闇寿司ファイルNo.710 "太納豆巻"

現在このページの批評は中断しています。

評価: 0+x
blank.png
%E7%B4%B0%E7%B4%8D%E8%B1%86%E5%B7%BB%E3%81%8D.jpg

これは"細納豆巻"

概論

"太納豆巻"とは、納豆をメインのネタとした太巻きである1。納豆は基本的に叩いたものを使用するが、粒のまま巻く店も存在する。

納豆巻の発祥は、岩手県盛岡の寿司屋「三寿司」であるとされる。1963年(昭和38年)、当時高級料理であった寿司を低価格で多くの人に提供しようと、盛岡の市民に親しまれていた納豆を具材とする納豆巻を始めたという。

ちなみに納豆を使用した軍艦巻も納豆巻と呼ばれ、こちらは後に東京都銀座に「鮨さゝ木」を創業する佐々木啓全が、「勘八」に勤めていた時に考案したとされる。

スシブレード運用

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

まず"太巻き"の特徴として、全ての寿司の中でもトップクラスである攻撃力と防御力、そして重量である。カットされていない"太巻き"を用いた場合の威圧感は絶大で、相手のスシブレーダーにかなりのプレッシャーを与えることができる。

その反面、機動力や持久力、操作性はかなり低く、ベテランのスシブレーダーでも扱いきるのはかなり難しいと言える。闇寿司ファイルNo.824 "恵方巻き"では恵方の性質を利用することで、回らない寿司協会のスシブレーダーやパレットナイフのクレイが運用できるレベルで扱うことができ、闇寿司開発記No.203 "恵方回し"でも歳徳神の力を借りて回そうと試行錯誤する様子が書かれていたが、逆に言えば、神様の力を利用してやっと運用できるほど難しいということでもある。

そんな中、発酵食品である納豆を使用した"太納豆巻"は太巻きとしての攻撃力、防御力、重量はそのままに、発酵系寿司の特徴である持久力の向上、鮮度劣化への耐性、そして納豆の糸を利用した相手のスシブレードの妨害などの性能を向上させた太巻きである。そのため、高い防御力と少し伸びた持久力によってスタジアムをより長く独占し、そのまま納豆の糸でスシブレードを絡め、弱ったところを圧倒的攻撃力で一気に決着をつけることができる。

関連資料

闇寿司ファイルNo.711 "太河童巻"
納豆の代わりにキュウリをネタに用いた太巻き。持久力が低下する代わりに、防御力の更なる向上とキュウリの発射が可能となる。太巻きにはキュウリを多く使用しているため、正規スシブレーダーの使用する"カッパマーキュリー"より多く発射できるが、その度に防御力と重量が低下するため、無闇矢鱈に乱射するのはオススメできない。

闇寿司ファイルNo.712 "太鉄火巻"
納豆の代わりにマグロの赤身をネタに用いた太巻き。マグロを使用しているため全ての太巻きの中でも安定感のある運用ができる。また、と併用する際は、超圧縮された太鉄火巻を銃弾として使用することで、より破壊力のある銃撃を行うことができる。しかし、その分反動も大きくなる点は注意が必要である。

闇寿司ファイルNo.713 "太干瓢巻"
納豆の代わりにかんぴょうをネタに用いた太巻き。柔らかすぎず硬すぎないかんぴょうの性質により、相手のスシブレードを適度に受け流しつつ太巻き特有の攻撃力で一気に決着を着けることができる。しかし、かんぴょうを水で戻し適度な柔らかさに調整するのがとても難しいため、スシブレーダーとしてだけでなく寿司職人としての技量も要求される。


文責: 寿司研究部門 酢飯開発部 酢米留














不滅なる寿司の選別・利用・維持および活性化のための委員会Sortation, Utilization, Maintaining and Energizing Committee of the Invincibles (SUME-CI)より警告



これより以下の文章は
不滅なる寿司の選別・利用・維持および活性化のための委員会Sortation, Utilization, Maintaining and Energizing Committee of the Invincibles(SUME-CI)
により特上-レベル機密として指定されています。

閲覧資格を有するのは、闇親方、SUME-CI、寿司研究部門構成員に限られます。










エピソード

ここでは、この闇寿司ファイルに閲覧制限が設けられている理由、そして"太納豆巻"を巡る私と1人のスシブレーダーの共同研究の過程とその結果を記載する。

2022年5月27日午後10時頃、私は研究室に1人残って"太納豆巻"の研究記録を整理していた。部屋の中には、数々の研究器具や冷蔵庫が稼働する音、実験用ラットの鳴き声、そして私がPCのキーボードを叩く音のみが響いていた。
通常、闇寿司ファイル含めあらゆる情報は精神酢飯接続を応用した精神酢飯ネット闇寿司サーバーに記録される。しかし私の"太納豆巻"の研究記録は極秘中の極秘であるため、精神酢飯ネット闇寿司サーバーではなく研究用PCに記録していた。また、共有サーバーに保存しないのは、前職からの癖でもあった。

とりあえずこんなもんか、と一区切りをつけ、私はトイレ休憩に入った。長時間椅子に座って凝り固まった身体を軽いストレッチでほぐしながら用を済ませ、再び研究室に戻る。
研究室の扉を開けたとき、私のデスクの前で、PCの光の中に浮かび上がるように誰かが立っているのが目に入った。

私: 誰だ!

???: わ、私ですよ、伊倉です。

私: なんだ、伊倉くんか。びっくりしたじゃないか。

伊倉: ご、ごめんなさい。

伊倉研究員は私と同じ寿司研究部門酢飯開発部に所属する研究員で、当開発部の中で紅一点である。私とほぼ同時に当開発部に入り、一緒に"太納豆巻"の研究に携わってくれた研究員の1人だ。

私: 何をしてるんだ、こんな時間に。ちょっと前に帰ったばかりじゃないか。

伊倉: ちょっと忘れ物しちゃいまして。でも酢米留研究員、こんな時間まで残って研究なんて熱心ですね。

私: 研究と言っても、資料を整理してただけさ。もうすぐ終わる。

伊倉: そうですか。あまり無茶しないでくださいね。

伊倉研究員は私の横を通り抜け、研究室の扉のノブに手をかける。鍵がかかっている扉に困惑している彼女に、私は背中越しに声をかけた。

私: そうだ伊倉君、君に言っておきたいことがある。

伊倉: ……なんでしょうか。

私: 君が何を食べようと勝手だがね、白衣に臭いが染みつくほどニンニクを食べるのは良くないな。酢飯研究に支障が出るぞ。

伊倉?: ……そんなに臭うか。念入りにファブリーズかけてきたんだけどな。

私: 改めて聞こう、君は誰だ。とは言え、あらかた予想はついてるがね。

伊倉?: まあ良い、もうすぐ時間切れだ。観念するほかないな。

そう言うと、ただでさえ小柄な伊倉研究員の身体が更に小さく縮んでいった。白衣は黒いジャケットに、白帽子はお洒落なハットに変化していく。

私: 久しぶり──いや、その姿の君とは初めましてだな、"ピザカッターのデイビット"

デイビット: ああ、数ヶ月前にトラヤー氏に会いに来たとき以来だな2

私: まったく、子どもになったのにニンニク臭いのは変わらないな。それで、そんな君がこんなところに何の用だ?ここにはピザは置いてないぞ。

デイビット: お前の研究──"太納豆巻"にちょっと興味があってね。

私: "太納豆巻"に?ただの納豆の太巻きだぞ?ピザの具材にもなりゃしない。

デイビット: ただの納豆の太巻き"だからこそ"だよ。普通の寿司が闇寿司ファイルとして登録されるとは思えないし、しかもそれが研究部門の人間が執筆するとは考えられない。それもよりによって、"ゼーバッハ中央製薬"で働いてたお前が文責を取っているとなっては、尚更な。

私: ……

デイビット: ここに来て、俺の疑問と想像が確信に変わった。お前達が研究し握ったのは、"太納豆巻"ふとなっとうまきなんかではなく、

"太納豆巻"タ ナ ト マ

なんだろう?

私: ……君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

デイビット: 中身はオッサンだがね。

デイビットの言う通り、私達が研究していたのは「タナトマ3を闇寿司として運用する方法」であった。運用方法としては様々なパターンが考案され、例えば

  • タナトマをネタとして用いる。
  • 相手のスシブレードからタナトマを抽出する。
  • 相手のスシブレードにタナトマを注入する。

などが考えられ、研究が進められた。
この内、最初に考案された「タナトマをネタとして用いる」パターンに関しては、元々液体であるタナトマを握ることは困難であり、例え握れたとしても強くはないという結論に至り、早々に打ち切られた。
また、「相手のスシブレードからタナトマを抽出する」パターンは、「抽出技術を闇寿司に転用することは不可能に近いこと」「そもそも相手のスシブレードからタナトマを抽出したら勝利できなくなり本末転倒であること」などが挙げられ、こちらの研究も暗礁に乗り上げることとなる。
そして次に、「相手のスシブレードにタナトマを注入する」パターンの研究が進められた。注入とはいえ、寿司に触れてしまえばタナトマの効力が発揮されるため、いかにタナトマを扱い触れさせるか、そして自身への影響をどれほど減らせるかが研究の課題であった。

この研究を大きく進展させたのが、私が開発した"太納豆酢"タナトスを用いた酢飯、その名も"太納豆酢飯"タナトスメシである。

"太納豆酢飯"の作り方

«材料(3合分)»

  • ご飯     ……3合
  • 鮮度のタナトマ……10g
  • 米酢     ……200ml
  • 砂糖     ……45g
  • 塩      ……20g
  • 納豆菌    ……6g(米酢の0.03%)

«作り方»

1. "イカの踊り食い"を回して"鮮度のタナトマ"を抽出する。普通の寿司からタナトマを抽出することは不可能4だが、踊り食いを寿司として回すことで"鮮度のタナトマ"を抽出することができる。イカ以外にタコでも代用可能。エビやシラウオでも抽出できないことはないが、1貫から抽出できる量はかなり少ないため推奨できない。

2. "鮮度のタナトマ"、米酢、納豆菌を攪拌機に投入し混ぜ合わせる。本来タナトマと米酢は、まるで水と油のように混ざり合わうことがないが、米酢の0.03%ほどの納豆菌を加え漁師力学的重ね合わせをすることでしっかり混ぜ合わせることができる。

3. "2"でできた液体に砂糖、塩を加える。これで"太納豆酢"ができあがる。

4. 炊き立てのご飯5を寿司桶に移し、"太納豆酢"を全体に回しかけて切り混ぜる(これを"シャリ切り"という)。団扇などで冷ましつつ全体的に一肌程度の温度になれば完成である。

273px-Thanatos.jpg

タナトスの彫刻

ちなみに、以上のように"太納豆酢"は科学的に強い結合力を有するが、名前の点で見ても強く結合している。
闇寿司職人は寿司に名前をつけないが、寿司やネタの名前に意味を持たせることはある。また、日本では古来より食べ物の名前と縁起物に強い繋がりを持たせてきた。「よろ昆布こ(ん)ぶ」や「めでたい」などが良い例である。"太納豆酢"もまた、ギリシア神話で死を司る神である"タナトス"と繋がりを持たせることで、結合と効力を更に強めている。

こうして作られた"太納豆酢"を用いた"太納豆酢飯"、そして「納豆の味」と「タナトス、タナトマの名前」の組み合わせから納豆を採用しネタに用いて太巻きとして握った寿司が"太納豆巻"なのだ6
"太納豆巻"の運用方法は、"鮮度のタナトマ"を相手のスシブレードに付着させ、鮮度が低下したところを一気に叩くのがメインの戦法となる。鮮度の低下は全ての食品の天敵である。こちらの能力値を上げるのではなく相手の能力値を下げて勝利する、それがこの"太納豆巻"である。

本来であれば、今後更に改良を重ね、誰でも簡単に扱える闇寿司にする予定だった。しかし、5月20日に豊洲市場"ス死のタナトマ"散布無差別殺傷事件が発生したことで、回らない寿司協会がス死のタナトマ抽出の禁止を求める声明を発表した。厳密には"太納豆巻"はス死のタナトマとは似て非なるものではあるが、この研究が原因で波紋が更に広がれば、闇寿司と闇親方の立場が危うくなる可能性がある。そのため、この研究は一時冷凍されることとなってしまった。これが、この闇寿司ファイルに閲覧制限が設けられた理由の1つである。

私: それで君は、"太納豆巻"をどうするつもりだ?

デイビット: 俺がなんでこんな姿になったかはお前もよく知ってるだろう。あれから俺はこの身体でもかつての実力で戦えるように研究してきたが、流石に無理があって困ってたんだ。大人になるまで悠長に待っているわけにも行かないしな。だが、僅かな可能性に賭けてここに来て正解だった。"太納豆巻"を食べれば、もしかしたら元の姿まで成長することができるかもしれない。まあ要するに、"太納豆巻"を食べさせてほしいんだ。

私: ……良いだろう。

デイビット: 意外だな、もうちょっと抵抗されると思ったんだが。

私: 抵抗したら何されるか分からん。スシブレード勝負じゃ君のピザには敵わないし、なによりこの研究室が滅茶苦茶になるのだけは避けたいからな。
それに、君に"太納豆巻"を食べさせれば有益な研究結果が得られるかもしれない。私に寿司の声は聞こえないが、君は喋られるし君の声を聞くこともできる。食べた本人の感想は是非とも欲しい。今は冷凍中のこの研究もいつか解凍できるかもしれないからな、研究データは多いに越したことはない。

デイビット: つまりwin-winの関係ということか。

私: まあそういうことだ。あらかたデータを取り終わったら鍵寿司を握ってやる。

デイビット: 良いだろう、交渉成立だ。

こうやって私とデイビットは、短い間ではあるが共同研究者となった。必要な研究器具の準備を終え、早速デイビットに"太納豆巻"を1貫食べさせる。小さくて可愛らしかったデイビットの身体はどんどん大きくなり、1分ほどで闇寿司ファイルNo.625 "俺"の始めに載っている画像に近い容姿になった。

デイビット: 戻った……戻ったぞ……!やっぱり俺の予想は間違っていなかった!

私: 子どもの姿がおよそ8歳程度だったから……20年以上の老化か。身体に他に変化はあるか?身体が熱くなるとか。

デイビット: 確かに身体が少し熱いかもしれない。だけどこれは贅肉のせいかもな。あと、腰と膝も痛い。

私: それも体重が原因の可能性がある。いや、成長痛の可能性もあるな。ふむ、非常に興味深い。よし、次は2貫目だ。

デイビット: まだ食べるのか?1貫で元の姿に戻れるって分かったじゃないか。

私: 言っただろう、研究データは多いに越したことはないと。まだまだ食べてもらうぞ。

デイビット: そ、そうか……

2貫目。

私: 見た目は完全に中年だな。20年以上老化するのは変わらないようだ。

デイビット: 腰の痛みが強くなったぞ。あと、肩も痛い!

私: 加齢だな。よし、次。

3貫目。

デイビット: 足がすごく痛い、頼む、座らせてくれ。

私: うるさい、歯くいしばって立て。

デイビット: 歯折れたが!?

4貫目。

デイビット: ここはどこだ?お前は誰だ……?

私: 認知症の進行か、肉体にだけでなく記憶力などにも影響が及ぶとは非常に面白い。

デイビット: なんだそれは?そんなものを俺に食べさせるな!やめろ!

5貫目。

デイビット: ……

私: どうしたデイビット、まだ研究は終わりじゃないぞ。

デイビット: ……

私: ここが限界か、仕方ない。貴重なデータはいくつも取れたしな。感謝するぞデイビット。

5198470559_bdf2b10bd5_c.jpg

共同研究中のデイビット。服は1貫目を食べて成長した際に破けたため研究室にあったものを支給した。

私は実験をやむを得ず終了し、闇寿司医療スタッフに連絡しデイビットを介抱した。30分後、デイビットは子どもの姿に戻り目を覚ましたが、3日前までの記憶を喪失していた。自白剤漬けマグロも用いて尋問したが、先述のジーコ変身技術が判明したのみで、研究室での出来事だけでなく自身がなぜここにいるのかも覚えていなかった。
どうやら、寿司の効力が過ぎても後遺症が残ることがあるようだ。よく考えてみれば、粗悪な寿司の効力が過ぎても元の姿に戻らず子どものままである。もしかしたら、デイビットがずっとニンニク臭いのもこれが原因かもしれない。できればデイビットについて更に研究したいところだったが、医療スタッフにストップをかけられてしまったため、諦めて家に帰すしかなかった。これにて、私とデイビットの共同研究は幕を閉じた。

関連資料

フィギュア "デイビット"(子どもの姿)
デイビットが実力を取り戻す研究のためにトラヤー氏に制作させていた"ライドディッシュ"用のフィギュア。子ども姿のデイビットが自由の女神のようなポーズを取っており、"ライドディッシュ"機能によってデイビット(子どもの姿)を出現させることができるが動くことも食べることもできない。なんてもの作らせてるんだあのデブ。なおショタコンスシブレーダーに大人気らしい。嘘だろ、元はただのオッサンだぞ。
¥2,500円(税抜)+送料。

フィギュア "デイビット"(子どもの姿) 金メッキ仕様
トラヤー氏が勢いとノリで製作したフィギュア。なんでトラヤー氏もノリノリなんだ。
¥7,500円(税抜)+送料。

フィギュア "デイビット"(大人の姿) 設計図
デイビットが自ら描いた設計図。あのトラヤー氏でさえ製作を拒否した。ありがとうトラヤー氏。






goi-format jp スシブレード _闇寿司 闇寿司 thanatomania



ページ情報

執筆者: CAT EYES
文字数: 13167
リビジョン数: 48
批評コメント: 3

最終更新: 21 Nov 2022 08:05
最終コメント: 10 Sep 2022 21:05 by G and B Channel


ERROR

The CAT EYES's portal does not exist.


エラー: CAT EYESのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:6568589 ( 20 Jun 2020 11:11 )
layoutsupporter.png
特に明記しない限り、このページのコンテンツは次のライセンスの下にあります: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License