SCP-XXX-JP - 繋いでくれ(下書き)

クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - 繋いでくれ
著者: ©︎hakuyou_shiro
作成年: 2021

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが存在する遊園地は現在財団が買収し、SCP-XXX-JPはカバーストーリー『長期的なメンテナンス』を適用して侵入を防いでいます。SCP-XXX-JPは経年劣化により品質不良の発生を防ぐため、定期的に点検や修理が行われます。その際、指定された木馬にカメラと未使用のベルトを取り付け、SCP-XXX-JPから外れたカメラは回収されます。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市に存在する██遊園地のメリーゴーランドです。SCP-XXX-JPの造形は通常のメリーゴーランドと変わりませんが、物や人間(以下対象)が木馬に乗ることで異常性を発揮します。SCP-XXX-JPは徐々に高速で回転して15秒ほど経つと停止し、乗っていた対象は消失します。

木馬に乗っていた対象は、現在の場所とは違う異空間(以下SCP-XXX-JP-A)に移動します。SCP-XXX-JP-Aでは、SCP-XXX-JPの回転速度を維持し続けています。遠心力によって対象が木馬から落下した場合、現在までの記録において対象は死亡しています。SCP-XXX-JP-A内でのSCP-XXX-JPの回転による加速度は、現在5Gにまで達しているとされています。

SCP-XXX-JP-A内では物の劣化が通常と同様に進みますが、SCP-XXX-JP-A内での破壊行為によって物が破壊されることはありません。これはSCP-XXX-JPの木馬が、非常に速い回転によって破壊されないことと関係があると推察されます。しかし、SCP-XXX-JPの木馬は経年劣化が進んでいます。また、SCP-XXX-JP-Aはおそらく時間が止まっており、空腹や眠気を感じないとされています。

SCP-XXX-JP-Aの周囲は通常の景色とは異なり、笑顔を保った人型実体(以下SCP-XXX-JP-A-1)に囲まれています。SCP-XXX-JP-A-1は笑い声を常に発しており、対象が落下しそうになるほど笑い声は大きくなります。SCP-XXX-JP-A-1を見た対象は総じて｢気味が悪い｣などと評します。

以下は回収された、遺族の山谷香織氏によるSCP-XXX-JP発見時の映像記録です。

+ 事件記録-xxxを開く

<録画開始（2015/06/15）>

(前半は省略)

山谷氏: ほーら、あんまり走ると転けるよ！初めての遊園地だからって。

少女: お父さん！あれ何？

男: お、あれはメリーゴーランドって言うんだ。あのお馬さんの上に乗って、ゆっくり回るんだよ。

少女: お馬さんに乗れるの！？乗りたい！

(少女がSCP-XXX-JPに向かう)

山谷氏: 待って、先に券を出すから。はい。

男: 弥音、もうちょい待っててな。

少女: まーだー？

山谷氏: あった。あれ、あなた腰のバック緩んでるよ？

男: え？どこ？

山谷氏: 貸して。

(山谷氏が男のウエストバックを直す)

山谷氏: はい、出来た。

男: すまん、ありがとう。

少女: お父さん早くー！

男: はいはい。今行くよ。スタッフさん、これ券です。

(男がスタッフに券を渡す)

遊園地スタッフ: はい、確認出来ました。ではお気をつけて！

(男と少女はSCP-XXX-JPに乗り始める)

山谷氏: 弥音ー、ちゃんと捕まってなさいよー。

男: 弥音、ここの棒を持つんだ。

少女: こう？

男: そうそう、上手。

(SCP-XXX-JPが動く)

少女: わー！動いた！お馬さん動いた！

山谷氏: 弥音手を振ってー！

男: 弥音、お母さんあそこにいるよ。

少女: お母さーん！

(少女が山谷氏に対して手を振る)

男: メリーゴーランドってこんなに早かったっけ。

少女: お馬さんと同じ速さなんだね！だから早いんだよ！

山谷氏: ちゃんと落ちないように、あれ？

男: うお、まだ早くなるのか。

少女: はやーい！

(山谷氏がSCP-XXX-JPの操縦席にカメラを写す)

山谷氏: あそこメリーゴーランドの操縦席じゃ？何で誰もいないの？ちょっと！スタッフさん！

男: 何だ！？

(SCP-XXX-JPの方にカメラを写す)

少女: (悲鳴)

山谷氏: あなた！？弥音！？

男: 故障か！？

少女: 怖いお父さん！降りたい！

山谷氏: 止めて！誰か止めて！

(山谷氏が叫んでいる7秒後に、突如SCP-XXX-JPが止まる)

山谷氏: あなた？弥音？

(山谷氏が2人を探し始め、事態に気付いた遊園地スタッフも探し始める)

山谷氏: どこなの！？もしかしてどこかに飛んじゃったんじゃ･･･。

(直後に大きな衝突音が響き渡る)

山谷氏: なに、今の音。

(山谷氏が音のする方へ向かう)

山谷氏: あ、え、そんな、なんで。

(視界の上端から男性らしき手が写り、多量の血液が流れ出ている。その後、山谷氏らしき悲鳴が上がる。)

<録画終了（2015/06/15）>

山谷香織氏の夫である山谷勇雄氏は半身が引き千切られており、頭部の半分以上が原型が無いほどに損傷していました。また、山谷氏の娘である山谷弥音氏は子供であったためか、小柄な体型により跡形もなく損傷したかで、現在も遺体は確認されていません。

補遺1: 財団はこの映像を回収して確認した後、異常性を把握し記録するためにDクラス職員を用いて、SCP-XXX-JPへの侵入を開始しました。担当者は笠松研究員です。Dクラス職員であるD-3386には、通信機と録画機器を持たせています。しかし通信は消失後に遮断され、D-3386は5時間後に死亡した状態で発見されました。カメラは無事回収されました。

<録画開始>

(SCP-XXX-JP-A内に響く笑い声)

D-3386: くっ、こんなのすぐ振り落とされちまう。おい研究員！何か変な空間に飛ばされて、おい？

(通信機からノイズ音が漏れる)

D-3386: [罵倒]こんなの意味無いじゃねぇか！[衝突音]いてっ、やべ、カメラぶつけちまった。良かった、傷は無い。と言うか全くの無傷だ。何だこれ？もしかして[衝突音]やっぱり全然傷が付かねぇ！どう言うことだ？しかもさっきから笑い声がうるさいな。何だ？どこから聞こえる？

(D-3386が周囲に目を向ける。)

D-3386: は？何だあいつら。笑ってる？と言うよりはまるで作り笑顔だな。(3秒の沈黙)見せ物にされてるみたいで気味が悪ぃ。

(映像にはSCP-XXX-JP-A-1が写っている)

D-3386: うぉ！？

(D-3386がバランスを崩し、笑い声が大きくなる)

D-3386: 馬鹿にしやがって、このままじゃ本当に落ち、あっ。

(笑い声が少しずつ大きくなり、大きな衝突音が聞こえる)

<録画終了>

終了報告書: 実験の結果、SCP-XXX-JP-A内の回転速度は維持し続けており、ベルト等をしていなければ容易に振り落とされるでしょう。また、記録された時間とD-3386の死亡した時間にズレが生じています。この事からSCP-XXX-JP-A内の時間は、非常に急速であると推察されます。映像に写っていたSCP-XXX-JP-A-1の人物照合は難航しています。D-3386の死体は検死した後、焼却処分されました。──笠松研究員

補遺2: 前回の実験とは違ってベルト等を準備し、再度Dクラス職員によるSCP-XXX-JP-Aへの侵入を開始しました。今回の対象であるD-4921は、建築関係の経験があったために採用されました。しかしそうであったにも関わらず、D-4921は2日後に死体となって発見されました。D-4921が所持していたカメラは柵に当たってしまい、破損していましたが聞き取れた箇所を以下に記録しました。

<録画開始>

D-4921: これは、中々陰湿なところに着いたな。この速度で体がバラバラにならないのが不思議だが、ベルトが無ければ本当にバラバラになっちまう。とりあえずカメラを回すか。

(カメラを持って周囲を見渡す)

D-4921: ええと、聞いたとおりに周りはおかしな奴らが笑顔で囲ってて、回転が速い割りには景色はゆっくりだな。人の顔をじっくり見れるほどだよ。だけど笑顔って言うよりは目が笑ってないな。

(D-4921はベルトの確認をしながら木馬の方を写す)

D-4921: 回転が早いって言うもんだから、この馬の動き方も早くて捕まりにくいのかと思ったけど、どうやら早いのは回転だけらしい。

(カメラを前に向ける)

D-4921: (5秒の沈黙)ん？あれは布？

(カメラが物体に拡大させるが、ノイズが激しい)

D-4921: 布じゃない、人だ！何でこんなところに？おーい！

(人影が振り返る。その人影は少女のようであり、似つかわしくないバックを腰に付けている。バックのベルトは木馬の棒に引っ掛けている。)

D-4921: え、女の子？

少女: [不明瞭な音声]

D-4921: 君こそ誰なんだ！名前は？

少女: [不明瞭な音声]

D-4921: 何でこんなところにいる！？

少女: [不明瞭な音声]

D-4921: 巻き込まれたってわけか？でも他の奴は死んだはずじゃ、まさかずっとこのままで？

少女: [不明瞭な音声]

D-4921: それからずっと乗ってるのか？とりあえず状況は分かった。言っとくが絶対に落ちるなよ。落ちたら多分死ぬ。今のところこの速さで助かったやつはいない。

少女: [不明瞭な音声]

D-4921: いや、君のお父さんはどうだったかは知らない。ただ、俺より前に乗った奴がいて、そいつは死んじまってるんだ。だから絶対に落ちるな！

(ここから更にノイズが激しくなり、聞き取りづらくなる。)

D-4921: どうした？

D-4921: [不明瞭な音声]大丈夫なのか！？

少女: [不明瞭な音声]

(50秒ほどノイズが出たまま止まる。その間、笑い声だけが聞こえる。)

D-4921: 俺のベルト。

(笑い声が響く)

(笑い声が響く)

(笑い声が響く)

(笑い声が響く)

(笑い声が大きくなる)

<録画終了>

終了報告書: この記録から発見された少女は山谷香織氏の娘、山谷弥音氏であることが判明しました。この実験後、カメラのみで装着して記録しましたが、山谷弥音氏が付けていたはずのバックが無く、代わりにD-4921が付けていたはずのベルトを装着していました。おそらく、D-4921によって装着されたものと見られています。──笠松研究員

補遺3: 今後経年劣化によって山谷弥音氏が落下するのは時間の問題と見られ、定期的にSCP-XXX-JPの点検及び修理されます。その他、カメラと未使用のベルトを山谷弥音氏が乗っていた木馬に取り付けています。これが問題無く行われた場合、次は紙とペンを送付して会話を試みる方針です。

また、長時間の加速によって体内の血液は下半身に集中し、子供の身体では耐えられずに意識を失って死亡する可能性があります。そのため子供の身長に合わせ、ベルト装着時でも着用可能にするなどの議題とした耐Gスーツを開発中であり、現在エージェント・眞白¹による実験が行われています。

試作の耐Gスーツを装着するエージェント・眞白

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ページ情報

執筆者: hakuyou_shiro

文字数: 6286

リビジョン数: 29

批評コメント: 0

最終更新: 22 Oct 2021 07:31

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Footnotes

1. 小人症の疾患を持っていたため、児童に近い実験結果が得られるとして採用されました。

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