異常性物探査部門

 

サイト-8135とはSCP財団の日本支部の保有する日本支部の中では中規模くらいの人員や設備を誇る場所であり、岡山市内某所の讃良ヶ丘科学議会の地下数十mに位置している。このサイトにあるオブジェクトは数個程のAnomalousアイテムくらいだが、財団日本支部の上層達はここの働きを重要視している、それは異常性物探査部門の西日本本部が置かれている為だ。異常性物探査部門は通常のフィールドエージェントとは異なり、異常物を保持していると考えられる個人又は団体への調査及び侵入や、少人数で秘密裏に異常物の回収を行う内部部門である。異常性物探査部門西日本本部には総勢108名が勤務しており、その内現場に出て探査を行う通称"外出屋"は60名である。そして仙葉もその一人であった。

外出屋とは通常体躯の良い人材が選ばれる物だが、仙葉は明らかに細身である。その肉体は強く打てば折れてしまいそうな骨と他の外出屋と比べてかなり貧弱な筋肉で構成されており、それを薄い皮が覆っていた。変人奇人の大集会ということでもよく知られている日本支部だが、その中でも負けず劣らず彼もまた特殊な人間であった。一例として、彼に与えられたサイト内の個室は決して散らかっていたりする訳では無いが職員間では魔境と呼ばれており、その内情は彼の友人数名と一部の上司以外の人間には擬似的反ミームが働く程である。そんな彼は、件の自室で2窓のデスクトップを見つめながら唸っていた。

「行かなければいけませんよね…」

彼はメールボックスに届いていた上司からのメールに少々不快感を感じていた、それが明らかに探査の命令だったからである。仙葉は外出屋でありながら探査任務を苦手としており、本来ならサイト内で職務を行う"座者"を志望していたのだ。そして何より、普段の仙葉は他の外出屋の探査の遠隔サポートという形でサイト内勤務をしているが、こうして上から直々に探査命令が来る事は珍しかった。しかし、仙葉は彼に恩を感じているのだ。彼は仙葉が大学在学中に収集したオブジェクト3件についての論文を発見し、仙葉を雇用した。そしてその後幾つかの調査で彼は上司ながらも積極的に調査のサポートを行っていた為である。仙葉は数分机に伏した後、半田班長の元へ向かう事を決意し時間が来るのを待った。どのみち本日持っていきたい書類があったのだ。


数刻が経過し16時28分。決心がついたので半田班長の部屋を訪ね、ドアを数回ノックした後入室を宣言、ノブを捻るとそこには見慣れた上司が居た。

「よく来たね、仙葉君。とりあえず座ってくれ」

そう言うと半田班長は予め用意していたのであろう珈琲を長机の上に置いた。彼はこちらの席まで運ぶ事が出来ないので自分の珈琲を手に取り席に着く。

「分かりました。それで、探査任務についてと記載されていましたが前回の探査に何か不備がありましたか」

「いやいや、前回の探査は何も問題は無い。そうではなく、今回呼び出したのは新たな探査任務の依頼の為だよ」

新たな任務を渡される事は内心予想していたが、そうでは無い可能性を信じて前回の任務について話を振ってみた。しかし現実は非情であった。自分は感情が良く表情に出るという事は相方から度々言われていたので、顔に出る前に話を続ける事にした。

「新しい任務ですね、今度は何でしょうか」

「鳥取県のある山中に中規模の宿泊施設があるのだが、偶然訪れたエージェントの持っていた簡易ヒューム値変動検知機が反応したそうだ。検証の為に数日に渡り宿泊を行ったそうだが、毎日決まった時間に変動が起こるそうだ。カント計数器を用いた調査によると施設内外のヒューム値に異常は無かった」

「なるほど、しかしそれなら通常のエージェントの調査で十分なのではないでしょうか」

「先程までに伝えた調査の他に数回に分けて調査は行われている、しかし今の所結果が得られていないのだ。そこで私達に回って来たという訳だ。内部調査が必要だと考えられたのだろう」

班長は珈琲を口に運びつつ続けた。

「君と相方君には明後日頃には言ってもらう事になるだろう、詳細な資料は後で送るから事前に欲しい物資が有れば申請してくれ」

「了解です、それとこの件についてですが…」

探査とは関係の無い書類を提出し退出する。もっとも自分は探査任務回避の為に積極的に書類を取っており、それが功を奏したのか他の部門員よりは探査任務は少なかった。



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