走馬灯

☆☆☆オチ:実はこれ走馬灯☆☆☆

瞼を開ける、ぼやけた視界の中で段々と白い無機質な天井が浮かび上がる。右手を意識すると拘束具の締め付ける感触も無く簡単に持ち上がった。上体を起こすと室内が見渡せた、何も映っていないパソコン、机に伏す白衣を着た男、灰色の棚、角ばった壁掛け時計、自分の入っているカプセル、普段ならとっくにそこの人間が声を掛けてくる筈だが、どうやら寝息も立てず眠っていたらしい。体に纏わりついている装置らしい物はロックが外れており自分で取り外せた。そういえばカプセルも最初から開いていた、目が覚めてから20分程は開けられず放置される筈なのに。カプセルから体を下ろし地面に足がつくとコツンと音がして、音が止むも何も聞こえなくなった、何も聞こえない、いつも実験後はよく分からんカタカナ語の話が聞こえてくるのに。男に近づき頬に触れるが、何も反応が無かった。もう少し辺りを見回すと、壁に付けられた白い受話器が見える。受話器の横には「サイト管理センター・コール5回迄二応答ガ無イ場合ハ暫ク待ツコト」と印刷されたシールが貼られていた。受話器を取り耳にあてがい、コールの音がするのを待機するが、何も出てこなかった。壁に掛け直し男の方を振り返る。男はまだ微動だにしていないが、ふと少し上を見ると時計が見えるが先程から動いていない事が分かった。いつも聞こえているカチリッカチリッという時計の音すらもしていなかった。


まず最初に思いついたのは、サイトの停電の可能性。それならば電話や時計が動かない事も誰の声も聞こえない事も多少は納得がいく、しかし部屋には灯りが着いているし、そこにまだ男がいる。停電で誰も居なくなったなら男もいない筈だし、予備電力だとしても灯りだけつけるのはおかしい、電話くらいは動くようにする筈である。次に、実験の結果による物。実験後はいつも記憶があやふやだが、確か博士達は時間に関する研究で自分を被験体にしていた筈だ。その実験が成功したのか失敗したのか、自分が止まった時の世界に入門したという説である。しかし、時が止まっているなら空気も止まっている筈だ、なのに自分はこうして室内を歩き回れるのでそれはおかしい、そんなご都合主義の時間停止がある物か。では、何なのか。何故男は動かず、電話も出ず、時計も動かず、なのに蛍光灯はついていて、外からも何も聞こえないのか。そういえば、まだ男を起こしていなかった。男を触りはしたが、深く眠っている普通の人間をおこせるような刺激をまだ与えていない。

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