闇寿司ファイルNo.610 "輪廻転生オードブル"

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輪廻転生を戯画化した仏教の六道絵

概論
輪廻転生とは世界各地の宗教で説かれる、魂は生まれ変わるという思想の1つだ。有名な宗教だと仏教が輪廻思想を説いており、他にもジャイナ教も輪廻思想を説いている。そして仏教には六道を戯画化した六道絵が存在する。輪廻転生も寿司も廻り続ける点で同じであり、今回はこれを利用している。

輪廻転生の握りは直接的な回転攻撃と相手の寿司への攻撃と弱体化に特化した寿司である。六道絵に見立てた6つに仕切られたオードブル用の皿の上に複数の食材を乗せる形態を取る。乗せた食材の寿命とカルマを消費すれば輪廻を高速で回転し攻撃に転用できる上に、「輪廻の輪」という概念を寿司に転用する都合から概念強度も非常に高く見込める1。論理的にはモーターと発電機の原理を応用したもので、生命と業を生じさせる輪廻に寿命と業を投下して回転させるというシンプルなものだ。

天道

人間道

修羅道

畜生道

餓鬼道

地獄道

オードブルの更に乗せた食材の寿命を消費した高速回転能力と寿司的重ね合わせを用いた盤石なる概念強度がウリの寿司だと前述した通りだが、輪廻を廻すエネルギーが不足すると周囲から寿命と業を無作為に収奪する一種の兵器として運用可能だ。

超高速度で廻された高エネルギー状態の輪廻は奪取的スシフィールドを周囲に展開し、相手の寿司から生命力と業を奪い尽くしてしまう。食べられる寿司ならば即座に消費期限切れとなり、食べられない寿司であっても、闇の住人の相棒として数多の生き血を啜って学んだ業も失われて解脱した単なるの寿司のサンプルと化すだろう。

さて、このファイルを読んだ同志も疑問に思ったかもしれない。畜生や人間の肉であれば容易に用意できるが、阿修羅や天人の肉なんてそう簡単に用意できないだろうと2

ℕ𝕠 ℙ𝕣𝕠𝕓𝕝𝕖𝕞。輪廻転生とオードブルを重ね合わせたように、新しい概念を盛り付けて別の物に代用すれば良い。そこで私が目を付けたのが発生反復説だ。生物学に於ける一つの概念であり、「個体発生は系統発生を繰り返す」と説明される。子供が生まれる時に進化の過程を再現して成長すると言えば分かりやすいだろうか3。魚類→両生類→爬虫類→鳥類→哺乳類の順番で料理を盛り付ければ完成なのだ。両生類や爬虫類の料理4に少々手間取るかもしれないが、天人や阿修羅の肉で料理するよりずっと簡単である。さて、勘の鋭い読者の中には六道輪廻が6、発生反復説が5と数が合わない事を指摘しようとしてウズウズしているかもしれない。だが、私のオードブル皿の鯨の竜田揚げとアジフライの間にはフジツボとタコが混ざった見た目の奇天烈な刺身が鎮座している。これについては次のエピソードで語ろうと思う。

エピソード
今から語るのは、私が謎の刺身を獲得してしまったエピソードである。
これは半年前の話である。同じ大学に通うブレーダー5が音信不通になった時の話だ。赤石は普段から暖簾分けのプレッシャーを私に零していたが、私には相談に乗る事しか出来なかった。音信不通になったのも、彼が危険運転で轢き逃げを行った事が原因であった。その程度なら精神酢飯接続で揉み消せたであろうが、闇寿司に襲撃を仕掛けたヤクザが流していた危険ドラッグに手を出していた彼に正常な判断が出来なかった事を、全部後になってから知ってしまった。やっと繋がり自宅に呼び出された私が見た彼の顔は酷く焦燥していた。

神田: おい、赤石!今なら揉み消せる、もう一度お前と勝負がしたいんだ。
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赤石: すまない、その願いは叶えられない。もう俺は大分疲れたし、闇寿司の住人だけど罪の赦しを乞いに行かないと。
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神田: お前には伸びしろがある。もっと研磨すればもっと上を目指せる。それなのに…
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赤石: なぁ、鯨の手って実は五本指って話を知ってるか?
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神田: (沈黙)
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赤石: 鯨は進化の過程で魚類から哺乳類に進化して一度陸に上がった、それなのにまた海に潜るようになった進化の証拠なんだとさ。きっと海が恋しくなったんだよ。
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神田: そんな寝ぼけた事を言うなんてやっぱ変だぞ。四の五の言わずに一旦連れ戻すぞ。
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赤石: 人間だって同じさ。業深い人間は、大いなる母の海の下で輪廻転生されなきゃ駄目なんだよ。

そんな意味不明な言葉と共に謎の刺身を残して親友は消えた。初めての親友を失った衝撃と共に私の脳裏に新たなスシブレード運用が湧き出た。人も輪廻から解脱できるのならば、寿司も解脱できるのではないかと。その発想を元に親友の残り香と疑似仏教生態工学を応用したのが"輪廻転生オードブルMarkⅡ"である。腐らない寿司には手も足も出ないと揶揄されていた私に取ってその日の出来事は悲劇であり福音だった。

関連資料

闇寿司ファイルNo.9981-D "九相図の握り"
同じく寿司の腐敗で妨害する事を主眼とした一品。寿司の輪廻への啓蒙も込められている。

闇寿司ファイルNo.4589 "シュールストレミングの握り"
"なれずしの握り"で私の寿司に対抗を試みたブレーダーへの対策から握った一品。繰り出す際に周囲が無人か確認すべし。

闇寿司ファイルNo.2577-D "ダゴンの握り"
複数の宗教基盤を礎に異形の神格を握った異色の寿司。築地死場を恐怖に陥れたが、キリスト教の寿司に敢え無く浄化されたと聞く。

文責: 神田寛裕

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後日談
怪しげな大学のサークルから闇寿司の道を歩み始めても、唯一とも言える友人を失っても、日常は特に変わらない。生態工学の単位が危ない私は補習を受けに日曜日に大学へ向かい、居酒屋のバイトに向かっていた時だ。

東雲: おい、神田。シャツに着いたシュールストレミングの汁が臭くて着られなくなった。弁償しろ。
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神田: あぁ、誰かと思ったら昨日のなれずしじゃないか。お勧めのクリーニング店を教えようか?
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東雲: 3、2、1、へいらっしゃい!

バイトの給料で奮発した料理を乗せたオードブルを取り出した私の目の前に出現したのは…熱々のホワイトシチューを吐き出すミートボールが2個添えられたエリンギだった。

神田: おっ、お前。
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東雲: こんな業の深い形状の寿司を、解脱させるまで時間が掛かる。それが命取りさ。
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神田: アッィィイィィィィィィ!

業が深いのは形状だけであり、軽い火傷を負ったが彼の寿司自体は問題なく解脱できた。だが、この知見を活かして決闘中に自慰行為に耽る事で対抗する闇寿司の使い手も登場するかもしれない。杞憂かもしれなが、今後に備えて業を消費して解脱するだけでなく、業が深い寿司を地獄に落とす寿司も考えるべきだと反省して今は新たなネタの仕込み中だ。


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