確認したことで発見、収容されました。SCP-XXX-JP-Aに対しての情報を聴取したのち、記憶処理を施して適切なカバーストーリーを周辺に流布しました。事情聴取の結果、SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JPから1kmほど離れた家屋で飼われていたことが判明しました。飼い主とされる松原まつばら
シズネ氏に対して行われたインタビューの内容を以下に記します。

インタビュー記録-XXX

対象: 松原氏

質問者: 笠松研究員

<録音開始>

笠松研究員: 今日は話をさせていただきありがとうございます。私は笠松と申します。もう一度言いますがここでの話は念の為、録音させていただきますがよろしいでしょうか?

松原氏: シズネです。大丈夫ですよ。その前に本当にあの子が見つかったのでしょうか?沢山の人と一緒に探したのですが、それでも見つけられなくて。

笠松研究員: はい。ただ、まだ会えるような状態ではありませんので。あ、でも写真ならありますよ。(写真を見せる)

松原氏: (5秒の沈黙)本当に、本当に生きてたんですね。確かにこの子は、あのコフクです。3年も経って、探すことすらもう希望も持てなかったのに、本当に良かった。だけどあの日確かに死んだはず、もしかしてその事で話を?

笠松研究員: そうです。それと信じられないと思いますが、この犬が生きていた理由がありまして。

(笠松研究員が説明する)

松原氏: (沈黙)

笠松研究員: 疑うのも無理ありません。だけど、本当の話なんです。

松原氏: いえ、確かに信じられないような話でしたが、幾分心当たりが多い話だったので。それにも驚きました。

笠松研究員: 心当たりとは?

松原氏: その手編みの服のことです。あれは私が彼に作った物なんですよ。傷心してからは今も狂ったように作って、あんな山のように。だけどここ一年は無意識に捨てていたのか、前よりは少し減っていると思います。

笠松研究員: 彼とは?

松原氏: あぁ、私の主人です。名前はいさお。彼もコフクと共に行方不明だったんです。

笠松研究員: ではあの服はご主人が以前から使っていた服ということですか?

松原氏: そうなのですが、違います。

笠松研究員: どういうことですか?あの山積みになっている手編みの服とはまた別なのですか?

松原氏: と言うより、主人が使っていた手編みの服はもう存在しないんです。ある日自分の家が空き巣に入られまして、その時にボロボロに破られてしまったんです。しかもその空き巣とは鉢合わせで会ってしまって、刃物を持っていました。

笠松研究員: 大丈夫だったんですか?

松原氏: 最初は扉を開けた私が切られそうになったんですけど、転んだ拍子で切られずに済みました。でもそのせいで腰を痛めてしまって上手く逃げられなかったんです。それに、主人も若い人に勝てるような力はありませんでしたから、あの時は本当に死ぬかと思いました。でも、突然空き巣が苦しんだんです。良く見たらコフクが空き巣の足に噛み付いていて、空き巣はかなり抵抗していました。

笠松研究員: もしかしてその子が後ろ足を引きずっていたのはそのせいで?

松原氏: 多分そうです。何度刺されても全く離しませんでしたが、床に叩き付かれてコフクは空き巣を離しました。空き巣はそのまま逃げていきました。その後捕まったかは分かりませんが、私達はそんなことよりコフクを助けたい一心でした。脚を切断しなきゃいけないほどの大怪我で、立つことさえ出来なくなって。それでも何とか一命を取り留めましたが、仮に足を切断してももう長くないのだと私達は悟っていました。(すすり泣く声)今歩けているのが奇跡です。

笠松研究員: お辛いならまた今度でも。

松原氏: いえ、いえ。大丈夫です。ずっと心にあったので、むしろ聞いていただけるだけで嬉しいです。

笠松研究員: ありがとうございます。では、ご主人が行方不明になったのは、その後のことでしょうか?

松原氏: そうです。コフクが息を引き取ったのは、寒い冬の日でした。主人は「このまま腐らせては可哀想だ」と、雪が積もる前に埋葬しようと言ったのです。でもいつも着る手編みの服はまだ作ってる途中で、そんなに急がなくてもいいと止めたんです。だけど聞いてくれず、そのまま外に出てしまいました。追えたら良かったかも知れませんが、私も腰の怪我が治ってなかったので追えませんでした。しばらくして、気付いたら外は猛吹雪でした。心配しましたが、私は無事でいるように祈ることしか出来ませんでした。

笠松研究員: それで、未だに見つかってないのですね?

松原氏: 主人も、コフクの死体さえ見つかりませんでした。色んな人に助けてもらいましたが、それでも骨の一つも見つけられませんでした。私が知ってるのはここまでですかね。

笠松研究員: 教えていただきありがとうございました。貴重な時間も割いてもらって。

松原氏: お互い様ですよ。それと、主人の方は見つかっていますかね?

笠松研究員: 実はご主人も我々は見つけていなくてですね。頑張って捜索はしてみますが、希望があるかは自分ではどうにも。

松原氏: そうですか。分かりました。

笠松研究員: すいません。

松原氏: 謝らなくても、あっ。

笠松研究員: どうしました?

松原氏: そう言えば、何でコフクが桜から出てくるんだろうと思ってましたが、それで思い出したのがあります。参考になるかは分かりませんが。

笠松研究員: いえ!どんな情報でも教えて頂ければ嬉しいです!もしかしたらそれが手がかりになるかも知れませんし!

松原氏: 分かりました。実は主人は足が悪くて、手術後はリハビリがてらにコフクと良く散歩に出かけていました。特に桜の木の下を歩くのを好んでまして、主人は「寒くても咲いてくれて、色もコフクと同じ色だから」と。そして私やコフクに「最近の奴は桜の木の下に死体があるからって桜を怖がる。怖がる必要なんかない。その死体に桜が咲くほど、その人が大切にされてきた証拠だ。」と何度も言っていました。もしかしたらその言葉を、コフクは私と同じように覚えているかも知れません。

笠松研究員: なるほど。では、この証言を元に色々と調べてみますね!

松原氏: お願いします。私はもう後悔ばかりで疲れました。早く主人に会って、生きていなくても骨が残っているのならちゃんと弔いたいのです。

笠松研究員: 分かりました。今日はお話をしていただき、ありがとうございました。

<録音終了>

終了報告書: 松原シズネ氏へのインタビュー後、SCP-XXX-JP周辺の捜索を行いました。その結果、SCP-XXX-JP-Bの下から風化した動物の骨が発見されました。しかしSCP-XXX-JP-Bの根が複雑に絡まっているため、未回収のまま検査が行われました。検査の結果、動物の骨は松原勲氏の物ではなく、飼い犬の物であることが検査によって判明しました。また松原シズネ氏と松原シズネ氏が作成した衣服に異常性は確認されず、警察の情報から松原家を襲った犯人はSCP-XXX-JPの近辺で凶器が発見されたものの、現在も捕まっていないとのことです。

補遺2: インタビューから4日後、SCP-XXX-JP,-Bが腐敗耐性を有しているにも関わらず突如腐敗し始め、SCP-XXX-JP-A-1を受け取った対象が次々に低体温症を発症したこととで、SCP-XXX-JPの異常性が完全に喪失する懸念が指摘されています。SCP-XXX-JPの異常性と松原シズネ氏の明白な関連性は不明ですが、インタビュー後から松原シズネ氏の周辺や精神的に何らかの変化があったとし、SCP-XXX-JPの異常性に影響を与えたとの見解がなされています。

そのため、松原シズネ氏には記憶処理を施して以前の情報と状況を維持させ、松原シズネ氏の今後の行動を常に監視することを前述のプロトコルに記載しました。効果があったのかSCP-XXX-JP,-Bは腐敗を停止し、低体温症を発症していた対象は完全に治癒されました。SCP-XXX-JPは現在、特に目立った変化は確認されていません。


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ページ情報

執筆者: hakuyou_shiro
文字数: 5630
リビジョン数: 51
批評コメント: 2

最終更新: 18 Feb 2022 07:59
最終コメント: 18 Feb 2022 03:59 by aisurakuto

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