最終調整 下書き 無口なお父さん

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当時██中学校に通っていた██優花氏のSCP-XXXX-JP-1のスケッチ

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPを完全に封じ込める方法は発見されていません。なおSCP-XXXX-JPの発生を防ぐ方法は発見されていますので、引き続き収容方法確立に関する研究を進めると共に、発生予防対策「ボランティア活動」を実行してください。詳細は補遺3を参照してください。

説明: SCP-XXXX-JPは神奈川県██市██区の一部地域のみで見られる夢の総称です。以下SCP-XXXX-JPを見ている、もしくは見た者を対象者と言います。SCP-XXXX-JPは██区の若年層が同じ夢を見るという都市伝説を財団エージェントが調査したことで発見されました。SCP-XXXX-JPは条件が全て揃わないかぎり発生しません。SCP-XXXX-JP見る対象者の年齢はおおよそ2歳から23歳とされており、その最高年齢は毎年更新されています。また、SCP-XXXX-JPを見る回数には個人差があり、8割の対象者は一度しかSCP-XXXX-JPを見ませんが、2割の対象者は2～3回SCP-XXXX-JPを見ることがあると確認されています。夢の詳細につきましては補遺1を、発生条件につきましては補遺3を参照してください。SCP-XXXX-JPを見た対象者はSCP-XXXX-JPを見る前と比べ精神的に安定している特徴を見せ、それに伴い性格・行動も穏やかになります。なおSCP-XXXX-JPの特徴から記憶処理を行うことはせず、カバーストーリー「都市伝説を意識した故の夢内容」が添付されるのみとなっています。

補遺1:夢の内容 以下の内容は現在財団職員内でSCP-XXXX-JPを見ることに成功した者がいないため、SCP-XXXX-JPを実際に見た対象者へのインタビューを元に作成されました。

1. 対象者は石造りの鳥居の前に立っている。あたりは真っ暗で何も見えない状況である。
2. 対象者は鳥居の後ろにある階段を登り始める。
3. 登り終えると短い参道があり、その先に小さな社殿が見える。
4. 対象者は参道よりも左側を見る。この際参道の右側を見たり、参道を進んで社殿に行くことができた例は確認されていない。
5. 左側には、一般的な藤¹が一面に咲いているのが見える。
6. 藤の木の下に人型オブジェクトが存在し、この夢の間、常に対象者に視線を向け続けている。以下この人型オブジェクトをSCP-XXXX-JP-1と言う。
7. 対象者はSCP-XXXX-JP-1の正面まで進む。
8. 対象者はSCP-XXXX-JP-1に特定の悩み事や辛いと感じた事について話し始める。この時SCP-XXXX-JP-1は一切の反応を示さない。
9. 対象者はすべての内容を話し終えると満足したと感じ、SCP-XXXX-JP-1に対して話を聞いてくれたことに関するお礼を述べる。
10. 目が覚める。

この鳥居・社殿・参道の外見と構造は、██区に実際に存在する██神社と同じであることが分かっています。なお██神社には藤の木は存在しませんので、藤の木に関しましてはSCP-XXXX-JPのオリジナルであると考えられます。

SCP-XXXX-JP-1について: 常に直立姿勢の平均的日本人男性の体型をしたスーツ姿の男性です。頭部は藤の花で隠れているため顔を確認することはできません。なおこのSCP-XXXX-JP-1を対象者は「お父さん」等父親を示す言葉で表します。この際対象者はSCP-XXXX-JP-1を実の父親であるとは認識しておらず、「もう一人の父親」「心の父親」など別の存在として認識されていることがインタビューから判明しています。また対象者はSCP-XXXX-JPを見た後、精神的に安定する理由について「お父さんが辛かったことや悩みを聞いてくれたからだ」と答えます。SCP-XXXX-JPを2度以上見た対象者は全員、2回目以降のSCP-XXXX-JP-1は気まずそうにしながらも自分の話を聞いてくれたと証言しています。

補遺2: インタビューログ 20██/4/27、調査の中で報告されている内容とは一部異なったSCP-XXXX-JPを見たことがある女性K氏（当時23歳）が発見されました。SCP-XXXX-JPを見た時期も財団で確認されている中で最も古いことから、情報収集のため後日追加でインタビューを行いました。

+インタビューログXXXX-JP:

対象: K氏
インタビュアー: 霧向(きりむかい)博士
付記: K氏には雑誌コラムの取材と称して呼び出し、霧向博士は霧向記者として紹介しています。

<録音開始, 20██/5/█>

霧向博士: 本日はお忙しい中ありがとうございます。早速ですが、今巷を騒がせている都市伝説の夢と、あなたが見たことがある夢の違いについてもう一度お話しいただいてもよろしいですか？

K氏: はい…わかりました。と言っても大きく違っているところは1つだけです。都市伝説ではスーツの男、いわゆるお父さんはしゃべらないという事ですが、私が知っている「お父さん」はすごくよくしゃべります。相槌も打ってくれるし、リアクションだってちゃんととってくれました。「それはひどいな！」とか、「よーしそんな奴、父さんがやっつけてやろう！」とか…。

霧向博士: 私達が知っている彼よりずいぶん社交的ですね…。██（K氏の本名）さんはいつ頃その夢を見始めたのですか？

K氏: 初めてみたのは私が小2の時なので…7歳の時ですね。今から16年くらい前です。それから何回か見て、最後に見たのは高3で17歳でした。

霧向博士: なるほど…。その当時は██（K氏の本名）さんの周りでその夢と同じ夢を見るなどの都市伝説はありましたか？

K氏: いえ全くありませんでした。おそらくですが、私しか見てなかったと思います。（10秒間の沈黙）あの霧向さん。私のこと変な痛い奴だと思わないでくださいね…。…この都市伝説、私が原因というか、私をスタート地点に広まった夢だと思うんです…。

霧向博士: …。と、言いますと？

K氏: なんというかその、もともとは私の夢だったのに、私が夢の中でしたことが原因で、周りの皆さんにも広まっちゃったんじゃないかって思うんですよ…。自分でもどういう原理なのかは全く分からないんですが…。

霧向博士: どういうことなのか、もう少し詳しくお聞きしてもよろしいですか？

K氏: …はい…。少し長くなってしまいますが、一からお話しさせてください。…私の父親はモラハラをしてくるタイプの毒親でした。最近では毒親などの言葉があるので周りにも相談しやすいのですが、当時はそんな言葉なくて、誰にも助けを求めることができず苦しんでいました。そんな中、私は自分の中にもう一人、別の父親を作り上げてそれを「お父さん」と呼び、その「お父さん」に毎日が辛いと話して甘える事で日々を乗り越えていました。小さい頃によくある架空の友達、それに近い存在だったんだと思います。「お父さん」は確かに私の心の支えでしたが、当時は起きているときに私から一方的に話しかけるだけでした。

霧向博士: その時の「お父さん」の容姿は都市伝説と同じものなのですか？

K氏: スーツ姿は同じです。ですが頭部は黒いマネキンのような見た目で、藤の花で隠したりはしていませんでした。当時、全く違うお父さんが欲しいという気持ちで想像していたのですが、スーツ姿は考えられても顔だけが考えられなくて、もういっそのこと顔はなくてもいいやって思ったのを覚えています。

霧向博士: そうだったのですね。ありがとうございます。続きをお願いしてもよろしいですか？

K氏: はい。小学2年生になった時、その関係が大きく変わりました。夢の中で「お父さん」に会いに行けるようになったんです。夢の場所は都市伝説と同じで、██神社の境内の藤の花の下に「お父さん」がいました。その時から「お父さん」は藤の花で顔を隠すようになりました。当時、私は「お父さん」に実際に会って話したいという願いを神様が叶えてくれたんだと素直に喜んでいました。…本当に嬉しくて、多い時には週3回その夢を見て、いろんな話を沢山しました。夢とはいえ会話ができたことで私の性格もどんどん明るくなり、より一層「お父さん」のことが大好きになりました。…夢に対してこんな事言うのは変ですが、「お父さん」も本当の父親みたいに私を大切に思ってくれていました。…あの時は確かに私だけの夢で、私だけの「お父さん」でした。ただ残念なことに、私が「お父さん」にもっと会って話したいと思う気持ちとは裏腹に、年々その夢を見る回数が減っていきました。

霧向博士: その原因はお分かりになりますか？

K氏: いえ全く。まぁそもそもただの夢なんだから同じものを何度も見る方が珍しいと言われればそこまでなんですが、本当に悲しかったです。

霧向博士: なるほど、それでその後どうなったのですか？

K氏: 高校生になる頃には年に1度見られればいいぐらいになっていました。そして高校3年生の秋に見たのを最後に、今日まで一度も見られていないです。もし今ある都市伝説が本当の話なら、その最後の夢の中で話した内容が関係しているんじゃないかと思っています。

霧向博士: 会話内容、ですか？

K氏: はい。最後の夢の中で私達はどうすれば会える回数が増やせるかについて話し合っていました。この頃には本当の親子関係はこっちだと、お互いに思うほど信頼し合ってましたので、これ以上会えなくなるのは嫌だと思っていました。でもどれだけ話しても解決策は見つからず、それどころか今回を最後にもう二度と会えないかもしれないという話まで上がってきました。「お父さん」も私も悲痛な思いでどうしたらいいのか本気で考えていました。そんな話し合いの末出た結論は、減少原因は分からないのでこれに関してはどうすることもできない。でも諦めたくない。だから、もし今回の夢から2年経っても会えなかった場合、神社で待ち続けるのはやめて、今度は「お父さん」の方から私を探しに行く、というものでした。

霧向博士: 探しに行く、ですか。

K氏: はい。「お父さん」が約束してくれたんです。「もう待つのは終わりだ。今度は父さんの方から██（K氏の名前）を探して、必ず会いに行くからな。」って。

霧向博士: それで虱潰しに██区の若い人達の夢に現れ、██（K氏の本名）さんを探しているのだと…？

K氏: はい。突拍子もない話ですが、そうなんじゃないかなって思っています。

霧向博士: なるほど。確認ですが、「お父さん」が周囲の人の夢にも出現できるようになった原因や原理についてはご存知ないのですね？

K氏: はい。…（少し笑う）でも「お父さん」かわいいんですよ？「お父さん」、人見知りなんですって。私以外が相手だと何にもしゃべれないかもしれないって言ってました。…そんな「お父さん」が本気で探してくれているなら、私も本気出さないとダメですね。

霧向博士: やはりまた会いたいのですか？

K氏: ええ。会って話したいのはもちろんなのですが、実はですね、もう一つ約束してくれたんです。次に会える時までにある「マシン」を完成させておいてくれるって。

霧向博士: え、「マシン」？えらく唐突に出てきた話題ですね？

K氏: 私もどういうものなのかは全く知りません。ただ私が小学校の頃に「お父さん」が██（K氏の名前）にひどいことする奴は父さんがやっつけてやると言ってくれたのですが、その時からそれを実現できる「マシン」をちょっとづつ作っていたみたいです。最後に見た夢の中で教えてくれました。

霧向博士: …。「やっつける」と…。

K氏: はい。ちょっとその「マシン」が見てみたくて。…あぁ、でもやっぱり、会って話したいのが一番かもしれないです。会って、話して、そして今までのお礼が言いたいです。「お父さん」がよく私に言ってくれた言葉、今でも辛い時に私を励ましてくれるんです。「お前は強い子だから。必ずできるから。お前が父さんを信じてくれているように、父さんもお前を一番に信じている。」って。どれだけこの言葉に救われてきたことか。…明晰夢に関する本でも読んでみようかな…。

霧向博士: （15秒ほどの沈黙）よければ私たちの方から、そういった系列の書籍をお送りしましょうか？

K氏: え！そんな悪いですよ！

霧向博士: いえいえ、今回のお礼です。…。ではインタビューは以上とさせていただきます。面白いお話をありがとうございました。明晰夢に関する書籍は後日送りますので楽しみにしておいてくださいね。

<録音終了, 20██/5/█>

終了報告書: インタビューからK氏がSCP-XXXX-JPの発祥源としてほぼ確定されましたが、この時に行われた検査においてK氏に異常性が確認できなかったため、K氏の特別な収容は見送られました。

補遺3: 発生条件と発生予防対策「ボランティア活動」
以下の発生条件を参考に予防対策「ボランティア活動」を実行してください。

発生条件

1. 対象者が家庭内において精神的、肉体的虐待を受けていること、もしくは世間一般的に「毒親」と言われている者によって苦痛を受けていること
2. 対象者の年齢がその時のK氏の年齢以下であること

発生予防対策「ボランティア活動」

1. 定期的に神奈川県██市██区の教育機関及び児童相談所、福祉事務所を調査し、発生条件を満たす対象者がいないか探してください。
2. 発生条件を満たす対象者がいた場合は対象者本人やその家庭を訪問し、区の職員と協力して主に発生条件1を削除できるよう努めてください。
3. 別途エージェントは定期的にK氏のもとを訪れ、その後SCP-XXXX-JP-1との再会が成功したかについて確認してください。成功したと答えた際は速やかに財団へ報告してください。

終わりに: SCP-XXXX-JP-1が作成中とされている「マシン」の使用方法とその影響については、現在全くの不明です。またK氏がSCP-XXXX-JP-1と再会した場合「マシン」が実際に使用される可能性があるため、「マシン」の詳細が判明するまでは、K氏とSCP-XXXX-JP-1の再会は阻止されるべきだと考えます。現在は月に1度の頻度で私からK氏へ偽の明晰夢に関する書籍を郵送することで対策をとっています。引き続き再会阻止に努めてください。

――霧向博士

Footnotes

1. マメ科フジ属のつる性落葉木本、学名Wisteria floribunda

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  批評コメント批評コメント

  
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  chihiro kimuko 28 Aug 2020 11:32

  前回からまた少し修正をかけました！
  見ていただきたい点は

  ・分かりにくい箇所はあるか
  ・見づらくないか

  の2点です。
  これを最終チェックにして本記事にあげようと思っていますので、
  大丈夫そうなら「ok」だけでもいいのでコメントしてくださいますとうれしいです。
  お願いします！

  スタッフ・ポスト

  yzkrt 28 Aug 2020 12:25

  chihiro kimukoさん。こちらの下書きはこちらのものと同一の記事の下書きであると思われます。
  同じ内容の下書きで複数ページを作り、批評を受けようとする行為は、age行為と見なされ「サイトルール:義務:2.議論:8.スパム的投稿」に抵触します。よって、こちらの下書き批評ページについては批評終了状態としました。改稿を行った後に再度批評を募集する場合でも、1度批評を募集した場合、そちらの下書きページで批評募集を再開するようにしてください。

  最後の編集 28 Aug 2020 12:27 by yzkrt さらに表示

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