SCP-XXX-JP - 貢ぐ(下書き)
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは低危険度生物収容室に保管されています。収容室に入る際は念の為、噛まれないよう防護服を着用してください。SCP-XXX-JPに噛まれた場合は、即刻修了措置を施して焼却処分されます。焼却中は匂いが漏れないように焼却室は密封しています。また、SCP-XXX-JPが発見された際は、カバーストーリー『害虫駆除』を適用して回収されます。

説明: SCP-XXX-JPはミツバチ(Honey bee)に似た、体長4cmのピンク色の昆虫です。通常の昆虫のように繁殖を行い、寿命は120日から160日とされています。SCP-XXX-JPは現在2██匹が確認されており、針や毒性を持ちませんが生物(以下対象)が噛まれるとその異常性が現れます。またSCP-XXX-JPは巣を作る能力を有しておらず、対象が残した食べ物をSCP-XXX-JPの巣として過ごすようになります。

噛まれた対象は本来味が不快とされる食べ物を、"非常に甘味溢れるもの"と評してそれを舐める、または食べ続けるようになります。元から甘味または旨味があった場合は甘味が薄くなったと評します。対象が感じた甘味は中毒性を持ち、摂取した栄養素が糖質に変換していきます。その際、既に摂取した食物も同様です。そのため対象は砂糖中毒を発症し、最悪の場合に高血圧や糖尿病などを患います。また、対象は周りの人間に自身が感じたことを共有しようとします。

対象が死亡すると対象の身体から非常に甘い香りを発し、10m以内にいた人間は対象の身体を食べようと集まります。対象の身体を食べ終わった人間(以下SCP-XXX-JP-A)は、周りの人間を食べようと襲い掛かります。しかしSCP-XXX-JP-Aの身体自体に変化はないため、容易に対処することが出来ます。検死の結果、SCP-XXX-JP-Aの脳機能に障害が残っており、外界への認識が妨げられていることが判明しました。おそらくSCP-XXX-JP-Aは、対象を食べたことで周りの人間が"非常に甘い食べ物である"と認識していたと推察されます。

補遺: 変な虫に噛まれたと報告した男性の駅里翔えきざとかけるは、親族によって送られた精神病院でオーバードーズ(OD)を行い、稀有な症状として財団の目を引いたことでSCP-XXX-JPは回収されました。駅里氏に事情聴取をしたところ、駅里氏が住んでいた家屋の床下にSCP-XXX-JPの巣が作られていたため、SCP-XXX-JPの発見に至りました。以下は駅里氏に行ったインタビュー記録です。

インタビュー記録-xxx

対象: 駅里氏

質問者: 笠松研究員

<録音開始>

笠松研究員: これより、駅里氏への質問を開始します。良いですか?

駅里氏: え、はい。大丈夫です。

笠松研究員: 貴方はいつSCP-XXX-JPに噛まれましたか?

駅里氏: 病院に入る先々週かな。変に明るい色の虫が俺の腕に止まってて、ガブって噛みやがったんだ。結構な痛みで毒でも持ってたのかと思ったよ。一応処置はしたんだけど。

笠松研究員: その後、どうなりましたか?

駅里氏: 30分、いや1時間くらいだったかな。突然家中が甘い匂いに包まれたんだ。机も床も、ましてやペンでさえ甘い匂いがした。最初はさっきの虫を潰しちゃって、カメムシみたいに匂いを撒き散らしたのかと思った。

笠松研究員: SCP-XXX-JPの仕業であることは分かったんですか?

駅里氏: まぁ確証は無いけど、あんなに派手な虫ってそうそういないだろ?もちろん毒のことを考えて、病院に行こうとしてみたさ。

笠松研究員: しかし、精神病院以外で病院に行った記録はないですよね。

駅里氏: そうだ。でもやっぱり気になるじゃんか。普通甘いなんて思わないものが、甘い匂いをさせてたらちょっと舐めてみたくなったんだよ。

笠松研究員: それで、舐めたんですか?

駅里氏: 舐めた。舐めたらとてつもなく甘くて、最高の味がしたんだ。元々甘いものは好きじゃなかったんだけどさ。そんな俺が夢中になれるほど甘かったんだよ。飴玉みたいに口を含むまでになっちゃって。

(駅里氏が服の袖を舐め始める)

笠松研究員: 駅里さん?

駅里氏: (舐め続ける)

笠松研究員: 駅里さん、少しそれ、止めて頂きませんか?

駅里氏: え?あ、すまない。一度舐めると止まらなくなってな。

笠松研究員: 質問を続けます。

駅里氏: はい。

笠松研究員: それで、その症状で人に危害を加えたことはありますか?

駅里氏: それは無いです。あ、でも人と言えば。

笠松研究員: 人がどうかしましたか?

駅里氏: 人の肉って人によって味が違ったりするじゃないですか。

笠松研究員: 実際は知りませんが、そうらしいですね。食べたんですか?

駅里氏: ち、違います!ほんのちょっと舐めただけです!あ、自分のをですよ?

笠松研究員: 人に危害を加えてないならいいですが。一応聞きますけど、どんな味だったんですか?

駅里氏: ほんのり甘いだけだったよ。正直こんなもんかと思った。それよりも服の方が美味しくてですね。

笠松研究員: そうですか。SCP-XXX-JPについて何か知ってることはありますか?

駅里氏: 特に。ただ珍しい虫としか思ってなかった。

笠松研究員: なるほど。では貴方は通常は美味しいとされない物が、甘い物と認識していることは自覚していますか?

駅里氏: まぁそれくらいは。あんなもんまで舐めてたし。

笠松研究員: あんなもんとは?

駅里氏: すまん、それは言いたくない。どれだけ甘くても異常だってことは分かるし、思い出されるとまた舐めたくなってしまう。あ、涎が。

笠松研究員: 分かりました。あえて聞きません。しかし、後で身体の検査をさせてください。

駅里氏: あぁ、それなら良い。構わないよ。

笠松研究員: ありがとうございます。それと。

駅里氏: 何だ?

笠松研究員: 駅里さん、何か隠し事はしていませんか?

駅里氏: 何だよ急に。

笠松研究員: 答えてください。

駅里氏: ないよそんなの。

笠松研究員: さっきの質問をもう一度させてください。駅里さん、貴方は人間に危害を加えようとしましたか?

駅里氏: だからないって!さっきも言っただろ!

笠松研究員: それは虫に噛まれた後の話であって、虫に噛まれる前の話ではありませんよね?

駅里氏: 噛まれる前?

笠松研究員: 思い当たることがありますよね?

駅里氏: (無言)

笠松研究員: 駅里さん、人を殺して食べていましたね?さっき貴方は言いました。人肉の味は人それぞれだと。自分を舐めて甘味が薄かったと。

駅里氏: だから何だ。

笠松研究員: それって、あなたにとって人肉は美味しいってことですよね?

駅里氏: (5秒の沈黙)何を根拠にそんなことを。

笠松研究員: 貴方とは別の人で実験をしました。貴方とは違って人肉を食べたことがない人を。特に嫌悪感があった人は甘味があったことが分かっています。興味があってもです。そして人肉を食べたことがある、カニバリズムの人は甘味が薄かったことも。

駅里氏: それはまだ憶測だろ。人肉を食べてたって必ず美味しいわけじゃないし。

笠松研究員: それもそうですね。しかし私達は貴方の家屋を調べ、床下にSCP-XXX-JPが巣を作っていたことが分かりました。

駅里氏: 俺の家の床下に?

笠松研究員: はい。しかし、その巣はとても奇妙な形をしていてですね。その巣を調べて見たら、ほぼ白骨化していた遺体だったんですよ。

(笠松研究員が写真を見せる)

笠松研究員: これ、誰なんですか?

駅里氏: 知らない。顔見知りでもないんでな。

笠松研究員: では、この人を殺害したことは認めるんですね?

駅里氏: (5秒の沈黙)まぁな。隠してたのがバレてたんならもう言うことはない。

笠松研究員: 何故食べようとしたんですか。

駅里氏: 色々あるけど、一番の理由は匂いが強かったんだ。

笠松研究員: 匂い?それだけで?

駅里氏: この子は最初怪我しててな、血が出るほどだったんだ。家にあげて介抱しようと思ったんだが止血したガーゼを、(笑い声)舐めたんだ。そしたら思ったより美味しかったんだよ。

笠松研究員: そして殺して食べたと?

駅里氏: いや、違う。確か刃物を手に取って近付こうとした時に虫に噛まれて、刃物を落としてもう少しで逃げられるところだったんだ。それで殺して、食べようと思ったんだけどもう美味しくもなくてな、残念だった。それで何となく床下に埋めたんだ。それで巣を作ってたとはな。(3秒の沈黙)それにしても。

笠松研究員: 何ですか?

駅里氏: ここは甘い臭いが充満してる。あれもこれも齧り付きたいくらいだ。あんたもきっと分かるさ。甘い物に囲まれるのはこの上ない幸せなんだよ。前まで甘い物が苦手だったのが悔やまれる。

笠松研究員: それはSCP-XXX-JPに噛まれたことによって、認識が誤っているだけです。とても幸せなものとは思いません。

駅里氏: 連れないな。それともあの虫みたいに俺があんたを噛めば、この気持ちが分かるのか?

(駅里氏が笠松研究員に近付く)

笠松研究員: 鎮静剤を!

<録音終了>

終了報告書: この後、駅里氏は鎮静化されました。身体検査の結果、駅里氏は糖分の過剰摂取により糖尿病の症状が進んでおり、重症化していたことで余命が僅かであったことが判明しました。また、それ以外は特に異常が確認されなかったため、噛まれることで異常性が出現することはありませんでした。

駅里氏の死後、周辺にいた3名の財団職員が影響を受け、SCP-XXX-JP-Aとして終了処分を行いました。実験に参加していたDクラス職員も、死亡する前に同様の処分が行われました。


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執筆者: hakuyou_shiro
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最終更新: 23 Aug 2021 12:32
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