SCP-XXX-JP - 釘を刺す(下書き)

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クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - 釘を刺す
著者: ©︎hakuyou_shiro
作成年: 2021

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは低危険度保管ロッカーにて保管されています。SCP-XXX-JPを発見した際は、カバーストーリー『霊感商法』が適用され、SCP-XXX-JP-Bは標準人型収容施設に収容されます。SCP-XXX-JPによって現象が起きた場合、現象が起きた対象は他の収容所に隔離されます。SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JPの現象を解除した際、対象は記憶処理を施して職務に復帰させています。SCP-XXX-JP-Bも同様に記憶処理が施され、検査後に解放されます。また、SCP-XXX-JPは海外に流出している可能性も懸念されるため、機動部隊え-14"復讐代行"によって調査が続けられています。

説明: SCP-XXX-JPは、2回縦結びされた赤い紐です。SCP-XXX-JPは、現在97本が確認されています¹。SCP-XXX-JPの異常性は、縦結びを2個作ることで恨みを向けられた人物(以下対象)に紐のような痣を出現させます。SCP-XXX-JPを使用した際は、使用者(以下SCP-XXX-JP-A-1~13)以外の対象を恨む行為に否定的、または消極的な人物にはSCP-XXX-JPが視認出来なくなります。その際、SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-Aの手に付着します。

痣が出現した対象は、痣の部分から紐が出現する幻覚を見るようになり、紐の先では対象が危害を加えたとされる人型実体(以下SCP-XXX-JP-B)が、対象が死亡する1週間以内に出現します。SCP-XXX-JP-Bは同様の痣を持った対象または鏡で映した場合、その姿を肉眼で確認することが出来ます。これらの異常性は、SCP-XXX-JPの縦結びを解くことで解消されます。また、解除済みのSCP-XXX-JPは再度使用が可能です。対象の死亡時に特筆すべき点はなく、対象以外の人達が対象の死を早めようと画策を図った様子は確認されませんでした。

SCP-XXX-JP-Bは年齢、性別不詳の人型実体です。SCP-XXX-JP-Bは基本的に、対象が死亡するまで消失することはありません。SCP-XXX-JP-Bは、対象に対して何かしらの行動を示しませんが、対象はSCP-XXX-JP-Bに対して非常に強い恐怖感を覚えます。SCP-XXX-JP-Bの消失時には掴んでいた紐を離しており、同時に対象は死亡して身体にあった痣も同様に消失します。

SCP-XXX-JP-Bはその殆どが、SCP-XXX-JP-Aの関係者に当たります。また、SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-Aによって全国的に流通したとされ、事情聴取などで判明したSCP-XXX-JP-Aを現在捜索中です。

補遺1: 収容施設にいたDクラス職員が体に出来た謎の痣について職員に訴えていましたが、最初は特に注目されませんでした。しかし、約1~2年間で同様の痣を持った10人のDクラス職員が現れたことで調査が始まりました。当時のDクラス職員は、自身が殺害した被害者が出現したことで集団によるパニックが起きていましたが、鎮静剤を打つことで沈静化されました。また、逃亡中であった3人の指名手配犯が「被害者の幻覚を見た」として自首していたことが判明しました。

以下は最初にSCP-XXX-JPを使用していたとされる、SCP-XXX-JP-A-1に行ったインタビュー記録です。使用されたSCP-XXX-JPは、既に対象が死亡した後に回収されました。

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インタビュー記録-xxx

対象: SCP-XXX-JP-A-1

インタビュアー: 狼山博士

<録音開始>

狼山博士: 今からSCP-XXX-JP-A-1へのインタビューを開始します。担当は狼山です。ではSCP-XXX-JP-A-1、質問に答えてください。

SCP-XXX-JP-A-1: 分かりました。

狼山博士: 最初に、貴方はSCP-XXX-JPをどこで手に入れたのですか？

SCP-XXX-JP-A-1: 元々実家が縁結びの神社でして、大量にあったのを使っただけです。親に紐を作るのを手伝わされたりもしたので、足りない時は自分で作ることも出来ました。方法は何となく、憂さ晴らしでも良いからとやってみただけです。

狼山博士: そのやり方はネットか何かで？

SCP-XXX-JP-A-1: いえ、普通は縁結びで使われるやり方だったんです。それを本当はやっちゃいけないことをしてみたら、案外成功しちゃったみたいで。しばらくしたら、あの子が帰ってきて「あいつが死んだから帰ってきたよ」と言って消えたんです。あいつの所にあの子が行っていたことは知りませんでしたが。

狼山博士: やっちゃいけないこととは？

SCP-XXX-JP-A-1: 実は縦結びって、あんまり良くないのを知ってましたか？その結び方をするのは、死んだ人に対してだけなんです。誰でも意図せずやってしまう結び方なんですよ。親にも紐を結ぶ時は「縁起が悪いから止めなさい」と言われてました。

狼山博士: SCP-XXX-JP-B、つまり貴方の娘さんはその時透明ですが、何故鏡に映すと見えるようになるのか分かりますか？

SCP-XXX-JP-A-1: 私もそれは分からないですけど、多分この方法が「逆さ事」であることが原因だと思います。ほら、言うじゃないですか。あの世はあべこべで、鏡の世界はあの世に繋がってるなんて言う迷信。

狼山博士: では何故、結び目を2つ作る必要があるのですか？

SCP-XXX-JP-A-1: 最初は一つ作っただけじゃ何も起こりませんでした。ただいつもとは違ってもう一つ増やしたんです。そしたら紐が私の手にくっついたんです。あまり良くないと言われる理由が少し分かりました。

狼山博士: なるほど、呪いのようなものですか？

SCP-XXX-JP-A-1: 多分そうかも知れません。藁人形に釘を打ち付けるようなものですけど、本当に憂さ晴らしなだけだったんですよ。こんなことが起こるなんて思いもしませんでした。

狼山博士: だけど、その方法を広めたのも貴方ですよね？

SCP-XXX-JP-A-1: はい。『犯罪被害者の会』で集まった犯罪被害者やその遺族に渡したんです。特に加害者の死を望んでいる人を。最初は信じてくれませんでしたけど、一人が使って透明になったのを見て、何とか信じてくれました。その会以外でもネットで知り合ったりとかして。もちろん、本当にそうなのか判決文を見せてもらいますが。

狼山博士: 何故そのようなことを？

SCP-XXX-JP-A-1: だって、こんなに心が救われるようなこと、私と同じような人も救われて欲しかったんです。自分の子供が、あいつに殺されたように。だけど、死刑にならなかった加害者やそのまま解放された加害者だっている。やり切れない気持ちになって当然です。

狼山博士: しかし、こんなことをしても貴方の子供が帰ってこないことぐらい、貴方は承知の上ですよね？もし恨む相手を間違えてたら、大変な事になってたかも知れないんですよ？

SCP-XXX-JP-A-1: (笑い声)

狼山博士: どうしましたか？

SCP-XXX-JP-A-1: いいえ、博士。そんなことはありません。あいつが死んだとき、ちゃんとあの子は帰ってきたんですよ。それに私が、あの子が殺した訳でもない。そして、間違えることもないんです。殺された人が殺した人を間違えるわけが無い。死んだ後も見てるんですから。

狼山博士: どういうことですか？

SCP-XXX-JP-A-1: この紐を使う人やそれを見た人は、この紐のお陰で死刑囚を殺せたと最初は思うでしょう。でも実際はそうじゃありません。あの子は「私が殺した」なんて言ってない。

狼山博士: もう少し分かりやすく。

SCP-XXX-JP-A-1: さっきも言ったように、縦結びは元々故人を送り出すだけです。この紐は、死刑囚が死んだことを伝えることしか出来ないんです。もし殺そうなんて思ったら1年以上も生かさずに、さっさと死なせましたよ。良く「苦しませてから」と言う言葉を聞きますが、そんな暇さえ与えたくありません。

狼山博士: 仇討ち、のようなものですか？

SCP-XXX-JP-A-1: 出来るならしたいですよ。でも日本で仇討ちは認められません。だけど、正当な方法でも批判されるんですよ？それに、お陰で冤罪も解消されます。たまに自首する形で「被害者の幻覚を見た」という人がいますよね？だから間違えるはずがないんです。

狼山博士: 貴方以外にもそう思ってる人がいるんですか？例えば先ほどのように死刑を反対されたりとか。

SCP-XXX-JP-A-1: はい。だけど、この紐を作れば反対の声を聞かなくて済みます。反対するくらいなら放っておいて欲しい。奪われたのがあの子だったから死刑を望んだんです。なのに野蛮だって、犯罪者と同じだって！

狼山博士: SCP-XXX-JP-A-1、落ち着いてください。何も責めたいわけじゃないんです。もし不快に思ったのなら謝ります。

SCP-XXX-JP-A-1: (2秒の沈黙)すみません、取り乱して。私だってそれくらい分かってます。私のせいであいつのそばに縛られて、望んでないことくらい痛いほどに。でも。

狼山博士: 何ですか？

SCP-XXX-JP-A-1: 本当は殺されるような最悪な場所から、生きて帰ってきて欲しかった。なのに、殺されても私の元に帰ってきてくれたんだよ。あの子はやっと解放されたんだって思った。突然人生を奪われたあの子は、自分の人生を自ら手放せるようになったんだ。

狼山博士: SCP-XXX-JP-A-1、今日はこの辺で終わりましょうか。

SCP-XXX-JP-A-1: 狼山さん、ここは異常なものを収容してるんですよね？それを使った私達も同じように。

狼山博士: はい、そうです。それが私達の理念ですから。何も知らない一般人に危害が及ばないようにと。

SCP-XXX-JP-A-1: 何で、何で私達が異常だと思われるんですか。殺されたのを理由に、相手の死を望むのはそんなにおかしいことなんですか。

狼山博士: 心中お察しします。だから落ち着きましょう。

SCP-XXX-JP-A-1: 娘の死体を踏んづけるようなあいつが、明らかに異常者じゃないですか！私は、私は、そんな奴より異常者なんですか？

<録音終了>

終了報告書: SCP-XXX-JP-BがSCP-XXX-JP-Aの元に出現したことについては調査中です。SCP-XXX-JP-A-1は疲弊していましたが、より詳細に検査した際は精神的に異常はありませんでした。しかし、SCP-XXX-JP-A-1は以前よりも精神的に安定しているとされています。

補遺2: 2020年10月21日から新たに通知制度が改正され、死刑執行によって死刑囚が死亡した通知が、獄中死であっても被害者遺族に送られるようになったことで、国内でのSCP-XXX-JPの現象は減少しています。そのため、SCP-XXX-JPはオブジェクトクラスをEuclidに格下げられました。

しかし、SCP-XXX-JPの流出が懸念される海外、特に死刑を廃止した国では現象の特定が困難です。また、異常性により死刑囚以外でも無期懲役、または有期懲役の囚人に対しも起こる懸念がある為、人員不足が指摘されている機動部隊え-14"復讐代行"による調査は停滞しています。

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執筆者: hakuyou_shiro

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最終更新: 13 Sep 2021 03:22

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