アイテム番号: SCP-3XXX-JP-EX
オブジェクトクラス: Explained/Eparch1
特別収容プロトコル: SCP-3XXX-JP-EXは財団データベース上で常に保管・更新されており、また全ての情報は警察機関と共有されています。
説明: SCP-3XXX-JP-EXは、欺瞞部門によって立案、流布されたカバーストーリーを指定したもので、その中でも特に複数の通報、証言、苦情、そしてそれらを助長する活動の総数が突出している、もしくはそれが見込まれるものがナンバリングされています。通報などはほとんどのカバーストーリーで数件確認されていましたが、それらはいずれも想定の範囲内のものとして当初はさほど問題視されていませんでした。最初に物議を醸したのは2001年8月1日、SCP-████-JPの発生時に流布されたカバーストーリー「放火殺人事件」及びその後に流布されたカバーストーリー「連続放火殺人事件」に関するものです。
SCP-████-JPは東京都文京区、庚申坂付近の住宅街で発生した異常な人体発火現象による連続死亡事象で、2001年7月31日に初めて観測されました。欺瞞部門は翌日にカバーストーリー「放火殺人事件」を流布し、財団は原因究明に努めました。結果、SCP-████-JPは反ミーム性を有するニホンミツバチ (Apis cerana japonica)の異常に高温な蜂球形成2によるものと判明しましたが、その発生源を特定し完全に収容するのに時間を要し、最終的に計6件のSCP-████-JPが発生、4軒が全焼し7人が死亡しました。2001年8月22日、欺瞞部門は改めてカバーストーリー「連続放火殺人事件」を流布し、近隣住民にクラスA記憶処理を施したことで事態は収束したと思われました。
しかし2001年9月13日、4件目の被害者である女子大学生の友人たちが、当時の"2ちゃんねる"や運用が開始された直後の"ふたば☆ちゃんねる"などの匿名掲示板サイトや大学内で当時の目撃証言を募り始め、また匿名電子掲示板サイトでは連続放火殺人に関する矛盾点、疑問点、考察等が議論されるようになりました。結果これらの活動に助長され、SCP-████-JPに関する虚偽の通報や証言、警察機関への問い合わせなどが増加しました。財団は「SCP-████-JPに新たな異常性が発現した」もしくは「新たな異常存在に曝露している」と推測し調査を行いましたが、関係者に異常性が曝露した痕跡は確認できませんでした。財団やアノマリーの存在を感知されることが予想されたためそれらの投稿は発見次第削除されましたが、逆に陰謀論や都市伝説の強化に拍車をかける結果となりました。
インターネットの普及とともに、カバーストーリーで流布された事件・事故に関する同様の案件は増加すると推測され、またそれに伴い、一般人による異常存在の発見、曝露、拡散が発生する可能性が非常に高いと結論付けられました。この事態を収束させるため欺瞞部門を中心として対策が議論されましたが、「事案の度に関係者全員に記憶処理を施す」「流布していたカバーストーリー撤回及び変更をする」「今後のインターネットの普及を制限する」などの提案はいずれも予算、労力、倫理の観点から却下されました。最終的に、多少の問題点は残っていたものの、「カバーストーリー『犯人逮捕』の流布」を適用することとなりました。
今後、殺人事件や強盗事件、ひき逃げなどに関するカバーストーリーの適用は慎重に行われる必要があります。
RISING STAR PROTOCOL
以下に記すのは欺瞞部門及び火急鎮静部門によって立案されたRISING STAR PROTOCOLの詳細です。
これより先の情報は欺瞞部門、火急鎮静部門の内部業務課にのみ閲覧が許可されています。無許可でのアクセスは固く禁じられています。許可なしにこのセクションにアクセスした場合は、今すぐセッションを終了し、そのままの状態で待機してください。
違反者は特定されます。
「カバーストーリー『犯人逮捕』の流布」の問題点の一つとして「犯人役の準備」がありました。Dクラス職員を犯人として起用する案は「ほとんどのDクラス職員は一般社会では死刑囚などの重犯罪者として認知されているため公表できない」などの理由から却下され、その他財団職員を起用する案も社会及び財団に及ぼす影響が予測不能であることから同様に却下されました。
そこで火急鎮静部門によって"RISING STAR PROTOCOL"が提言され、試験運用することが決定しました。以下は"RISING STAR PROTOCOL"を運用するカバーストーリーです。
カバーストーリー | 犯人役 |
---|---|
内容 | 内容 |
内容 | 内容 |
対象: D-31430
インタビュアー: 宇津木博士
付記: 医療班3名も同席しています。
<録音開始>
宇津木博士: 初めまして、D-31430。ようこそ財団へ。
D-31430: D……?財団……?なんですか、それは。
宇津木博士: Dクラスというのは犯罪者、その中でも重大事件を起こして死刑が妥当とされたものに与えられるクラスです。D-31430、あなたは今年の8月2日、八王子市で殺人事件を起こしましたね。
D-31430: ええはい、本当に、なんであんなことをしてしまったのか……
宇津木博士: あなたの証言と監視カメラの映像から、あなたはホームセンターで包丁を購入しその後30代女性を殺害、更にその現場を目撃した男子大学生2名も口封じのために殺害し逃走。間違いありませんね。
D-31430: はい、間違いないありません。
宇津木博士: 本来なら判決まで数ヶ月、長ければ1年もかかるのですが、死刑判決が妥当と判断されたため、少し早いですがあなたをDクラス職員として雇用しました。
D-31430: なるほど、Dクラスのことについては理解しました。
宇津木博士: ありがとうございます。それでは検査もかねて、いくつか簡単な質問していきます。あなたは、事件を起こす日の翌日、勤務していた会社を辞めていますね。
D-31430: はい。
宇津木博士: どのような仕事をしていたか、覚えていますか。
D-31430: ……は?
宇津木博士: 上司は誰か、同僚は誰か、後輩は誰か、覚えていますか。なぜ会社を辞めたか、そもそも会社の名前はなんだったか覚えていますか。
D-31430: えっと……あれ……
[D-31430は頭を両手で押さえる。]
宇津木博士: 覚えていないのも無理はありません。我々はあなたが辞めたあの日、記憶処理を施した後簡単な疑似記憶しか挿入していませんから。今のあなたは、ここで働くことになる前の記憶と人を殺した記憶しか持ち合わせていないでしょう。
D-31430: 何を言って──
宇津木博士: D-31430、あなたは私と同じように、いえ、むしろ私より長い期間、この財団で働いていたんですよ。安心してください、すぐ思い出す事になります。
[宇津木博士は医療班に合図を送る。医療班3名がD-31430に近付き、抵抗するD-31430を取り押さえる。右腕に注射器を刺し内部の薬剤を注入する。]
宇津木博士: 今あなたに注入したのは、先ほど言った疑似記憶を挿入するための薬剤です。疑似記憶と言っても、その記憶はあなたが今まで歩んできた財団職員としての記憶そのものです。とは言え、事件の前後は辻褄が合うように多少変えていますので、そこはご了承ください。
[薬剤の副作用の影響で、羽田博士はえずいて細かく震えている。]
宇津木博士: そういえばD-31──間違えました。ええと、羽田博士、あなたは「財団とは何か」とも質問されていましたね。お答えした方がよろしいですか。尤も、あなたでしたら私よりももっと詳しくご存知のことかと思いますが。
羽田博士: いえ、大丈夫です。すみません……
宇津木博士: 謝らないでください、羽田博士。それに敬語も不要ですよ、あなたの方が年齢もキャリアも実績も上なのですから。しかし、あなたが羽田博士としてではなくD-31340として財団に雇用されることを望むのであれば、敬語のままで構いませんよ。殺人を犯したのは、「あなたの中では」事実なのですから。
羽田博士: そ、それはっ。
[薬剤の副作用の影響で、羽田博士はその場で激しく嘔吐する。]
宇津木博士: 大丈夫ですか。
羽田博士: だ、大丈夫です、いや、えっと、大丈夫、だ……
宇津木博士: そうですか、分かりました。それでは、改めて。
[宇津木博士は軽く咳払いをする。]
宇津木博士: お帰りなさい、羽田博士。我々職員一同、心より喜んで歓迎いたします。
羽田博士: ああ、ありがとう──
[羽田博士は起立しようとしてよろめき、吐瀉物の上に倒れる。]
宇津木博士: ──先程から副作用がかなりひどいようですね。まあ20年近くの記憶を挿入したのですから当然と言えば当然です。しばらくゆっくり療養してください。復職するのは、それからでも遅くありません。それでは医療班、よろしくお願いします。
[医療班によって羽田博士に医療室に運ばれる。羽田博士は時折咳き込み、えづいている。]
[宇津木博士は靴に付着した羽田博士の吐瀉物に気付き、ハンカチで拭き取る。ハンカチをゴミ箱に投げ捨てた後、聴取室から退出する。]
<録音終了>
RISING STAR PROTOCOL
概要:
火急鎮静部門は現在、退職希望者に対する"RISING STAR PROTOCOL"の運用を計画中です。この計画は、羽田博士に対して実験的に導入され、他12件でも成功したことで実用性があると証明されました。
"RISING STAR PROTOCOL"は退職希望者に対し、記憶処理と未解決事件に関する疑似記憶を挿入した後退職させ、その後Dクラス職員として再雇用するものです。復職を希望しない職員はDクラス職員として運用しますが、死亡する可能性の高い任務には用いず、下記のような職務に従事させます。
- セキュリティクリアランスを必要としない財団施設の清掃。
- 財団サイトの重要ではない書類の整理。
- 収容施設の建設作業。
- 閲覧にセキュリティクリアランスを必要としない郵便物や電子メールの検閲。
- 財団設備の修理。
- 財団の制服の洗濯。
Dクラス職員として運用することが決定された後に対象が復職を希望した場合、正式な手続きを踏んだ上で復職が許可されます。なお未解決事件に関する記憶処理の申請は、RISING STAR PROTOCOLを再実施する場合を除いて却下されます。
現在、"RISING STAR PROTOCOL"を正式に運用するにあたって以下の点について検討の余地があります。検討が終了しプロトコルに問題がないと判断され次第、運用が開始されます。
1. 未解決の事件である必要はあるか。また、実際に起きた事件である必要はあるか。
2. 復職するのに問題がない程度の負傷を負う可能性のある職務には従事させるか。
提案: 長期間復職を希望しなかった場合、低危険度、中危険度の職務に従事させる。
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- portal:6568589 (20 Jun 2020 11:11)