SCP下書き 脚粒菌:学名Podiobium leguminosarum

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電子顕微鏡を用いて撮影したSCP-xxx-JP

アイテム番号: SCP-xxx-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPはサイト-81██の生物実験室にて、寒天培地で培養したSCP-xxx-JPを10~15%グリセリン溶液に懸濁し密栓された状態で液体窒素を用いて冷凍保存されます。SCP-xxx-JPの冷凍保存状態が継続できなくなることは収容違反と見做されます。SCP-xxx-JPが過剰に繁殖していることが確認された場合、生物災害対策部門;菌類専門チームの研究部隊き-0("レンゲソウ")の主導の下でSCP-xxx-JP専用の特殊実験室にて100万℃以上の熱を用いてSCP-xxx-JPの9割を死滅してください。

SCP-xxx-JPに感染している人間(以下、対象と表記)は発見次第SCP-xxx-JPの除去のために対象の脚部を菌類除去物質混合土1の中に入れてください。なお対象の感染状況が菌類除去物質混合土によるSCP-xxx-JP除去に3ヶ月以上必要である場合は対象の脚部を切り落とし、対象の栄養管理を綿密に行なってください。またこの際SCP-xxx-JPの大量発生を防ぐために対象の殺害処分も考慮しています。なお対象がSCP-xxx-JPに共生された後に移動した地点は、土壌を中心に菌類除去物質混合土を散布してSCP-xxx-JPを回収してください。

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SCP-xxx-JPを菌類除去物質混合土で除去している様子

説明: SCP-xxx-JPは異常な性質を持つ好気性多孔桿菌です。温度に対して異常な耐久性を有しており、100万℃の熱に長時間晒さなければ死滅することがなく、-200℃以下の超低温下では低速度であるものの繁殖することが可能です。内部に元素周期表に存在しない未知の元素を有しており、それによってSCP-xxx-JPは基本青色で観察されます。SCP-xxx-JPは土壌中では運動性の好気性多孔桿菌として単独生活をしていることが確認されています。

SCP-xxx-JPは人間の脚部を感染対象とします。その感染方法は細菌として異常な点がいくつか見受けられます。

以下はSCP-xxx-JPの感染方法を段階ごとにまとめた一覧表です。

感染段階
第一段階 SCP-xxx-JPは人間の脚部に到達すると毛包2から侵入し、真皮部分から自由神経終末3を受容して、有機化学の理論上存在し得ない物質(SCP-xxx-JP-aと呼称)を分泌します。
第二段階 SCP-xxx-JPの宿主細胞がSCP-xxx-JP-aを受容すると自由神経終末が未知の方法で屈曲を始め、屈曲部に取り込まれたSCP-xxx-JPから感染糸が形成され、SCP-xxx-JPは感染糸中で増殖しながらさらに進入します。これによって対象の脚部には尋常性ざ瘡4に類似する粒状の突起物が見受けられます。
第三段階 感染糸が皮下組織に達するとエンドサイトーシスによってSCP-xxx-JPが人間細胞に取り込まれ、活性化状態5になります。
第四段階 SCP-xxx-JP感染細胞でSCP-xxx-JPによって生成された未知の有機化合物(SCP-xxx-JP-bと呼称)は非感染細胞を介して血管へと送られて全体へと輸送されます。

第三段階におけるSCP-xxx-JPの活性化状態とはSCP-xxx-JPがSCP-xxx-JP-bを生成可能な状態のことです。SCP-xxx-JP-bは人間に対して害はなく、SCP-xxx-JPが人間の脚部に感染した際にのみSCP-xxx-JP-bを生成します。

またSCP-xxx-JPは自然免疫6及び体液性免疫7、細胞性免疫8における免疫細胞に対してSCP-xxx-JP自身を自己の細胞だと誤認させることによって免疫系が正常に働かないようにするため、対象からSCP-xxx-JPが免疫系によって除去されることはありません。なおSCP-xxx-JPのこの能力はSCP-xxx-JPの多孔性による立体構造の変化能力に由来すると考えられています。しかしSCP-xxx-JPの立体構造変化能力は通常の自然界では取得不能かつ通常の法則から乖離しているため現在調査が進められています。

SCP-xxx-JP-bは人間の生命維持に関わる栄養素の立体構造に変化することができます。またSCP-xxx-JPはSCP-xxx-JP-bを分泌する代わりに少量のATPを宿主細胞から得ます。そのためSCP-xxx-JP感染初期の人間は栄養補給を必要としない状態になり、人間とSCP-xxx-JPの相利共生が成立します。しかしSCP-xxx-JPは異常な繁殖能力を持つため、SCP-xxx-JPに対するATPの供給にATPの生産が追いつかなくなることにより対象は2週間以内に栄養過多またはATPの過剰な減少によって死に至ります。

なお対象からSCP-xxx-JPの除去が完遂しても一定期間のSCP-xxx-JPの栄養補給によって代謝反応が人間のそれから隔絶的に変化してしまうため、対象の生存には外部からの栄養補給が余儀なくされます。

補遺-1: SCP-xxx-JPは日本生類創研の研究所に財団の機動部隊が突撃した際に発見されました。なお発見時の研究室内には█.█×10^██体のSCP-xxx-JPと██名の死体が発見されました。現在はSCP-xxx-JPの回収後、日本生類創研の追跡のために調査されています。

以下は研究所に残されたUSBメモリに記録されていたSCP-xxx-JP説明会の音声記録の一部を抜粋したものです。

<再生開始>

[中略]

近年の社会問題の原因の多くは人間の活動に帰結されるというのは、皆様も知己していると思われます。森林破壊、水質汚染、大気汚染などといった環境問題はその最たるものであり、また我々社会問題解決部門が第一に考える『人間』に焦点を当てた場合、飢餓や飽食などといった問題にも注目しなければなりません。

[中略]

これらの問題は今現在一つ一つが独立した問題として捉えられており、解決法もまたそのように模索されています。しかしそれらを一同に解決する手段があるのです。

[数秒の沈黙]

それは『食事』の代替です。

人間にとって『食事』は栄養補給という観点から必要不可欠です。しかし、その『食事』の追求によって問題が出ているのも事実。飽食問題やゴミ問題は言うまでもなく、『食事』のための輸送には多くの問題があります。自動車の排気ガスによる大気汚染問題、水質・土壌問題や船舶によるCO2排出は大きな問題と言えるでしょう。お手元の資料にそのデータがあります。

[中略]

さてそういった問題を解決するために我々社会問題解決部門が目につけたのが、学名をRhizobium leguminosarum、通称根粒菌。マメ科植物との相利共生関係を築く好気性桿菌です。

[中略]

こういった根粒菌の機構を人間に導入しようというのが我々の研究目標でした。そしてその研究成果がお手元の資料にある画期的な能力を有する好気性多孔桿菌。我々は仮の学名としてPodiobium leguminosarum、俗称として脚粒菌と呼んでいます。彼らの能力はこちらのモニターと実験結果をまとめた資料をご覧ください。

[中略]

これらの観点から脚粒菌は人間社会の未来を照らしてくれるでしょう!

これで社会問題解決部門-菌類研究チーム代表-葉椰子梨緒ハヤシリオの脚粒菌の説明を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

[拍手]

<再生終了>

 
補遺-2:また研究所に残された資料を調査したところSCP-xxx-JPと深く関係があると考えられるものを発見しました。以下はその資料の一部を抜粋したものです。

登録番号:れ-V-3000"脚粒菌"の問題について-1.
報告者:葉椰子梨緒(社会問題解決部門)

先日、商品登録番号:れ-V-3000に分類された"脚粒菌"を再度研究チームが調査したところ、重大な問題が発生しました。
我々研究チームはこの問題を解決すべく、新たな菌類の研究を行なっております。
そのため"脚粒菌"の商品運用は延期する必要があると思われます。

登録番号:れ-V-3000"脚粒菌"の問題について-4.
報告者:葉椰子梨緒(社会問題解決部門)

"脚粒菌"の問題解決の光明が差しました。我々が現在研究しているアオカビ(Penicillium Link)をモデルにした菌類は"脚粒菌"の繁殖能力を必要最低限まで抑えることが可能です。
これら2つの菌類が同時に活動するコロニー9に成人した一般男性が持つ平均量のATPを投与したところ、双方ともに許容範囲レベルの活動を行いました。
引き続き研究を継続します。

登録番号:れ-V-3000"脚粒菌"の問題について-7.
報告者:葉椰子梨緒(社会問題解決部門)

"脚粒菌"を抑え込む"アンチ脚粒菌"の研究途中に"アンチ脚粒菌"を投与した被験体の細胞に通常発生し得ないアポトーシス10が発生し、脚部から全身にかけて細胞が自壊していきました。我々はこの原因が"アンチ脚粒菌"にあると考え、新たな研究を開始しています。
加えて本部からの提案により研究所および研究チームに多大な被害が出たため拠点を変更させていただきます。

上記の資料からSCP-xxx-JPおよび他のアノマリーの研究を続けていると考えられる葉椰子梨緒はPoI-xxx-JPとして登録され現在捜索が行われています。またこれらの情報からSCP-xxx-JPは自然界に放出され今なお増殖を続けていると考えられます。生物災害対策部門;菌類専門チームはSCP-xxx-JPの発見およびより効率的な処理方法の研究を早急に行ってください。- 生物災害対策部門管理官 大豆田博士


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