SCP-XXX-JP-EX - カバーストーリーファイル
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アイテム番号: SCP-XXX-JP-EX

オブジェクトクラス: Declassified1

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-EXは財団データベース上で常に保管・更新されており、また全ての情報は警察機関と共有されています。

説明: SCP-XXX-JP-EXは、被害者、現場、遺留品など事件に関連するあらゆる点において"非異常である"Non-Anomalousと認められた事件の総称です。SCP-XXX-JP-EXに指定された事件の捜査に財団は一切関与せず、全ての捜査権が警察機関に一任されています。

SCP-XXX-JP-EXに保管されている事件はいずれも非異常ですが、これまで収容されてきたオブジェクトの中にはそれらの事件と関係がある例が多く確認されており、また数十年も前に発生した事件について詳細な情報を得るまでに相当な時間や手間がかかる場合も少なくありませんでした。そのため、これまでに発生した事件の詳細をあらかじめ調査、保管しておくことで、それらに関係のあるオブジェクトを収容した際に調査を円滑に進めることができると考えられ、SCP-XXX-JP-EXと指定して保管することが決定されました。

SCP-XXX-JP-EXの効率的な更新のために各警察機関に財団職員が最低1名、その地域の人口、治安、事件発生数に応じて振り分けられています。これらの職員は一般的な警察官として活動し、SCP-XXX-JP-EXの定期的な更新、報告が義務付けられています。

補遺: SCP-XXX-JP-EX登録事件"██市大学生通り魔殺人事件"解決事案

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██市大学生通り魔殺人事件 発生現場

██市大学生通り魔殺人事件はFILE-XXX-20100921-13として記録されています。当時件は2010年9月21日、東京都██市の住宅地で大学生4名が腹部や胸部など複数個所を刺され死亡した通り魔事件です。当日██市では雨が降っていたため足跡や血痕が残っておらず警察犬による足跡追及ができず、また監視カメラの映像に映っていた容疑者はレインコートを着用していたため人物の特定も困難を極めました。結果として、容疑者は事件発生現場から██駅まで逃走し、████駅で下車したことは判明したものの、それ以降の足取りは掴めていませんでした。

当時件の解決は絶望的であると思われていましたが、2022年5月11日、██市を管轄している警察署に羽田 修三氏
(40歳)が自首しました。

対象: D-31430

インタビュアー: 宇津木博士

付記: 医療班3名も同席しています。

<録音開始>

宇津木博士: 初めまして、D-31430。ようこそ財団へ。

D-31430: D……?財団……?なんですか、それは。

宇津木博士: Dクラスというのは犯罪者、その中でも重大事件を起こして死刑が妥当とされたものに与えられるクラスです。D-31430、あなたは今年の8月2日、八王子市で殺人事件を起こしましたね。

D-31430: ええはい、本当に、なんであんなことをしてしまったのか……

宇津木博士: あなたの証言と監視カメラの映像から、あなたはホームセンターで包丁を購入しその後30代女性を殺害、更にその現場を目撃した男子大学生2名も口封じのために殺害し逃走。間違いありませんね。

D-31430: はい、間違いないありません。

宇津木博士: 本来なら判決まで数ヶ月、長ければ1年もかかるのですが、死刑判決が妥当と判断されたため、少し早いですがあなたをDクラス職員として雇用しました。

D-31430: なるほど、Dクラスのことについては理解しました。

宇津木博士: ありがとうございます。それでは検査もかねて、いくつか簡単な質問していきます。あなたは、事件を起こす日の翌日、勤務していた会社を辞めていますね。

D-31430: はい。

宇津木博士: どのような仕事をしていたか、覚えていますか。

D-31430: ……は?

宇津木博士: 上司は誰か、同僚は誰か、後輩は誰か、覚えていますか。なぜ会社を辞めたか、そもそも会社の名前はなんだったか覚えていますか。

D-31430: えっと……あれ……

[D-31430は頭を両手で押さえる。]

宇津木博士: 覚えていないのも無理はありません。我々はあなたが辞めたあの日、記憶処理を施した後簡単な疑似記憶しか挿入していませんから。今のあなたは、ここで働くことになる前の記憶と人を殺した記憶しか持ち合わせていないでしょう。

D-31430: 何を言って──

宇津木博士: D-31430、あなたは私と同じように、いえ、むしろ私より長い期間、この財団で働いていたんですよ。安心してください、すぐ思い出す事になります。

[宇津木博士は医療班に合図を送る。医療班3名がD-31430に近付き、抵抗するD-31430を取り押さえる。右腕に注射器を刺し内部の薬剤を注入する。]

宇津木博士: 今あなたに注入したのは、先ほど言った疑似記憶を挿入するための薬剤です。疑似記憶と言っても、その記憶はあなたが今まで歩んできた財団職員としての記憶そのものです。とは言え、事件の前後は辻褄が合うように多少変えていますので、そこはご了承ください。

[薬剤の副作用の影響で、羽田博士はえずいて細かく震えている。]

宇津木博士: そういえばD-31──間違えました。ええと、羽田博士、あなたは「財団とは何か」とも質問されていましたね。お答えした方がよろしいですか。尤も、あなたでしたら私よりももっと詳しくご存知のことかと思いますが。

羽田博士: いえ、大丈夫です。すみません……

宇津木博士: 謝らないでください、羽田博士。それに敬語も不要ですよ、あなたの方が年齢もキャリアも実績も上なのですから。しかし、あなたが羽田博士としてではなくD-31340として財団に雇用されることを望むのであれば、敬語のままで構いませんよ。殺人を犯したのは、「あなたの中では」事実なのですから。

羽田博士: それはっ、おえっ。

[薬剤の副作用の影響で、羽田博士はその場で激しく嘔吐する。]

宇津木博士: 大丈夫ですか。

羽田博士: だ、大丈夫です、いや、えっと、大丈夫、だ……

宇津木博士: そうですか、分かりました。それでは、改めて。

[宇津木博士は軽く咳払いをする。]

宇津木博士: お帰りなさい、羽田博士。我々職員一同、心より喜んで歓迎いたします。

羽田博士: ああ、ありがとう──

[羽田博士は起立しようとしてよろめき、吐瀉物の上に倒れる。]

宇津木博士: ──先程から副作用がかなりひどいようですね。まあ20年近くの記憶を挿入したのですから当然と言えば当然です。しばらくゆっくり療養してください。復職するのは、それからでも遅くありません。それでは医療班、よろしくお願いします。

[医療班によって羽田博士に医療室に運ばれる。羽田博士は時折咳き込み、えづいている。]

[宇津木博士は靴に付着した羽田博士の吐瀉物に気付き、ハンカチで拭き取る。ハンカチをゴミ箱に投げ捨てた後、聴取室から退出する。]

<録音終了>

RE-FOUNDATION PROTOCOL

概要:
退職防止部門は現在、退職希望者に対するRE-FOUNDATION PROTOCOLの運用を計画中です。この計画は、羽田博士に対して実験的に導入され、他2件でも成功したことで実用性があると証明されました。

RE-FOUNDATION PROTOCOLは退職希望者に対し、記憶処理と未解決事件に関する疑似記憶を挿入した後退職させ、その後Dクラス職員として再雇用するものです。復職を希望しない職員はDクラス職員として運用しますが、死亡する可能性の高い任務には用いず、下記のような職務に従事させます。

  • セキュリティクリアランスを必要としない財団施設の清掃。
  • 財団サイトの重要ではない書類の整理。
  • 収容施設の建設作業。
  • 閲覧にセキュリティクリアランスを必要としない郵便物や電子メールの検閲。
  • 財団設備の修理。
  • 財団の制服の洗濯。

Dクラス職員として運用することが決定された後に対象が復職を希望した場合、正式な手続きを踏んだ上で復職が許可されます。なお未解決事件に関する記憶処理の申請は、RE-FOUNDATION PROTOCOLを再実施する場合を除いて却下されます。

現在、RE-FOUNDATION PROTOCOLを正式に運用するにあたって以下の点について検討の余地があります。検討が終了しプロトコルに問題がないと判断され次第、運用が開始されます。

1. 未解決の事件である必要はあるか。また、実際に起きた事件である必要はあるか。
2. 復職するのに問題がない程度の負傷を負う可能性のある職務には従事させるか。
提案: 長期間復職を希望しなかった場合、低危険度、中危険度の職務に従事させる。


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執筆者: CAT EYES
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最終更新: 07 Sep 2023 06:07
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