アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは生物サイト-8182の低危険性生物収容ユニット内に設置された60×60×60cm規格のアクリルケース内で一般的なナメクジ科と同様の飼育方法で管理されます。
SCP-XXXX-JPの要求により、3日に一度、1時間のレベル2/XXXX-JPクリアランスを保持した職員との対話が認められます。対話を行った職員には心理カウンセリングを行うことが義務付けられています。
説明: SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2から成る、異常性を持つ全長15cm程の、目が芋虫状に発達している事を除けばナメクジに似た生物群です。総数は約300匹程と推測されます。
SCP-XXXX-JPは未知の方法で会話が可能です。SCP-XXXX-JPの中で、自身をCurtisと称する個体をSCP-XXXX-JP-1とします。SCP-XXXX-JP-1との対話記録からSCP-XXXX-JP-1は全個体が人格を共有していると考えられ、性格面等に大きな差は確認されません。SCP-XXXX-JP-2は身体的な特性はSCP-XXXX-JP-1と類似していますが、自らをSCP‐XXXX-JP-1の友と主張しています。
SCP-XXXX-JPは物理的に裁断された際、YU-056に指定された粘性の体液を分泌し、裁断された断片それぞれがSCP-XXXX-JPの一個体として再生します。SCP-XXXX-JPの高度な再生能力はYU-056の作用に由来していると思われます。また、YU-056は強い忘却作用を有しており、SCP-XXXX-JPもその影響を受けているようです。
SCP-XXXX-JPは以前日本生類創研の管理下にあり、財団の調査中に放棄された建物内で発見されました。
SCP-XXXX-JPは日本生類創研がSCP-XXXX-JPを発見した時に回収したと思われる資料から、SCP-2746を起源としていると考えられます。
以下はインタビュー記録の抜粋です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: 澄田博士
付記: 『カーティス』はSCP-XXXX-JPの主張する『Curtis』のカナでの記法です。SCP-XXXX-JP-1は10ヶ国語以上の言語を使用しますが、日本語でのコミュニケーションが不可能であったため当インタビューは英語で行われました。
<録音開始>
澄田博士: SCP-XXXX-JP-1、あなたに関して教えて下さい。あなたは何者で、以前何をしていましたか?
SCP-XXXX-JP-1: 私達はカーティス。昔は遠い土地で暮らしていましたが人間達に捕らえられてからこの土地に来ました。海も渡ったようですね。この土地に来てもう40年近くになります。
澄田博士: ではあなた方は日本生類創研に生み出されたわけではなく、日本生類創研に捕らえられて管理下になったということですか?
SCP-XXXX-JP-1: 生み出された?そんなことはありません。私達を捕らえた人間達が日本生類創研という者なら、日本生類創研に捕らえられて此処に来たということになるでしょう。前の土地では何事もなく過ごしていましたが、人間達に捕らえられてから此処に住むことを決めました。もう逆らって争うなんて御免だったので文句は言いませんでしたよ。特に何かされるというわけでもありませんでしたし…
澄田博士: 何事もなかったのに争うのはもう嫌だったのですか?何か過去にあったのではないですか?
SCP-XXXX-JP-1: (10秒間の沈黙) 居を変えたのはこれで2度目です。1度目は楽園でしたが、不穏な空気になって争いも起きて、そこに住んでいた皆が去りました。詳細は申し訳ないですが言いたくないのです。昔の仲間も関わってますし、知られて恥に思うやつもいると思うのです。喜んで思い出すものでも、言いふらすものでもありません。
澄田博士: 構いません。ところで日本生類創研に特に何かされた事は無いというのはどういうことですか?貴方方に対しての実験や研究などは行っていませんでしたか?
SCP-XXXX-JP-1: それが何もなかったのです。強いて言えばケージの中に収められた位で。ケージの中とはいえ十分な自由はありましたし、人間達も親切でした。すごく気遣ってくれて、寂しいだろうって自分にそっくりの仲間も沢山用意してくれました!
澄田博士: ふむ。そっくりな仲間達ですか。それは良かったですね。ですが日本生類創研に捕らえられる前の生活で自分にそっくりな存在を見かけることはありませんでしたか?
SCP-XXXX-JP-1: (15秒間の沈黙)
澄田博士: SCP-XXXX-JP-1?
SCP-XXXX-JP-1: 特に無かったと思います。
<録音終了>
終了報告書: 回収された日本生類創研の資料とSCP-XXXX-JP-1の発言には辻褄が合わない点があり、SCP-XXXX-JP-1が自らの異常性を隠蔽しようと虚偽の発言を行った可能性がある為、更なる調査が必要であると考えられる。
補遺: 以下はSCP-XXXX-JP発見時に回収された日本生類創研の資料の抜粋です。
1986/08/05
██████への遠征中、洞窟内で人工的な加工を施されたと思われる石室を発見。調査中に不明な方法で会話が可能なナメクジを12匹採集。当実体(以後n-03と呼称)群は我々に協力的であり、抵抗は見受けられなかった。
n-03は自ら全個体をまとめてCurtisと主張している。n-03の起源を調査内容に含めることを検討する。
n-03を対象とした実験を通してn-03が異常な再生能力を保持している事を確認。ナミウズムシ(Dugesia japonica)と外見上似通った再生を行うが、再生力は損傷部からの分泌物に依存していると思われる。n-03は自らが再生を行うことに不快感を示し、周囲の研究員に想定90db相当の音を発することにより抵抗を行ったため麻酔投与が行われたが耐性を示し、推定量の約5倍を使用する事となった。この耐性は実験後の記憶処理の際も確認された。
プロジェクトナンバー:0091
開発目的: 当プロジェクトはn-03からY-α-0090を採取する際に必要な記憶処理剤の予算圧迫を回避することを目的とする。
開発結果: 改良個体の切断後、切断面から忘却効果を持ったY-α-0090(以後Y-α-0091と呼称)の発生を確認。Y-α-0091は以前の治癒作用を損なうことなく強度の忘却作用を獲得し、n-03が再生時Y-α-0091の忘却作用を受けていることが認められた。
所感: 開発結果は目的を十分達成したと見られるものであり、成功である。Y-α-0091はY-α-0090に比べ安易な量産が可能であると思われ、事故者や検体の治癒及び再利用を始めとする多大な利益を望むことが出来る。
Y-α-0091採取方法概要: n-03の1個体を切断、断面から分泌されたY-α-0091の50%を採取。n-03の協力的な姿勢を維持するため、切断後増殖したn-03新個体には我々が作り出したと説明し、他のn-03の存在を知らせてはならない。n-03が規定数を超える、または失敗した場合は関わった全個体を焼却処分とする。
懲戒命令-2746-201
遺憾と憐憫と共に
造物主への反逆への本意無き助力により、栄誉者Curtisへ刑罰を執行します。
Curtisは実に温和で平和を好み、他者への思い遣りに満ちており、自らを傷つけてまでして能力を行使し他者を治癒する唯一無二の存在でした。しかし、これは彼が罪を被る原因となりました。
彼の我々への善意からの行動により、我々は不本意ながら彼に罰を与えなくてはなりません。
かつてCurtisは造物主と「怒り」の争乱が終結し平和が再び訪れる事を渇望し、「怒り」に加わった者の一部が彼の性格と望みに付け込み、造物主と「怒り」の双方が許しあった上での平和の実現を騙ったことで彼は「怒り」を手助けをすることになってしまいました。
以下の令は下層への追放に加えて、彼の罰のために命じられ、執行されます。
1.彼の助けを必要以上に望まぬ様に、彼の目は醜く作り変えられる。
2.彼が治癒能力を行使する際、分割された彼の体はそれぞれが意思を有するようになる。彼ならばこの事を踏まえ、安易に自らの能力を行使しないだろう。
3.彼は下層にて日の当たらない地下の石室に閉じ込められる。これは彼の存在が長きに渡り忘れ去られるための措置である。
以下の内容はセキュリティクリアランス レベル3以上の職員のみ閲覧することが出来ます。
ログイン情報を入力して下さい。
職員コードが認証されました。 セキュリティクリアランスレベル3 承認。
申請日: 2020/7/5
申請者: 山岸博士
YU-056の抽出及び使用の許可を申請します。現在に至るまで、SCP-XXXX-JPからYU-056を抽出する試みはSCP-XXXX-JPの要求、また倫理的配慮を理由に行われませんでした。
SCP‐XXXX-JPの不幸な、さまよえる過去は、かつてでの内乱で発足した「怒り」や日本生類創研などの第三者の存在に起因します。SCP-XXXX-JPからすれば、YU-056の抽出を我々が行うことは前二者の行いと同一のものであるとも言えるかもしれません。
しかしながら、YU-056単体での複製がほぼ不可能であることを除いて、SCP-XXXX-JPにおける日本生類創研の開発は非常に高水準であり、完成しているものと言う他ありません。
SCP-XXXX-JPの要求はSCP-XXXX-JP自身の避けられない忘却により満たされます。倫理的配慮も同様です。YU-056の効果は絶大であり、使用は我々に多大な利益をもたらします。YU-056を無為にすることはありません。有効に利用されるべきです。
O5-██ 承認。
YU-056の抽出手順はPJ-0091記載の採取手順に準じます。SCP-XXXX-JPにYU-056の抽出が認知されるのを防ぐため、YU-056の抽出はレベル3/2125-JPクリアランスを保持した職員によってのみ行われ、レベル2以下の全職員には秘匿されます。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは生物サイト-8182の低危険性生物収容ユニット内に設置された60×60×60cm規格のアクリルケース内で一般的なナメクジ科と同様の飼育方法で管理されます。
SCP-XXXX-JPの要求により、3日に一度、1時間のレベル2/XXXX-JPクリアランスを保持した職員との対話が認められます。対話を行った職員には心理カウンセリングを行うことが義務付けられています。
説明: SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2から成る、異常性を持つ全長30cm程の、目が芋虫状に発達している事を除けばナメクジに似た生物です。
SCP-XXXX-JPは未知の方法で会話が可能であり、自身をCurtisと称しています。
SCP-XXXX-JPは物理的に裁断された際、SCP-XXX-JP-2に指定された粘性の体液を分泌し、裁断された断片それぞれがSCP-XXXX-JPの一個体として再生します。
SCP-XXX-JP-2を摂取した生物(以下、対象)は強い多幸感を感じます。SCP-XXX-JP-2は強い依存性があり、対象は摂取を繰り返すにつれてより多くの摂取量を求めますが、約200㎖のSCP-XXX-JP-2を一度に摂取した場合はSCP-XXX-JP-2の苛性により全身の細胞組織に損傷を受けて死亡します。
SCP-XXXX-JPの高度な再生能力はSCP-XXX-JP-2の作用に由来していると思われますが、SCP-XXX-JP-2により再生が促された例はSCP-XXX-JPを除いて確認されていません。また、SCP-XXX-JP-2の忘却作用と多幸感を与える作用も同様に強い影響を受けているようです。
SCP-XXXX-JPは以前日本生類創研の管理下にあり、財団の調査中に放棄された建物内で発見されました。
SCP-XXXX-JPは日本生類創研がSCP-XXXX-JPを発見した時に回収したと思われる資料から、SCP-2746を起源としていると考えられます。
以下はインタビュー記録の抜粋です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: 澄田博士
付記: 『カーティス』はSCP-XXXX-JPの主張する『Curtis』のカナでの記法です。SCP-XXXX-JP-1は10ヶ国語以上の言語を使用しますが、日本語でのコミュニケーションが不可能であったため当インタビューは英語で行われました。
<録音開始>
澄田博士: SCP-XXXX-JP-1、あなたに関して教えて下さい。あなたは何者で、以前何をしていましたか?
SCP-XXXX-JP-1: 私達はカーティス。昔は遠い土地で暮らしていましたが人間達に捕らえられてからこの土地に来ました。海も渡ったようですね。この土地に来てもう40年近くになります。
澄田博士: ではあなた方は日本生類創研に生み出されたわけではなく、日本生類創研に捕らえられて管理下になったということですか?
SCP-XXXX-JP-1: 生み出された?そんなことはありません。私達を捕らえた人間達が日本生類創研という者なら、日本生類創研に捕らえられて此処に来たということになるでしょう。前の土地では何事もなく過ごしていましたが、人間達に捕らえられてから此処に住むことを決めました。もう逆らって争うなんて御免だったので文句は言いませんでしたよ。
澄田博士: 何事もなかったのに争うのはもう嫌だったのですか?何か過去にあったのではないですか?
SCP-XXXX-JP-1: (10秒間の沈黙) 居を変えたのはこれで2度目です。1度目は楽園でしたが、不穏な空気になって争いも起きて、そこに住んでいた皆が去りました。詳細は申し訳ないですが言いたくないのです。昔の仲間も関わってますし、知られて恥に思うやつもいると思うのです。喜んで思い出すものでも、言いふらすものでもありません。
澄田博士: 構いません。ところで日本生類創研に特に何かされた事は無いというのはどういうことですか?貴方方に対しての実験や研究などは行っていませんでしたか?
SCP-XXXX-JP-1: 彼らは私の恩人です!あなた方も彼らの行いの素晴らしいことは知っているでしょう!
澄田博士: ええ、まあ。
SCP-XXXX-JP-1: 彼らは私の、罪に蝕まれた体を治してくれました。昔、ひどく愚かだった私は罪を犯したのです。その罰として、皆のために役立てる私の体は助けるべき相手を焼いてしまう毒になってしまいました。そして私は石櫃に閉じ込められたのです。あの贖罪の時の、外に出て救いを差し伸べられない、出たとしても焼き付けることしかできないやるせなさ、ああ、そして何より寂しかった…
澄田博士: 体を治すとは、具体的にはどの様に?
SCP-XXXX-JP-1: 毒に成り代わってしまった私の体を、皆に幸せを与える薬に変えたのです。以前の様に皆を癒すことは出来ませんが、それでも十分過ぎるくらいです。
<録音終了>
終了報告書: 回収された日本生類創研の資料とSCP-XXXX-JP-1の発言には辻褄が合わない点があり、更なる調査が必要である。
補遺: 以下はSCP-XXXX-JP発見時に回収された日本生類創研の資料の抜粋です。
1986/08/05
██████への遠征中、洞窟内で人工的な加工を施されたと思われる石室を発見。調査中に不明な方法で会話が可能なナメクジを1匹採集。当実体(以後n-03と呼称)は我々に協力的であり、抵抗は見受けられなかった。
n-03は自らをCurtisと主張している。n-03の起源を調査内容に含めることを検討する。
n-03を対象とした実験を通してn-03が異常な再生能力を保持している事を確認。ナミウズムシ(Dugesia japonica)と外見上似通った再生を行うが、再生力は損傷部からの分泌物に依存していると思われる。n-03は自らが再生を行うことに不快感を示し、周囲の研究員に想定90db相当の音を発することにより抵抗を行ったため麻酔投与が行われたが耐性を示し、推定量の約5倍を使用する事となった。この耐性は実験後の記憶処理の際も確認された。
プロジェクトナンバー:0091
開発目的: 当プロジェクトはn-03から採取されるY-α-0090を利用し、継続的かつ十分な利益を見込める新たな資金源の開発を目的とする。
開発結果: 改良個体の切断後、Y-α-0091の発生を確認。Y-α-0091は服用、または投与した生物(以下、対象)に対して速やかに幸福感を与える。また、Y-α-0091は強い中毒作用を持っており、対象は連続的にY-α-0091を摂取する事を強く望む。満足な摂取が可能な場合、摂取を繰り返すごとにY-α-0091の摂取量は増大し続け、約200㎖に達した際に対象は死亡する。検死の際、皮膚の爛れと全身の細胞組織の損傷が確認された。これはY-α-0091の前身であるY-α-0090の持つ毒性が、Y-α-0091の過剰摂取により発現したものと思われる。
所感: Y-α-0091の作用は非常に合理的で、我々の目的に理想的であり、完成形としても問題ないと思われる。Y-α-0091は我々に莫大な利益をもたらすだろう。
懲戒命令-2746-201
遺憾と憐憫と共に
造物主への反逆への本意無き助力により、栄誉者Curtisへ刑罰を執行します。
Curtisは実に温和で平和を好み、他者への思い遣りに満ちており、自らを傷つけてまでして能力を行使し他者を治癒する唯一無二の存在でした。しかし、これは彼が罪を被る原因となりました。
彼の我々への善意からの行動により、我々は不本意ながら彼に罰を与えなくてはなりません。
かつてCurtisは造物主と「怒り」の争乱が終結し平和が再び訪れる事を渇望し、「怒り」に加わった者の一部が彼の性格と望みに付け込み、造物主と「怒り」の双方が許しあった上での平和の実現を騙ったことで彼は「怒り」を手助けをすることになってしまいました。
以下の令は下層への追放に加えて、彼の罰のために命じられ、執行されます。
1.彼の助けを必要以上に望まぬ様に、彼の目は醜く作り変えられる。
2.彼の持つ治癒能力は、相手を蝕み、苦しみの内に殺す酸となる。
3.彼は下層にて日の当たらない地下の石室に閉じ込められる。これは彼の存在が長きに渡り忘れ去られるための措置である。
2002年8月5日を初めとして、SCP-XXX-JP-2の異常性によるものと思われる事案が52件報告されています。SCP-XXX-JPの発見時に回収された資料から、回収されたSCP-XXX-JP-2は全体の約60%と推定され、SCP-XXX-JPの開発者及び未確認のSCP-XXX-JP-2の捜索が続けられています。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは生物サイト-8182の低危険性生物収容ユニット内に設置された60×60×60cm規格のアクリルケース内で一般的なナメクジ科と同様の飼育方法で管理されます。
SCP-XXXX-JPの要求により、3日に一度、1時間のレベル2/XXXX-JPクリアランスを保持した職員との対話が認められます。対話を行った職員には心理カウンセリングを行うことが義務付けられています。
説明: SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1とSCP-XXXX-JP-2から成る、異常性を持つ全長15cm程の、目が芋虫状に発達している事を除けばナメクジに似た生物群です。総数は約300匹程と推測されます。
SCP-XXXX-JPは未知の方法で会話が可能です。SCP-XXXX-JPの中で、自身をCurtisと称する個体をSCP-XXXX-JP-1とします。SCP-XXXX-JP-1との対話記録からSCP-XXXX-JP-1は全個体が人格を共有していると考えられ、性格面等に大きな差は確認されません。SCP-XXXX-JP-2は身体的な特性はSCP-XXXX-JP-1と類似していますが、自らをSCP‐XXXX-JP-1の友と主張しています。
SCP-XXXX-JPは物理的に裁断された際、YU-056に指定された粘性の体液を分泌し、裁断された断片それぞれがSCP-XXXX-JPの一個体として再生します。SCP-XXXX-JPの高度な再生能力はYU-056の作用に由来していると思われます。
YU-056は忘却作用と非常に強力な細胞質の再生作用を有しており、SCP-XXXX-JPもその影響を受けているようです。
SCP-XXXX-JPは以前日本生類創研の管理下にあり、財団の調査中に放棄された建物内で発見されました。
SCP-XXXX-JPは日本生類創研がSCP-XXXX-JPを発見した時に回収したと思われる資料から、SCP-2746を起源としていると考えられます。
以下はインタビュー記録の抜粋です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: 澄田博士
付記: 『カーティス』はSCP-XXXX-JPの主張する『Curtis』のカナでの記法です。SCP-XXXX-JP-1は10ヶ国語以上の言語を使用しますが、日本語でのコミュニケーションが不可能であったため当インタビューは英語で行われました。
<録音開始>
澄田博士: SCP-XXXX-JP-1、あなたに関して教えて下さい。あなたは何者で、以前何をしていましたか?
SCP-XXXX-JP-1: 私達はカーティス。昔は遠い土地で暮らしていましたが人間達に捕らえられてからこの土地に来ました。海も渡ったようですね。この土地に来てもう40年近くになります。
澄田博士: ではあなた方は日本生類創研に生み出されたわけではなく、日本生類創研に捕らえられて管理下になったということですか?
SCP-XXXX-JP-1: 生み出された?そんなことはありません。私達を捕らえた人間達が日本生類創研という者なら、日本生類創研に捕らえられて此処に来たということになるでしょう。前の土地では何事もなく過ごしていましたが、人間達に捕らえられてから此処に住むことを決めました。もう逆らって争うなんて御免だったので文句は言いませんでしたよ。特に何かされるというわけでもありませんでしたし…
澄田博士: 何事もなかったのに争うのはもう嫌だったのですか?何か過去にあったのではないですか?
SCP-XXXX-JP-1: (10秒間の沈黙) 居を変えたのはこれで2度目です。1度目は楽園でしたが、不穏な空気になって争いも起きて、そこに住んでいた皆が去りました。詳細は申し訳ないですが言いたくないのです。昔の仲間も関わってますし、知られて恥に思うやつもいると思うのです。喜んで思い出すものでも、言いふらすものでもありません。
澄田博士: 構いません。ところで日本生類創研に特に何かされた事は無いというのはどういうことですか?貴方方に対しての実験や研究などは行っていませんでしたか?
SCP-XXXX-JP-1: それが何もなかったのです。強いて言えばケージの中に収められた位で。ケージの中とはいえ十分な自由はありましたし、人間達も親切でした。すごく気遣ってくれて、寂しいだろうって自分にそっくりの仲間も沢山用意してくれました!
澄田博士: ふむ。そっくりな仲間達ですか。それは良かったですね。ですが日本生類創研に捕らえられる前の生活で自分にそっくりな存在を見かけることはありませんでしたか?
SCP-XXXX-JP-1: (15秒間の沈黙)
澄田博士: SCP-XXXX-JP-1?
SCP-XXXX-JP-1: 特に無かったと思います。
<録音終了>
終了報告書: 回収された日本生類創研の資料とSCP-XXXX-JP-1の発言には辻褄が合わない点があり、SCP-XXXX-JP-1が自らの異常性を隠蔽しようと虚偽の発言を行った可能性がある為、更なる調査が必要であると考えられる。
補遺: 以下はSCP-XXXX-JP発見時に回収された日本生類創研の資料の抜粋です。
1986/08/05
██████への遠征中、洞窟内で人工的な加工を施されたと思われる石室を発見。調査中に不明な方法で会話が可能なナメクジを12匹採集。当実体(以後n-03と呼称)群は我々に協力的であり、抵抗は見受けられなかった。
n-03は自ら全個体をまとめてCurtisと主張している。n-03の起源を調査内容に含めることを検討する。
n-03を対象とした実験を通してn-03が異常な再生能力を保持している事を確認。ナミウズムシ(Dugesia japonica)と外見上似通った再生を行うが、再生力は損傷部からの分泌物に依存していると思われる。n-03は自らが再生を行うことに不快感を示し、周囲の研究員に想定90db相当の音を発することにより抵抗を行ったため麻酔投与が行われたが耐性を示し、推定量の約5倍を使用する事となった。この耐性は実験後の記憶処理の際も確認された。
プロジェクトナンバー:0091
開発目的: 当プロジェクトはn-03からY-α-0090を採取する際に必要な記憶処理剤の予算圧迫を回避することを目的とする。
開発結果: 改良個体の切断後、切断面から忘却効果を持ったY-α-0090(以後Y-α-0091と呼称)の発生を確認。Y-α-0091は以前の治癒作用を損なうことなく強度の忘却作用を獲得し、n-03が再生時Y-α-0091の忘却作用を受けていることが認められた。
所感: 開発結果は目的を十分達成したと見られるものであり、成功である。Y-α-0091はY-α-0090に比べ安易な量産が可能であると思われ、事故者や検体の治癒及び再利用を始めとする多大な利益を望むことが出来る。
Y-α-0091採取方法概要: n-03の1個体を切断、断面から分泌されたY-α-0091の50%を採取。n-03の協力的な姿勢を維持するため、切断後増殖したn-03新個体には我々が作り出したと説明し、他のn-03の存在を知らせてはならない。n-03が規定数を超える、または失敗した場合は関わった全個体を焼却処分とする。
懲戒命令-2746-201
遺憾と憐憫と共に
造物主への反逆への本意無き助力により、栄誉者Curtisへ刑罰を執行します。
Curtisは実に温和で平和を好み、他者への思い遣りに満ちており、自らを傷つけてまでして能力を行使し他者を治癒する唯一無二の存在でした。しかし、これは彼が罪を被る原因となりました。
彼の我々への善意からの行動により、我々は不本意ながら彼に罰を与えなくてはなりません。
かつてCurtisは造物主と「怒り」の争乱が終結し平和が再び訪れる事を渇望し、「怒り」に加わった者の一部が彼の性格と望みに付け込み、造物主と「怒り」の双方が許しあった上での平和の実現を騙ったことで彼は「怒り」を手助けをすることになってしまいました。
以下の令は下層への追放に加えて、彼の罰のために命じられ、執行されます。
1.彼の助けを必要以上に望まぬ様に、彼の目は醜く作り変えられる。
2.彼が治癒能力を行使する際、分割された彼の体はそれぞれが意思を有するようになる。彼ならばこの事を踏まえ、安易に自らの能力を行使しないだろう。
3.彼は下層にて日の当たらない地下の石室に閉じ込められる。これは彼の存在が長きに渡り忘れ去られるための措置である。
以下の内容はセキュリティクリアランス レベル3以上の職員のみ閲覧することが出来ます。
ログイン情報を入力して下さい。
職員コードが認証されました。 セキュリティクリアランスレベル3 承認。
申請日: 2020/7/5
申請者: 山岸博士
YU-056の抽出及び使用の許可を申請します。現在に至るまで、SCP-XXXX-JPからYU-056を抽出する試みはSCP-XXXX-JPの要求、また倫理的配慮を理由に行われませんでした。
SCP‐XXXX-JPの不幸な、さまよえる過去は、かつてでの内乱で発足した「怒り」や日本生類創研などの第三者の存在に起因します。SCP-XXXX-JPからすれば、YU-056の抽出を我々が行うことは前二者の行いと同一のものであるとも言えるかもしれません。
しかしながら、YU-056単体での複製がほぼ不可能であることを除いて、SCP-XXXX-JPにおける日本生類創研の開発は非常に高水準であり、完成しているものと言う他ありません。
SCP-XXXX-JPの要求はSCP-XXXX-JP自身の避けられない忘却により満たされます。倫理的配慮も同様です。YU-056の効果は絶大であり、使用する事は資源的な面において我々に多大な利益をもたらします。YU-056を無為にすることはありません。有効に利用されるべきです。
O5-██ 承認。
YU-056の抽出手順はPJ-0091記載の採取手順に準じます。SCP-XXXX-JPにYU-056の抽出が認知されるのを防ぐため、YU-056の抽出はレベル3/2125-JPクリアランスを保持した職員によってのみ行われ、レベル2以下の全職員には秘匿されます。
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