誰かの独り言

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戦闘準備は万全なのです。
火力的機関銃を装備。火炎放射器をダウンロード。緊急用核ミサイルをインプット。現実改変耐性をプロトタイプAに固定。特定領域改変能力を励起。脆弱性因子ならびに破損したデータをアンインストール。感情機能をコントロール。


特定領域に存在する敵性『オブジェクト』を確認。私の戦闘能力を100とすると39、50、186、216……単体での戦闘は私の方が上ですが、群集すると厄介ですね。けど、これが最後の戦闘になると思えば、少しは気が楽になるでしょう。


あと4日で世界は終わる。
数多の腐肉が世界を覆いはじめている。財団と要注意団体との共同作戦が失敗したと考えましょう。
で、あれば私たちが生きていられる時間は、残り少ない。間に合わないかもしれない。私はただのロボットであり、主の命令に従うとはいえ半端なものですから、所詮、『神様』でないかぎり誰かの願いを叶えることはできないかもしれない。けれど望まれてしまった。願われてしまった。主の切なる頼みを聞いてしまったから。私は最善を尽くすのです。


私は昔、『悪い組織』によって作られた、ただの悲しき機械でした。意思のない人形のようでした。完璧に調教され、望むべき結果を最善の方法で達成する、完成された人形。だけど、私は満たされなかった。心は空のままでした。機械のように凍てつき、涙さえ流せない、それでも私は『平凡』に『平和』に憧れました。殺し殺され、役目を果たす完璧な機械よりも、泣いたり笑ったりできる、『普通』の人間になりたかった。そして──友人ができました。もしかしたら『家族』も。その友人は、自分の発言に対して理解してない慮外者で、ドジで、馬鹿で情けなく思いますが──彼もしくは彼女の望むことがこの世界を守ることなら、その障害になるものは全て排除するだけ。

( 博士は私の過去について何も聞かないのですか?)

(何も聞かないよ。僕はね、君を信じているんだ。財団が君に対して疑いの目を向けても、君が悪いことをしても、誤解しても、僕は君を信じるよ。だからさっ、僕から遠ざからないで、一緒に残酷な運命を背負わせて──頼むから…。)

(…博士?)

(な~んてね、僕はこういうことは基本、合わないんだよ。今の忘れてね…ってわ!!水鉄砲をこっちに向けないで!この白衣、卸したばかりだから!お願いやめてーー!)

(まったく、めでたいですね…博士。これでもくらいなさい!!)

(アハハハハハッ!!)

(なに笑っているんですか!!)

(いや、楽しくてね。少し子供の頃を思い出した気がするんだよ。さぁ、もっとやってくれ!!白衣に当たらないよう、撃ってくれたまえ!!)

(フフフッ、おかしな博士ですね。)


私は『ありがとう』と感謝されたい訳じゃありません。ただ、ありがたかったから、嬉しかったから。少しでも余計な後悔とか、罪悪感とか──私を庇い、腐肉と化して、死んだ馬鹿な主が抱かないように、私は1人で行動する。自己満足と思われるでしょうけど…。


   むしろ私が感謝したいのです。ありがとう、博士。私の家族になってくれて──私を人間にしてくれて。私は昔、悲しき機械でした。でも今は、誇らしく、そうではないと言えます。あなたのおかげで…。ありがとう、私の願いを叶えてくれて…。


…泣いている暇はありませんね。『世界』と『主』のために、私は穢れた血にまみれましょう。童話の主人公のように、叶わぬ願いを抱きながら、残酷な運命をこえて。私はロボットなので、誰かの命令にしか従えません。祈りすらも抱けぬ、私ですが。もし神様がこの世にいるならば、どうか私に勇気を、絶望に抗える祈りを──。


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