立体交叉 序章

立体交叉ジャンクション 序章

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彼らの姿はカーブミラーには映らなかった。




α-0






他の面々より遅れて歩く男──芥川桐麻はスマホを触る手を止め、前を歩く隊員達を見た。

隊員は自分を入れて6名、機動部隊の中では少ない方だろう。とは言っても、我々は人型実体──特に“元人間”の制圧が職務の為、大人数で行く必要は無いのだが。それでも、局所的現実改変能力者2人相手に無傷。他所の奴らが聞いたら驚くかもしれん。

そんな彼らの姿を見ると、嫌でも自身の無能さが良く分かる。彼らは否定するだろうが、これと言って長所が無いのが自分だ。

……夕陽が眩しい。彼らの姿を再度見る。まるで映画のラストシーン──主人公達が夕陽に向かって歩いて行く姿の様だった。

なんとなくだが、映える写真が撮れる気がした。カメラを開き、写真を撮る。……中々良い写真だ。直近では一番かも知れない。尤も、Twitterには載せれないのだが。

そんな事を考えていると、彼らが道を曲がる。置いて行かれない様に急がねば。

駆け足で交叉点に向かい左折する。




──しかし、そこに彼らの姿は無かった。

「……は?」

おかしい、先程まで居た筈だ。ドッキリでも仕掛けようと路地に隠れたか?いや、そんな小道は無い。走って戻った?この一瞬では無理だろう。……何らかの未確認のオブジェクトの影響?……だとしたらマズいな。調査……それで自分まで影響食らったら洒落にならないか。いや、人数的にこっちが影響下か?……確かめる術は……無さそうだな。一先ずサイトに戻るべきか。

そして現場の写真を一枚撮り、サイトへの帰路を急いだ。




約10分後、彼はとあるビルの前で足を止めた。そして中に入る。ここは俗に言う“フロント企業”である。エレベーターを操作しB3に向かう(勿論だがそのような階のボタンは無い)。そこが彼らのサイト──サイト-811Kである。

足早にサイト内をすすみ、珈琲片手に書類を読む白衣の男性を見付けると彼に駆け寄った。

「最賀博士、隊長達帰ってきてませんか?」

「いや、まだの様だが……」

「そう……ですか」

今までの道筋に違和感は無かった。それに検疫もパスしたしこっちが影響下の可能性は限りなく低そうだな。

そう考える芥川を最賀博士は一瞥し、書類を机に置く。

「何か有った様だが……ひとまず状況を報告してくれ」

「……わかりました。」




「成程、交差点を曲がったら突如消えていたと」

「そうですね……」

「似たような現象は報告書漁ればザラに有るだろうな。薄雲君、そっちはどうだ?」

「駄目ですね。連絡もつかなければGPSも消えてます。現場に行ったエージェント二人からも、特に異常は確認できなかった、という連絡が来てますね」

「ふむ……そうだな、芥川君」

「なんでしょうか」

「本件は再発生が認められるまで超常現象扱いで提出しておく。何か言いたい事は有るか?」

「いえ」

「そうか。後処理はこちらでしておくから休んでこい」

「最賀博士、薄雲さん、ありがとうございます」

二人の姿を背に、自室へと戻る。

今日はどっと疲れたな……そうだ、そろそろ見たいテレビが始まる筈だ。……いや、録画してまた今度見るか。






α-1






jp tale 財団のない世界



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執筆者: AF_XLI
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最終更新: 09 Jun 2022 05:48
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