淡橙が瞼の裏を染めた。かんらかんらと声が響く。
「おお、久しぶりに本の爺様が手品をしおったぞ。」
歓声の声と共に目を開く。開いた居酒屋の戸口の前に私は座っていた。
「いつまで座ってんだ、はよこっちこい。」
しゃがれた声が目の高さに浮いてる本から聞こえてくる。
夢だろうか。
「本の爺様、新入りが困ってるじゃねえか。毎度そのぶっきらぼうは直らんねぇ。」
「うるせぇ、余計なお世話だってんだ。」
また、かんらかんらと店の中から笑い声が響く。
「おぅい、にいちゃん、いやねえちゃんか?はいっておいでな。ずっとそこにいたらさみいだろう。」
雪がちらちらと降っていることに気がつく。確かに寒い。
戸を閉めながら店の中を見渡す。
カウンターには古ぼけた煙管とブリキの人形、テーブルには老人と小さな女の子、そして座敷に時計やら本やらライターやら、骨董品店かとも思える雑多な集団が。
私を呼んでいた声はどうやらあそこらしい。ふよふよと本がその席の一角に帰っていくのが見えた。
「なーんも分からんってかおしとんなぁ。まぁしかたがないことだな。こっちおいでな、いろいろ教えてやろう。」
おそらくライター?から声が飛んできている。信用できるか分からないがとりあえず言うことを聞くことにする。
「そこ座りな。ほら、お前ら座布団開けろ。」
「普段は飲んだくれてるくせに。別嬪さんが来たときは調子いいなライターの爺様。」
「うるせぇ。ほっとけ。」
目の前で骨董品が言い合っている様はなんだかおかしい。
「おっ、やっと笑ったね。困ってる顔よりそっちの方がずっといいな。」
「爺様、それは今で言うところのせくはら、って奴じゃねえのか。」
「うるせぇ。わしゃそんなの知らんぞ。」
と、すぐに口論を始める。どうやらお酒が入っているみたい。
「えっと、あの。」
「おお、すまんな嬢ちゃん。ここについてだろう。悪い悪い。ようし何でも聞いてくれ。」
お前のせいで嬢ちゃん困らせただろ、とか爺様の悪い癖だろ、とか小声で言い合ってたけど知らないふりをした。
「はい、
ページコンソール
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:6383945 (30 Apr 2020 09:07)
コメント投稿フォームへ
批評コメントTopへ