七不思議調査譚 一話

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序章








夜8時、某所にて山道を一台の車が通る。その車の中で私は目を覚ます。それに気付いたらしい運転席の女性はバックミラーを見ながらこちらに話しかけてくる。

「良く寝れたかい?」

「お陰様でよく眠れましたよ。」

「それは良かった。任務が終わった矢先にまた任務とは災難だねぇ。」

昨日の昼から今日の昼まで付近サイトで収容違反を起こしたSCP-████-JPの処理に追われていた。その仕事が終わるや否や、新しい仕事が舞い込んできたのだ。

「そうですね……少し眠れただけでも幸運ですかね。」

そう言って軽く笑う。それを見た彼女はそれは良かった。とだけ返す。
この女性は時雨 小春、私より先輩のエージェントである。今回の任務の指揮、記録担当らしい。

「さてさて、相原君。今回のターゲットについて軽く説明していいかな?車に乗るなりすぐ寝ちゃったから伝えれなかったからね。」

「はい、お願いします。」

今回の任務については私は少ししか知らない。まぁ今日は一度も所属サイトに居なかったから当然だが。

「今回の任務はSCP-████-JP──に登録される予定のオブジェクトの調査だ。7個のオブジェクトによって構成されているよ。そして場所は学校だ……もう分かるね?」

「七不思議ですか……」

「正解。取り敢えずその噂の名前を言っていくからね。」

「分かりました。」

「じゃあ行くよ……一番『ピアノの霊』、二番『二宮金次郎像』、三番『呼び声』、四番『動く人体模型』、五番『無人放送』、六番『トイレの花子さん』、七番『テケテケ』」、以上だよ。」
「それじゃあ、説明していこうか。先ずは七不思議が一番『ピアノの霊』だ。その異常性は──」

そこまで行ったところで言葉を遮る。これぐらいならば私でも分かる。

「独りでにピアノが鳴り出し、それを聞いたものは死に至る、とかですよね?」

「ん、正解。だけど聞いたことがある元生徒もいたから、回数をトリガーにしてるか後者はガセかもしれないんだよね。場所は3棟3階の音楽室だからよろしくね。」

「1回の調査なら安全ですが……念のため一回の調査で終わらせたいですね。」

「だね。じゃあ次、二番『二宮金次郎像』と四番だね。『動く人体模型』……説明要る?」

流石に必要ない。後者がすべて説明してくれているし。

「大丈夫です。」

「ん、因みに分かると思うけどグラウンドと理科室にいる。場所は着いたら地図で確認してね。」
「じゃあ三番『呼び声』だ。我々が警戒する必要があるうちの1つだね。」

声が聞こえるというだけではないらしい。疑問に思っているのに気付いたのか彼女は更に続ける。

「こいつの声に返事をすると連れ去られるらしいんだ。これだけなら気を付ければ良いだけなんだけど……自然な形で話しかけてくるんだ。通信を行っている場合、その相手の声で話しかけてきた例がある。」

確かにそれは厄介だ、会話すら危険らしい。

「なるほど……どんな姿なんですか?」

「噂によるとどうやら不定形らしいよ。それで連れ去られた先は不明。」

となるとそれを探すのも任務であろう。……恐らく別空間であろうが。

「次は五番ですね。」

「そうだね。名前は『無人放送』、噂では真夜中にチャイムが鳴るってだけらしいんだけどね。」

「それだけですか?」

「うん、で、問題なのは『放送』が行われたケースがないこと。言ってしまえば名前と内容が矛盾してるんだ。」

まだ異常性がわかっていないということか。確かにそれなら警戒しないといけない。

「放送室はどうなんです?」

「鍵を使っても開かないらしいよ。」

「何者かがいる可能性もある……と。」

「うん、そうだよね。次は六番『トイレの花子さん』。有名どころだね。」

「ですね……確か呼び方に差異がある場合が多いので聞いてもいいですか?」

「あ、そっか。トイレの個室にに3回ノックして『花子さんいらっしゃいますか』と言う。一番スタンダードな奴だよ。で、場所だけど……分かって無い。3棟の3階が怪しいとは思うけどね。」

3という数字に関係があるのかもしれない。だが番号は三番ではないため違うのではないか。

「最後、七番『テケテケ』、下半身が無い女性らしい。突如現れて時速150キロで突進して胴体を真っ二つにしていく、単純に危険な奴だね。」

有名どころのため存在は知っていたがかなり速い。出会ったらまず逃げられないな……いや、待てよ?

「……学校の七不思議ですし、対処法はあるんでしょう?」

このオブジェクトは学生相手のオブジェクトだ、対処法がないと噂にすらならないだろう。

「流石。早すぎるが故にカーブが苦手。コーナーで差をつけろ!ってやつだね。」

山道を曲がりながら言う。私は軽く苦笑いをする……その時、視界の端に何かが映った気がした。窓を開けて外を確認する……何もいない。

「どうしたの?」

「いえ……何かが居た気がしたんですが気のせいでした。」

「寝ぼけてるんじゃないの?……さて、着いたよ。多分他のみんなはもう来てると思うから。」

「わかりました。」

そう言って車から降りると、学校の外に作られた小屋に向かう。
小屋に入ると常に10人が揃っていた──それもそうか、直前まで任務があった私と違って彼らはサイトにいたのだから。

私が小屋に入ってきたのに気付いたのであろう。奥の方に座っていた二人──片方は背が高く強面な男性で、もう一方は小柄でけだるげな女性だ、が手を挙げる。それを見て、私も手を挙げ返す。
彼は代永 信玄、極道と言われても違和感を感じない様な見た目だが、根は良い奴である。そして彼女は天岡 涼花、見た目だけなら中学生にしか見えないがこれでも20代らしい。

「おう、相原。遅かったな。」

「遅い……お詫びにジュース奢れ。」

彼女はすぐ何かを奢らせようとしてくるのでこういう時は無視だ。

「任務終わりすぐだったからね……」

「大丈夫か?」

「うん、一応移動中に寝れたから。」

「そりゃ良かった。」

「……二人とも、そろそろ話始まるよー……」

時雨さんの方で準備がお終わったようだ。机の方を向く。

「ん、そうだな。教えてくれてありがとよ。天岡。」

「どーいたしましてー。」

「さて、今回我々『機動部隊京-6』はSCP-████-JP予定のオブジェクトの調査を行う。」

恐らく、京なんてものは初めて聞いたであろう。これは仮部隊──エージェントの詰め合わせ部隊だからだ。もちろん、こんなことはそうそう起きないが、サイトに所属している機動部隊がすべて任務中だったためである。

「対象は一番から七番の計七体、全員内容は事前に伝えたから大丈夫だよね?」

全員が頷く。

「大丈夫そうだね。さて、今回は数が多いからグループ分けを行うよ。泰野君、卯月君、桐谷君はチームα、先ず四番の確認に行ってもらいたい。次に、乾君、橘君、林君はチームβ、二番の調査を頼む。そして相原君、天岡君、代永君はチームγ、六番の捜索を担当。最後に私、周君、坂除君がチームδ、ここに残って指揮、記録を行う。」

私はγグループらしい。残り二人も同期であるため少し安心する。そんなことを考えていると突如声がする。

「あの、ちょっといいですか……?」

声のした方を向くと、橘が手を挙げていた。

「橘君、どうしたのかな?」

「指揮を行うなら、校舎内の安全な部屋でも良いのではないでしょうか?」

「あぁ……そういえば言っていなかったね。こいつらは学校の敷地内からは出られないんだ。」

「あ、そうなんですね……それならばここは安全地帯というわけですか。」

「そうなるね、じゃあルートの説明だ。」

そう言うと片手に持っていた地図を机上に開く。

「それじゃあルートね。αは西門から3棟に、βは東門から直にグラウンドへ、γは正門から1棟に向かってくれ。」

我々は1棟から順に回るそうだ……それでは3棟の3階が怪しいと言っていた気がするが最後になるのでは?、と思ったが一番の存在のため後回しにするらしい。
時雨先輩は時間を確認すると、私たちのほうに向きなおる。

「さて、そろそろ奴らが動き出す時間だ。突入準備をしてくれ。」






α-1


四番-動く人体模型








「さて、理科室に向かおうか。」

私の横を歩く好青年が言う。

「そうですね、桐谷さん。」

私はそう返事をする。
彼は桐谷 景。顔良し性格良しで確実にモテるタイプの人間である。

「理科室ってどこでしたっけ?」

この元気な彼女は秦野 霞、半ばマスコットキャラ的な立場に落ち着いているが、運動神経がかなり良いため仕事はできる。

「3棟の2階ですよ。」

「あ、そうでしたね。」

そんな感じにたわいもない会話をしていると、理科室へたどり着く。

「じゃあ、開けるよ。」

そう言うと彼は扉を開ける。

「さて、先ずは四番を探そう。」

「わかりました!」

しばらく四番を探す。探し始めてから約5分後、理科準備室の方で秦野さんの声が響く。

「桐谷さん!卯月さん!ありましたよー!」

その声を聴いた私達は理科準備室に向かう。
中に入ると、秦野さんが手を振っている。

「ここですよー!」

「どれどれ……」

そこで私は違和感に気付く。一言で言うと、『動いてない』のだ。

「……動いてないですね。」

「いや、そろそろだと思うよ。」

桐谷さんは腕時計を見て言う。つまり動き出す時間になっていないということか。

「あと30秒だね。」

「ついに動くんですね!」

そうして我々は少し待つ。すると彼の腕時計からアラームが鳴る。それと同時に四番が動き始めた。

「わぁ!ホントに動いた!」

「……楽しんでませんか?」

「……あ、そうだね、調査しなきゃ。」

「桐谷さん、どうしますか?」

「そうだね……とりあえず臓器を取り出してみる?」

そう言うと彼は、胃を取り出す。しかし動きは止まらない。それを確認するとその他の臓器も一つずつ取り出す。残りが心臓と肝臓だけになった時点で、四番は動きを止めた。そして彼はもう一度臓器をはめ直し、今度は胃と膵臓を残す。再び四番の動きが止まる。

「なるほど……恐らく個数かな?」

「ちょっといいですか?」

そう言うと秦野さんは一度全ての臓器を戻し、四番の首を取る。動きは止まる。

「これ多分原形をとどめているかが条件だと思うんですよ。」

そう言いながら首を戻す。

「なるほど……実害もないし、収容方法も分かった。四番に関してはもう良いんじゃないかな?」

「異論はないです。」

「オッケーです!」

「良かったそれじゃあ次……ここからなら1番が近いね。」

そう言いながら再び首を外す。念のためだろう。

「それじゃあ、行こうか。」






β-1


二番-二宮金次郎像








「えーっと、どうしようか?」

僕たちの眼前には、二番『二宮金次郎像』がゆっくりと動いている。

「取り敢えず色々調べてみますか?」

そう言って乾さんは二宮金次郎の前に立つ。

「……何やってるの?」

「障害物があった場合どうなるかを調べてみてる。」

「なるほど……」

「ケガしないでね~私は台座探してくる。」

そう言って林さんはどこかへ行ってしまう。乾さんのほうを見ると二番が乾さんを避けているところだった。

「ふむふむ。障害物は避ける、と。記録しといて。」

『了解です。じゃあ次、橘君、背中の薪や手に持ってる本を取ってみてくれる?』

通信機から周さんの声が聞こえる。

「わかりました。」

まず本を取ろうとしてみるが、取れなさそうである。恐らく手とくっ付いているのだろう。次に、薪を全部取ってみるが、動きが止まる様子はない。

「ダメですね。止まりません。」

『なるほど……落ちた薪を拾ったりとかはしているかな?』

「その様子はないですね……一先ず戻しておきます。」

『お願いするよ。』

「あ、林帰ってきたよ。」

乾さんの声に振り替えると林さんが手を振りながら帰ってきていた。

『林さん、どうでしたか?』

「ダメだった。台座の方には異常性は無さそう。」

『となると、本体の方に異常性がある可能性が高いと。』

「恐らくね。」

『わかりました。現状夜になると動くだけですので、Anomalousアイテムでも良いかもしれませんね。』

そう言うとさらに続ける。

『危険度が低いことが分かっただけでも上出来です。では、私は少し席を外しますのでよろしくお願いします。』

「はーい。」

林さんは通信を切る。それを確認し、私は言う。

「取り敢えず校舎へ向かわない?」

「はい、そうしましょう。」

「異論はなし!」

そうして僕たちは校舎へと入る。

「さてと、次は四番辺り行くかな。」

と、林さんが言う。四番は『無人放送』だったはず。となると放送室に行くのだろうが……どこにあるのかを忘れてしまった。

「そういえば、放送室ってどこにあるんだっけ。」

「1棟の2階だよ。」

「ありがとう。」

「じゃあそこに向かえばいいんだね。」

「よく覚えてたね……って、あれ?」

違和感を感じる。

「どうしたの?」

まさかとは思うけど……一応。

「いや……今の、誰が言ったの?

「……あ。」










ミィツケタ










天井から声がする。目をやると大きな黒い染みの中央に巨大な口が見える。そしてその染みが少しずつ実体化していくのを見て、私達は身構えた。




三番-呼び声














γ-1


六番-トイレの花子さん










1棟1階、私達はトイレの前にいる。

「さて、と。どっちから行くか?」

「女子トイレの方が居そうですけどね。」

「というか俺達は入っていいのか?女は天岡しか居ねェしよォ。」

そう言い、天岡のほうを見る。

「……調査のためだし……別に良いと思う。」

彼女は少しめんどくさそうに代永を見上げ、続ける。

「それに、万が一に備えて3人で行くのがベストだと思う……けど?」

「……それもそーだな。相原もそれでいいか?」

「良いですよ。」

全員の賛同が得られたところで、天岡は女子トイレに向かう。それに私達も続く。

「6個個室があるから……一人2個ね、何かあったらすぐ呼んで。」

「うい、りょーかい。」

「わかりました。」

二人が個室の前に向かったのを確認して、一番近い個室へ向かう。そしてドアを3回ノックし、花子さんいらっしゃいますか、という。……返事はない。

「どうだ相原、何かあったか?」

「いや、外れだったよ。」

「こっちも……ダメ、残念。」

「お前は早く帰りたいだけだろ。」

「あ、バレたか……でも二人もそうでしょ……?」

「俺はどっちでもいい。」

「私は任務終わりにすぐ来たんで少し休みたいです。」

「二対一……私達の勝ち。代永は罰ゲームとして此処の男子トイレ全部ね。」

「あ?……って言いたいとこだが、男子トイレに個室は2個しかねーしな。まぁいいか。」

「やった……生贄に自分からなってくれた。」

「おいコラ。」

そんな会話を片目に、2つ目の個室にも取り掛かる。……返事はない。そして二人の方を見ると、まだ言い争っている。

「二人とも、早く終わらしてくれ。」

「『二人とも』?何言ってるの……?私はもう終わらしたよ。残りは代永だけ、遅い。」

「いつの間に!?……あぁもういいよ、さっさと終わらせるか。」

そう言い、残り一つのトイレで花子さんを呼ぶ。

「返事ねーな、ここは外れか。」

「そうみたいですね。」

「じゃあ次、代永はさっさと男子トイレ終わらして……少し休むから。」

「まだ始まったばっかだろーがよ。」

そして男子トイレでも花子さんを呼ぶが返事はない。

「この階は外れ……残り8フロア。」

「さっさと終わらすか。」

「ですね。」

そうして我々は2階へ向かう。しかし1棟には当たりの個室は無かった。

「……疲れた。」

「バテんのがはえーよ……この任務終わったらアイス買ってやるからもう少し頑張れ。」

「ハーゲンダッツね。」

そう言うと突如元気になる。

「現金な奴だよホント……」

「ですね。」

そう言って苦笑いする。

「二人とも、遅い。置いてくよ。」

「てめーが早いんだよ。」

そうして私達は2棟へと向かった。






α-2


一番-ピアノの霊








私たちは理科室の真上にある音楽室へ向かう。音楽室のドアを開けると無人のピアノからピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2 『幻想曲風ソナタ』──俗に『月光』と呼ばれる曲が聞こえる。

「さて、これが一番だね。長い間聞いたら異常性が来るかもしれないし、手短に調べるよ。」

「わかりました!私はピアノの周辺に何かないか調べますね!」

「じゃあ僕と卯月さんでピアノを調べようか。」

「はい、そうしましょう。」

そう返事をするとピアノへ近づく。誰もいないのにもかかわらず、鍵盤が独りでに沈み込み曲を演奏している。

「僕はピアノの中を調べるから、鍵盤を調べてくれるかな?」

「わかりました。」

鍵盤を塞いでみる……曲は止まらない。椅子を離してみる……止まらない。いっそ自分で弾いてみよう。そうして鍵盤を一つ押すと、曲が止まる。

「卯月さん、なにしたの?」

桐谷さんがこちらをのぞき込む。なに、と言っても鍵盤を押しただけなんだけど……と、考えているとまた曲が始まる。

「鍵盤を押してみただけですよ。」

「なるほど……じゃあ……」

そう言うとピアノの前に腰掛け、『エリーゼのために』を演奏する。その演奏が終わるまでの間は、曲が止まるようだ。演奏を終えると、秦野さんが桐谷さんの方を目を輝かせて見ていた。

「桐谷さんすごーい!」

「それはどうも。さて、異常性が少しわかっただけでも良い収穫かな。そっちはどうだった?」

「それっぽいのは見つかりませんでした!」

「そうか……ちょっと待ってね。」

そう言うと彼は少し悩む。そして何か思いついたらしくこちらを向く。

「ふと思ったんだけど、ここから二番って見えるんじゃない?」

「窓の外が丁度グラウンドなので見えますよ。」

「ん、ありがと。で、確か此処って理科室の真上だよね?」

「そう……ですね、はい。」

「……もしかしたら……秦野さん、理科室に戻って四番を見てきてくれるかな。で、動きが変わったら戻ってきて。」

「はい!行ってきます!」

そう言うと彼女は走って音楽室を出る。

「で、卯月さんは窓から二番の動きを見てて。」

「わかりました。」

私は窓から二番の様子を見る。二番は規則的に歩き続けている。一体桐谷さんは何をしようとしているのか。桐谷さんの方に目をやると、楽譜を取り出し、ピアノの前に座る。

「じゃあ行くよ。」

そう言うと彼はピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73──俗に『皇帝』と呼ばれる曲を演奏しだす。すると二番の動きが一瞬止まり、また動き出す。その動きは少し早くなっている。

「二番の動きが早くなりました!」

「やっぱりか、じゃあこれはどうかな。」

そう言うと彼は曲を半音高く演奏する。それと同時に二番の動きが少し早くなる。

「また早くなりましたよ。」

その時、音楽室へ足音が近づいてくる。それに気付いた桐谷さんが演奏を止めると、また元の『月光』が流れ始める。そしてドアが勢いよく開く。

「なんか動きが早くなってました!」

足音の主は秦野さんだったようだ。それを聞いた桐谷さんは小さく頷く。

「二人ともありがとう。これで分かったことがある。」

「これの異常性は無人なのに演奏されることと、人型の物体を操ること、ですね。」

桐谷さんの代わりに私が言う。

「そういうこと。でも少し不味いかもな……」

「どうしてですか?」

「だってさ────」






γ-2








「はぁ……2棟もダメだった……」

「だな。まぁあと1棟だ。」

「疲れた……」

「アイスやらねーぞ。」

「頑張ります!」

勢いよく立ち上がり目を輝かせる。相変わらず単純だ。

「じゃあ次行こー!」

「お前急に元気になるな……」

「アイスのためだからねぇ。」

「そーかよ……で、相原。」

「どうした?」

先頭を歩いていた私は振り返る。代永は少しためらい気味に口を開く。

「ふと思ったんだが、六番って──」

彼がそこまで言ったとき、出し抜けに声が響く










ダァルマさんがこォろんだ






























声が聞こえた方へ振り返ると、巨大なダルマがじっとこちらを見ていた。






























刹那、ダルマの姿が消える────否、こちらに急接近していた。






























視界が赤く染まる。






























そして、私の意識は途絶えた。






























番-大達磨








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jp tale



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執筆者: AF_XLI
文字数: 10637
リビジョン数: 53
批評コメント: 0

最終更新: 10 Jun 2022 05:10
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